スマイルプリキュア!第32話「心を一つに!プリキュアの新たなる力!!」
ジョーカー「あなた達もご自分の身で味わってご覧んなサーイ☆バッドエンドの素晴らしさをねえ」
ジョーカーはふわりと飛ばした“なまけ玉”。暗黒色に染まったその闇に、あかね、やよい、なお、れいかの4人は取り込まれてしまいます。
みゆき「みんなーーーー!!!」
そこは楽園。そこは天国。そこは夢。そして、幻。
閉じ込められた4人。一人残ったみゆき。ジョーカーが仕掛ける最悪の結末に果たしてみゆきは…。
第32話「心を一つに!プリキュアの新たなる力!!」
ジョーカー「んふっふっふっふ。」
みゆき「みんなを返して!」
ジョーカー「それはできませんねぇ。この“なまけ玉”の中は、とぉっても楽なんですよお。この中に入れば、悩んだり落ち込んだり、辛いも何もありません。もう頑張る必要も、ないんデス」
指先で器用に“なまけ玉”を回しながら、ジョーカーは饒舌にみゆきに解説します。
ジョーカー「彼女たちもきっとこの世界を気に入ると思いますよ?」
キャンディ「そんなことないクル!」
みゆき「わたしがみんなを連れ戻してみせる!」
ジョーカー「どうやってですかあ?」
みゆき「―――わたしもその世界に行く!」
みゆきは抱きかかえていたキャンディを下ろして立ち上がります。
ポップ「ええええ!?」
キャンディ「えええ!?」
ジョーカー「どうぞぉどうぞ。ただしこの中に入れば、貴方も何もかも忘れて“なまけ”てしまいますよお?」
みゆき「わたしは絶対にそうはならない!」
みゆきがそう言うとジョーカーは“なまけ玉”をみゆきに向けます。途端、中と同じく暗闇色に光る“なまけ玉”に引き込まれて、みゆきも闇に包まれてしまいます。
ジョーカー「お馬鹿さんですねえ……」
ポップ「みゆき殿――――!!」
キャンディ「みゆき――――――!!」
・・・・・・
みゆき「みんな!待ってて!!」
何も見えない暗闇の中。その先にあったものは………。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あかね『“み〜ゆ〜き〜”』
聴きなれたチャイムの音とあかねの呼びかける声で、みゆきは目が覚めました。
みゆき「あれ……わたし……。」
微かな違和感。机に突っ伏していた頭を上げると、4人が鞄を持ってみゆきが起きるのを待っていました。
あかね『“帰んで”』
みゆき「あれ?あかねちゃん部活は?」
あかねやれいか、なおはいつも夕暮れまで生徒会や部活で遅くなることが多いので、学校終わって5人ですぐ帰る事は滅多にありません。
あかね『“部活?”』
みゆき「え……バレーの練習……?」
あかね『“バレー?なんやそれ?”』
みゆき「え――――――。」
なお『“そんなの疲れるだけだからやらなくていいよ”』
やよい『“ねえ!遊園地行こうよ”』
れいか『“いいですね”』
あかね『“行こ行こ”』
みゆき「え―――――」
あかね『“みゆきも早う”』
みゆき「え、ちょ、ちょっと待って!!」
違和感。いつもの4人だけど、まるで別人みたいな。違和感。
急いで机の教科書ノートをカバンにしまいますが、その一瞬目を離した途端、4人の姿はいなくなっていました。
みゆき「あれ?みんなーーー!!」
何も違わない風景。どこも壊れてもいないし、みんな笑っている。だけど、少し静か過ぎる。
みゆき「あ!先生!なんかみんないつもと違うんです。」
みゆきは正面玄関へ通じる通路で先生を見つけました。
先生『“そんなことないですよ。みんなと一緒に遊んでらっしゃい。”』
みゆき「え、でも―――。」
違和感。
先生『“難しいことは考えないで、ほら、みんなが呼んでますよ”』
あかね『“み〜ゆき〜”』
やよい『“早く早く〜”』
みゆき「あ、先生さようなら!」
先生にそう行って別れ、校門で待つ4人の元へ向かいます。
みゆき「 なんか……変だな。 」
そうして、校門まで走るみゆき。どうしても消えない違和感を考えて下を向いていると、いつの間にか辺りの景色が一変。笑い声が聞こえてきました。
