【カドカワコミックスエース】翠星のガルガンティア(2)【ニトロプラス】
冒険と驚愕、船団都市には活き活きとした生活が在る―――。
海賊・ラケージとの闘いに勝利したレドは、船団・ガルガンティアに留まることを決める。彼は、海に生きる人々との日常を通して、次第に自ら持つ”人間らしさ”に目覚めていく。そんな最中、”クジライカ”と呼ばれ、ガルガンティアの人々から畏れ敬われる謎の生物が現れる。
だが、その姿かたちはレドたちが人類の敵として闘う”ヒディアーズ”と酷似していた・・・。”ヒディアーズ”の出自とは・・・・・・。SF海洋冒険活劇、核心に近づく第2弾。
かつて失われた文明。ロストテクノロジーが海底奥深くに沈み、その昔は宇宙との行き来も栄えていた時代があった海上で暮らす人々。
この世界は人類の発端である地球と、その地球を遠い先祖とする全く違う文明との異文化の中でレドが成長していく物語。
2巻では、軍人として効率のためだけに育てられた自分がいかにここでは生き方が違うかを身を持って味わうことになる。敵を殲滅する。ただそれだけに優れた機能を持つために、人間はどんどん機械寄りになっていったのだろう。だからこそ、レドは早く戻り、自分の使命を全うしなければならなかった。
クジライカとの出会いがレドを起源に引き戻す。レドにとって船団とは、余りに非効率的で、目的の無い無意味な組織だ。生きること、それすら管理されているレドの世界とは「自由度」が桁違いなのだ。
抑圧された環境に始めから育っている者は、それがいかに制限された世界なのかを知らない。それはそれで勿論幸せなことかもしれない。ただ、彼は青い海を、空を知ってしまった。
凪の日にはエンジンを止めてゆっくり海辺でバカンス。子供は好き勝手に気の赴くままに遊び、今日もガルガンティアは生きている。
家族。そんな概念はレドにはなく、愛も、絆も、心も、夢も、何もない。
根本的に違う考えは、同じ人間でも全く違う生き物になる。
徐々に言葉は流暢になってきた。考え方も概ね把握はできる。だが、それが正しいかどうかは誰にもわからない。だからこそ、自分に正直に生きなきゃならない。
それが、使命で、目的で、生きる意味だと言うのなら、遠慮なく戦えば良い。
だけどそれで流す涙があるのなら、引き留まる理由があるのなら、引き止める手があるのなら、その選択は早い方が良い。
リジットの父であるガルガンティア船団長の急死をきっかけに離船を申請するビニョン達。そしてヒディアーズを殲滅し、人類を救おうとするレド。それを止めるエイミー。
少年は彼女の望みを闘いという手段でしか叶えられないと思っている。
闘う機械として育った少年。今は魚の美味しさを知っている。焼肉もこの前食べた。酒は苦くて飲めないし、雨は冷たくてなだか気持ち良い。
紛れもなく少年は人間だった。だからエイミーはレドを引き止める。
そして、彼らが向かった先にある、全銀河の争いをひっくり返す真実を少年はまだ知らない。
翠星のガルガンティア (2) (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 三途河ワタル,Production I.G,オケアノス
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/09/07
- メディア: コミック
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