スマイルプリキュア!第29話「プリキュアがゲームニスイコマレ〜ル!?」
蝉の声が少しずつ遠ざかり、夜には秋の虫が囁き出す残暑。
少しだけ過ごしやすくなった公園に集まった5人。
みゆき「今日もお天気おでかけ日和〜☆」
キャンディ「くるくるー!」
佐々木先生「あら?みんなでどこへおでかけ?」
そこへ、通りかかったのはみゆきのクラスの担任の佐々木先生。
みゆき「先生!」
「「「「「こんにちは〜!」」」」」
みゆき「これから遊園地に行くんです」
先生「まぁ!安心したわ。始業式の前日に遊びに行けるということは、夏休みの宿題も済んだっていうことよね?もし、忘れてきたら補習授業しようかと思ってたんだけど、取り越し苦労だったわ。じゃ、始業式でね」
れいか「はい。さようなら。」
ぺこり。と頭を下げたれいか。はて、他の4人は先生の話を聞くなりガッコーアカンベェのように動かなくなってしまいました。
れいか「あら?」
ふと、蝉の声とは別にカタカタと音がします。れいかが気づいたのは、4人の足が震えていることでした。
れいか「みなさん、なぜ震えているのですか?」
みゆき「…………まだなの。」
れいか「え――?」
やよい「…………終わってないの。」
なお「夏休みの宿題…………。」
あかね「終わってへんねん…………。」
れいか「―――まぁ。」
なお「すっかり忘れてたけど―――」
あかね「―――夏休み、今日で終わりや―――」
みゆき「―――そんな!何かの間違いでしょ!――――」
やよい「――――突然過ぎるよぉ!」
突然の衝撃の事実にれいかを除いて一同困惑。あんなにエンドレスでエイトだった夏休みがこんなに簡単に終わってしまうなんて。
なお「仕方ない。」
あかね「帰って宿題やろ…」
みゆき「がーん……。」
キャンディ「なにかおちてるクル!」
なんか既にバッドエナジーでも出そうなくらい肩を落としている4人の後ろで、キャンディが四角い小さな箱を見つけます。
六面にはそれぞれ●が1個2個3個…と6個まで書かれています。
みゆき「サイコロだね」
キャンディ「そりなにクル?」
みゆき「転がして遊ぶんだよ」
と、キャンディの前でコロリとサイコロを振るみゆき。
六面サイコロは地面に落ちて角で跳ね返り、そのままコロコロと転がり、「●」の目を上にして止まりました。
みゆき「へ――――?」
キャンディ「くる?」
すると途端にサイコロの目がピカーっと光りだし、みゆき達を光の中へ巻き込んだと思ったら、次の瞬間には回りの景色は一変していました。
みゆき「ん――――?」
回りには一面のひまわり畑。自分の背より高く伸びた茎が自分の顔より大きな花を咲かせています。なんというサンシャイン。
空には大きな入道雲。そして、その下そびえていたのは……。
みゆき「ここは一体……。」
小山が重なるように積み上がった丘には、巨大な観覧車と不思議な建物がちらほら。5人が迷い込んだのは、不思議な不思議な……。
今日はゲームで対決。バッドエンド王国の新たなる罠。宿題の締切を目前にしたプリキュア達は、果たしてゲームの誘惑を断ち切って宿題を終わらせる事ができるのか!?
