スマイルプリキュア!第37話「れいかの悩み!清き心と清き一票!!」
それは早朝。ここのブログの管理人もまだ起きてない朝7時。
生徒会副会長青木れいかは、校門前の掃除と花壇の水やりを済ませていた。
まだ朝練習のために登校する生徒ぐらいしか目につかない学校で、静かに用事を澄ませたれいかは、生徒達の登校時間に合わせて校門前に生徒会として並んで朝の挨拶をしていた。
れいか「おはようございます。」
「おはよーございまーす。」
みゆき&あかね「「おはよーございます」」
れいか「おはようございます。」
あかね「朝から大変やなぁ…」
れいか「いえ、挨拶をすれば一日が明るく始められますから」
やよい「うん。れいかちゃんに挨拶されると元気でちゃう!」
なお「さすがだね」
れいか「やよいさん、なお…。」
なお「これはやっぱりれいかしかいないよね」
「「「うんうん。」」」
れいか「え? なんの話ですか…?」
みゆき「それはもちろん――――」
そう言うみゆきに合わせて、キャンディはホシデコルをロイヤルクロックにセット。
『Let’s Go!! HO・SHI!!』
中庭に移動した5人。デコルのぱやぱやとした光が一瞬れいかを照らします。ホシデコルの効果でいつの間にか「青木れいか」という自分のたすきをれいかは、肩から下げていました。
みゆき「生徒会長候補、青木れいかさんでーーす!」
「「「いえーーーい!」」」
かしこまったみゆきの司会に合わせて拍手をするあかねとやよいとなお。
れいか「あの…」
なお「もうすぐ生徒会選挙でしょ?」
キャンディ「せんきょってなにクル?」
なお「学校のリーダーを選ぶんだよ」
みゆき「でわ一言どうぞ!!」
れいかに言葉を促すみゆき。ですか、突然の事に戸惑うれいか。
れいか「あの…私……立候補はしません。」
みゆき「キャー!なんと頼もしい一言!!」
あかね「立候補はしませんーーー!!」
れいかの言葉に盛り上がる4人。俄然応援する気満々のようですが……。
「「「「え」」」」
学校行事もひと段落して、生徒会も選挙の時期に。副会長であるれいかを時期会長に推す4人ですが……れいか本人にその気はなく――――。
れいか「私は、生徒会長にふさわしくないと思います……。」
なお「どうして?」
れいか「生徒会長とは、生徒達に“道”を示すべき存在です。しかし私には、示すべき道がわからないのです。」
【僕の前に道は無い。 僕の後ろに道は出来る。】
青木家の家訓でも有り、れいかが目指す道しるべの言葉ですが、以前目標が無い事に思い悩んだ時も、道はこれから自分で切り開けば良い。という未来への想いでその時は解決しました。
れいかにとって生徒会長とは、生徒の見本であるべき存在。道を切り開いてみんなの手本になる自身は、まだれいかにはないみたいですね。
あかね「でもれいかが無理なら、誰にもできへんと思うけど…?」
みゆき「そーだよー」
れいか「せっかくですが……」
れいかの返事に落胆する3人。そんなれいかの気持ちを組んで、なおがフォローに回ります。
なお「みんな、仕方ないよ」
やよい「そうだね、勝手に盛り上がっちゃってごめんね」
れいか「いえ…私の方こそ…。」
人生という冒険は続く。その長い道のりの中で、今自分は立つ場所はどこか。歩いているのか、走っているのか。どれだけの道を歩いて、どれだけの道がその先にあるのか。
先が見えないままの未来に不安を残しつつ、生徒会選挙の日は確実に近づいていました。
スマイルプリキュア!第37話「れいかの悩み!清き心と清き一票!!」
『お呼びですか?生徒会長』
『掃除は終わったかね?』
『はい!』
『ではこのゴミはなんだね?』
『あ、も、申し訳ありません!!!』
『生徒会長!!バスケ部の部費を上げてくれ!!』
『DAMEだ』
『二時から永田町で討論会だったな……』
『屋上にヘリを待たせてあります。』
と。いきなり意味不明な学園なのか政治ものなのかよくわからないドラマに釘付けなバッドエンド王国三幹部。おもいっきり間に受けている様子。
アカオーニ「セイトカイチョウって何者オニ?」
マジョリーナ「学校で一番偉い生徒だわさ」
ウルフルン「ほぅ…。って事は、オレ様が生徒会長になったら……人間共を部下にできるってことか!」
※違います。
