【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

妖狐×僕SS 第08話「お茶と距離」



 雨の日も。晴れの日も。君は。



 変わらず。



 病気。








「凛々蝶様、靴に汚れが。」



 もう見慣れた日常。その過保護っぷりをフルに発揮したフェロモンダダ漏れ忠犬シークレットサービス御狐神双熾(みけつかみ そうし)。そんな過剰サービスを渋々受けつつ、一緒に周囲の視線も不本意に受ける主人白鬼院凛々蝶(しらきいん りりちよ)。そして、その様子をただただ、ドーナツ片手に見つめる友だちその1髏々宮(ろろみや)カルタ。


 その忠犬っぷりに若干引きつつも、彼の気持ちは無下にできないと素直に(思うつぼに)答える凛々蝶。



最初こそ戸惑った彼の猛烈な忠誠心だが、時間を重ねてしまえば人間何でも慣れはくる。次第にそれが、自分が先祖返りであるからだとか、良家の子息であるからとか、そういう外側の器より、人間として自分を見てくれていると凛々蝶は気づく。


 彼がボクに対するしつこいまでの愛情表現。でも、あの男(青鬼院蜻蛉)に仕えていたという時点で既にボクには許嫁がいる事を彼は知っていた。それなのに・・・。それなのに・・・。


 そこまでしてボクに着いて来てくれる彼に、ボクは何をしてやれるだろう・・・。



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 渡狸(わたぬき)が(不良なのに?)生積極的に授業に参加している時、ハイセンスに跳び箱を飛びつつタイ焼きをかじるカルタの横で、凛々蝶は授業中でもずっとそんな事を考えていた。



 学園生活は順調・・・。だけど・・・。


彼女は気づく。自分と彼との距離。重力に負けた感じの巨乳を語る木綿と雪女。とにかくいじり・いじられる狸と兎。そんな彼らと比べて・・・自分たちは。








「 僕も彼の事をわかりたい。 」





 それが結論だった。それが答えだった。それが、今のボクの彼に対する純粋な・・・。


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「いっしょにたべるとごはんがおいしくなるし、なかよくなれるの。」



 それに突然気づいた。

 いつものように他の二人を邪険にしつつもしっかりピクニックシートを広げ、凛々蝶曰く偶然あったらしい紙コップと紙皿でのどかな昼食を取っていた時。



「そういえば!御狐神くんと食事をした事がない!」


 彼はどんな時でも凛々蝶の前では一歩引き下がり、自分のプライベートは一瞬でも見せた事がない。それこそが凛々蝶が双熾に感じる距離であり、不整脈(?)の原因でもあった。


「(そうだ!彼がボクに紅茶を入れてくれたように、ボクも彼に心を込めて紅茶を入れるんだ!!)」





「なんだ・・・?」

「ちよちゃんとごはんするとたのしい・・・。」



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「君と一緒にコーヒーが飲みたい!・・・・・・・って言えるかぁ!!」



 コーヒーに誘う事にしたのはいいが、コミュニケーション経験が乏しい彼女には、結局どう誘うかで散々悩む。とりあえず色々シミュレーション。用意が周到なのは、彼女の良いところですが、考え過ぎる事多々・・・。


 で。結局徹夜。



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「み・・・御狐神くん・・・。きょ・・・今日・・・コ・・・コ・・・」


「コーンポタージュが飲みたいな」

「はい。わかりました。」


「うっ。」


 その他、回りの邪魔が入ったりなんだかんだしてタイミングを逃し・・・。


 てな事を結局一日中繰り返して。






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 夜、桜の木が囁く。

 最初にここに来た時に彼は言った。




『一緒にいれば・・・いずれ君だって・・・』

『では、試してみましょう。』


 そう笑った彼の顔は、本当に素直で。本当に・・・・。



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「君はずるい人だ。君ばかりボクの事に関わってきて、自分の事は見せないようにする。対等じゃない・・・
。施しを受けるばかりでは癪だ」


「身に余るもったいないお言葉です。」



 それでも彼は引き下がる。奉仕という形でしかもう他人とは関われない自分にとって。あなたは主人で自分は犬。それは決して許してはいけない。いや、許されない。




「他人とのコミュニケーションについて、ボクから偉そうに言えることはない。だけど・・・なんだか他のパートナーたちより遠い気がして・・・。」


「凛々蝶様・・・。」


「だから、明日はボクの入れたコーヒーで一緒にお茶してもらう。その時は無礼講だ。無粋な振る舞いは禁止だからな!」



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 ボクは相変わらず歪にしか他人と関われない。


 それでも、今日は少しだけ、君の事がわかった。



 僕と少し似ていて 嬉しかった。




 そして夜は耽る。主人と犬の歪な関係。






 次回「約束の日」


なぜか次回予告はちのちゃんの胸をツンツンするだけの動画。