第141話「絶望のデュエル!機動要塞フォルテシモ!」
〔ワタシは絶望も希望もいらない。真の意味でマシンとなる。マシンとなってキミを守る。キミの考えるより良き未来のために。〕
既に人気を失ったネオ童実野シティ。
徐々に破滅の時を刻むアーククレイドル。
「遊星、迷いは無いか?」
「あぁ、行く手に何が待っていようとな。」
待ち受ける過酷な運命を知るDホイーラー。遊星はまだ知らない。自分に課せられた破滅の道を。
それでも、ゾーンの野望を阻止するために今は進むのみ。
「クロウ、アキ、龍亜、龍可、ジャック。頼むぞ!」
残る遊星歯車は後2つ。
「もう、後戻りはできないんだな・・・。」
「龍亜・・・。」
「ここまで来て怖気づいたか?」
「大丈夫。怖く無いって言ったら嘘になるけど・・・、オレなんかより、遊星の方がもっともっと怖いハズなんだから。」
その身に危険が迫っているなら、仲間のために自らも戦地に赴く。それがチーム。
「遊星が死んでしまうという未来・・・。」
「忘れろ、そんな未来は無い!それを証明するために、オレたちはここにいる!」
「そうだよね、うん!オレもそう思う!」
「うん!」
街を救え、未来を救え、友を、仲間を、何も失わないために。
「(それに、まだオレとの真の意味での決着が着いていない。死なせるものか、遊星を―――)」
通路を抜ける。
虹色の回路と巨大な歯車。
「何だよこれ?」
「これは・・・モーメントの光?」
「もしや・・・ここが?」
「遊星・・・歯車。」
〔その通りだ。〕
「「「!?」」」
中心に立つ柱から現れた。白い巨人。
「そんな!」
「お前は・・・」
「アポリア!?」
未来への絶望を消し去るために過去を改竄し、人類史を脅かす存在。絶望の魔人を使うシンクロキラー。
〔お前たちの足元にあるのが遊星歯車、だがそれを止める事はできない。私がここにいる限り。〕
「お前が?」
一度死に。遊星に破れ崩壊した肉体は、再度ゾーンにより復元され、アーククレイドル落下を阻止するジャックたちの前に立ち塞がる。
「ん!?」
「うわああ!?なんだよこれ!?」
「取れない・・・。」
壁の中から飛び出した円盤状の丸い機械。大人の拳大のそれは、3人の左胸にぴたりと張り付き、そのまま光りだした。
「うわぁぁ!!?」
さらに、足元から伸びるワイヤーが3人の足を拘束し自由を奪う。
「こんなもの・・・どういうつもりだ?すぐに―――!?」
鋭く貫いたような衝撃が3人に走る。心臓の目の前で感じるその痛みは、まるで心臓を直接狙っているかのような嫌な感触となる。
「痛い!?」
「貴様、何をしたぁ!?」
〔これでお前たちは逃げられない。無理に逃げようとすれば、針が心臓を刺し貫く。〕
「「えぇ!?」」
「何!?」
〔私と遊星歯車は一体化している。もし止めたいのであれば、デュエルで私を倒すしかない!〕
「何だって―――」
「そんな―――」
「上等だ!このジャック・アトラスが貴様を倒してやる!」
冷たい目で見据える白い巨人。その目にはもはや、何の感情も宿っていなかった。