波乱の8月31日、午前10時。ついに最後の(宿題との)幕が上がった。
スマイルプリキュア!第29話「プリキュアがゲームにスコイコマレ〜ル!?」
やよい「ここどこ?」
みゆき「公園にいたハズなのに……?」
知らない遊園地に迷い込んでしまったみゆき達。しかし、遊園地だというのに人は一人もいません。と思っているとひまわり畑の向こう側から声が。
「ない!ない!ないだわさ!」
みゆき「―――!」
ウルフルン「サイコロなんかどーでもいいだろ。」
アカオーニ「そうオニ!」
マジョリーナ「アレがないと困るんだわさ!」
みゆき達に気づかずに目の前を歩くバッドエンド王国一行。なにやら下を見回してサイコロを探している様子。
みゆき「やっぱり―――」
みゆきは自分の手に握られているサイコロに目をやりました。
あかね「そんなことやろーと思ったわ。」
あかねの呆れた声も聞こえていないのか、みゆきは三幹部に呼びかけます。
みゆき「あのー!」
アカオーニ「ぶえあ!?なんでプリキュアがいるオニ!?」
マジョリーナ「んん!?」
ギロリとマジョリーナの鋭い眼差しがみゆきの手にあるサイコロに止まります。
マジョリーナ「プリキュアが拾ってくれたとは、手間が省けただわさ」
「「「「「え―――?」」」」」
マジョリーナ「そのサイコロはあたしが発明した“ゲームニスコイマレ〜ル”だわさ!サイコロを転がすとこのゲーム遊園地に吸い込まれ、ゲームをしなきゃいけなくなるだわさ!」
やよい「え?ゲームすればいいの?」
みゆき「楽しそう!!」
なお「ちょっと!!?」
あかね「宿題やらなあかんやろ!!」
みゆき&やよい「「はっ!!」」
れいか「元の世界へ返してください!」
マジョリーナ「変身して18時30分までにクリアしなければ帰ることはできないだわさ!」
ウルフルン「さぁ!どうする!?」
18時30分。ザ・門限ですね。
れいか「仕方ありません」
なお「やろう!みんな!」
「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」
「Go!!Go!!Let’s go!!」
「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」
「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」
「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」
「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」
「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」
「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」
マジョリーナ「ヒーッヒッヒ!!健闘を祈るだわさ!!」
サニー「どんな罠があるかわからへん。」
ハッピー「気を引き締めていこう」
「「「「うん」」」」
マジョリーナ「第一ステージ!!」
『アカ〜〜〜ンベェ!!』
マジョリーナ「各アトラクション毎に1対1で勝負するだわさ!」
最初に入った場所には、ピコピコハンマーを持ったマジョリーナが待ち構えていました。ステージの上には穴が空いていて、そこからモグラアカンベェが出たり潜ったりしています。
マジョリーナ「さぁ!あたしの相手は誰だわさ?」
マーチ「いや…そんなことより……」
サニー&マーチ「「モグラ叩き??」」
ピース「戦うんじゃないの?」
ハッピー「はいはい!!わたしやる!!モグラ叩き得意―――!!」
唖然とする4人を無視して、ハッピーが立候補。宿題のことはもうどこかへいってしまった様子です。
マジョリーナ「へっへ、キュアハッピーかい。1分間で多く叩いた方が勝ちだわさ!」
ハッピー「オッケー!」
キャンディ「ハッピーをおーえんするクル!」
「Let’s Go!!H・I・Y・O・K・O!!」
使い道怪しいヒヨコデコルをここぞとばかりに使うキャンディ。自分は学ランに着替えてヒヨコと一緒に三三七拍子で応援です。ていうか、キャンディって女の子だから学ランは違うでしょ。
キャンディ「フレーフレーハッピー!クル!」
マジョリーナ「よ〜〜い………」
『アッカーーーンベェ
!』
二人のステージの真ん中にいる審判アカンベェが自分の鐘になった頭を叩いてゲームスタートです。
マジョリーナ「ほい!ほい!ほい!」
見かけによらずにリズム良くモグラを叩くマジョリーナ。それに負けじとハッピーもハンマーを振りかざします。
ハッピー「そおれえ!!」
『アカンベェ!!』
ハッピー「えぇ!?」
しかし、みゆきの狙ったモグラアカンベェはなんとみゆきのハンマーをガード。他のアカンベェもみゆきのハンマーを避けてしまい、得点になりません。
ハッピー「な、なにこれ!?」
『アッカーーーンベェ!!』
ハッピー「えぇ!?きゃーーー!!」
今度はモグラアカンベェのハンマーで逆に叩かれるハッピー。
ピース「ハッピー!!」
