【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

スマイルプリキュア!第31話「ロイヤルクロックとキャンディの秘密!!」









 バッドエンド。



 それは絶望。



 物語が最悪の形で集結する世界。



 人魚姫は泡となって消えてしまった。マッチ売りの少女は雪の中で一人ぼっち。幸福な王子は町の人に見捨てられてしまった。鶴はその姿を見られ飛び去ってしまった。浦島太郎は玉手箱で老爺になってしまった。


 必ずしも誰もが幸せに暮らせるくらい、世の中は平等じゃない。時代は変わっても、人々は公平な世界では暮らせない。


 終わりはいつか。



 エンドが来たとき、人は笑っていられるか。それとも……。




「キャンディ……。キャンディ……。」


 そこは楽園でした。誰もが笑顔で暮らしていました。何一つ不自由することなく、何一つ悩み事なんてない世界。それはまさしく楽園でした。



キャンディ「ほっていてクル。キャンディは…ここにいたいクル…。」


「キャンディ!」


 甘い花の匂いが香る草原の感触を感じながら、眠っていたキャンディは目を開けて、目の前の光景に愕然とします。





「クル…・・・。クルーーーーー!!!!!!!」



 世界は、いづれ、しゅうえんを、むかえる。







・・・・・・




話は少し前に遡る。














れいか「デコルが16個集まって…」

キャンディ「クル?」

なお「ついにメルヘンランドの女王、ロイヤルクィーン様が…」

キャンディ「クル?」

あかね「復活するって思ってたんやけど…」

キャンディ「クル?」

やよい「現れたのは…」

キャンディ「?」

みゆき「?」


 奇跡の力が籠ったキュアデコル。それはロイヤルクィーンがピエーロを封印するために用いた魔法のアイテム。封印と共にバッドエンド王国に渡ったデコルは、ロイヤルクィーン復活の鍵となる。バッドエンド王国からみんなを守り、デコルを集める。デコルデコールに全てのデコルが集まれば、女王ロイヤルクィーンが復活する、キャンディの話ではそういう事になっていたハズ。

 16個目のデコルを集め、デコルデコールに空いたスペースはありません。ロイヤルクィーン復活かと思われたその時。光の中からみゆき達の前に現れたのは、スマイルパクトより二回りくらい大きい鏡のついたアイテムでした。



・・・・・・



ジョーカー「ついに現れてしまいましたか…。でも完全なる復活は阻止してみせますよ…。フフフフフフ。」





 集めたデコルの代わりに出てきたのは、なんだか不思議なアイテム。全てを裏から操るジョーカーも動き出して、みゆき達に襲いかかる!?



第31話「ロイヤルクロックとキャンディの秘密!!」



みゆき「キャンディ、これ何なの?」

キャンディ「すごいアイテムクル!」

れいか「どうやって使うんですか?」

キャンディ「きっとすごいアイテムクル!」

やよい「何ができるの?」

キャンディ「――――とにかくすごいアイテムクル!」

あかね「あー…。ほんまはなんも知らんのとちゃうん?」

キャンディ「ギクッ!そ、そんなことないクル!!」


 相変わらず事情が飲み込めていないキャンディ。キャンディがわからないのでは、当然みゆき達もこれがなんだかわかりません。


キャンディ「キャンディは!!キャンディは!!―――――おなかすいたクル。」


 ぐーっとお腹を鳴らすキャンディ。すると、みゆきは思いついたように、クッキーを一枚出しました。


みゆき「そうだ!……じゃーん!」

キャンディ「クッキークル!!みゆき、はんぶんこするクル!」

みゆき「うん。半分こして一緒に食べたらもっと美味しいよね。でも、それじゃあキャンディと私しか食べられなくなっちゃうでしょ?だから、みんなで分けるの」

あかね「そういえば〜。ウチらも腹ペコや〜。」


 食材量産装置であるイチゴデコルとかバナナデコルとかは ど う し た。


みゆき「ねっ。」


 そう言ってみゆきはクッキーを5等分に割っていきます。最初に縦半分に折ったのに、どうやって5等分になったのかは謎。5等分って縦に(真っ二つに)割ったらできませんよね。


