【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

スマイルプリキュア!第18話「なおの想い!バトンがつなぐみんなの絆!!」




「位置について〜……よ〜い!」



 ピっというホイッスルの合図で、なお、あかね、やよい、みゆき、れいかの5人はスタートラインを飛び越えました。


 今はみゆきのクラスは体育の時間。体育祭の開催日が近づく中、徒競走のタイムを計っている様子。

 緑のスニーカーが軽やかなステップを刻み、ポニーテールを揺らしながら、1コースを独走するなお。見ていたクラスメイトからも思わず歓声があがります。


 そんななおを顔を強ばらせて追いかけるあかね。それに圧倒されつつ二人の様子を見ながら走るみゆきとれいか。最後にやよいがバテ気味に走り込んでゴールです。


あかね「いや〜やっぱなおには敵わんな〜」

なお「毎日サッカーで鍛えてるからね」


 他の4人と違って息を切らす事なくなおは言います。


れいか「女子リレーの選手は、なおしかいないわね」

みゆき「女子リレー?」

あかね「来週の体育祭で、いっちゃん盛り上がる競技や」


 溢れた汗を滴らせて、あかねがみゆきに教えます。


みゆき「おぉ〜!なおちゃん頑張ってね!」

なお「わたしは走るのは好きだけど、競争とかは苦手なんだよね……」


 みゆきの言葉になおは少し表情を曇らせます。


みゆき「え〜、もったいないよ〜!」

なお「えへへ……。」



 走るの大好き。風のキュアマーチこと緑川なお。今日はそんな彼女が繰り広げる女子リレーのアルバムを紐解いていきましょう(?)





 それは、みゆき達のクラスでも体育祭に出場する選手をクラスのみんなで決めている時。


れいか「次は女子リレーです、どなたか立候補はありませんか?」


 れいかが教卓について、クラス委員長として意見をまとめます。


みゆき「なおちゃ〜ん…」
あかね「なお〜…」


 ぼそり、とみゆきとあかねはなおの方を向いて小声で囁きます。自分から進んで出るつもりがないなおは少し戸惑った様子。


「リレーかー。一組と四組は全員陸上部の子らしいよ?」

「最強じゃん!」

「ムリムリ。うちのクラスじゃ“どうせ勝てない”わよ」


 立候補もない、他の組には有力な選手ばかり。既に諦めムードが教室に漂います。なんかもうバッドエナジーが軽く出てるような……。


 しかし、“どうせ勝てない”。この言葉はなおの心を動かすには十分過ぎる言葉でした。



なお「あたし、出ます!!」


あかね「よっしゃ!」

みゆき「なおちゃん!」


 なおの走りを知っているクラスメイトは、なおの立候補に賛同してくれます。ただ、クラスでなお以外に足が早い選手がいないので、結局リレーとしては難しいという事に…。


なお「リレーのメンバーは、あたし、星空さん、日野さん、黄瀬さん、青木さんの5人で出ます!」

みゆき「え?」

あかね「は?」

れいか「え――。」

やよい「ふぇ!?」


「「「「「えええええぇぇぇえええぇぇえええええ」」」」」



 突然の指名に慌てる4人。特にやよいは自分が遅いのを知っているのでまさか出るとは思わずに戸惑います。


 さてさて、速さはバラバラだけど心はひとつ。プリキュアで繋ぐ5人のバトン。


第18話「なおの想い!バトンがつなぐみんなの絆!!」









アカオーニ「オニに金棒!!渡る世間にオニいっぱい!!」


 今日もすぶりで気合いが入るアカオーニ。まぁ、その金棒は余り役目を果たしていないと思いますが。そんなアカオーニの隣でトランプが舞い上がったと思ったらジョーカー登場。にやにや笑いを顔貼り付けた道化師は、とぼけた調子でアカオーニに話しかけます。


