スマイルプリキュア!第40話「熱血!あかねの宝さがし人生!!」
あかね「日野ちゃんスペシャルアターーーック!!」
のどかな放課後、あかねは授業が終わるといつものようにバレー部で元気よく練習に励んでいました。
あかね「おっしゃ!」
「ナイスあかね!」
あかね「ひひひ〜〜」
「日野、今度の試合も頼むぞ!」
あかね「もちろんです!」
「 ウチの名前は日野あかね。太陽サンサン、元気が取り柄の中学二年生や。 」
みゆき「あかねちゃ〜〜〜ん!」
あかね「ん?」
みゆき「試合応援に行くから頑張ってねー!」
「 同じクラスのみゆき達と伝説の戦士プリキュアをやってんやけど、それはウチらだけの秘密 」
あかね「今日も熱血パワーで絶好調!張り切っていくで!!」
何事にも全力で取り組んできたあかね。そんなあかねでも思い悩む時がきっとくる。それはとてもとても大事な事。
あかね「おっはよー。」
その日あかねはいつもより遅めに家を出た。いつも一緒に学校に行っているみゆきは先に行かせ、一人クラスの扉を開いて教室へ入った。
みゆき「あ、お!あ、あかねちゃんおはよーーーーー!!」
なおの席で集まっていたみゆきは、若干戸惑ったようにあかねに振り返って返事をしました。
あかね「――――なんや?ウチに隠し事?」
みゆき「は!―――ち、違うよあかねちゃんべつに!!」
あかね「ふ〜〜〜ん…………。あ」
ぶんぶんと左手をあかねの前で振ってみゆきは否定するしぐさをしますが、あかねはみゆきの左手に絆創膏があちこち貼ってあるのに気づきます。
あかね「みゆき指――!どないしたんこれ?」
みゆき「え!?」
特に部活をやっているわけでもなく、運動もあまり得意じゃないみゆきが怪我をしているというのは珍しい話です。もっとも人一倍転んでいるので足の傷は絶えないみたいですが。
「「「「え―――――!!」」」」
なぜかみゆきの後ろでやり取りを観ていた3人までギクリと表情を変えます
みゆき「え―――――あ、な、なんでもないよ――――!!」
あかね「はっはーーーん。さては料理か何かで失敗したんやな〜〜〜〜?」
あかねはこの手の隠し事をしている人の良くある話を思い出して、みゆきに意味深な目で言い当てようとします。
みゆき「そ、そうそう!!」
あかね「ほんまおっちょこちょいやなー。気ぃつけや」
みゆき「えへへ〜〜〜。は!ホームルーム始まっちゃうヨ〜〜〜!」
なんとなく安堵した様子のみゆきは、わざとらしく思い出した様子で、自分の席まであかねの背中を押してなおの席を離れました。
みゆき「ほらほら〜〜〜!」
・・・・・・
先生「今年の校内芸術コンクールのテーマは“私の宝物”に決まりました」
その日、HRではこの学校で毎年恒例になっているある行事について先生がテーマを発表しているところでした。
あかね「おー。宝物かー。へへ、なんかオモロそーやな。みゆきは何か宝物あるん?」
あかねは先生の説明もそこそこに、後ろの席のみゆきに振り返って話しかけました。
みゆき「私はね〜〜……」
豊島「オレはやっぱギターだな。」
「「??」」
するとあかねとみゆきの会話を割って、隣の席の豊島が会話に入って来ました
豊島「寝る時以外ずーっと弾いてるぜ」
「僕は天体望遠鏡」
「私は修学旅行で買ったマヨとお揃いのキーホルダーかな!」
「ボクは柔道の黒帯!」
「オレはゲームのセーブデータ!」
なお「それは宝物とは言わないでしょ。」
「え!?そうなの?」
あかね「へー。みんな色々あんねんなー。」
みゆき「あかねちゃんはー?」
あかね「ウチ、そういうん考えた事なかってんねんけど、なんか欲しなってきたわー」
「よっしゃー!ウチも自分の宝もん、探すでー!!ひひひ」
それは見えるようで見えないもの、何が自分にとって一番大事なのか。その答えは自分じゃわからない。熱血パワーで今日も頑張る、だけど時々迷う時もある。今日はそんなあかねの物語。
スマイルプリキュア!第40話「熱血!あかねの宝さがし人生!!」
ウルフルン「ジョーカー!!一体なんのようだ?こんなところに呼び出しやがって!!」