マーチ「反撃された?!」
サニー「こんなんありえへん!!」
マジョリーナ「でへへ!!らっくしょうだわっさ!!」
ハッピー「ああぁ!全然出てこなくなっちゃったー!」
今度は穴から顔を出さなくなったモグラアカンベェ。これではゲームになりません。気づけばマジョリーナは30点以上。対してハッピーはまだ0点です。
ハッピー「ねぇ!出てきてよー!」
『アッカンベェ〜〜〜……。』
ハッピーが穴から覗き込んでもモグラアカンベェは横になったまま一向に出てくる気配はありません。そうこうしている内に時間も残り少なくなってきました。
ピース「このままじゃ負けちゃう――――!」
ハッピー「もう!!こうなったら!!」
フラストレーションが溜まる一方。こんな時は気合いの方も良く溜まります。
「“プリキュア・ハッピー・シャワー”!!!」
穴目掛けて打ち込んだ渾身のハッピーシャワー。全ての穴が繋がっているようで、ハッピーのモグラ叩きの穴からハッピーシャワーが溢れ出ます。
『ア゛カ゛〜〜〜〜〜〜〜ン゛!!!』
マジョリーナ「なにゅ!?」
ハッピーシャワーで気絶した緑っ鼻のモグラアカンベェは穴から飛び出したまま動きません。
サニー「っ出たー!!」
マーチ「いまだー!!」
ハッピー「やーやーやーやーややややややややや!!!!」
猛烈なスピードでハンマーを振り下ろし、モグラアカンベェを叩きまくるハッピー。
『アッカ〜〜〜ン!!タイムアップ!!』
「「「「結果は……??」」」」
『98対99!!キュアハッピーの勝ち!!』
ハッピー「やったーー!!」
マジョリーナ「ぬぬぬぬぬ……。第一ステージクリアだわさ!」
マジョリーナがそういうと、モグラ叩きのステージが消え、上への階段が出てきました。
ハッピー「よーし、この調子だー!」
「「「「おー!」」」」
制限時間の18時30分目指して駆け上がる5人。
ウルフルン「そう上手くいくかな?」
ハッピー「ここは!?」
ハッピー達が駆け上がった所に待ち構えていたのは、レーシンググローブをはめて、したり顔したウルフルンでした。
ウルフルン「ウルッフッフッフ。第二ステージはゴーカートだ!ま、オレ様が走る時点で勝負の結果は見えてるがな。」
サニー「あぁ見えてるで。ウチの勝利が」
サーキットがまるまるステージになっている第二ステージで、ウルフルンの言葉を返したのはサニーでした。
ウルフルン「なに!てめぇは、キュアサニー!!」
サニー「ウチの熱きドライビングテクニック見せたる!!」
両者そのままスタート地点のカートに乗り込みます。スタートラインには、2つの赤信号アカンベェと1つの青信号アカンベェ。
『ア』
『カン』
『ベェ!!』
蒸かしたエンジン轟かせて2台のマシンはほぼ同時にスタートダッシュを切ります。しかし、スタート直後のカーブは、インコースをとっていたウルフルンが先行。
「「「「がんばれサニーーーー!!!」」」」
サニー「負けへんでー!!」
ウルフルン「け、しゃらくせぇ!!」
ぽちっとウルフルンは、自分のハンドルに搭載されているボタンを押します。すると、ウルフルンのカートの前輪からマジックハンドが飛び出してきました。なんとその手には耳かき状のこよりが。それを伸ばしてサニーの鼻をくすぐります。
サニー「へ……へっくしゅ!!うおおおあああ!!!」
くしゃみした瞬間、サニーのカートはバランスを崩して激しくスリップ。
ピース「サニー!!」
ビューティ「なんて卑劣な!!」
ウルフルン「一気に決着を着けてやるぜ」
そういうとウルフルンのゴーカートは、ロケットアカンベェに変身。やっぱりマシンもアカンベェでした。
ハッピー「あぁ!ロケットになった!」
ウルフルン「ぶっちぎるぜええええええええええええええ!!!」
「「「「あーーーー!!!!」」」」
ウルフルンのロケットは見た目通り、噴射口から激しく炎を吹き上げてゴール目指して猛加速。もはやカートでもなんでもありません。
キャンディ「ずるいクル!!」
ウルフルン「ウルッフッフッフ!!勝利はいただきだああああ!!!」
サニー「そうは“いかのやきそば”やーーーーー!!!!」
しかし、ここで諦めたら女が廃る。イカの焼きそば、美味しいですよね。
「“プリキュア・サニー・ファイヤー”!!!!」
燃え上がる豪炎。しかし、いつもの炎のバレースパイクではありません。打ち込む火の玉をそのまま炎の塊にして後ろへカートの後部で放射。炎がブースターとなり、ロケットにも負けない火力でカートは浮き上がりそのままゴールへ一直線。
ウルフルン「な――――抜かれた!?」
サニー「ゴール!!!」
「「「「やったあああ!!!」」」」
サニー「どや!!!」
ウルフルン「くっそお。第二ステージクリアだ!」
・・・
ハッピー「さぁ、どんどん行こう!」
再び出現した階段を登ってさらに上のステージへ走る一行。
サニー「次はピース頼むで!」
ピース「え?いいけど…難しいゲームはやだよー」
アカオーニ「第三ステージはボーリングオニ!!」
待っていたのはアカオーニ。長いレーンとボールのコンベアが並ぶシンプルなステージです。
マーチ(ボーリング?)