アカオーニ「オレ様なら……学校を鬼ヶ島にするオニ!」
※だめです。
マジョリーナ「それじゃ、あたしは……魔法の学校にするだわさ!」
※それなんてホグ○ーツ?????そして、マジョリーナって魔法使ってたかな。
ウルフルン「だがどうすれば生徒会長に?」
マジョリーナ「いいものがあるだわさ!このワッペン、ニンゲンニナ〜ルを着けるだわさ!!」
ローブから取り出した怪しげなワッペンを掲げるマジョリーナ。不気味な光を受けた3人は、なんと人間になってしまいました!(マジョリーナって人間じゃなかったのか。)
人間の姿になって人間界へ。そのままみゆきの学校に堂々と潜入する3人。ウルフルンは、癖のかかった挑発に、自分の顔をデフォルメしたTシャツ。アカオーニは天然パーマに長ラン着込んで赤いシャツとなぜか下駄を履いた昭和スタイル。マジョリーナに至っては時代錯誤すぎるスケバン衣装です。
「オラオラ!邪魔だ!」
「図が高いオニ!」
「道を空けなさい」
犬歯が異様に伸びたヤンキーに、図体が偉く大きい癖に頭が悪そうな番長、そして中学生になりすます気あるのかというくらい厚化粧なスケバン。明らかに奇抜な集団を目にして戸惑う生徒。
「オレたちは転校生だ!」
「生徒会長に立候補してあげる」
「ありがたく思えオニ!」
やよい「なにあれ……?」
異変を察知して早速様子をのぞき見するやよい。
「副会長、あの転校生達が立候補届けを出しましたよ」
れいか「…そうですか。私は学校の事を考えられる方なら、転校生でもいいと思います。」
れいかも気づかぬ裏側で、なぜか怪しまれずにトントン拍子に話が進んでしまいます。ていうかあの三人字が書けたのか……。
「みんな聞けー!オレは生徒会長候補、ウルフ・ルンタローだ!」
早速選挙活動をと、中庭通路の屋根に登って演説するウルフ・ルンタロー。
ルンタロー「オレが会長になったあかつきには、宿題を無くしてやる!!放課後ずーっと遊べるぜ!!」
「「「「おおーーー!!!」」」」
学生にとってはこの上ない魅力的な改革案に、その場にいた生徒はついつい拍手喝采を上げます。
「甘いわ」
ルンタロー「何?」
「フッフッフッフ。」
気づけば、ルンタローの後ろの街頭の上に立っていたマジョリーナ。どうやって登ったのか、中学生をやり通す気があるのか。
「あたしは、マジョウ・リナ。わたしは授業中にお菓子を食べても良い事にするわよー!」
「「「わーーー!!!」」」
今度は女生徒が拍手喝采を上げます。勉強しながらお菓子食べるってそんなに魅力的ですかね…?
リナ「おーーっほっほっほっほっほ!!」
「ぬるいオニ!!」
さらにその向かい側の校舎の屋根に立つアカオーニ。既にこの時点のこの3人は停学処分くらってもおかしくないですね。
アカオーニ「ぬっはっはっはっは!オレ様はアカイ・オニキチ!オレ様は学校にマンガやゲームを持ってきてもいいことにするオニ!!」
「「「うおおおおおおおおお!!!」」」
拍手喝采というか、歓喜する男子生徒。ちなみにここのブログの管理人は、高校時代普通に休み時間に遊戯王やってました。
あかね「おー…。」
なお「めちゃくちゃだね……。」
やよい「まんがーーー!!」
みゆき「お菓子ーーー!!」
あかね「こら二人共!」
欲望に弱い桃黄コンビを静止する2人。
なお「あんな人達だめだよ」
「「だぁって〜〜〜……」」
れいか「お待ちなさい!!生徒会長だからと言って、そのような勝手は許されません!!」
「「「「れいか(ちゃん)!!??」」」」
学校の事を考え、全校生徒の手本となるのが、生徒会長。それを冒涜するかのような3人の演説は、れいかの怒りを買うのに十分の様でした。
ルンタロー「てめぇはプリ……おっといけねぇ。なんなんだてめぇは!!」
くるりと宙返り入れながらの着地でれいかを囲む3人。リナさんとオニキチさんは、3階建ての屋根の高さから飛んだので、もう中学生もくそもありません。
ルンタロー「ジャマすんな」
着地の姿勢のまま、しゃがみこんだ姿勢から思いっきりガン飛ばす不良狼。
れいか「あなた方は間違っていると思います。」
「「「何ぃぃ〜〜〜!?」」」
れいかの言葉に喧嘩腰になる3人。
れいか「先ほどの演説を聞きましたが、この学校の事を本気で考えているとは思いません!あなた方は、生徒会長にふさわしくありません!」