B A D E N D
そこにはいつの間にか遊園地があって、たくさんの遊具はどれもピエロの顔がついていました。それに乗って遊んでいる人々の声が、外からでも聞こえます。
みゆき「な、なにこれ!?遊園地――――?あれ!?学校がない!」
あかね『“みゆき〜こっちこっち〜”』
違和感。今度はいつの間にかテーブルでたくさんのお菓子を囲んでいる4人。あかねが手招きする方へみゆきも行きますが……。
・・・・・
ジョーカー「んふふふふふ。」
そんな光景が目に見えているのか。愉悦に浸ったような満面の笑みで顔を歪ませるジョーカー。
キャンディ「みゆきがあぶないクル!キャンディもたすけにいくクル!」
ポップ「キャンディ!危険でござる!」
キャンディ「きけんでも、みんなをたすけにいきたいクル!」
必死になって兄ポップにそう訴えるキャンディ。大事な妹に無茶をさせたくないポップですが、一度自力で戻ってきたキャンディを今は信じて、止めたい気持ちをぐっとこらえます。
ポップ「わかったでござる。」
ジョーカー「んふふ。どうぞどうぞぉ。でも今度は帰ってこられないかもしれませんよお?」
キャンディ「ぜったいみんなをたすけてかえってくるクル!!」
その言葉を最後に、キャンディも暗闇色の玉の中へ。残されたのはポップ一人だけです。
ジョーカー「馬鹿な妖精ですねえ…・・・。プリキュア諸共、一生“なまけ玉”の中にいるがイイ。ロイヤルクロックの力が復活されては、厄介ですからねえ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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あかね『“ここじゃな〜んでも食べ放題”』
やよい『“乗り物も乗り放題”』
なお『“遊びたいだけ遊んで”』
れいか『“好きなだけ寝ててもいいんですよ”』
やよい『“学校もない宿題もない”』
なお『“嫌な事は何ひとつなない”』
あかね『“みんな見てみ、楽しんでるやろ”』
みゆき「確かにみんな楽しそう……」
そこは楽園で。天国で。夢で。まるでおとぎ話。
『“ほい”』
みゆき「え――。」
呆けているみゆきに4人はお菓子を差し出します。ドーナツ、キャンディ、クッキー、アイス。
なお『“みゆきちゃんの分”』
やよい『“こっちもおいしいよ?”』
れいか『“遠慮せずにどうぞ”』
『“好きなだけ食べてええんやで〜”』
4人でも食べきれないくらいのお菓子がどっさりとテーブルの上に並べられています。さっきまで何か大事なことがあったハズですが、お菓子を見た途端、みゆきは急にお腹がすいてきました。
みゆき「うん!」
ぱくりとドーナツを一口。するとそれは、みゆきが今までに食べたどんなドーナツよりも甘く、香ばしく、美味しいものでした。噛めば噛むほど体に(心に)染み渡る味わい。それはもうドーナツじゃない何かのようで、今までで一番美味しい食べ物でした。
みゆき「うん……おいしい……“とっても幸せ”」
甘い味がみゆきの全てを溶かします。
みゆき『“あぁもう…なんだか、考えるのがどうでも良くなっちゃった……”』
何にも縛られず、好きなことを好きなだけやれる幸せ。
誰にも怒られず、誰にも咎められない。
食べ物はたくさんある。飲み物も好きなだけ飲める。
好きなだけ遊んで、好きなだけ寝て、また好きなだけ遊べる。
それはどんなに幸せ(不幸)か。
それはどんなに楽園(地獄)か。
ここにはこんなに笑顔がある。こんなにみんな楽しそうにしている。
これが、ハッピーエンド(バッドエンド)なら……。
キャンディ「クーーールーーー!!!」
みゆき『“ごっ!!”』
どんな時でも飛来物は顔面でキャッチするみゆき。ぶつかったのはみゆきの後を追ってきたキャンディでした。
みゆき『“痛たたた……あ……かわいい。あなたは犬さん?猫さん?たぬきさん?お名前は?”』