キャンディ「ちいさい…クル…。」


 一枚のクッキーを5等分にしたものですから、ひとカケラずつになったクッキーも1/5です。





みゆき「みんなで食べれば、きっと美味しいよ」


「「「「「いただきま〜〜〜す!!」」」」」


 みんなで一枚のクッキーをぱくり。大きさこそは小さいですが、どんなに大きくても、どんなに小さくても、感じる味は同じ美味しいクッキーの味です。


キャンディ「あ!みゆきのいったとおりクル!みんなでたべたほーがおいしいクル!」

やよい「ほんとう、美味しい」

れいか「みんなで喜びを分かち合っているからですね。」

みゆき「一人より、みんなでハッピーって感じる方が、ウルトラハッピーって感じだもんね!」

キャンディ「クールー!」




 お腹に入った量はほんのちょっとですが、みんなで食べればハッピーな味で、一人で食べれるよりも美味しく感じますよね。


 そんなほのぼのとした空気が流れる一方、窓の外から鳥の羽ばたくバサバサという音が。


みゆき「ぶべ!!!」



 みゆきが音のする方を見ていると、それは鳥ではなく、もう見慣れた大きな絵本でした。こちらに向かって一直線。相変わらずブレーキがないのか、一切減速せずに本は窓を抜けてみゆきの顔面に激突。これもお馴染みとなった光景で、みゆきは後ろに倒れてしまいます。




ポップ「皆の衆!」

「「「「ポップ(さん)!!」」」」


 絵本の中から飛び出してきたポップ。キャンディの兄で、メルヘンランドの事情に詳しいしっかり者です。


ポップ「そのアイテムが何か、解ったでござる!!」


 さすがデータベース。


キャンディ「おにいいいいちゃああああん!!!」


 思わぬ兄の登場に飛びつくキャンディ。それを受け止めきれずに、軽く吹き飛ぶポップ。


 アイテムの正体。そして、新たな危機―――――。




・・・・バッドエンド王国・・・・





ウルフルン「おいジョーカー、なんだそりゃ?」

ジョーカー「プレゼントですよお」


 ころころと左手の中で拳大の大きさの球体を転がすジョーカー。ウルフルン、アカオーニ、マジョリーナジョーカーに呼ばれて集まりました。



アカオーニ「プレゼント!?」

ジョーカー「いつもの赤っ鼻を、闇の黒い絵の具で塗りつぶしたものです。これを超えるものは存在しません。」

ウルフルン「ほほお…?」

ジョーカー「この黒っ鼻を使えば、あの扱い辛いスーパーアカンベェを超える、“ハイパーアカンベェ”を生み出すことができて、しかも完全に思いのまま操る事ができるんです。」