ジョーカー「おやおや?ウルフルンさんとマジョリーナさんは、どーこでーすかー?お三方で力を合わせて、早くバッドエナジーを集めていただきたいのに……」

アカオーニ「力を合わせるぅ?」


 ジョーカーの言葉にそれまですぶりをしていた金棒を地面にどすん、と振り下ろしてアカオーニは言います。


アカオーニ「そんなものは弱虫のやる事オニ。オレ様一人で十分だオニ!」



 絆を否定するアカオーニ。その割には先週ウルフルンと仲良く漫才やっていたような……。






・・・


みゆき「あかねちゃうわああ!」

あかね「何やってんねーん!」



れいか「足は高く上げる!腕は大きく振る!」


なお「れいかー、前に進まないと」



 そんなわけで女子リレーの選手になった5人は、放課後も残って練習する事に。しかし、あかねとみゆきはバトンパスが上手くいかず、やよいは走るのだけで精一杯。そしてなぜかれいかは前に進まない(笑)お兄さんと毎朝ランニングしてたから足は早いんじゃないのかな。


 そんな5人をあざ笑うかのように、必死に息も絶えだえに走るやよいの横を颯爽と翔けていく一組の陸上部。


れいか「さすが陸上部、噂通りですね」

なお「速いね〜」

「「「え?」」」


 自分たちを追い抜いていく陸上部を、素直に感心するなお。


なお「誰が相手でも、あたし達は自分達の走りをすればいいんだよ」

れいか「――――そうね。」

あかね「せやな!うちも頑張んで!」

みゆき「それにわたし達には、なおちゃんがついてるもんね!」

あかね「せや。ゴプリキュアやー!」


 ※違います



・・・


 陽が傾いてきたところで今日の練習も終わり。真っ赤に染まった空と街並みを背景に5人は家路につきます。帰り道では、本番のリレーの順番を決める事に。


れいか「とにかく、あかねはトップバッターで勢いをつけるとして…」

あかね「よし、任しとき!」

なお「みゆきちゃんはバトンの練習。」

みゆき「うん!絶対落とさないようにする!」


 ギリっと赤いバトンを握り締めるみゆき。家に持って帰って部屋で練習するみたいですね。


なお「れいかは、頭より体を動かして」

れいか「分かりました。」


 まさにその通りなのですが、何気に酷い事を言っているような……。


なお「やよいちゃんは少し走り込んでみて」


 なおは一番後ろを歩くやよいに振り向きます。すると、当の本人は俯いて立ち止まりまってしまいました。


やよい「わたし、リレーには出ない方がいいと思う。」

なお「え……。」


やよい「みんなに迷惑かけちゃうと思うから……」

あかね「何言うてんねん」

やよい「だってわたし、小学生の時から運動会ではいつもビリだったし。今度だってどうせ……」


 なおはそんなやよいの肩にそっと手を伸ばします。


なお「勝ち負けなんかにこだわらなくていいよ」

やよい「でも――――」

なお「一生懸命やってみよ」

やよい「わたしより、他の人にした方が、ずっと速いもん……。なおちゃん、どうしてわたしなの?」


運動神経が無いのは自分が一番良く知っている。誰からも期待されていないのは良くわかっている。だから、勝てないのは目に見えているから、自分より足が速い人に変わってもらった方が良いに決まっている。だから……だから……。





なお「ごめんね。あたしのわがままに付き合って貰っちゃって。」

やよい「―――。」


 なおは伸ばした手で自分の頭を抱えながら照れくさそうに言いました。


なお「あたし、みんなと走りたいんだ――――。」

やよい「え―――。」

なお「この5人で、一緒に。」


 それは、なおが心から信頼した仲間だから。走るのが好き、1人で走るのは楽しい。でも、みんなと走れたらもっともっと楽しい。


みゆき「なおちゃん……。」

キャンディ「キャンディもいるクル!!」


なお「ふふ、もちろんキャンディも一緒だよ」

キャンディ「クル〜〜」




 そして、家の手伝いもあるので、なおは一足先に帰ります。


なお「じゃあ、明日から朝練ね!ばいば〜い!」


やよい「――――。」

あかね「や〜よ〜い!」

やよい「あ――。」

あかね「一緒に頑張ろうな。」

みゆき「そうだよ!勝ち負けなんか気にしないでやってみよう!」


 結果にこだわらず、目標はみんなで走る事。成功と失敗だけが人生じゃない。達成だって立派な人の道。みんなの言葉にやよいはやっとスマイルチャージ。


やよい「うん!わたし、頑張ってみる!」

あかね「よっしゃあ!みんなで頑張ろう!!」



・・・



・・・



 はい。はい。と威勢のいい掛け声が聞こえるのは、みゆきの部屋から。持ってきたバトンを使ってキャンディとバトンタッチの練習中です。相手が追いついてきたスピードに合わせて走る+減速せずにすぐに加速できるように後ろは見ない。っていうテクニックが必要なんですけど、これが難しいんですよね。