ルンタロー「ぬぁんだと?」
オニキチ「引っ込めオニ!」
リナ「生徒会長でも無い癖に」
れいか「私も、生徒会長に立候補します」
「「「「え??」」」」
突然のれいかの発言に驚く4人。しかし、この3人を止めるにはこれしかありません。
れいか「わたし達の学校が間違った道に進むのを見過ごす訳にはいきません!!」
ルンタロー「んなぁにぃ?」
れいか「私が、正しい道に導きます!!」
ルンタロー「く――!」
オニキチ「目障りオニ!」
リナ「だったら勝負よ!」
ルンタロー「明日からの選挙運動、覚悟しておけ。」
ここで暴れて正体をバラす訳にもいかないので、この場は引いて去っていく3人。
なお「れいか!良く言った!」
みゆき「応援するよ!」
れいか「ありがとうございます。」
・・・・・
そんなわけで、転校生3人組を止めるためにれいかも立候補する事に。早速やよいにポスターを描いてもらい、みゆき達は全面バックアップする形で、れいかの応援をする事に。
「「「「青木れいかをよろしくお願いしまーす!!!」」」」
「頑張ってねー!」
れいか「ありがとうございます。」
ルンタロー「うぉーい!」
れいか「ウルフさん?」
玄関前で挨拶をしているれいか達の前に、ポケットに両手を突っ込んだルンタローが呼びかけます。
ルンタロー「昨日は言いたい事言ってくれたが……そういうお前は会長になって何をする気だ?」
れいか「え」
みゆき「よくぞ聞いてくれました!れいかちゃんどぞ!」
ノリノリでれいかに回すみゆきですが、朝と同じように戸惑うれいか。
れいか「あ、はい。私はこれまでの我が校の良き伝統を受け継ぎ、健全な中学校を目指します。」
「「「「わーーー!!」」」」
れいかの演説に拍手する4人。
ルンタロー「それじゃーわからねぇよ!何をするのかもっと具体的に言え!」
れいか「具体的……。」
みゆき「む…」
なお「あんたはどうなのよ!」
ルンタロー「オレ様は昨日言った通り…宿題廃止だ!!」
いつの間にか用意していた自分の写真の載せたビラをバラまくルンタロー。
「いいぞー!ルンタロー!」
「応援してるぞー!」
「いけいけー!」
れいか「いけません!それでは、皆さんのためになりません!」
こんな事が許されてはいけない。
そもそも宿題とは、その日習った事をすぐに忘れないように覚えるための復習でもある。学校の勉強だけじゃいけない事は、れいか以外のみんなも十分承知ですが、宿題が無くなるという話はまた別。どうしても学校に強制されてやっている感じ、放課後や休日の遊ぶ時間を削られる煩わしいもの、そう考えてついついルンタローの言い分に賛成してしまいます。
「え〜……。」
れいかの言葉は正しい意見ですが、生徒達からは落胆のため息が漏れます。
オニキチ「オレ様はマンガとゲームの持ち込みオーケーオニ!」
「おおぉぉぉーーー!!」
リナ「わたしは授業中にお菓子とケーキ食べ放題よー!!」
「わぁぁーーー!!!」
ルンタローに合わせて自分達のビラをさらにバラまく二人。どれも魅力的なマニフェストで、男子女子共にかなりの人数が賛同している様子。
れいか「いけません!マンガもゲームもお菓子もいけません!!」
それに比べてれいかの言葉には、生徒の誰もが冷ややかな反応。
あかね「あかん、あかんわ……」
ルンタロー「ウルッフッフッフ、勝負あったな。結局てめぇは自分の意見がねぇんだよ、他人の文句を言ってるだけだ」
れいか「そんな事は―――」
なお「れいか!」
反論しようとしたれいかをなおが止めます。今や玄関出入り口で行われていた選挙運動は、学生の自由を尊重しているルンタロー達を止める副会長れいかの図になっていました。
先ほどまで声をかけてくれた生徒も、今は目を逸らして去っていくばかり。
自分の正しいと思っていた道から、信じていた生徒達がどんどん遠ざかっていく。言いようの無い感情に、れいかは戸惑いその場で凍りついたように動けなくなってしまいました…。
・・・
あかね「あかーーーーん!!!このままやったら負けてまうで!」
れいか「ウルフさんの言う通りなんです…。」
みゆき「え?」
場所を移して校舎屋上の庭園に移動した5人。
れいか「私は、示すべき道が無いまま立候補してしまいました……。」
