亜種特異lll [ 屍山血河舞台 下総国 ] 英霊剣豪七番勝負 【第八節 第三歌 パライソ(破)】
カルデアのマスターの意識は、突如として亜種平行世界へと奪われた。
暗闇と魔性が忍び寄る中世の日本に、殺戮の輩に貶められた七騎の「英霊剣豪」が刃向く――
かつての夢で出会った「宮本武蔵」とともに、赤き月の悪夢を斬り祓え。
悪鬼羅刹の七騎が嘲笑う
──見よ、血染めの月が太陽を食い尽くす
彼女は呪われていた。
それは逃れ得ぬ絶望。覚醒めない悪夢。
己の人生を締め付ける縄の呪い。
望まぬ生涯を押し付けられ、それでも強く生きようと足掻き、結果救われずに未練を残した彼女の呪い。
楽園(パライソ)なぞ無く、死してなお彼女は、縄に縛られ続ける。
はい、そのつもりです。
清姫の脅迫状のニュースを聞きつけ、一行は士気城を訪れた。
門前払いは食らわなかったものの、怪しい集団なのに変わりはなく、どこを歩いても警戒の目で睨みつけられた。
(嬉しそうだなぁ)
(宮本武蔵はあたしなんだけどなぁ、と顔にかいてあるな、あれ。)
宮本武蔵は江戸時代でも有名なんですね。
いや、それは・・・
お城の中まで上げてもらえるとはね。ダメ元で来て良かった。おぬいちゃん達にも見せてあげられたら良かったんだけど。
そういえばそうだった。あのあと、士気城下まで迎えに来た村正さんにこっぴどく叱られたんだった。。。
しかし、タマモの姿のおたまさんと村正さんが並んでいるとなんか妙な感じだなぁ。
そうだね。お城に行ったら一度庵に戻ろう。
彼らは自分を制御できているか怪しい。いざとなったら城下の人が犠牲になることだけは避けないと。
あ、えっと。。。
そういえば、小太郎ってば段蔵を見てなんか気にしているみたいだったね。
(うん?妙に動揺しているような。ていうか顔赤いし)
おっと。
あ、柳生の爺さん。
二日ぶりですね、姫さま(そして似ているけどやっぱりカルデアの清姫とは雰囲気が違うな・・・。)
(でっしょー!)ボソボソ
(まぁいきなり公衆の面前で好き!って言われた時はどうしたもんかと思ったけどね)
蛇?あぁ、◯リー・ポッター的な。いや、蛇か。。。。
まぁ、その話はおいおい・・・。
み、右に同じく(人生でこの台詞をガチで言う日が来るとは・・・。)
(おぉ見事に言ってることが反転した)
(なんか得意気だな・・・。)
殺人予告は見過ごせないし、きっと、英霊剣豪の仕業だと思う。
(死んでしまっては)だめです。
励み、ですか?
おぉ、覚えています!町中で日を吹き出したやつ!
(この切り替えの速さ。志の低さ。。。)
武蔵ちゃん!いい笑顔になっちゃってるよ!
お、段蔵、やはり天井にいたのか。
小太郎?
さっぱりしてるなぁ、もう。
燃える水。。。。やはり石油なのでは・・・・・。
↑修練着。あと、どうみてもソウルイーターがいますが、姫曰く「虎」とのこと。なるほど、ジャガーですか、違う?
↑三十両積まれて出す安い奥義
隙きをついて飛んでくるカラクリ忍法(カッコイイ)
(武蔵ちゃん.....。)
あらら、連れてかれちゃった。
いやフラれたとかそういうのじゃないから!
小太郎?
一方、日も暮れた頃、二人は布団について、色々な話をしていた。
でさー、小太郎はどう思う?
あれ、ねぇ!
おーい!
小太郎、あの
あ、いや、ね。
近い。なんだか凄い近いよ!
もちろん!
む、小太郎の雰囲気が一瞬で変わった。
やつらか!
ええい!そこまでだ!
怪異退治は専門家に任せて欲しい!
やはり来たか。英霊剣豪。
なんという格好!これがクノイチ!なんかござる言ってるし、痴女っぽいけど!
その姿、以前竹林で一度出会っている!アサシン・パライソ!
妖術師?それが英霊剣豪のマスターの名前か!
そんな事は、させません!
ズバン、と音を立てて、近くにいた武士に向けて蛇を解き放つパライソ。巨大な蛇はそのまま武士の首に食らいつき、いとも簡単に頭と体を引きちぎった。
―――――――っ!
・・・・・。これは、このままじゃ・・・・。
よし小太郎!突破してパライソを叩く!
あっちから武蔵ちゃんの魔力を感じる。どうやら事態に気づいて応戦しているようだ。
お疲れ様!今のマシュの言い方にちょっと似てたね。
しばしの間があった。それは、問いに対する答えに迷う間ではなく、その問い事態に苛立ち、怒りをを堪える間だった。
対話しようとしたのは偉かった。
パライソが来る!サポートは任せて!
赤い月に立つ禍々しいまでの魔力。
しかし、相手の勢いに決して呑まれることなく小太郎はパライソに応戦する。
放たれる飛び道具を尽く払い、蛇の毒牙の間を縫うようにクナイを打ち込む。
じわりじわりとパライソに着実にダメージを与えていく。
大丈夫、実力では小太郎の方が上だ。
小太郎、英霊剣豪の霊核は普通じゃない!
先の魔力がさらに増加する。いやこれもうただのサーヴァントが出せる数値じゃない・・・!
パライソの死角から飛んできたのは、武蔵の持つ業物、村正。
英霊剣豪の霊核を断つために欠かせないアイテムだ。
しかし、それを、武蔵は投げた。
動揺しつつも、パライソに避けられた村正をキャッチする小太郎。
え、ちょ!姫!なんでここに!?
ズバっと武蔵が斬ったパライソは、そのまま黒い霧になって中空に消えた。
そして霧が消えたと同時に、赤い月も本来の輝きに戻っていった。
アサシン・パライソ。女性の忍者と戦うのは初めてかも。
まぁでも(チラリと武蔵ちゃんを見て)、性別はあまりあてにならないぞ。
・・・・・・・・・。二十余名、立派な討ち死にだった。
ふらりと姿勢を崩す姫。それを支える武蔵ちゃん。
武蔵ちゃんナイスキャッチ。やっぱり、姫さまにはショックだよね。
・・・・やっぱり小太郎、段蔵を意識している・・・?