みゆき「どうでしょうコーチ?」

キャンディ「うむ。よくできましたクル。こほん、そりではごほーびクル。スポーツデコルをセットするクル。」





Lets’go!!sports!!」


 みゆきがトロフィーの形のデコルをスマイルパクトにセットすると、お馴染みんお音と光の後に、みゆきの首に金メダルが出てきます。


みゆき「わー!金メダルだー!」


 なんのこっちゃ。


キャンディ「みゆき、リレーたのしみクル?」

みゆき「うん、なんかワクワクしてきた!2年2組、頑張るぞー!」




 しかし、夜になって一人部屋で(という設定で)叫んでいる娘を母はどう思うのでしょうかね。





・・・・・



 いつもより早起きして、朝から学校で練習。ジャージ姿でまずは学校まで走り込み、特にやよいは人一倍頑張ってましたね。そして相変わらず体が動かないれいか(笑)毎朝のランニングは一体なんなんでしょうね。


 その後も、なおが先頭切って走り方やバトンの渡し方、体力作りなどをこなして行く5人。みゆきとやよいは腹筋が上がらなくてバッドエンドですね。



 朝も走って、放課後も走って、帰り道も走って。と体育祭まで5人は頑張ります。






 昼休みに5人仲良くつかの間の休息…。



 徐々にタイムが縮まっていく5人、特に一番頑張ってきたやよいは最初の方では考えられないくらい成長していました。





が。




みゆき「はー、ついに明日かー!」

やよい「あ!教室に忘れ物しちゃった!?すぐ取ってくる!!」


 そう言ってやよいは一人、教室まで戻りますが、扉を開ける寸前、様子が見えない教室から自分の名前が聞こえてくるのに気づいてやよいは足を止めます。


『リレー大丈夫なの?』

『ってか何で黄瀬?』

『ぜってぇー負けんじゃん』

『練習はしてるみたいだけど』

『てか、勝たねーと意味ねーし。』

『マジ、なんとかなんないかなー』

『んじゃあお前代わりに出れば?』

『ちょー出てぇよー。ぶっちぎるね』






 やよいは扉を開けようと伸ばした手を引っ込めて、気が付けばぼーっとみんなの待っている正門まで戻って来てしまいます。



みゆき「あ、来た!」

あかね「やよいー!」

キャンディ「やよい何してたクル?遅いクル!」

なお「……。」


やよい「あ、ごめんなさい…。」


 心ココにあらず。自分だけが思っている事だと思ってたけど、やっぱりみんな思っていた。みゆきに背中を押されて、無理に笑顔を作ってその場はみんなと帰るやよい。だけど、期待されていないだけにやるせない気持ちが、胸いっぱいにこみ上げて……。




・・・・・



 そうして七色ヶ丘中学校体育祭が始まりました。


 大玉転がし、玉入れ、綱引き、100m走、数々の種目が時間と共に過ぎていく中で、ついにみゆき達の出場する女子リレーの番が回ってきました。アナウンスの誘導に従って、準備していた5人はコースの真ん中に集まります。



あかね「よっしゃー!やっとや」

みゆき「うー!ドキドキしてきたー」

なお「リラックス、リラックス!」


 今までより一際大きな歓声が校庭を囲みます。リレーと云えば体育祭の花形種目。各クラスから選出された足の速い代表5人がチームとなって、リレー形式で行う徒競走です。これは私個人の感覚ですが、自分のところはこのクラス対抗リレーが一番ポイント高かったです。なのでそれだけに周囲の期待と応援にも熱がは入ります。