みゆき「れいかちゃん……。」
れいか「やはり私に…生徒会長は…」
なお「そんな事無いって―――」
ルンタローの主張はもっとも。自分のやりたい事が定まらないままでは、人の上に立っても誰もついて来ません。時に意志とは何よりも人を惹きつけ、それが組織である以上絶対的に必要不可欠なものになります。例え、それが間違った意志でも。
やよい「れいかちゃんも、みんなが喜ぶことを考えたら?」
れいか「喜ぶこと?」
あかね「せやせや。とにかく人気取らな勝たれへんで!」
れいか「でも……。でも、単なる人気取りでは、正しい道にはなりません」
なお「それは…そうだけど……。」
放課後、一人弓道場で練習するものの、迷いを立ちきれずに的を絞れず、その日は一度も的に当たらずにれいかは練習を終えました。
れいか「示すべき……道……。」
・・・・・
そうして、選挙当日。この日は、生徒会立候補者が壇上で演説を行い、それを聞いた全校生徒が一人一票、自分が決めた生徒に投票して生徒会役員を決める。との事。
『それではこれより、生徒会選挙の演説を始めたいと思います。それでは候補者の皆さん―――』
ルンタロー「よぉし!オレだぁ!」
意気揚々と立ち上がるルンタロー。
ルンタロー「オレ様は……宿題廃止だあ!!」
「「「「「「おぉーーーーーーーーー!!」」」」」」
予想通り、宿題が苦手な学生にルンタローの口約は大当たり(苦手?)。一気に歓声が上がります。
オニキチ「マンガとゲームやり放題オニ!!」
「「「「「「おぉーーーーーーーーー!!」」」」」」
リナ「お菓子とケーキ食べ放題よ!!」
「「「「「「わぁーーーーーーーーー!!」」」」」」
男子女子共に、かなりの好評を得ている転校生3人衆。
キャンディ「れいかファイトクルーーー!!」
あかね「っしぃーー!!……それにしても……。」
やよい「大丈夫かな…。」
れいかの事は信じているけれど、それは他の生徒には通用しません。確かに、青木れいかという人は、真面目でしっかり者で、勉強もできる素敵な人物です。ですが、学校から宿題を無くす、マンガとゲームやり放題、お菓子とケーキ食べ放題。それは学生にとってはとても魅力的な話です。例え学校で禁止されていて、やっていけないのはわかっている事ですが、いざそれが実現するとなると話は別です。
こうなると生徒の目はそちらばかりに釘付けになり、れいかが蚊帳の外に置かれるのも無理はありませんね。
『最後は、青木れいかさん』
れいか「はい。」
湧き上がった歓声が一瞬沈み、れいかが教卓の前に立つと全員がれいかに視線を向けました。
れいか『 私が示せる道があるとすれば……私が正しいと思える事……。きっと指示してもらえるハズです。 』
れいか「私、青木れいかはこの学校を、清く明るく、美しい学校にしていきたいと思います。清くとは校内の清掃です。明るくは、朝の挨拶運動――――」
なお「頑張れれいか―――。」
れいか「―――美しいは、花壇のお手入れの事です。まず――――」
と、その時、言いかけたれいかのマイクを奪うルンタロー。
ルンタロー「掃除なんてやってられるかー!オレの目指す学校には掃除も勉強もいらねぇぜ!」
むちゃくちゃな話ですが、実際やりたくない。面倒くさいと思う生徒が大半なので、この意見にも大きな拍手が起こります。それはれいかにとっては余りにも残酷な拍手でした。
れいか「清掃は学校だけでなく、心もキレイにする大切なものです!」
ルンタロー「あぁ?はん、面白ぇ。だったらどっちがいいか聞いてみようぜ」
オニキチ「そうオニ!」
れいか「…………わかりました。」
ここでまさかの全校アンケート。壇上から全校に向けてルンタローがマイクを握ります。
ルンタロー「勉強も掃除もしたくない奴らは拍手―――!!!」
ここでも拍手喝采。生徒の反応に焦るみゆき達――――。
ルンタロー「は!さぁ、お前の番だ」
れいか「私と一緒に学校の清掃をしてくれる方は拍手をお願いします。」
れいかの言葉に、まばらに鳴り響く数人の拍手。体育館に虚しく反響するその音は、ルンタロー達が優勢だという事を物語るのには十分でした。
みゆき「あれ……。」
あかね「あかん……。」
すぐに鳴りやんだ小さな拍手。ルンタローは勝利を確信してれいかを見下します。