それはまるで初めてあったかのように、みゆきはキャンディを抱き上げます。向けられた優しい笑顔は、キャンディには余りにも冷たく、光を失った瞳に逆に吸い込まれそうになります。
キャンディ「みゆき!!キャンディのことわすれちゃったクル!!!」
みゆき『“え〜〜っと、誰だっけ…?”』
どこかから切り取って貼り付けただけのような笑顔を、みゆきはキャンディに向けます。
キャンディ「ひどいクル……!――――そうクル!」
自分が“なまけ玉”を抜け出した時のことを思い出して、キャンディはテーブルの上のクッキーを1枚掴んで、5個に割分けます。
みゆき『“何してるの?”』
キャンディ「おもいだすクル!」
みゆき『“クッキー……?”』
キャンディ「みんなでわけて たべたほーが おいしいクル!!」
みゆき『“え……”』
キャンディ「ひとりより、みんなでハッピーってかんじたほーが、ウルトラハッピーになれるクル!」
みゆき『“へ……”』
キャンディ「みゆきがキャンディにおしえてくれたクル!」
みゆき『“面倒くさいよ考えるの……。”』
キャンディ「たいせつなコトは、ちゃんとじぶんでかんがえなきゃダメクル!!」
みゆき『“大切な―――――”』
キャンディ「ちゃんとじぶんでかんがえて、じぶんできめるクル!」
みゆき『“自分で―――――”』
5つに割れたクッキー。こんなにたくさんあるのに。みんなで分けなくても食べきれないくらいあるのに……。
だけど。
笑顔があった。
一緒に食べた時にみんなで笑いあった、あの笑顔が。
忘れちゃいけない。とても大事な―――――。
みゆき「あ……。あ―――。」
キャンディ「おもいだしたクル!!」
みゆき「思い出した!!飲み込まれちゃうところだった!」
光を失っていたみゆきの瞳に輝きが戻り、キャンディの言葉でなんとか思い出すことができました。
みゆき「みんな!しっかりして!ここはジョーカーが作り出したうその世界なんだよ!!」
あかね『“じょおかあ?なんやそれ”』
みゆき「わたしたちプリキュアになって一緒に戦ったじゃない!!」
光を失った4人の瞳が、冷たくみゆきを見つめます。まるで突き刺さるような視線を感じながらも、みゆきは必死に思い出させようと、5人の思い出を叫びます。
ですが。
なお『“ぷり…きゅあ?”』
あかね『“なに言うてんの”』
みゆき「うそ……プリキュアを忘れるなんて……みんな、しっかりして!思い出してよ!!今まで頑張ってきたじゃない!!」
なお『“ガンバッタッテ、ショウガナイヨ”』
やよい『“ガンバル ノッテ、ツライ シ メンドウ ダシ”』
あかね『“シンドイ ダケ ナラ サイショ カラ ガンバラン ホウガ エエヤン”』
れいか『“ナニヨリ、ラク デスシ”』
みゆき「そ…んな……」
それは余りにも冷たい言葉。みゆきにとってそれは、親友だと思っていた4人の口からは、受け入れられない言葉でした。“なまけ玉”の世界で、もう姿形は本人でも、中身は全くの別人になってしまっていました。
やよい『“ソウ カンガエタラ ドウデモ ヨク ナッチャッタ”』
れいか『“ナンダカ ネムク ナッテ キマシタ”』
みゆき「だめだよ!こんなところで寝ちゃ!」
キャンディ「おきるクル!!」
ゆっくり瞼を閉じていくあかね達を、肩を掴んで必死に揺さぶるみゆき。
なんの根拠もありませんが、ここで眠ってしまったら、もう二度と4人は目が覚めないような、そんな最悪の結末を嫌でもみゆきが考えてしまいます。
みゆき「しっかりして!あかねちゃん!!あかねちゃん!!!」
あかね『“アンタ……ダレ?”』
沈み行く声でそう言われ、それまで我慢してきたみゆきも、涙を流します。今までたくさん遊んだ思い出も、戦った記憶も、全部無くなってしまった。4人とも目を閉じたまま項垂れ、その姿を見てみゆきはただ、叫ぶことしかできませんでした。
キャンディ「そうクル!みゆき、このせかいを“ハッピーシャワー”でジョウカするクル!」
みゆき「そうか!そうしたらみんなも元に戻るかもしれない!」
キャンディ「みゆき!いそぐクル!!」
みゆき「うん!」