アカオーニ「え!!」


ジョーカー「さらに、これにはプリキュアレインボーバーストも効きません。これさえあれば、今までよりは少しは“マシ”に戦えるでしょう?」

アカオーニ「今までだって上手に戦ってきたオニ!!」

ジョーカー「本当にぃ…そうですかぁ?」


 ガシっと握った黒っ鼻を握りつぶすように力を込めるジョーカー。口調はいつもと同じでやんわりですが、言葉の節々には憤りの感情が垣間見えます。


ジョーカー「ピエーロ様はお怒りです。プリキュアに勝てない幹部など必要ない。とね」


「「「必要ない!!?」」」


ウルフルン「どういうことだ?」

ジョーカー「さぁ……。消しちゃうんじゃないですかー。こんなふうに、ピエーロ様がね」






 パチン、と青、赤、緑のカードを目の前で燃やすジョーカー。




「「「な―――――。」」」


ジョーカー「ウルフルンさん。次こそはー、プリキュアを倒してくれますよねぇ?」

ウルフルン「あ、あぁ!!任せとけ!!」


 ジョーカーの気迫に圧倒されながらも、投げ出された黒っ鼻を掴んでその場を後にするウルフルン。その背中をかつてないほど冷たい視線で、ジョーカーは見つめていました。


・・・・・・




ポップ「わかったでござる!これは伝説のロイヤルクロックでござる!!」


「「「「「はは〜〜〜〜……」」」」」


 なぜか土下座して頭を伏せる5人。ポップの言い方が言い方だけに変に反応してしまいます。


あかね「って―――なんでやねん!」


ポップ「拙者が調べ物をしていて判明したのでござる。このロイヤルクロックは、必ずやプリキュアに更なるパワーを与えてくれるハズでござる。」

やよい「うわーすごい!ポップ、頼りになるね!」

みゆき「んー、でも時計にしてはこれ、針も何もないよ?」

キャンディ「どうやったら動くクル?」

ポップ「拙者に任せるでござる!!」


 そう言ってポップは、ロイヤルクロックに向かって一歩踏み出しました。


ポップ「もしもーし、誰かいませんかー!朝でござる!起きるでござる!」


 ぽんぽんと時計を叩いてアクションを誘うポップ。若干呆れるみゆき達ですが、ポップの動きに反応したのかしてないのか、時計が虹色の光を灯し始めました。


みゆき「え――――。」


 鏡のようにはめ込まれた部分の光は、徐々に人の形になり、やがてそれはメルヘンランドの城で見た、巨大な彫刻のような女王様の姿になりました。


「「「「「ロイヤルクィーン様…」」」」」




ロイヤルクィーン『あの後、皆さんがデコルを集めてくれたおかげで、こうしてお話ができるようになりました。でも、ロイヤルクロックの本当の力を弾きだすためには、キャンディとプリキュアの更なる力が必要です。』


みゆき「私たちと…キャンディの……」

「「「「「チカラ……?」」」」」

『はい。』









・・・・・・


ウルフルン「ジョーカーの野郎、ピエーロ様を盾に調子に乗りやがって…」


 一方、七色ヶ丘町の市民公園ではウルフルンが早くも、そこで遊ぶみんなを狙っていました。


ウルフルン「ようはプリキュアを倒しゃあいいんだろ!!」


「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれぇ!白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!!」



 バッドエンド。



 それは絶望。



 物語が最悪の形で集結する世界。



 日々の終わりは、暗い夜の訪れで始まる。


 それが永遠に続けば、日々は暮れず、人々はまた始める事ができなくなる。


 明けない夜明け。それが彼のバッドエンド。



「人間共の発したバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくのだ!!」


 復活のカウントは6。その波動を感じたのは、みゆきの部屋でロイヤルクロックと繋がっているロイヤルクィーン。


『――――!』


ポップ「バッドエンド空間でござる!」

みゆき「みんな!いくよ!」


「「「「うん」」」」


ロイヤルクィーン『お願いします。』


 そう言うとロイヤルクィーンは、ロイヤルクロックの文字盤から姿を消し、ロイヤルクロックは翼を器用に使って飛び立ちました。キャンディはその上に捕まって、バッドエンド空間の中心部に向かいます。




・・・


ウルフルン「ウルッフッフッフッフ」


みゆき「待ちなさーーい!!」



ウルフルン「現れたなプリキュア


 そう言いながら、ウルフルンは早速ジョーカーから受け取った黒っ鼻を取り出してみせます。


みゆき「あれは――――」

ウルフルン「デカっ鼻を超える黒っ鼻よ!スーパーアカンベェを超える力、見せてやるぜえ!!」





「いでよ、ハイパーアカンベェ!!!」




 近くの建設現場にあったパワーショベルに黒っ鼻をかざすウルフルン。物陰か
らはこっそりとジョーカーの姿が……。







ウルフルン『ぐあ――――!なんだ―――!?』



 ハイパーアカンベェの口から体内に入ったウルフルン。パワーアップの際にウルフルンと同化し、その力を120%引き出してハイパーアカンベェに変化するみたいです。


 お馴染みのピエロの顔を象ったアカンベェは、ウルフルンの耳と尻尾が生えています。カワユス。




『ハイパ〜〜〜〜〜〜アカンベェ!!!!』





みゆき「アカンベェが、合体した!?」


キャンディ「みんな、変身クル!」


「「「「「うん!」」」」」



「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」

「Go!!Go!!Let’s go!!」







「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」



「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」



「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」



「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」



「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」





「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」





『いくぜえ!!ウルッフアア!!!』
『ハ〜〜〜〜イパ〜〜〜〜〜!!!』


 高く飛び上がるハイパーアカンベェ。重機とは思えぬ俊敏性です。


『オラアアアア!!!』
『アカンベェェ!!!』



 繰り出すパンチやショベルの動きは、内側でウルフルンが動いているモーションと同化しているようで、ウルフルンの思うがままにハイパーアカンベェは、そのパワーでプリキュアを圧倒していきます。