サニー(ビミョーやな…)
ハッピー(ピースとしてはどうなのかな?)
ピース「わーーー!!!」
一同不安になるも、ピースは目を輝かせて大喜び。
サニー「まさかの大当たり!?」
ピース「わたし、今までの運動会で唯一ビリにならなかったのが、玉転がしなの!」
ビューティ「ボーリングと玉転がしは違うのですが……。」
ハッピー「喜んでるから良しとしよう。」
・・
アカオーニ「オレ様からいくオニ!!」
意気揚々とピンに向かってアカオーニの一投目。
アカオーニ「オニ!?」
しかし、見た目通りコントロールが難しいボーリングは不得意なのか、ボールは半分も行かない手前でガーターに。
ハッピー「ぷ。ガーターだ」
そのままレーンに戻ることなく、ボールは最後までガーターのまま転がっていきました。普通なら0点ですが、そこはもう今までの流れよろしく、やはりボーリングのピン10本がアカンベェでした。
『アッカーーーン!』
あらかじめ打ち合わせしていたようで、ボールが明らかに触れていないのに、先頭の一本が倒れると続けざまにしてみんな倒れていきます。ところが、一番端のアカンベェは鼻ちょうちんを作って眠っていたため、自分で倒れる仕事を忘れていたのか、結果はストライクではなくて、9本に。
アカオーニ「9本倒したオニ!!」
「「「「インチキだー!!」」」」」
「「「「カッコイー!!!」」」」
サニー「こりゃいけるかも。」
『アッカンベェ!!』
しかし、ピースのレーンに配置されたアカンベェピンは、鎧と盾を構えて、とても倒れる気がありません。
ピース「へ?」
おまけに土嚢を積んでレーンを塞ぐ始末。これではどんなプロボウラーでもストライクどころか1ピンだって倒せません。
マーチ「なにそれ!!」
サニー「めちゃくちゃやん!!」
明らかないじめにあって涙目になるピース。しかし、同時に玉転がしのプライドに火がついたのか、めげずにボールを構えて助走をつけます。
怒りを電気に変えて、ボールに充電。バチバチと唸るボールを持って、ピースは全力投球。
「“プリキュア・ピース・サンダー”!!!!」
電気を帯びたボールは、その勢いで土嚢に激突。そのまま力の流れに任せて土嚢を飛び越え、アカンベェの前に落下。回転はそこで止まりましたが、帯びた電気をここで一気に放電。
『アガガガアガッガガガガガ!!?』
アカオーニ「オニ(何)ーーーーーー!?」
金属の鎧で感電したアカンベェは、そのままコゲコゲになってその場に倒れました。忘れてましたが、これはボーリングなのでストライクです。
ピース「ふん!ストライク!」
「「「「やったー!!」」」」
アカオーニ「負けたオニ!!?第三ステージクリアオニ!」
・・・
再び階段が現れ、続く第四ステージへ向かいます。
ハッピー「連戦連勝!」
ピース「この調子なら、ゴールも近いね!」
マジョリーナ「少しは時間も気にした方がいいだわさ!」
するとどこからともなくマジョリーナの声が。
ハッピー「え?」
マーチ「あ!みんなあの時計を見て!」
ピース「え?」
マーチが指差す時計とは、観覧車の中心に取り付けられていた大きな時計でした。このゲーム世界にやってきたのが10時。今は15時なので、残り時間までは3時間半しかありません。
ピース「もう15時!?」
サニー「公園に集まった時、まだ10時やったのに!」
ハッピー「このままじゃ、時間切れになっちゃよ!」
マジョリーナ「へっへっへ!たのしい時間はあっという間に過ぎるだわさ!」
ウルフルン「まっ。ゆっくり遊ぼうぜ」
アカオーニ「そうオニ!」
「「「だぁ〜〜っはっはっはっはっは!!!」」」
・・・・
門限迫る中、残る時間も後僅か。果たしてクリアなるか。
・・・・
ハッピー「早くクリアしなきゃ!」
ピース&サニー「急げーー!!」
階段を登ったその先は、芝生と土の匂い漂うグラウンド。無人の観客席に囲まれて、四角形に形どられたステージが次の勝負です。
アカオーニ「第四ステージは野球オニ!一回勝負でヒットを打てたら、オレ様の勝ちオニ!!」