ルンタロー「ケッ!ほれみろ!」
れいか「そん……な……。どうして――――――……。」
オニキチ「ウハハハハ!プリキュア、カッコ悪いオニ!」
みゆき&やよい「「え?」」
ふと、オニキチの口から、聞き懐かしい言葉が…。
リナ「さぁ、諦めなさい!」
れいか「く――――」
オニキチ「そうオニ!さっさと帰れオニ!」
オニキチとリナも立ち上がってれいかを追い払おうとしますが、ドジなオニキチはマイクのコードに足を引っ掛けてしまい、そのままバランスを崩してリナにもたれ掛かり、そのまま二人共倒れてしまいます。その拍子に胸のワッペンが外れてしまい……。
ぼふん。
アカオーニ「いてててて……」
マジョリーナ「あぁ!?ニンゲンニナ〜ルが外れただわさ!?」
緑の煙に包まれたオニキチとリナは、アカオーニとマジョリーナに戻ってしまいました、
れいか「!?」
なお「マジョリーナ、アカオーニ!!」
みゆき「人間に化けてたの!?」
マジョリーナ「計画が台無しだわさ!」
アカオーニ「え!じゃあセイトカイチョーになれないオニ?」
マジョリーナ「帰るだわさ!!」
姿を見られた途端、瞬時に消えた転校生二人。どよめく生徒達は、最後に残ったルンタローに視線を寄せます。
ルンタロー「あ!てめぇら!!」
れいか「もしかしてあなたも―――!」
ルンタロー「ケッ!バレちゃあ仕方ねぇ」
「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれ!!白紙の未来を黒く塗り潰すのだ!!」
どよめくバッドエンド空間。勉強・学校・宿題・掃除何もかもが嫌になった生徒たちは、皆俯き、絶望します。
バッドエナジーを吸い込む本を掲げつつ、ニンゲンニナ〜ルを外したルンタロー。すると元の姿、ウルフルンに戻ります。
あかね「ウルフルンや!」
ウルフルン「ウルッフッフッフ!人間共の発したバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくのだ!!」
絶望の時計はまた1つ終焉へと進みます。ウルフルンは、エナジーを吸収した本を閉じ、そのまま窓を突き破って外へ。
れいか「お待ちなさい!!」
なお「れいか!」
あかね「変身や!」
れいか「えぇ!」
「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」
「Go!!Go!!Let’s go!!」
「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」
「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」
「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」
「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」
「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」
「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」
ウルフルン「出たなぁ、プリキュア!!出てよ、ハイパーアカンベェ!!」
黒い光に照らされたのは選挙で使う投票箱。投票箱アカンベェに乗り込んでウルフルンが襲いかかります。
『ハイパ〜〜〜アカンベェ〜〜〜!!!』
ハッピー「きゃ!!」
ピース「あう!!」
サニー「うわ!!」
マーチ「ああ!?」
隙も見せずにいきなり攻撃を仕掛けてきたアカンベェに不意を突かれた4人は打ち上げられてそのまま押しつぶされてしまいます。
ビューティ「皆さん!!?」
ウルフルン『次はてめぇだ!!選挙も戦いもお前らの負けだ!!』
連続パンチでビューティを追い詰めようとするウルフルン。その攻撃を必死に受けながらも後退するビューティ。
ビューティ「正しい道を示せば、皆さんもきっと―――――!!」
ウルフルン『笑わせるな!!誰にも賛成してもらえないで何が正しい道だ!!』
ふとみんなが目の前から立ち去っていった昨日の光景が、ビューティの脳裏をかすります。
ビューティ「―――――――!」