「「「きゃあああああああああああああ!!!」」」


『すんげえぜ!』
『ハイパアー!』


 圧倒的な力。それも、今までのアカンベェと攻撃パターンが違って、その動きはウルフルンから来るもの。今までのようにはいきません。



キャンディ「みんな!おにいちゃん、ロイヤルクロックのチカラをつかえないクル!!?」

ポップ「まだ無理でござる。そのためには、キャンディとプリキュアの更なる力が必要と、女王様が言っていたでござろう…。」


ジョーカー「イイコト聞いちゃった☆」

ポップ「!?」

キャンディ「クルーーーー!!!」




 いきなり虚をついてジョーカー登場。キャンディがロイヤルクロックを使う鍵だと確信し、黒い球の中にキャンディを閉じ込めてしまします。


ジョーカー「やりました。これにて、ワタシたちの勝利が確定致しました。ブラボーワタシ、お疲れミナサーン!」




『テメェ!何余計なコトしてやがんだ!!』


ジョーカー「チョット手を貸してあげただけですよお。プリキュアの力をこれ以上強くさせないために、この“なまけ玉”の中にあの妖精ちゃんを閉じ込めちゃいましたー!」


 ジョーカーがその手に持つ黒く光る球の中で、すやすやと眠るキャンディの姿が映ります。


ハッピー「キャンディを返して!!」


ジョーカー「そうはいきません。この妖精ちゃんがロイヤルクロックを復活させる鍵のひとつだと解りましたからねぇ…。ウルフルンさん、後はお任せしますよー。レッツ、エンジョイ☆」




『へ。なんだか知らねぇが、プリキュアがこのオレの手で倒してやるぜ!!』





ハッピー「みんな!いくよ!」

「「「「うん!」」」」


 今はキャンディを救出する方が先決。まずは、いつものようにアカンベェをレインボーバーストで浄化する!