その日、バッドエンド王国でウルフルンは、珍しく姿を見せていたジョーカーに一人呼び出されていました。指定した場所に先にいたジョーカーは背中を向け、その表情を見ることはできません。
ジョーカー「何のよう?あなた自分が今、どういう状況かわかっていないようですねぇ」
いつもより数段声のトーンを落として静かにそう言いながら、ジョーカーはウルフルンの方へ向き直りました。
ウルフルン「う――――――――!」
ジョーカー「あなた方は誰一人プリキュアを倒せない。ピエーロ様がお怒りです!」
仮面で覆っている様はいつも通り。ですが、ジョーカーの瞳を隠したその仮面は、いつもの不気味に笑うような歪んだ曲線で出来た目ではなく、まるで見開いたように丸く、赤く光っていました。
ウルフルン「そ、そっちこそ!一体いつになったらピエーロ様は復活するんだ!?大体ピエーロ様って一体なんなんだ!!」
ジョーカー「―――――ウルフルンさん。あなたまた、“昔に戻りたい”んですか?」
ウルフルン「な――――――!?」
それが二人にとって何を意味するのかはわかりません。ただ、ウルフルンの言葉を途中で遮るには効果的な脅しだったようです。
ジョーカー「選びなさい。あなたでも一人くらいならプリキュアを倒せるでしょう。これが最後のチャンスです!!」
ピンク、オレンジ、黄色、緑、青。五色のカードを手に持ってウルフルンに見せつけるようにジョーカーは言い放ちます。既にその言葉には、いつものようなおちゃらけた雰囲気は微塵もありません。
ウルフルン「――――――――――!」
それ以上ジョーカーに言い返せないのか、5枚のカードの中からウルフルンはかつて1対1で敗けた相手の色、オレンジのカードを取りました。
ウルフルン「アイツには因縁があるからな。」
それだけ言うとウルフルンは手にとったカードを握って折り曲げました。立ちどころに火が点いて一瞬で燃えたカードを背に、ウルフルンはジョーカーの前から姿を消しました。
ジョーカー「検討を祈りますよぉ……。」
見開いたその不気味な瞳は、ウルフルンを通り越えて、何か別のものを見ていました。
・・・・・・
あかね「う〜〜ん、宝もんかー。みんなは宝もんあるん?」
その日の昼休み、5人はいつものように中庭でランチをとっていました。
みゆき「わたしは小さい頃おばあちゃんに貰ったシンデレラの絵本!」
なお「あたしはスパイクシューズ!」
やよい「わたしはタイヨウマンとのツーショット写真!」
れいか「青木家には家宝の掛け軸があります」(一人だけ次元が)
キャンディ「キャンディはロイヤルクロッククル!」
「Let’s go!!YU・BI・WA!!」
キャンディ「キレイクル〜!」
唐突にロイヤルクロックに指話デコルをはめて、自分の腕に指話を通してキャンディが遊んでいました。
あかね「へぇ〜。みんな自分の宝もん持ってんねんな〜。ていうか、宝もんって何なんやろ?」
なお「その人にとって大事なものってことじゃないの?」
いまいち一つの事にずっと熱中する事が少ないあかねは、大事な物を持っているみんなのリアクションを見て考えます。
やよい「自慢のもの!」
れいか「貴重なものでしょうか?」
みゆき「そう言われると確かに悩んじゃうけど、きっとワクワクして、絶対に無くしたくないものじゃないかな!」
あかね「無くしたくないもの??」
みゆき「あかねちゃんなら好きなものがたくさんあるから、きっとすぐ見つかるよ!」
みゆきは自分の宝物の事を考えて、わかりやすいようにあかねに説明します。
あかね「そうか――――!ヒントはウチの好きなもんか!見えてきたでー!」
だいぶ自分の中で何か見えてきたのか、勢いを弁当に移してご飯をガツガツ頬張るあかね。
なお「その意気その意気!」
・・・・・・
そうして放課後。
あかね「 ウチの好きなもんて、やっぱバレーやな!――――ならウチの宝もんってバレーのボールってこと? 」
あかね「――――みゆき?」
ふとしっくり来ない様子であかねはバレーコートから目を離すと、みゆき達4人の姿がコートの隅に見えました。バレー部の一人がボールを持ち上げてやよいに見せています。