「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」
「Go!!Go!!Let’s go!!HAPPY!!」
「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」
仲間のために、世界を浄化するために。バッドエンドを吹き飛ばすために。
ハッピー「気合いだ気合いだ気合いだ、き・あ・い・だーーーーーーーー!!!!!」
「“プリキュア・ハッピー・シャワー”!!!」
ハッピー「絶対みんなで、元の世界に戻るんだから!!」
キャンディ「ハッピー!がんばるクル!!」
ハッピー「はああああああああああ!!!!」
輝く閃光。その先には……。
・・・・
ジョーカー「ザァンネェン。」
突如開いた次元の裂け目。トランプの力で開けた穴にジョーカーは、ハッピー・シャワーを全部吸収してしまいました。
ハッピー「え――――!?」
ジョーカー「この素晴らしい世界は壊させませんよぉ。あなたの相手はこちらデス」
そう言うとジョーカーは自分の髪飾りに止めていた黄色い玉を一つ外します。
ジョーカー「 黒っ鼻との合体は体に毒ですからねえ。それにプリキュア如き、この“黄色っ鼻”で十分 」
ふわりと中空に投げられた黄色っ鼻。ジョーカーが見つけたのは、遊園地のジェットコースターでした。
「出てよ、アカンベェ!!」
『アカ〜〜ンベェ!!』
ハッピー「何?どうなってるの!?」
アカンベェが現れた途端、周囲の景色がまた一変。恐らくこれが本当のバッドエンド世界なのでしょう。ピエーロと戦った時の場所と似た感じの、岩山と暗い空が覆う、闇の空間に変わりました。
ハッピー「みんな!」
キャンディ「おきるクル!」
全ては幻。遊園地も、そこで遊んでいた人達も。残されたのは、眠りに落ちたままの4人だけでした。
ハッピー「あかねちゃん!!みんな!!」
ジョーカー「あなたの相手はこちらです。」
『アカ〜〜〜ンベェ!!』
ハッピー「――――ここにいたらみんなが…。キャンディ、みんなをお願い!」
キャンディ「クル!」
『アッカ〜〜〜ンベェ!!』
ジョットコースターアカンベェが、うねる蛇のようにハッピーに迫ってきます。みんなを巻き込んだら大変だと想い、ハッピーは一人その場を離れ、アカンベェを引きつけます。
キャンディ「おきるクル!みんな、おきてクル!」
あかね『“ん……なんや……”』
ハッピーがアカンベェと戦っている中、キャンディの呼びかけで4人はなんとか目を覚まします。が。
キャンディ「ハッピーがみんなのためにたたかってるクル!」
あかね『“ハッピー?”』
なお『“なにそれ”』
・・・
ハッピー「っでやああああああああああああああああ!!!!」
繰り出されるのは高速の突進。しかし、一度避ければ隙も多い。アカンベェの攻撃をなんとか躱しつつ、その胴体におもいっきり頭突きを入れるハッピー。
『アガ!!』
ジョーカー「ほお、やりますねえ。でも――――」
強靭なアカンベェの耐久力。いつも5人で戦っている分、一人で相手をするのはハッピーには大変で、とても不利でした。
あかね『“なにしてんや”』
・・・
ハッピー「わたしは負けない!みんなを元に戻すまでは!!」
ジョーカー「ナゼ、元に戻す必要があるんですか?この世界に入れば、楽ですよお?学校も勉強もない。朝早く起きなくてもいい。遊園地も遊び放題。」
それが楽園。それが天国。それが夢。それが……。
ジョーカー「なぜあなたはこの世界を拒むのデスカ」
ハッピー「―――っはぁはぁはぁ!わたしはいつものみんながいいから!元に戻ってほしいの!!」
ジョーカー「なぜデス?みなさんこの楽な世界を楽しんでいるのに…」
ハッピー「心の底からは楽しんでないよ!わたしの知ってるみんなの笑顔は、あんなんじゃないもん!!」
『“・・・。”』
ハッピー「うあああ!!」
ジョーカー「可笑しなことを言いますねぇ…。よく考えて下さい。」
『一生懸命頑張っても、結果が出ないでがっかりして、と〜っても辛かったでショウ?』