・・・・・・







・・・・・・









・・・・・・・








 そこは楽園でした。



キャンディ「ここはどこクル?」


 森の中でブランコや滑り台、お花をつんだりしてあそんでいるキャンディと似た妖精がそこにはいました。





「キャンディー」

「キャンディーもあそぶまる」

「とってもすてきで」

「ずーっとここにいたくなるまる」



キャンディ「クルー。」






・・・・・・




『いやっはーーー!!!!』


ハッピー「みんな、大丈夫!」

サニー「こんなもんで負けてられへん」

マーチ「キャンディを助けなきゃ―――」

ジョーカー「助ける?おかしなコトを言いますネェ。あの妖精はアナタがたのコトなんか全部忘れて、楽しいユメを満喫しているんですよお?」


ハッピー「え…どういうこと!!?」


ジョーカー「この“なたけ玉”の中は、我々の理想とするバッドエンドそのもの。苦しいコトは全て忘れて何も考えず、ずーっと食べて遊んでいられます。」



 いつまでも夜は来ないから帰らなくていい。友達とずーっと遊んでいられる。


 好きな時に好きなものを好きなだけ食べられる。お菓子だって一日中食べ放題。


 おそらくネットだって繋がってる。カラムーチョもたくさんある。DTも回し放題。





ジョーカー「そんな夢の世界から、戻って来たがるおバカさんが、いるハズ無いじゃないですか?フッハハハハハハハ!」


ハッピー「キャンディは必ず帰ってくる!!」

ジョーカー「ハ?」

ハッピー「誰だって楽な方が良い。難しいことは考えたくはないし、逃げたくなる。でも、本当に楽しく笑うためには、踏ん張って頑張らなきゃいけない時だってあるの!!」

ジョーカー「へ?」

サニー「せやな。いっつもオモロイことばっかな訳ないもん」

ピース「どんな時でも逃げちゃダメだと思う」

マーチ「うん。どれほど大変でも、自分の足で前に進んでいく。」

ビューティ「そうしないと、本当の笑顔にはなれない。」

ハッピー「うん。どんな時も全力でやるから、ここから楽しいって思える。キャンディもきっとそう。だから――――、キャンディはそんな世界には負けない!!」


ポップ「皆の衆……聞こえたでござるか!!キャンディ!!起きるでござる!!」


「「「「「キャンディ!!!!!」」」」」



 離れていても心は繋がっている。“なまけ球”で眠るキャンディに向かってみんなで呼びかけます。



・・・・



キャンディ「クル?」


「どうしたぷる」


キャンディ「いま、だれかのこえがきこえたクル」


「そんなのきのせいぷる」

「ここでずっとあそぶりる」

「そのほうがずっとたのしいまる」

「つぎはむこうであそぶぷる」


キャンディ「まってクルーー!!」





・・・・



ジョーカー「さぁ、ウルフルンさん。プリキュアにトドメを」


『言われなくても、やってやるぜええええええ!!!!』
『ハ〜〜〜イパ〜〜〜!!!』



ハッピー「みんな、行くよ!!」



「「「「「ペガサスよ!!私達に力を!!!!!」」」」」



「“プリキュア・プリンセス・フォーム”!!!!!」




「届け!!希望の光。」


「はばたけ!!未来へ!!」



「“プリキュア・レインボー・バースト”!!!!!」




 聖なる光。現時点の最強を誇る必殺技。ですが――――。



『黒っ鼻には、効かねえんだよ!!』



「きゃああああああああああああああ!!!」


 極大に輝く虹色の光は、黒いたった一色の光に簡単に弾かれ、その衝撃で5人のプリンセスフォームも解けてしまいます。







ハッピー「キャンディ……。」







・・・・・・



キャンディ「たくさんあそんだからまたおなかがすいたクル……このにおいは……」


 お腹を鳴らせたキャンディは、甘い匂いに気づいて森の奥へ。するとそこには、ヘンゼルとグレーテルで出てきたお菓子の家がありました。


キャンディ「おかしのおうちクル!!」


「いろんなくだものもあるぷる」

「こっちにはおかしがなってるりる」

「このかわはじゅーすまる」


キャンディ「おいしそうクル!みんなでわけっこするクル!」


「なんでぷる?」


キャンディ「クル?」


「たくさんあるからわけなくていいりる」

「それはきゃんでぃひとりでたべればいいまる」


キャンディ「キャンディひとりで――――!」


 改めて目の前のお菓子を家を見て、飛びつくキャンディ。どこもかしこも甘くてとってもおいしい家です。ですが、屋根のほうにあったクッキーを食べて、何かを思い出したキャンディ。



キャンディ「そうクル…。ひとりでハッピーになるより、みんなでハッピーになったほうが…」


『ウルトラハッピーになれるもんね。』


「どうしたぷる?」


キャンディ「みゆき、あかね、やよい、なお、れいか…。キャンディには、たいせつなともだちがいるクル!キャンディは――――みんなのところへかえるクル!」


「ここにいるほうがたのしいまる」

「いやなことやつらいことはわすれてあそんでいていいりる」

「ここにいたほうがしあわせぷる」



「「「きゃんでぃ」」」



キャンディ「いやなコトもつらいコトもあるかもしれないクル、でもキャンディは――――キャンディは――――!!!」



「みゆきたちといっしょがいいクルーーーーー!!!!」






ジョーカー「何!?バカな!!?」


 叫ぶキャンディの声は“なまけ球”にヒビを入れ、世界にヒビを入れました。砕けた球の中から溢れた煙に包まれて、キャンディは無事にハッピー達の元へ戻ってきました。


キャンディ「クル?」


ジョーカー「あの世界から自力で出てくるとは―――。でももう手遅れです。明るい未来は真っ黒に塗り潰されましたよお??」


 ジョーカーとは反対の方へ、振り抜くキャンディ。そこには――――。










キャンディ「みんな!!」


 ボロボロになったハッピー達が地面に倒れ込んでいました。



ハッピー「おかえり。キャンディ…。良かった……。」




 そっと手を差し伸べるハッピー。優しく触れたその手は弱々しく、キャンディの頭にそっと手を乗せ撫でた後、ぱさっと地面に落ちて動かなくなってしまいました。


キャンディ「――――――」


 絶望。大切な物を失う絶望。大切な人を失う絶望。大事な事を捨てる絶望。全てを諦める絶望。全部を忘れてしまう絶望。目の前が誰かが涙する絶望。自分は何もできない絶望。恐怖で戦えない絶望。希望を閉ざされた間際の絶望。
未来を失う絶望。太陽の光も届かない絶望。平和の世界なんて無い事に気づく絶望。勇気も薄れる絶望。心も汚れる絶望。絶望。絶望ぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼう
ぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼう
ぜつぼうぜつぼうぜつぼう
ぜつぼうぜつぼうぜつぼうぜつぼう    ぜつぼう  ぜつぼう
ぜつぼう ぜつぼう