あかね「何してんねん……。」
よく見ると、やよいがスケッチブックを広げて、バレーボールをスケッチしているようにも見えます。
みゆき「あ!あかねちゃん、ファイトー!」
あかね「へへ!」
あかねが見ているのに気づいたみゆきは、とっさにあかねに向かってエールを送ります。ビシっとOKのポーズをしてその言葉に返すあかね。
みゆき「あぁ!あかねちゃん危ない!」
あかね「え?―――あいで!?」
あかね「 バレーは好きやけど、ボールが宝もんってなんかちゃうかも…… 」
・・・・・・
夜は自分の家「お好み焼きあかね」で店のお手伝い。食べに来てくれるお客さん相手に、華麗なコテ返しでお好み焼きをひっくり返すあかね。ふわりと一瞬宙に浮いたお好み焼きは綺麗な円を描いて見事に反対になって鉄板の上に着地します。
「あかねちゃんのコテ返しはほんと惚れ惚れするねぇ……。」
あかね「まいど!!」
あかね「 やっぱりウチの好きなもん言うたら、お好み焼きは外せへんなー…… 」
店の中では、一日の疲れを忘れてあちらこちらで笑顔が溢れています。美味しいお好み焼きを焼いて、たくさんの人を笑顔にする。それはあかねにとって一番まっすぐな気持ちでした。
あかね「ならウチの宝もんはこのコテ……?それもなんかちゃうか」
ガラリ。店の扉が開く音が聞こえ、ほぼ条件反射であかねは声をかけます。
あかね「いらっしゃーい!――――お!」
みゆき「やっほー」
あかね「みんな!あがってってー」
正子「あかね、今日はもうええで」
あかね「ええん?」
正子「そういえばあんたに英語の手紙来とったで?」
あかね「手紙――――?」
やよい「英語!!?」
「「「「もしかして!!!」」」」
「「「「ブライアン!!!?」」」」
それはあかねのとても大切な海外の友人、ブライアンからの手紙でした。別れの時、走って空港まで会いに行き、そして別れの涙を拭ってくれたとても大切な人。
あかね「ほんまにー!?」
あかね「あー……、Dear Akane.……Dearってなんや?」
早速貰った手紙を開いて5人で読んでみます。やよいはわくわく、みゆきはドキドキ、あかねも嬉しくてでもどこか緊張しています。
れいか「“親愛なるあかねさんへ”という意味です。」
あかね「うぅ……。なんやちょっと恥ずかしいな……」
やよい「あぁ!!」
「「「「えぇ―!?」」」」
突然、やよいが驚いた様子で手紙のある一文を指さします。
やよい「ここ、こ、ここに“like”って書いてあるよ!!」
みゆき「ライクって好きって意味だよね!?」(ひっくり返った声)
なお「ブライアンてば!!!愛の告白!!!」(そこまで言ってない)
あかね「な……なに言うてんねん……」(でもちょっと期待してた)
と、中学生の中途半端な知識で手紙を誤訳していく4人。盛り上がる4人とは裏腹に、れいかは正しい言葉に翻訳していきます。
れいか「おそらくこの場合の“like”とは“あかねさんの笑顔は太陽のようだ”という意味になるかと」
「「「なぁ〜〜んだ、残念!!」」」
期待外れの答えに、みゆき達はより合わせていた体を投げ出して背中から寝転がりました。
キャンディ「ざんねんクル!」
あかね「太陽みたいな笑顔かーーー。」
なんだかわからないけど、にやにやが止まらないあかね。
やよい「なに笑ってるのあかねちゃん?」
あかね「え、いやぁー別に!」
キャンディ「あかね、うれしいクル?」
あかね「え……」
みゆき「太陽かー……。確かにあかねちゃんが笑ってると、こっちまで元気になるもんねー!」
れいか「太陽という言葉がぴったりですね。」
あかね「なんや、嬉しいけど照れてまうなぁー。」
キャンディ「それじゃあこのてがみが、あかねのたからものクルー?」
肩ごしに手紙を覗いていたキャンディは、身を乗り出してあかねの懐にぽすんと着地しました。
あかね「くぉーらーキャンディ!!何言うてんのや!こちょこちょこちょー!」
あかねはキャンディを捕まえてそのままベッドに飛び込み、キャンディを持ち上げたままくすぐって誤魔化します。
キャンディ「クルクルルルル!!」