バットを握るは、キュアマーチ。アカオーニにバットを向けてイチロースタイルです。
アカオーニ「三球三振オニ!!」
ボンボン持ってプリキュアチアガールです。
アカオーニ「だぁれが直球(ストレート)なんか投げるかオニ!!」
見かけ通りの剛速球が飛んでくると思いきや、アカオーニが投げたボールは、栓が外れて空気が抜けながら、不規則にふにゃふにゃとマーチに飛んでいきます。
「「「「風船玉???」」」」
アカオーニ「見たか!!超変化球!!」
ボールは空気の抜けるままにマーチの真上を飛んでいきます。しかし、ボールが真上にくる手前で飛び上がり、そのまま空中でフルスイング。お父さんがあんな感じで野球好きそうだから、意外とマーチも上手いのかな。
アカオーニ「打ったオニ!?」
ジャストミートした投球は、そのままマーチの渾身の力を注がれた打球となって、アカオーニの遥か上を通過していきます。
「「「「やったー!!!」」」」
「ホームランや!!」
『アッカンベェ〜〜〜!』
マーチ「何!?」
しかし、イカサマはひとつだけじゃない。スコアボードの電光掲示板ですらアカンベェになっていました。
『ベェ!!!』
ビュオオオオオオオオオ!
口から豪風を吹き上げて、マーチの打球を追い返すデンコーケイジバンアカンベェ。
マーチ「押し戻される!?」
「「「「ええええええ!?」」」」
アカオーニ「内野フライオニ!」
マーチ「こんなの筋が通らない!!」
曲がった事、イカサマ事は人一倍嫌うマーチのスポーツ魂に火を着けてしまったようです。
吹き荒れる豪風の中、マーチの周囲をプリキュアの浄化の風が立ち込めます。
「“プリキュア・マーチ・シューット”!!!!」
いつも出現させる風の玉を、今回はヘッドで決めます。すると、ボールから風が吹き出し、アカンベェの風とぶつかり、打球はそのまま上空へ。そうしてデンコーケイジバンアカンベェを飛び越えて、場外ホームランとなりました。
「「「「ホームラン!!!」」」」
アカオーニ「また負けたオニ…。第四ステージクリアオニ!!」
・・・
ハッピー「それ次ぃ!!」
さらにさらに階段を登った先には、屋内プールがそのまま置かれたステージが。
ウルフルン「ウルッフッフッフ、第五ステージは水泳だぁ!オレ様に勝てるか!!」
サニー「さっき勝ったけど。」
ウルフルン「さっきはさっきだっ!!」
スイムウェアをばっちり着こなしてやる気満々のウルフルン。確かにその毛並みじゃ水の抵抗が大変でしょうね。
ウルフルン「さぁ、どいつが相手だ?」
ちゃっかりゴーグル着用して現れたビューティ。お互いにそのまま台に上がって飛び込み準備。
『いちについて……よーい……』
『ピっ!!』
ホイッスルアカンベェの声と共に水泳レースはスタート。しかし、景気よく飛び込むウルフルンに対して、なぜかビューティはプールに飛び込みません。ただでさえ、プリキュア水着禁止令がお上から出ているのに、この後に及んで水泳も禁止になってしまったのかー。
ハッピー「ビューティ!」
ピース「何で飛び込まないの?」
ビューティ「く―――――。」
『アッカンベェ!!』
歯を食いしばるビューティの前に現れたのはシャークアカンベェ。ビューティの泳ぐコースの目の前で待ち構えています。
「「「「サメ!!!?」」」」」
ウルフルン「そこで仲良くにらめっこしてろ!!ウルッフッフッフッフ!!」
そう言いながら犬かき(狼かき?)でぐんぐん差をつけていくウルフルン。そんなウルフルンの悪行、七色ヶ丘中学校生徒会副会長の青木麗華が黙っていません。
ビューティ「このような卑怯なやり方、許せません!!」
静かな怒りが、ビューティの技をさらに冷たくします。
凍てつく氷の吹雪は、プールの水を瞬時に凍らせ、シャークアカンベェごとウルフルンをカチコチに凍らせてしまいました。
そのまま氷のスケート靴でリンクを滑るように、凍ったプールをゴールまで進むビューティ。ってさすがにこれはいいのか?
