【FGO】第七の聖杯 絶対魔獣戦線 バビロニア【第8節 ウルク北壁 8-1】
七度目の聖杯探索の舞台は紀元前2655年。
それは人間が神と袂を分かった最初の時代。
人類を滅ぼさんと結託した「三女神同盟」の魔の手。
ウルクを飲み込もうとする滅びの予言。
絶対的な終焉を前に、今、最大の戦いが幕を開ける-------!
・前回まで
ギルガメッシュが未来を記した「天命の粘土板」を探しにクタへ向かったカルデア一行。
粘土板は見つけたものの、クタ市は冥界の住人に占拠されていた。
イシュタルの援護もあり窮地を抜けた一行は、ギルガメッシュに「天命の粘土板」を届けた。
戻って早々、手短に詳細に、クタでの出来事を報告する。
冥界での出来事、謎の老人に出会ったこと、イシュタルの一件。
特にイシュタルの下りからはギルガメッシュは笑いを堪えきれずに大声で爆笑していた。
トモエ・・・出会ったことはないが、どこかで聞き覚えのある名前だ。
おぉ、ようやくチャンスが廻ってきたね。
見れば横でこちらを見ていたシドゥリさんが静かに涙をすくっていた。
いや、読もうにも読めないんですが・・・。
手を粘土板に翳し、言われたとおりの呪文を唱える。
途端に視界が開けた。
いや、いきなり夢の中に入ったかのような感覚。風?のような音が聞こえる以外は何もない真っ白な世界だった。
酷い景色だった。
見えない語りては淡々と語る。
しかし、目の前を過ぎていく光景は余りにも、酷い。
直視できない。知っているハズの出来事なのに、向き合えない。
戦争、疫病、貧困、差別、自害。
叫んだ。余りの壮絶さに頭が耐えきれない。
だけど口からは声がでない。ずっと頭の中で誰かの声が反響する。
この世界のナレーション。
そこで気づいた。語り手は一人ではない。
別々の声が代わる代わる世界の悲劇を、人間の愚かさを嘆いている。
聞き逃せない言葉が過ぎていった。玉座・・・。
世界が反転する。
血の色が消えていく。
そこは何もない虚空。
歴史から切り取られた、歴史の終極点。
夢から目を覚ます。そうだ、この粘土板を読もうと思って・・・。
そういうギルガメッシュの言い方には、こちらを気遣う言葉が込められている気がした。
今はもう思い出せないが、あれがもし「彼ら」の思いだとしたら・・・。
一夜明け、一行はニップル市救援作戦の拠点である北壁に到着していた。
北壁の屋上には、ディンギルと呼ばれる射出機(カタパルト)が並べられていた。
レオニダスの話によれば、このカタパルトでギルガメッシュの「王の財宝」を射出して魔獣たちの攻撃手段にしているらしい。
アーチャーであれば、宝物庫から自由自在に宝具を射出、保管できるが、キャスタークラスである今のギルガメッシュは、せいぜい魔杖を取り出す程度だという。
シドゥリさんの話では、彼一人ではこの超広域な戦線をカバーしきれないからこそ、兵士一人一人が「王の財宝」の射出台となることで、戦線を維持できているのだとか。
レオニダスが感慨深げに言った。
彼はこの北壁の最前線で指揮を取っている。
それはあまり待てないね。。。
でもそれって牛若丸たちもかなり危険じゃない?
こうしてレオニダス指揮のもと、ニップル市救援作戦の準備が着々と進められていた。
この頃になると、粘土板で見た光景をほとんど忘れてしまっていた。