あかね「でもウチな、自分の宝もんってなんやろ?って考えてみたけど、まだようわからんねん。」
友達、家族、手紙、部活。そのどれも大事で一番なんてできない。
あかね「大事なもんはよーさんあるけど、宝もんて言われるとなんかピンと来んくて。」
「「「「――――――。」」」」
・・・
あかね「ほんならまた明日な!」
手紙を最後まで読み終えて、あかねは4人を店の前で見送りました。
みゆき「あかねちゃん…………今日ね……。」
あかね「ん?」
みゆき「実は、これを渡そうと思ってきたの。」
みゆきは、鞄から取り出したものをあかねに差し出しました。
あかね「え……これ……。」
それは、手縫いの小さな人形でした。人形といっても、それはあかねのバレーの時の格好を模したもので、バレーボールを太陽のように眩しい笑顔で持っているあかねの姿をしていました。
あかね「みんなが作ってくれたん?」
キャンディ「あかね!あしたのしあいがんばるクル!」
あかね「――――――。あ!もしかしてみゆきの手?」
みゆきはあれ以来、意識してあかねの前で見せないようにしていた左手を見返しました。
みゆき「あ、あぁ―――、これ?わたしお裁縫とか下手だから―――――」
あかね「―――――!!」
「「「「うわ!!!!」」」」
感謝の言葉より先に、あかねは自分のためにわざわざマスコットを用意してくれた4人にぎゅっと抱きついきました。
みゆき「ああああ、あかねちゃん!?」
あかね「めっちゃ嬉しい。」
みゆき「え?」
あかね「めっちゃ嬉しいやん!!もー最高やんー!!めっちゃ幸せやわー!!ほんまにほんまにおおきに!!」
感激した様子であかねは大事そうに人形を抱いて、その場でくるくるっと回ってみんなに向き直りました。
みゆき「よかった!喜んで貰えて。」
あかね「こんなんめっちゃ嬉しいに決まってるやん!」
やよい「みゆきちゃんがね、あかねちゃんの試合に何かお守り作ろうって―――」
あかね「みゆきが?」
みゆき「えへへ。やよいちゃんがデザインしてくれたんだよ」
やよい「あんまり上手くないけど……。」
みゆき「それでれいかちゃんがキレイな生地を選んでくれてね、なおちゃんがお裁縫を教えてくれて、みんなで作ったんだよ!」
キャンディ「キャンディも、いっしょにぬいぬいしたクル!」
あかね「みんな……。」
もう一度、ぎゅっと抱きしめた人形を見つめて、今日一日考えてた想いがそこにあるとあかねは気づきました。
あかね「見つかった……見つかった!この人形、ウチの宝もんにする!」
その言葉を聞いて、4人も嬉しそうに目を輝かせます。
みゆき「明日の試合、頑張ってね!!」
あかね「ひひ。もちろんや!!」
・・・・・・
そして、みんなと明日の試合で会う約束をした後、あかねはベッドに倒れ込んで人形を抱えてそこにある自分の笑顔を見つめます。
あかね「ウチにも宝もんが出来た……。ひひひ。嬉しいな〜、嬉しいな〜。」
またぎゅっと抱きしめて、足をバタバタさせながらベッドの上を転がって、また人形を抱きかかえてじっと見つめます。
あかね「あ、ここ縫い目がバラバラやん。ここ縫ったのみゆきやな。ひひひ、まっすぐなとこはなおかな?れいかかな?」
あかねは自分の人形の縫い目のひとつひとつまでじっくり見つめます。ある部分はバラバラで、ある部分はキレイに縫われていて、誰がどこを縫ったのか想像するだけでワクワクします。
あかね「バレーボールも細かいなー。あ、やよいが今日バレーボールスケッチしとったのはこのためか!ワクワクして、絶対に無くしたくないもん、それだけやない!宝もんがあったら、なんやパワーがみなぎってくるやん!」
あかね「明日の試合、がんばんでー!」
幸せ満点なあかねの部屋のずっと上。満月が映り込む不気味な夜空。
ウルフルン「キュア……サニー……お前の全てをぶち壊してやる!!」
追い詰められた狼が、いつになく邪悪な眼光を、その目に宿していました。
・・・・・・
翌日、校門前。
あかね「 よっしゃ!今日の試合がんばんで 」
あかねは、自分のバレーのバッグに付けた人形を見て、昨日の嬉しかった気持ちを思い返していました。
ウルフルン「ウルッフッフッフッフ」