ウルフルン「く……そ……。」
ウルフルン「第五ステージクリア……。」
・・・
ハッピー「よおし!どんどん進むぞ!」
ここからは尺の都合でダイジェスト。
・・・
ハッピー「そしてついに……」
マジョリーナ「ひゃっひゃっひゃ!よく頂上までたどり着いただわさ!」
ウルフルン「時間もギリギリセーフだぜ!」
夕暮れ時の6時20分。門限までは後10分。それまでにクリアしなければ、この世界から出られない。さらに戻れなかったら宿題が出来なくてバッドエンドに。
マジョリーナ「では、始めるだわさ!!いでよ、スーパーアカンベェ!!!」
最後は観覧車をまるごとアカンベェに変えてのゲームのようです。
マジョリーナ「ラストステージは観覧車勝負だわさ!」
ビューティ「観覧車勝負?」
マジョリーナ「観覧車で一周した後、“ウルトラハッピー”と言えたら、おまえ達の勝ちだわさ!」
ハッピー「ウルトラハッピー?」
ピース「え、それだけ?」
マジョリーナ「それだけだわさ。」
サニー「きっと裏があるで。」
ビューティ「それは元より、覚悟の上です。」
ハッピー「やろう!」
一同決心した後、みんなで観覧車に乗る事に。なんか緊張感はあるのに、色々突っ込まなきゃいけない気がする。
・・・
キャンディ「わ!のぼってるクル!」
ハッピー「わくわく!」
ビューティ「油断しないでください」
マーチ「きっと何かあるよ。」
徐々に高さを増していく観覧車。ゆっくりと、昼と夜の間の空を映しながら、円を描いて動きます。
マーチ「あ……。」
ハッピー「これは…・・・。」
オレンジ色の夕焼けの向こうから、怒った顔の先生の姿が見えました。
先生『きちんと毎日やっていれば、終わるハズの宿題ですよ!!』
教室で並んで怒られる4人。恐ろしい精神攻撃ですが、もちろんビューティには効きません。
ピース「そんな……」
ハッピー「宿題、間に合わなかったの……?」
サニー「補習……」
マーチ「居残りだ……」
キャンディ「みんな!どうしたクル!?」
ビューティ「これは……幻?」
マジョリーナ「へっへっへっへっへ。狙い通りだわさ!しかも、どうやらあたしの調べた通りだわさ」
ウルフルン「何の話だよ?」
マジョリーナ「人間共は毎年夏休みを遊んで過ごすだわさ。そして、その最後が近づくと溜まった宿題を抱えて慌てふためくんだわさ。だからそのタイミングでプリキュアをこのゲームの世界に閉じ込めれば……。」
アカオーニ「やつらが宿題するのを妨害できるオニ!」
マジョリーナ「そしてさらに、自分達の怠けっぷりを見せつけてやれば――――!」
ハッピー「わー!どうして宿題やらなかったのー!!」
サニー「マンガ読んどる場合ちゃやろ!!」
ピース「えーん!だってだってぇ!!」
マーチ「明日やればいいやとつい油断して……」
「「「「もうだめだ(絶望)」」」」
キャンディ「あ!プリキュアが落ち込んだクル!!」
ビューティ「みなさん、しっかりしてください!!」
自分で自分が嫌になる。なんであの時もっとしっかりしていなかったんだ。もっとちゃんと計画を立ててやればすぐに終わったハズなのに。
後悔。それは夏休みにつきまとう絶望。
いつまでも続くと思っていた休みが終わってしまうという虚無感。
カンランシャアカンベェの幻惑は、しかし、十分ありえる未来と、そしてだらけていた事実を容赦なくプリキュア(ビューティを除く)に叩きつけます。
そうして、観覧車は一周し、ハッピー達が扉を開けます。
ここで「ウルトラハッピー」と言えたらゲームクリアですが……。
とても幸せな気持ちにはなれません。落ち込んだ4人のはっぷっぷーでバッドエンドチームの勝利に。