そう、誰だって宿題や掃除はやりたくないし、マンガもゲームもお菓子も大好き。やりたい事を好きなだけやる。誰にも怒られず、何にも縛られない。
それはあの時、ジョーカーが見せた“なまけ玉”の世界そのもの。
それがバッドエンドの世界。
『オルアアアアア!!!!』
ビューティ「っああああーーーー!!!!」
一瞬の動きが止まったビューティに、アカンベェのパンチが直撃。そのまま大きく吹き飛ばされてしまいます。
「「「「ビューティ!!!!」」」」
ウルフルン『良い様だぜぇ。』
ビューティ「う……どうして……」
ウルフルン『てめぇの言う事は全部自己満足で押し付けがましいんだよ!おまけにクソ真面目で面白くもねぇ!!』
ビューティ「―――――――」
ウルフルン『てめぇに着いてくるヤツなんているわけねぇだろ!!』
やりたい事だけをやり、やりたくない事はやらない。
それが、みんなの意見。それが、みんなの本音。
そんな事、一度も思った事のないビューティにとっては、その気持ちが一番怖かった。そうやってみんなが自分から遠ざかっていくのか何より怖かった。
みんなとは違う。みんなはもっと、楽に生きたいだけ。自分の道なんて、考えていないのかもしれない。
自分にできることは……何も……。
ハッピー「そんなことない!!!!」
ウルフルン『あぁ?』
ハッピー「たしかにわたし、お掃除も勉強も好きじゃない。」
ウルフルン『あん?ブッハッハッハッハ!わかってんじゃねぇか!!』
ハッピー「でもれいかちゃんは、そんな私にも、掃除や勉強の大切さを教えてくれる!」
ウルフルン『はぁ?』
ピース「そう。ちょっと面倒だなって目を背けちゃうことにも、れいかちゃんは向き合う勇気をくれる!!」
サニー「そらウチかて、宿題無い方が嬉しいわ。でも、何でウチらがれいかを応援するかわかるか?」
ウルフルン『トモダチだからだろ?くっだらねぇ馴れ合いじゃねぇか!!』
サニー「ちゃう!!れいかは学校のみんなの事を一番に考えてるからや!!」
ビューティ「――――!」
マーチ「だから、あたし達はれいかが生徒会長に相応しいと思うんだ!!」
ビューティ「―――――みなさん。」
ウルフルン『だから何だってんだ?他の生徒達はそう思ってねぇじゃねぇか!』
ビューティ「……」
ハッピー「確かに、今はまだ他のみんなにはわかってもらえてない……。どうやったられいかちゃんの気持ちがわかってもらえるのかもわからない。でも……でも!!きっとみんなにもわかってもらえる!!だって、だって、わたし達にはちゃんと、れいかちゃんの気持ちは届いているもん!!!」
ビューティ「―――!」
やりたくない事こそ、大事な事。やりたい事ばかりじゃ人間は生きられない。だからこそ、みんなでやれば、みんなで分かり合えれば、きっと思いは届く。それが必要だって、心のどこかではわかっているから―――――。
ウルフルン『はっ!おめでたいヤツらだぜ』
ハッピー「――――ビューティ……」
ハッピー達の呼びかけに答えるように、静かに立ち上がるビューティ。
ビューティ「皆さん、ありがとうございます。皆さんのおかげで、気持ちを伝えるという事の意味がわかりました!自分の思いが生徒皆さんの心に届くまで、伝え続けます!それが、私の“道“です!!!」
ウルフルン『御託ばっかり並べやがってーーー!!』
突き出されるウルフルンのパンチを躱して、その巨体を打ち上げるビューティ。
ビューティ「はぁぁぁ!!!!!」
ウルフルン「どぉわぁ!!!?」
ビューティ「皆さん!!今です!!」
「「「「「ペガサスよ!!私達に力を!!!!!」」」」」
天まで羽ばたく天馬の翼。白きペガサスは純情の印。その輝きを受けて、5人は純白の衣を纏う。
「“プリキュア・プリンセス・フォーム”!!!!!」
「開け!ロイヤルクロック!!」
奏でるリズムと共にキャンディのひと押しで、時計の針がひとつ、進みます。
「みんなの力を一つにするクル!!」
「届け!!希望の光。」
「はばたけ!!光輝く未来へ!!」
描く星の繋がりは鳳凰の星座に。その聖なる力を宿して。
新たな力、何度でも諦めずに、立ち向かう、不死鳥の燃え上がる力をその翼に。
「“プリキュア・ロイヤル・レインボー・バースト”!!!!!」
『アカンベェ〜〜〜……!?』
「輝け!」