れいかのアドバイスでみゆきは深呼吸。漫才の時もガチガチに上がってましたから人前はけっこう苦手なんですね。

 そして、きょろきょろとやよいは周囲の目を気にしている様子。特に声が聞こえるわけではありませんが、こっちを見てコソコソ話しているのを見ただけで、悪い想像しか出てきません。


なお「やよいちゃん?」


 そんなやよいの様子に気づいたなお。


やよい「なおちゃん、やっぱりわたし――――。」


 その先を言わせないかのように、なおは自分達のバトンをスッとやよいの前に差し出します。


なお「みんな!このバトンをつなぐ事だけを考えよう!5人の力を合わせて、最後まで走り抜こう!」


「「うん!!」」「もちろんです!」「……。」






アカオーニ「なぁにが力を合わせるだ!オニ。そんなもん必要無いオニ!!」


 上空から見下ろすアカオーニ。突然現れ、なおの言葉を否定します。


キャンディ「アカオーニクル!」


アカオーニ「力なんて合わせなくてもオレ様は一人で十分強いオニ!!」


「世界よ、最悪の結末バッドエンドに染まるオニ!!白紙の未来を黒く塗りつぶすオニ!!」



 友情、努力、勝利。それらが詰まった体育祭はしかし、空が夕焼け色に変わると同時に、その場の全員は膝をついて絶望します。


 全校生徒何百人というバッドエナジーを吸った割にやっぱりいっこしかカウントされない効率の悪さを感じながら、アカオーニはアカンベェ(青)を繰り出します。


 青っ鼻から出たバッドエナジーは、その場にあった体育祭の玉入れに乗り移って玉入れアカンベェになってしまいました。


みゆき「体育祭をめちゃくちゃになんかさせないんだから!!」


「みんな、いくよ!!」






「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」

「Go!!Go!!Let’s go!!」









「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」



「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」



「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」



「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」



「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」




「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」




アカオーニ「出たなプリキュア!やれ、アカンベェ!!」


『アッカンベェー!!』


 玉入れアカンベェは自分の手から赤と白の玉を凄い速さで連射して攻撃してきます。ジャンプで躱したハッピーはそのままアカンベェに攻撃を仕掛けますが、今度は大縄を鞭のようにしならせてハッピーの攻撃を弾きます。


サニー「あかん!やっぱりレインボーヒーリングやないと」


アカオーニ「ハッハッハ!そんな隙与えないオニ!!やっぱり5人揃っても弱いオニ!」


 結束力。それを毟り取るのは悪。いかに強大な力を持っていても、それは絶対じゃない。個々の力をひとつにする時こそ、本当の強さがそこに生まれる。

 アカオーニの言葉にムッと来たマーチは、アカンベェを綱を掴んで動かせないように引っ張ります。


マーチ「ううぅ……」

ハッピー「マーチ!!」


 マーチと一緒にハッピー達も縄を掴んでみんなでアカンベェと綱引きです。


マーチ「いくよ!みんな!」




「「「「「オーエス!!オーエス!!」」」」」


「「「「エス・オー・エス!!エス・オー・エス!!」」」」


マーチ「ちがーーーーーう!!」


 今日も〜まただれ〜か〜乙女のピン〜チ〜(古いネタ)


 綱引きの掛け声を間違える4人のピンク、オレンジ、イエロー、ブルー。思わず突っ込むマーチの隙をついて、アカンベェは両手で引き返します。



「「「「うわ〜〜〜〜!!!!」」」」」



 しなる綱を掴んでいられずに手を離してしまう5人。しかし、マーチは諦めずにその場で綱をつかみ直します。


マーチ「くっ――――!!」


「「「「マーチ!!」」」」


アカオーニ「もう諦めるオニ!いくら頑張ったって、どうせおまえ達の負けオニ!」

マーチ「“どうせ”?」


 どうせ勝てないのに。あの時の言葉がよぎります。


アカオーニ「力を合わせたって弱い奴は弱いオニ!だからオレ様は一人オニ!足でまといはいらないオニ!!」


ピース「――――!」


 足でまとい。それは今の自分にぴったりの言葉だとピースは思った。何をやってもみんなより上手くいかない。今回だって絶対にみんなの足を引っ張ってしまう。自分のせいで負けるのも怖いけど、それでみんなに見捨てられるのが何より怖い。