あかね「――――!?」
ウルフルン「待っていたぜ、キュアサニー!」
あかねが振り返ると、学校の向かいの建物の屋上で、ウルフルンが待ち構えていました。
あかね「あんたは……!何しに来たんや!」
ウルフルン「てめぇと一対一で決着を付けにきたんだよ!」
あかね「なんやて!?」
するとウルフルンは何も言わずに黒い絵の具で本を真っ黒に染め、これから試合をするバレー部のみんなからバッドエナジーを吸い取っていきました。
あかね「みんなが……何すんねん!!」
ウルフルン「てめぇの大切なもんを全部ぶち壊してやる!!覚悟しろ!!」
いつもと様子が違うところを察したあかねは、みゆき達を待つ前に、みんなを守るためにプリキュアに変身します。
『Lady?』
「プリキュア・スマイル・チャージ!!」
『Go!! Go!! Let’s go!! sunny!!』
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!!」
ウルフルン「いくぜキュアサニー!」
「出てよ、ハイパーアカンベェ!!!」
自身も黒っ鼻のダメージを受けながら、ウルフルンはバレーボールをアカンベェに変えて、自身と一体化させました。
サニー「あれ……このアカンベェ……。最初ん時と同じやん、さてはネタ切れやな?」
それはあかねが初めてプリキュアとして戦った時、キュアハッピーが自分を助けるためにピンチになった時、友達を守るためにあかねはキュアサニーとして変身して戦いました。
ウルフルン「ネタ切れじゃねぇ。てめぇの大切にしてるもんで、てめぇをぶっ潰して、二度と笑えねぇようにしてやるぜ!」
サニー「――――!」
ウルフルン「いくぞ!でえええええやああああああ!!!」
『ハイパ〜〜〜〜〜〜アカ〜〜〜ン〜〜〜〜!!!』
サニー「でぇえええええええい!!!」
高く飛び上がってサニーの方へ落ちてくるアカンベェ。サニーもパンチで応戦しますが、落下の速度をプラスしたアカンベェのパンチは、ウルフルン側に分がありました。
ウルフルン「おるあああああああああああああ!!!」
サニー「!?――――――うわあああああああ!!!」
そのまま体制を崩し、地面に尻餅をつくサニー。隙を見せまいとすぐに立ち上がって、もう一度アカンベェに向かいます。
ウルフルン「オレはてめぇが大嫌いなんだよ!!」
サニー「ぐ――――!!」
アカンベェが繰り出す重いパンチの応酬をサニーはなんとかガードして受けます。
ウルフルン「いつもへらへら笑ってムードメーカー気取りやがって!!」
サニー「う―――――!!ぐ―――――!!あ―――――!!」
ウルフルン「何が笑顔だ!てめぇ達のやる事全部ムカつくんだよ!何もかも、ぶっ壊してやるぜえええ!!!」
サニー「うわあああああああああああああああああ!!!」
止まらないパンチの連続攻撃。休むことなく繰り出される重い一撃は、サニーにガードの隙を作らせません。
サニー「なんやねん…………、一体……」
『アカンベェ……』
・・・・・・
キャンディ「バッドエンドくーかんクル!」
あかねの試合を観るために学校に向かっていた4人は、学校の真上でバッドエンド空間が広がっているのに気づきます。
れいあ「体育館の方です!」
なお「まさか、あかね一人で?」
みゆき「みんな急ごう!」
「「「うん!!」」」
・・・・・・
『アカーーーーーーンベェ!!!』
サニー「うわあああああああああ!!!」
ボールになって高速で突っ込んでくるアカンベェの攻撃。サニーはなんとかガードで受けますが、その時、バッグに括りつけていた人形の紐が切れ、アカンベェの手に捕まってしまいます。
ウルフルン「ああん?なんだこれ?」
サニー「ウチの宝もんや!」
ウルフルン「宝もんだぁ?こんなちゃっちぃ人形がか?」
サニー「ちゃっちくない!みんながウチのために作ってくれた、世界でたった一つの人形や!!」
ウルフルン「ほんっとにてめぇらくだらねぇ!」
吐き捨てるようにそう言うと、ウルフルンは、人形を掴んでいるアカンベェの拳に力を入れます。
サニー「返せ!!」
ウルフルン「うるせぇ!!」