マジョリーナ「やっはっは!あたしの勝ちだわさ!」
「「バンザーーーイ!!」」
キャンディ「ウルトラハッピークル!!」
ウルフルン「あん?」
ビューティ「確かに、ハッピー達は遊びすぎたかもしれません。しかし、遊び自体は決して無駄ではありません。それも大切な勉強のひとつだからです!―――宿題を済ませていなかったのはハッピー達の失敗ですが、失敗は反省し、これから気をつければ良いのです!それに、宿題をする時間は僅かですが、まだ残っています。」
マジョリーナ「はっ。でも間に合う?だわさ」
ビューティ「間に合いますよね、みなさん。」
「「「「え―――――」」」」
ビューティ「私も、お手伝いしますから。」
ハッピー「手伝ってくれる…?」
サニー「学年トップのビューティが!」
ピース「ビューティって解らないところ、すごく優しく教えてくれるんだよ!」
マーチ「うん、教え方上手いよね!」
サニー「ビューティがおれば百人力や!!」
ハッピー「みんなでがんばろーー!!!!」
「「「うん!!!」」」
ウルフルン「なんでぇ、あっさり立ち直りやがった」
アカオーニ「お気楽な連中オニ。」
マジョリーナ「ぬぬぬ!アカンベェ!やっちまうだわさ!!」
『ス〜〜パ〜〜アカンベェ!!!』
ハッピー「いくよみんな!早く帰って宿題しよう!!」
ピース「わたしに任せて!!!」
機械仕掛けの観覧車。弱点はもちろん、電気です。
「“プリキュア・ピース・サンダー”!!!!」
『アッカンベェ……!』
マジョリーナ「あぁ!?ショートしただわさ!?」
「「「「「ペガサスよ!!私達に力を!!!!!」」」」」
天まで羽ばたく天馬の翼。白きペガサスは純情の印。その輝きを受けて、5人は純白の衣を纏う。
「“プリキュア・プリンセス・フォーム”!!!!!」
「届け!!希望の光。」
天馬に跨り、それぞれのキャンドルに火を灯す。
「はばたけ!!未来へ!!」
描く星の繋がりはペガサスの星座に。その聖なる力を宿して。
「“プリキュア・レインボー・バースト”!!!!!」
5つの光は虹色へ。眩く輝いてアカンベェを包み込みます。
『アカンベェ〜〜〜……!?』
「輝け!」
デコルも残りあと2つ。バッドエナジーはまだ9つもあるのに、このペースは大丈夫なのかね。
ともあれ、カンランシャアカンベェも倒して一件落着。
ハッピー「全ステージクリア!!」
一同は、ぼふん、と煙と共に元の公園へ。
ウルフルン「ちぇ、バッドエナジーも集まらねぇし」
アカオーニ「くたびれただけオニ。」
マジョリーナ「きー!悔しいだわさ!!」
・・・・
みゆき「宿題絶対終わらせるよー!!」
「「「「「おー!!!!」」」」」
今こそ、みんなの本気が試される!!!
翌日。
先生「それでは……補習を始めます」
「「「「………はい。」」」」
授業終了後、残された4人はそのまま俯いて席に着きます。
キャンディ「けっきょくおわらなかったクル」
キャンディ「れいか、みんながこっちをみてるクル」
れいか「きっと、心配しないでと言ってくれてるのですよ。」
先生「こおら!よそ見しない!」
「「「「はーい………。」」」」
みんなも宿題は計画的に(もう遅い)。
次回もどたばた!VISAも取らないでパスポートなしで世界旅行。これは6話辺りから「世界旅行とかできるんじゃない?」と思っていたけど、ようやくその発想に至ったようで。
次回、「本の扉で世界一周大旅行!!」
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