マーチ「違う!!!」


アカオーニ「オニ?」


マーチ「仲間と一緒じゃないと、できない事がある!あたしも、何もしないで諦めたりしない!“どうせ”なんて、絶対言わない!!」

ピース「――――」



マーチ「あたしは、リレーもプリキュアも、みんなと一緒にやり遂げたい!みんなと力を合わせれば、できない事なんて……何もない!!!」

ピース「みんなで力を―――――。」



 両親が仕事で家を空けてしまう。妹や弟達はいつも寂しがっていた。でも自分がしっかりしなくちゃいけない。兄弟がいるからこそ、みんなで一緒に楽しさを共有できる。サッカーはみんなで一緒にやるからこそ、プリキュアも、リレーも、全部、みんなで――――。



サニー「マーチの言う通りや!」

ビューティ「みんなで力を合わせれば―――」

ハッピー「絶対に、負けない!!」



 みんなの心をひとつに。渾身の力で引っ張るとアカンベェはバランスを崩して前のめりに倒れ込んでしまいます。



アカオーニ「えぇ!?そんなバカなオニ!!」


キャンディ「みんなのチカラを、あわせるクル!!」




 倒れた隙に5人はさらなる輝きをその身に宿します。絆の心、聖なる浄化の光と共にアカンベェを包み込みます。




 「“プリキュア・レインボー・ヒーリング”!!!!」



『アカンベェ〜〜!!?』



 そうして静かになった校庭で、ピースはマーチに向き直ります。


ピース「なおちゃん、みんな、バトン絶対につなごうね!!」

サニー「もちろんや!」

マーチ「みんなで頑張ろう!」



アカオーニ「プリキュアめ!これで勝ったと思うなオニ!!」


 意地張ってないでアカンベェ側から綱を一緒に引いたら、結果は違ってたかもしれないのに…とか思いましたけど、とにかくアカオーニ退場。



 さぁ、ハッピーエンドにするにはみんなでリレーを成功させる事。


 活気が戻った体育祭で女子リレーのスタートの合図が、歓声に紛れて乾いた音を放ちました。



 二組女子リレーの先頭を切るのは日野あかね。景気の良いスタートダッシュを切りますが、陸上部でガチガチに固められた一組は抜けずに2位でみゆきにバトンタッチ。


あかね「みゆきーー!!」

みゆき「はい!!」


 練習の甲斐があって今まで一番スムーズに渡ったバトンを握って、みゆきはそのままコースを走ります。陸上部が先頭を走る中それを追う形でみゆきは2位をキープしてれいかにバトンタッチ。


みゆき「れいかちゃん!!」

れいか「――――はい!!」


 集中力を極限まで高めたれいかは、足を高く上げて腕を大きく振りながら、まっすぐやよいの待つポイントまで走ります。


『すげぇすげぇ!まだ女子2位だ!!』



あかね「やよいー!!みんながついてんでー!!」

みゆき「やよいちゃーーん!!」



 なおの言っていた事、マーチの言っていた事を心に刻んで、やよいはれいかが自分に向かって走ってくるのをじっと身構えています。


れいか「やよいさん!!」



 れいかの合図で前を向いたまま振り返らずにバトンを受け取るやよい。空洞の筒になっているバトンがぽん、と軽い音を立てたのを感じてぎゅっと握り締めます。


 みんながついてる、頑張って、勝ち負けなんて関係ない、足を高く腕は大きく。


 みんなの言葉がやよいを奮い立たせ、アンカーのなお目指して翔けます。



 全力で走るやよい。しかし、無情にも後続を走っていた3選手に追い抜かれ、最下位になってしまいます。


 追いかける背中が4つになりましたが、それでも、やよいは歯を食いしばって尚足に力を入れます。



 “諦めない!!絶対にバトンをつなぐんだ!!!”