必死にその手の人形を取り返そうとするサニーを、ウルフルンはパンチで追い返します。
ウルフルン「言っただろ?てめぇの大事なもんは――――」
サニー「あかん!!」
ウルフルンは、その手をぎゅっと握り締めて人形の形が変わるくらいの強い力をかけます。
ウルフルン「全部ぶっ壊してやるってよ!!!!」
サニー「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
サニー「――――――――!!!」
中に詰めていた綿が弾け、みんなで丁寧に縫った網目はバラバラに解れてしまいました。
ウルフルン「ウルッフッフッフ!こんなチンケなもんが宝物とは、笑っちまうぜ!」
アカンベェの手からもう用済みとばかりに投げ出された人形は、サニーの前で無残に形を変えてぱさり、と地面に落ちました。
サニー「あ……、あ……、―――――。」
みんなが気持ちを込めて作ってくれた宝物。絶対に無くしたくないって思えた宝物。
あまりのショックに拾おうとする手が震え、サニーは目の前が真っ白になってしまいました。
ウルフルン「ウルッフッフッフ、これで……」
追い打ちをかけるように、ウルフルンはアカンベェの足を上げ、サニー目掛けて思いっきり振り落としました。
ウルフルン「終わりだああああああああああああ」
・・・・・・
サニー「―――――――。」
校門前に大きく空いた大穴。その中心で、サニーは綿がはち切れた自分の人形を、ただただ見つめていました。
「 あかねちゃーん、試合応援に行くからがんばってねー! 」
「 わたしお裁縫とか下手だからー 」
「 みゆきちゃんがね、あかねちゃんの試合に何かお守りを作ろうって 」
「 キャンディもいっしょにぬいぬいしたクル! 」
サニー「ウチの宝もんが、壊れてしもた……」
ウルフルン「ッハハハハハハハ!そんなもんが宝もんとは、笑っちまうぜ!プリキュアも一人ずつなら楽勝だ……。次は、キュアハッピーだ」
その時、サニーの中で何かが弾けます。
サニー「 あかん……。 」
心音が頭の中で響き、体中の血が沸騰するような感覚。
サニー「 絶対にあかん……。 」
傷ついた自分の体なんかより、こんな辛い目にみゆき達が会うのかと思うと……。
サニー「 それだけは……絶対に……。 」
燃え上がる炎は自分自身の心に。その想いは、確かにあの時感じた大切な―――――。
サニー「待たんかーーーーい!!」
背を向けて立ち去ろうとするアカンベェを、サニーは必死に立ち上がって呼び止めます。
ウルフルン「あん?」
サニー「―――――――行かせへん」
痛みのせいなのか、人形を壊されたショックのせいかはわからない体の震えを、サニーは無理やり止めます。
ウルフルン「ぐっはっはっはっは!ビビってんじゃねぇか!」
サニー「 震えが止まらん―――。みんながおらんく(居なく)なった時の事を考えたら……。 」
その震えを押し殺して、サニーはアカンベェに向かいます。
ウルフルン「あぁ?!なんだまだやる気か?」
サニー「うおおおおおおおおおおお!!!」
再びパンチの応酬。しかし、今度はサニーも全力の力でパンチをパンチで受け止めます。
ウルフルン「てめぇはもう負けたんだ!おとなしくおネンネしてろ!!」
サニー「いやや!!絶対に行かせへん!!やっとわかったんや!!ウチのほんまもんの宝もんが!!!」
「バレーもお好み焼きもウチが大切なもんは全部みんなと繋がっとった!!みんながおるから、ウチは自分の好きなもんに一生懸命になれたんや!!!!」
ウルフルン「うるせえええええええええ!!!」
サニー「うあ!」
地面に向かっての強烈な一撃。サニーは激突する瞬間手を着いて衝撃を流します。
ウルフルン「一人じゃ何もできねぇ弱虫だろうが、偉そうに語ってんじゃねえよ!!!」
『ハイパーーーーーーー!!!!』
サニー「みんながおったらどんな時でも、百倍も千倍も力が湧いてくるんや!!!それが――――――ウチの一番の―――――」
「たからもんやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
