亜種特異lll [ 屍山血河舞台 下総国 ] 英霊剣豪七番勝負 【第九節 第三歌 パライソ(急)】
カルデアのマスターの意識は、突如として亜種平行世界へと奪われた。
暗闇と魔性が忍び寄る中世の日本に、殺戮の輩に貶められた七騎の「英霊剣豪」が刃向く――
かつての夢で出会った「宮本武蔵」とともに、赤き月の悪夢を斬り祓え。
悪鬼羅刹の七騎が嘲笑う
──見よ、血染めの月が太陽を食い尽くす
士気城から遠ざかるパライソ。そこに。
艶色の声が聞こえた。思わず足を止める。
ズプ、ズプ。生暖かい感触。その後から強烈な痛み。
必死で彼女の手を払おうとする。が、それは鋼で固定されたかのようにぴくりとも動かない。
どくん。
ズプ、ズプズプ。
パライソが去った後、城の警戒体制はさらに厳重に張られることになった。
まぁまぁそう言わないで。相手の拠点が判明してないからね。
清姫だね。今度もきっと守りきろう。
でも、姫様が可哀想だね。
そんな、さっき退去したはず・・・。もう回復した!?それとも別の刺客!?
やはり、パライソ。しかし、なんだろう、この違和感。
・・・。明らかに様子がおかしい。さっきまでは、あんなに薄気味悪い笑い方はしなかったはずだ。
後ろには清姫がいる!ここは迎撃するしかない!
これは、召喚魔術!!
いや、魔力じゃない、魔力によるものじゃない!
これは呪術!?
あぁ!こんな大蛇、今更なんでもない!清姫を守りつつ、援護するよ!
巨大な大蛇が庭に現れた。
口から生えた牙は猛毒、その眼光は睨みつけたものを一瞬で凍りつかせる。
全員、息を合わせて宝具を解放し、大蛇をなんとか打ち倒す。
え!?こっち!?
姫――――――様子が!?
清姫、その、炎は・・・。
清姫の周囲え燃え盛る炎。なんとか小太郎が体ごと担いで運び出してくれたおかげで避けられたけど、でも、あの清姫がここで炎を出すなんて・・・。
小太郎!しまった!自分をかばって炎を!?
そうだ清姫!突然様子がおかしく・・・。
大蛇の死骸が動いた!そんな、再生した!?
清姫!だめだ、パライソに操られている!
とりあえず、大蛇の方を止めないと・・・・!
ここはとっておき、鈴鹿御前の霊基グラフを使って宝具展開!
「文殊智剣大神通 恋愛発破 天鬼雨!!!!!」
清姫!そこにいてはだめだ、こっちに来て!
拙者?
今の言葉、多分、清姫のものじゃないと思う。
望月千代女。それがアサシン・パライソの正体!
それが、アサシン・パライソとなった英霊の正体!
空間が歪む。
パライソの宿業は、「一切詛呪」。通常攻撃時に単体の攻撃力をダウンさせる。
そして、その宝具は呪いを解放した大蛇の攻撃。当然、受ければ呪いも一緒に受けることになる。
パライソは特に宝具の展開が早く、こちらも防御宝具を持つ英霊の力を仮りながら、この戦いはなんとか乗り切った。
・・・。
どこかで別のカタチで会えたなら、その時はもっとゆっくり話をしよう。
小太郎もお疲れ様。
あれ、その手に持っているクナイって?
いっそ熨斗をつけて叩き返そう。胤舜や巴の分まで。