・・・・・・
ウルフルン「くっそまだだ!!」
浄化されたアカンベェの中から飛び出したウルフルン。すると、帰るのかと思いきや、さっき取り外したニンゲンニナ〜ルを再び付けて人間に変身してしまいます。
ウルフルン「どっちが正しいか選挙で勝負だ!」
ビューティ「わかりました。」
サニー「って、帰らんのーーーー!?」
どうやら先ほどの生徒の反応を観て、生徒会長への夢は諦めていない様子です。
・・・・・
記憶が抜けている間にいつの間にかオニキチとリナが消えて不思議そうに戸惑う生徒達が大多数を占める中、生徒会役員選挙は再開されました。
『それでは、青木れいかさんの演説です。よろしくお願いします』
みゆき「れいかちゃん……」
あかね「ファイト!」
キャンディ「クール!」
さっきと同じく、教卓の前で一礼し、そこにいる全生徒を見渡すれいか。
れいか『青木れいかです。私が目指すのは、清く明るく美しい学校です。』
ルンタロー「へ、ムダだムダだ。」
れいか『皆さんは掃除や挨拶などが好きではないかもしれません。中には、苦手な方もいるかもしれません。でも、勇気を出して挨拶を始めてみませんか?一言声をかけるだけで明るい気持ちになれますし、たくさんの人と仲良くなれます。』
『そして、校内の清掃をしましょう。綺麗な学校は気持ちがいいです。お掃除をすると、心が晴れやかになるんです。それから、花壇のお花を育てたいと思います。元気がない時や、何かうまくいかない時、お花は心を癒してくれるんです。そうすればきっと―――――。』
『素敵な友達にも、巡り会えると思うんです。』
れいかの答え。それは素敵な出会いへとみんなを誘う事。自分の正しいと思った道の先に、なおがいて、あかねがいて、やよいがいて、みゆきがいて、キャンディがいて……。そして、色々な事を教えてくれた。色々な思い出を作った。そんな出会いが、れいかの思う1つの道。
れいか『私は、この学校で皆さんと過ごす時間を豊かなものにしたいんです。時に厳しいことや、大変なこともあるかもしれません。ですが、みんなで声をかけ合い、明るく元気に頑張っていれば、とっても楽しい学校生活になると思うんです。私は、そんな学校にしたいと思っています!』
『私の考え方は、少し真面目で退屈かもしれません。でもそれが……私の大切だと思う事です。どうか皆さん、力をかしてください!よろしくお願いします!』
頭を下げて最後に一礼するれいか。
しかし、演説が終わってもルンタロー達の時のように歓声は上がりません。ただただ、体育館には静寂だけが残されていました。
ルンタロー「ウルッフッフッフッフ!だからムダだって言っただろ?」
しかし、ルンタローの意に反して生徒の一人(それもみゆき達じゃない女の子)がれいかに拍手を送ります。
ルンタロー「ん?」
それに合わせて二人、三人、五人、十人とみんな拍手をれいかに送り、それに合わせてその場にいた全員が、れいかの言葉に拍手で返してくれました。
みゆき「わぁ――――」
ルンタロー「なんだ?どうなってんだ?」
ずっと続いた拍手は、青木れいかという少女の道を、正しいと信じていた道を、確かに受け入れてくれた証でした。
そうしてその場の全校生徒で一人一票の投票が行われ、その結果―――――。
『投票の結果が出ましたので発表します。後期生徒会会長は……』
ルンタロー「へ。オレだろ?」
『2年2組、青木れいかさんに決まりました!』
れいか「―――――!」
「「「「やったやったーーー!!」」」」
再び体育館を包む拍手喝采の音。
ルンタロー「ケッ!正気かこいつら……わけわかんねぇぜ!」
最後に捨て台詞を吐いてルンタローは、そのままバッドエンド学校へと戻っていきました。
みゆき「れいかちゃん!」
「「「「おめでとーーーー!!!!」」」」
心配し、そして安堵したみゆき達はれいかに負けないくらい心から笑ってエールを送りました。
れいか「ありがとうございます!!」
そして、それに負けないくらいの笑顔でれいかも笑って返しました。
恋愛、擬人化に続いて次回は幼児化。どうする大きなお友達!!
次回、「ハッスルなお!プリキュアがコドモニナ〜ル!?」
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