『どんなに努力しても結局上手くいかない。人に笑われて…、嫌な想いをするだけデス』
『みんなを巻き込んだのに失敗して、仲間の頑張りを全て無駄にしてしまった…。何か意味がありましたか?』
『思い悩んで考えても、結局は友達に迷惑をかけて、情けない自分にウンザリするだけ……。』
ジョーカー「それなら、最初から頑張らなければ、そんな想いもしなくて済む。失敗することも無いんデス。」
ハッピー「きゃ!!!」
キャンディ「だれだってうまくいかないときはあるクル!!でもキャンディはいっしょうけんめいなみんながだいすきクル!だって、がんばってるみゆきたちは、いつもキラキラしてるクル!!」
しかし、キャンディの応援とは裏腹にアカンベェの強烈な一撃がキュアハッピーに襲いかかります。
ドスン と鈍い音を立てて、胴体を叩きつけるアカンベェ。
キャンディ「みゆきーーーー!!!!!」
ジョーカー「呆気ないですねえ――――ん?」
ハッピー「わたし……メルヘンランドであなたにボロボロにされた時にわかったの」
叩きつけられたアカンベェの胴体を必死に支えて、息も絶えだえにハッピーはジョーカーに向かいます。
ハッピー「泣いたり、悩んだり、一生懸命考えたおかげで、それまで知らなかった自分に気づけたし、自分にとって何が一番大切かもわかった!!」
「 わたし、キャンディが大好き。それと同じだけ、友達も、家族も大好き。だから―――みんな一緒が良い。みんな一緒の未来が、きっとわたしのウルトラハッピーなんだって―――― 」
「「「「――――」」」」
『 友達は、くだらんくなんかない!!! 』
バレーの練習に付き合ってくれた。辛かった時、笑顔の意味を教えてくれた。
『 辛い時も楽しい時も、いつもそばにいてくれる!!! 』
素敵な思い出を守ってくれたし、誰よりも親身になってくれた。
『 みんなで泣いたり、笑ったり、励まし合ったり――― 』
リレーの本番で転んでしまった。誰よりも悲しかったけど、でも、みんなで泣いたから、悲しみも分かち合えた。
『 一緒にいれば、どんな困難も乗り越えていける―――そんな力が、湧いてくるんです!!! 』
思い悩んだ時は誰よりも心配してくれた。大変な時は一緒に手伝ってくれた。
だから。
ハッピー「答えを出すのは大変だし、面倒だし、苦しいし――――でも!!」
だから。
ハッピー「辛いかもしれないけど、わたしたちはそうやって、少しずつでも前に進んでいきたい!!」
だから。
ハッピー「不器用かもしれないけど、わたしたちは、みんなと一緒に未来に向かって、歩いて行きたい!!」
だから、キュハッピーは、キラキラ輝く未来の光。
ハッピー「みんなで進む未来は、きっと!!キラキラ輝いているから!!!」
ジョーカー「バカバカしい!解らないなら教えてあげまショウ!」
『アッカ〜〜〜!!!』
ハッピー「――――!!」
一閃。
アカンベェの目から放たれた光線が、ハッピーを岩山へ突き飛ばします。
ジョーカー「いくら叫んでも、あなたのお仲間には届きマセン。」
『アカンベェ!!!』
ハッピー「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああああああああ」
連射される光線。その直撃を全て受け、満身創痍の身体は、ハッピーの言う事を聞かなくなっていました。
ジョーカー「アハハハハハ!!!これが最後デス!!!」
『アッカ〜〜〜〜〜〜〜ン……』
ハッピー「キャンディ……!」
倒れるハッピーの前に立ってその身をアカンベェに向けるキャンディ。既に涙で潤んだ瞳は、キッと覚悟を決めてアカンベェを睨みます。
ハッピー「キャンディ逃げて!」
キャンディ「キャンディもいっしょにたたかうクル。こわいけどそうきめたクル。」
ジョーカー「アハハッハハハハッハハッハ!!!二人まとめて消エナサイ!!!」
『アッカンベェ!!!!!』
ハッピー「キャンディ逃げてーーーーー!!!」
キャンディ「ハッピーーーーー!!!」
