亜種特異lll [ 屍山血河舞台 下総国 ] 英霊剣豪七番勝負 【第十五節 最終歌 屍山血河舞台・厭離穢土(急)前編】
カルデアのマスターの意識は、突如として亜種平行世界へと奪われた。
暗闇と魔性が忍び寄る中世の日本に、殺戮の輩に貶められた七騎の「英霊剣豪」が刃向く――
かつての夢で出会った「宮本武蔵」とともに、赤き月の悪夢を斬り祓え。
悪鬼羅刹の七騎が嘲笑う
──見よ、血染めの月が太陽を食い尽くす
殺せ殺せ。
全て殺せ。
全ての世界を恨んで、呪って、殺せ。
「ヒトは、等しく、死ぬべきである。」
月が昇る。
城が躍動する。
どくん、どくん。
世界を侵す禁断の術。
破滅はすぐそこまで。
聖杯を、ここに。
天草四郎時貞は、ただ、城下を見下ろして狂ったように笑った。
武蔵ちゃん?
階段が何か気になる?
大丈夫、この程度なら。
・・・。段蔵はお母さん、だったんだよね。
この感覚、、、、
武蔵ちゃん後ろ!!
あの時キャスター・リンボは確かに消滅したはず。
分身、身代わり、それとも亡霊?
ともかく、完全に不意を突かれた。
このままじゃ―――――!!
ス―――――――――。
しかし、それは音もなく現れた。
一瞬、キャスター・リンボの首が真っ二つに別れた。
そして、それは一切音を立てず、最後階段の前に立ちふさがった。
ばさり。
黒い装束を床に放り出す。
そこに立っていたのは・・・。
柳生但馬守!!下総側の人間が、裏切った。。
皮を、剥いだ?
そんなコトのために、あんたはずっと、目の前の非道を見過ごしてきたのか。
武蔵ちゃん・・・。
いいや、幻滅なんかしたりしないよ。
武蔵ちゃん・・・・・・。
・・・・・・でも、あなたを放っておけない。
一緒に戦う。頼りないかもしれないけど、背中は守ってあげられる。
これで最後、英霊剣豪最後の一騎。
瞬間。時間が、止まった。
それは、魔剣。
人の身でありながら、己の技を宝具にまで昇華させた達人技。
その一太刀は、止める術の無い、まさに魔剣だった。
血染めの月が戦場を照らす。
悪鬼羅刹の骸の世界で。
刀の激しくぶつかる音が、全てを物語っていた。
勝負は一瞬。
但馬守は、脇に刀を置き、その場で座り込んだ。
すぅ、と目を閉じ、彼はそのまま息を引き取った。
急いで階段を駆け上がる。
先に村正たちが向かっている、なんとか間に合ってくれ――――。
清姫を抱えて距離を取る小太郎。
それを睨みつける天草四郎。
村正は天草四郎を見て納得したようにこくりと頷いた。
ぐるりとその身を翻し、真っ赤な月を見つめ、ここには無い何かに向けて叫ぶ。
その様は間違いなく常軌を逸している。
天草四郎の体に向けられたクナイ。しかし、それは実態を捉えずに天草四郎の体を通り抜けた。
ギィン!
村正の体を容易く受け、そのまま弾く。
ぶぅん!
階段から現れた武蔵が、駆け上がった勢いのまま、天草士郎を斬り付けた。
寸前の所で刃を躱したものの、右手の袖がキレイに切り落とされた。
ふたりとも、お待たせ!
武蔵ちゃんの声色が変わる。あぁ、これは触れてはいけない3つの2つ目だったか。。
武蔵ちゃん・・・・・。
馬鹿な、と天草四郎は武蔵を睨む。
最終戦始め!!!
やっぱりアヴェンジャーにはムーンキャンサー。
え、いつの間にやってきたかって?
いえいえ、今日も今日とて、いつでもどこでも、小悪魔後輩BBちゃんは、神出鬼没です。
とりあえず、注射の乱れ打ちに沈む天草四郎。
天草四郎の両腕が光る。
まさか、このタイミングで宝具!?
固有結界―――――――――。
気づけば、そこは地獄だった。