燃え上がる炎は仲間への情熱。想う笑顔は太陽より熱く眩しく。
聖なる力に呼応して、サニーの体から溢れ出る炎は、アカンベェを飲み込んで跳ね返します。
ウルフルン「どぉわああああああああ!!!?」
サニー「絶対に無くしたない!ウチの大切な宝もん!!絶対に壊させへん!!!」
ウルフルン「アアアアアアアアアクソガアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
覚醒したサニーに対していつになく執着するウルフルン。既に野生を解き放って暴走を始めていました。
ウルフルン「オレだって負けるわけにはいかねえんだあああああああああ!!!」
サニー「でやああああああああああああああああ!!!!!!」
ウルフルン「オラオラオラアアアアアアアアアアア!!!!!」
炎を纏ったパンチの猛攻。互の攻撃はしかし、サニーの炎でアカンベェに一瞬の隙を作ります。
サニー「どああああああああ!!!」
ウルフルン「ぐ――――――!?」
「“プリキュア……”」
太陽よりも熱く、熱く、何にも負けないその熱は、友を守るための情熱の証。
「“サニー・ファイヤー――――――――”」
ウルフルン「うるああああああああああああ!!!!」
繰り出された一撃はいつもの炎のアタックとは違い、巨大な炎球からうち放たれた火柱が一直線にアカンベェを押しつぶします。
サニー「ぐ――――――!」
しかし、必殺技を使った反動で動けないサニー。対して黒っ鼻は必殺技では浄化できません。
ウルフルン「まぁだだあああああああああああああああ!!!!」
アカンベェも最後の一撃とばかりに口から極大のレーザーをサニーに放ちます。
ウルフルン「きえろおおおおおおおおおおおお!!!!」
サニー「!?」
サニーに向かって放たれた極大のビームはしかし、シャワー、電撃、暴風、吹雪の4連奏で相殺されました。
ウルフルン「あぁ!?」
ハッピー「サニー、大丈夫?」
サニー「みんな……」
力が抜けてふらついたサニーを支えるハッピー、ピース、マーチ、ビューティ。
ハッピー「わたし達の大切な友達を―――――」
「「「「これ以上、傷つけさせない!!!」」」」
ウルフルン「上等だぁ!てめぇら全員ぶっ壊してやる!!!」
「みんな!いくで!」
「「「「うん!」」」」
「開け!ロイヤルクロック!!」
奏でるリズムと共にキャンディのひと押しで、時計の針がひとつ、進みます。
「みんなの力を一つにするクル!!」
「届け!!希望の光。」
「はばたけ!!光輝く未来へ!!」
描く星の繋がりは鳳凰の星座に。その聖なる力を宿して。
新たな力、何度でも諦めずに、立ち向かう、不死鳥の燃え上がる力をその翼に。
「“プリキュア・ロイヤル・レインボー・バースト”!!!!!」
『アカンベェ〜〜〜……!?』
「輝け!」
『アカ〜〜〜〜〜ンベェ!?』
・・・・・・
ウルフルン「うぅ……敗けた……。オレは一体どうなっちまうんだ……」
・・・・・・・
あかね「みんな、ごめんな。せっかく作ってもらったのに……。」
みゆき「いいよーまた作り直すから」
「「「「うん。」」」」
みゆき「今度はもっと上手く縫えると思うし。」
あかね「ありがとう。でも、このままでええねん。」
「「「「??」」」」
あかね「ウチは、世界にたったひとつの、この人形がええねん。ほんまに大事なもんが何かわかったから――――」
あかね「 無くす前にちゃんと気付けてよかった……。 」
あかね「見つかったんや!ウチの自慢の宝もん!!」
みゆき「え?なになに?」
あかね「それは、ウチだけの秘密や!」
ウチの名前は日野あかね。太陽サンサン、元気が取り柄で、友達が宝もんの中学二年生や!
今日も明日も、熱血パワーで絶好調!張り切って、いくでー!
人の宝物なんて、見えるものだけとは限らない。
熱血少女、日野あかねの宝物は、人には見えないとっても大切な宝物でした。
やよいが考えたスーパーヒロイン。
そして、ヒーローに憧れたきっかけ。
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