【FGO】幕間の物語~ギルガメッシュ(キャスター)~「王の休息」その1
夢に見る。
大切なもの。
全てが燃やし尽くされ、かき消される。
きみの声が聞こえない。
灰色の世界。
伸ばす手も無い、何もできない。
あのとき見た景色は、いつだって、最悪の悪夢を目の裏に焼き付ける。
そうして、自分が成した実感を何もつかめないまま、また目が覚める。
悪夢を見た。
それは、バビロニア修復後、カルデアにギルガメッシュ王(キャスター)が召喚されてすぐのことだった。
こっちは過労死したらエレちゃんに助けてもらえないからね。
せやろか
?
うわ!ちょっと!
追い出されるように部屋を出ていったロマニ。心做しか歩き方がぎこちなかった。
そして、ロマニの後にギルガメッシュも続いて部屋を出ていった。あとに残されたダ・ヴィンチちゃんは、ロマニの操作中の端末を引き継いで何やら作業を再開していた。
しかし、賢王の案内でいろいろ疲れたな。
なるほど、どうりで疲れるはずだ・・・・・。ちょっと仮眠してくるよ・・・・。
夢に見る。
もう、どれぐらい経っただろうか。
必ず助けると決めたあのとき。
最善を尽くすために全てを投げ捨てた。
頼れる力は、本当に小さく、儚い。
それでも、ただまっすぐ、彼はここまで来てくれた。
夢に見る。
もう、どれぐらい経っただろうか。
マシュに叩き起こされて慌ててベッドから降りた。警報は鳴っていないが、マシュの様子からすると・・・・
まさか倒れた?!
えええええええええええええ!??!?!!??!ドクターが行方不明?!!?
急いで管制室に行くと、先程自分の部屋に戻ったはずの賢王が臨戦態勢で待ち構えていた。
休んでなくていいんですか?
その勢いはかつてのジグラッドで王政を行っていた姿を思い出す。
(先の未来を予測できたのに対応が遅れているのは・・・?)
フユキ・・・・あそこか。
こんなとき、ホームズがいてくれたら・・・・・。
どこか怪しい雰囲気はあるものの、あの探偵なら信頼できる人物だ。ロマニ不在の今ならきっと力になるだろう。
そうして、賢王の指揮の元、マシュは臨時でオペレーターの補佐に入り、ダ・ヴィンチちゃんの誘導でレイシフトを開始。
ロマニの反応が最後にあった、最初の特異点、冬木に跳んだ。