アカンベェの口から放たれた特大の光弾。一直線に向かうそれはしかし。
燃え上がる炎の一撃で、相殺された。
サニー「……。」
ハッピー「サニー……」
ジョーカー「何―――!?アカンベェ!!」
『ッカァ〜〜〜〜〜!!!』
再び放たれる光線。破壊を宿したその輝きは、さらなる電撃の輝きで塗りつぶされます。
キャンディ「ピース!!」
『アッカ〜〜〜』
さらに、次弾装填するアカンベェの口に、風のボールの強力シュート。
そして、勢い轟く冷気で弾かれる本体。
キャンディ「マーチ!!ビューティ!!」
ハッピー「みんな……」
ジョーカー「バカな……。全員戻るなんて……」
サニー「あんたの言うとおり、疲れた時は休憩も必要や。でもなぁ……」
ピース「ずっと、そのままじゃ、いつまで経っても前に進めない!」
マーチ「どんなに辛くても、わたしたちは一歩一歩、自分の足で進んでいきたい!」
ビューティ「一人で超える事が難しい困難も、友達と一緒なら、きっと乗り越えていけます!」
ハッピー「頑張ったその先にあるのが、本当の笑顔だと思うから―――」
キャンディ「みんなといっしょにがんばるクル!そしたらぜったい!ハッピーになれるクル!」
「「「「「輝け!!!!!」」」」」
5人は手を合わせ、その想いを一つに。笑顔を、未来を、友達を――――。
「「「「「スマイルプリキュア!!!!!!!!」」」」」
それが更なる力。ロイヤルクロックが今、本当の光を宿します。
ジョーカー「この光!?まさか――――!!」
〜
ポップ「皆の衆!無事でござるか!」
闇をかき消す金色の光、それはバッドエンドに染まった世界そのものを崩し、“なまけ玉”の世界を打ち消すことができました。
ジョーカー「まさか…本当に“なまけ玉”の世界から抜け出すとは…しかし、このまま引き下がるわけにはいきません!」
そう言うとジョーカーは、取り出した黒い絵の具を潰し、アカンベェの黄色っ鼻に塗りつけ、黒っ鼻、ハイパーアカンベェに変貌させます(でも、反動が怖いから合体しない)。
『ハイパ〜〜〜アカンベェ!!!』
「みんな!いくよ!!」
「「「「「ペガサスよ!!私達に力を!!!!!」」」」」
天まで羽ばたく天馬の翼。白きペガサスは純情の印。その輝きを受けて、5人は純白の衣を纏う。
「“プリキュア・プリンセス・フォーム”!!!!!」
「開け!ロイヤルクロック!!」
奏でるリズムと共にキャンディのひと押しで、時計の針がひとつ、進みます。
「届け!!希望の光。」
「はばたけ!!光輝く未来へ!!」
描く星の繋がりは鳳凰の星座に。その聖なる力を宿して。
新たな力、何度でも諦めずに、立ち向かう、不死鳥の燃え上がる力をその翼に。
「“プリキュア・ロイヤル・レインボー・バースト”!!!!!」
『アカンベェ〜〜〜……!?』
「輝け!」
闇色に染まった絵の具は浄化され、アカンベェはフェニックスの息吹を受けて消滅しました。
ジョーカー「黒っ鼻が――――。まさかロイヤルクロックの力まで解放されるとは―――。これは…早くミラクルジュエルを見つけねば……。」
・・・・・・
ポップ「恐らく今の力が、伝説の不死鳥フェニックス。プリキュアとキャンディの心がひとつになって初めて現れる“最強の力”でござる。そして、次にデコルデコールがいっぱいになったその時こそ、ロイヤルクィーン様が復活するのでござる!」
・・・・・・
みゆき「大変な一日だったね……。これから、もっと大変なことがあるかもしれない。でも…みんなと一緒だったら、きっと、前を向いて乗り越えていける……。そんな気がする」
輝く未来はいつでもそこに。
ハッピーエンドになる日まで。
京都太秦映画村で大活劇。侍好きの阪口さんがなんと人間に!?
忍者ナオ、レイカ姫、お付のヤヨイ、スパイダーアカネ、???のミユキ、侍ポップ。
次回、「映画村で時代劇でござる!?の巻!」
弟アオオーニとの、感動の再会……。
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