キャンディ「みゆき…れいか…やよい……あかね…なお……。おにいちゃん………。」


 涙が後から後から零れる。止める事のできない涙が。


ジョーカー「泣いてももう手遅れですよお?ンフフ。」


キャンディ「みんなを――――――――みんなを――――――――。」


 風が吹きすさぶ。空気に熱が込もる。光が溢れ、冷気は上り、そして――――。


ジョーカー「な―――!?」


キャンディ「みんなをくるしめちゃダメクル!キャンディはみんながだいすきクル!みんなを、みんなとずっといっしょにいたいクル!!みんなをいじめちゃ―――――だめクルううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!」





ジョーカー「―――!!」

『なんだ!!?』



 キャンディの言葉を促すかのように、その背後で燃え上がる炎。一見してそれは鳥の姿に代わり、その温かさで倒れた5人を照らします。


ハッピー「キャン……ディ……」

ポップ「この力…ロイヤルクィーン様が仰っていたのは……もしや……」


 炎の中から現れた翼を象ったデコル。それは誰が操るでもなく、ロイヤルクロックにはめ込まれ、そして、ロイヤルクロックは本来の力を解放します。


ジョーカー「あう―――!!」


『ちょこざいなああ!!』
『ハイパ〜〜〜〜!!!』


 好きにはさせないと向かってくるウルフルンですが、ロイヤルクロックが溢れ出した光に照らされて、ハイパーアカンベェの鼻の絵の具が剥がされてしまいます。





『赤っ鼻に戻っちまいやがった!?』


ハッピー「キャンディの想い、受け取ったよ。」


 立ち上がるハッピー。渾身の力を込めて、アカンベェに向かいます。



「気合いだ、気合だ!気合いだ!!!気合いだ!!!きあいだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」



「“プリキュア・ハッピー・シャワー”!!!!」







 煌めく光は幸せの心。アカンベェとなった今では、浄化の光に包まれて、その赤っ鼻からデコルが一つ、飛び出しました。




ウルフルン「は――――。は――――。なんだこれぇ……黒っ鼻のせいか……体が――――」


 疲労困憊で出てきたウルフルン。すぐさま姿を消しました。







・・・・・



『キャンディ。キャンディ』


キャンディ「――――クル?」


『良く頑張りましたねぇ』




キャンディ「ロイヤルクィーンさま……」


『決して諦めない強い気持ち、笑顔、友達を大切にする優しさ、これからもその想いを大切に育ててください。』













みゆき「キャンディ!キャンディ!」


 呼びかけるみゆきの声で、今まで何が起こったのかを実感するキャンディ。



やよい「ありがとう。キャンディ。」

あかね「ほんま無事で良かった…」


キャンディ「キャンディもプリキュアといっしょクル!プリキュアのなかまクル!だから、もっとみんなといっしょにがんばるクル!」


 みゆきに抱きかかえられ、その懐でそう言うキャンディは、いつもの元気なみんなのキャンディでした。


みゆき「キャンディ――――!」


ポップ「キャンディ、やはりそなたはメルヘンランドの……」


ジョーカー「めでたし、めでたし。ですか?」



「!?」



ジョーカー「そうは、いきませんよ?」


 聞きなれた不気味な声。それは、バッドエンド空間が消えても一人残っていたジョーカーの声でした。


「「「「ジョーカー!!」」」」


あかね「まだおったんか!」


ジョーカー「あなた達もご自分の身で味わってみなさ〜い。バッドエンドの素晴らしさをね!」


 そう言って投げ出された“なまけ玉”。


あかね「な――――――!!」

やよい「きゃ―――」

なお「あ―――」

れいか「――――!!」


変身を解いてしまったみゆき達には、避ける力も無く、みゆきとキャンディ、ポップを残して、あかね、やよい、なお、れいかの4人は“なまけ球”に因われてしまいました。



みゆき「あ――――!!!」



ジョーカー「ンフッフッフッフッフ!」




 みゆきにまるで見せつけるように“なまけ球”をかざすジョーカー。




みゆき「みんなああああああああああああああああああああああ!!」








 大切な友達を助けたい。大切な友達とまた、一緒に。



 でも、



 あれ。





 友達って……誰だっけ




 なんだか。もう







 どうでもいいかも。










次回、「心を一つに!プリキュアの新たなる力!!」







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スマイルプリキュア! カレンダー2013年 CL-005

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