 自分の中出走る足音がどんどん大きくなっていき、無我夢中でやよいはただただ走ります。


 一瞬静まりかえった校庭で、みゆきはやよいを応援しようと吸った息を吐き出そうとした時。



「頑張れーーー!!!黄瀬―――――!!負けたら承知しねぇぞーーーー!!」


「――――!!」




 みゆきより先に応援に出たのは、教室でリレーを渋っていたクラスメイト達でした。椅子の上に上り、腕をめいっぱい振り回してやよいの名を叫びます。



みゆき「―――――!!やよいちゃーーーん!!」

あかね「やよいーーー!!!」

れいか「頑張ってーーー!!!」



 そうしてやよいは、予期せぬ自分の声援を受けながら、4位の選手を抜き返しました。



「いいぞー!!」

「すげーーー!!」


 最後まで失速せずにやよいは、なおのいるテイクオーバーゾーンへ走りこみます。


やよい「なおちゃん!!」

なお「――――!」


 既に先を行くのは3人の選手。しかし、そんな事意に介さずになおは全力疾走です。



“みんなの力を、合わせて――――!”



 歩幅、足を出す速さを人一倍に、サッカー部で鍛えた足を存分に発揮して、なおは一気に3位と2位を追い抜きます。



『すっげぇ!!』


“あと…ひとり!”



 白熱する応援席、息を飲むみゆき達。


あかね「なお……」


 着々と差を詰めていくなおは、ついに1位を走る陸上部の子と並びました。


みゆき「なおちゃん……」


 誰よりも真剣に、誰よりもまっすぐ。勝負事は苦手だけど、みんなの想いを無駄にしないために、なおはただいたすらゴールを目指します。


やよい「なおちゃーーーーーーーーーーん!!!」


 想いがこもったバトンの力か、今までみんなで頑張ってきた練習の成果か、あるいはその集大成か、風の中を走るなおの前を走る相手はいなくなり、陸上部の子を背中で追い抜きました。


 まっすぐ、ひたすらにまっすぐ。後はゴールするだけ………でしたが―――。




「あ―――!」


 全校生徒の視線が自分に向かいます。気づいた瞬間、足がもつれて膝をついて転んでしまったそれは、一瞬の出来事でした。





 素早く再び立ち上がるなお。しかし、また同じ速さで走るには、ゴールは余りにも近すぎました。結果、4人の選手に抜かれて、2年2組の女子チームは最下位でゴールする事態に…。



 切らした息と滴る汗は、達成感なんか与えてくれません。これまでの努力が報われるような結果をくれません。歓声に混じって自分のチームの落胆する声もすぐ近くで聞こえるような気がしました。


 あれだけ偉そう言っておいて。あれだけ自分で誘っておいて。


 勝ち負けなんか、関係ない。関係ないのに、この悔しさは紛れもなく負けた事が原因でした。


 乱れた息を整えると、それと一緒に涙が頬を伝って溢れます。期待に応えられなかった事、やよいちゃんの頑張りに応えられなかった事、自分のせいでクラスに迷惑をかけてしまった事。



 途端に責任感とか、虚無感とかに色々襲われて、ただただ、今の自分は、泣くことしか、できなくて……。



なお「ごめ……み…んな…あた…しのせいで……」


みゆき「なおちゃあああああああああああああん!!!」

やよい「なおちゃああああん!!!」

あかね「なおおおおおお!!!!」


 振り向いた時、みゆき、やよい、あかねが自分のところへ飛び込んできました。自分とおんなじぐしゃぐしゃになった顔で。


あかね「なおおお!!なおおお!!」

みゆき「すごかった!!すごかった!!」

やよい「あきらめないでよかった!!よかったよおおおお!!」


 そっと歩み寄るれいかも、涙を浮かべてなおの輪に寄り添います。


れいか「最後まで……バトンをつなぐ事ができましたね……。」



なお「……あ…あたしも……みんなとはし…れて…良かった……」



 辛かったらみんなで泣けば良い。悲しかったらみんなで叫べばいい。ここにはみんながいるんだから。リレーの結果は負けちゃったけど、今この時の想いは絶対に消えない。


 それが、仲間だから。


 最後はみんなで、頑張ったこの結果に。



 スマイルスマイル★












 黄瀬やよい。パパがくれた名前。だけど…パパの事が思い出せない。何で?どうして?





次回、「パパ、ありがとう!やよいのたからもの」



 うわああああああああああああ(涙)





























そしてこれはどういう事なの・・・
















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