【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

妖狐×僕SS 第06話「考えるよりも」

 彼女は不思議な子だった。





 溶け込む日常。その中で彼女は想う。



 それは本能にも似た、直感。本当に、心の底からそうだから。



 だから・・・。





 普段の生活にも徐々に慣れ、カルタや渡狸と共に学校での日常をそれなりに送っている凛々蝶さま。しかし、一旦平穏な日常に慣れてしまえば、意外と危なっかしいカルタの一面に彼女は気づき出す。


「せんせーい。髏々宮(ろろみや)さんがアルコールランプで焼き海苔を炙ってまーす。」


 こ・・・、香ばしっ。


「(僕の事より、彼女が心配だ・・・)」





 第6話「考えるよりも」



 彼女はなんていうか、自然体だ。外から見れば何も考えていないように見える。いや、本当に何も考えていないのか。

 だから他人に対して取り繕ったりしない。だから回りの視線なんか気にしない。

 彼女はやっぱり不思議な子だった。


「いただきます...。」


 彼女は、体育の時間に姿を眩ましたと思ったら数学の時間にそのままの格好でいきなり帰ってきた。そして、その他の視線を一切無視して堂々と早弁を始める。

 そんなカルタを痛い子だと云う視線を反らす渡狸。「オレの方が不良(ワル)だぜ!」「渡狸、座りなさい。」


そして、カルタの早弁という行いの代償は昼休みに返ってきた。


「ふん。お金がないのか?愚かだな。早弁なんかするからだ・・・。ゴソゴソ。これでも食べるか?僕は少し胃の調子が悪いんだ・・・。」


「スキ。ちよちゃん・・・さいしょあったときからやさしいことおもってた・・・。」


 と、カルタは双熾(そうし)に勝らぬとも劣らないドストレートな愛情表現で凛々蝶に抱擁。対してドストレートな愛情表現が苦手な凛々蝶は一気に真っ赤に。ある意味対極な二人ですが、その実どちらも不器用って事ですね。そして、カルタかわいい。

「(君はもっと他人と関わった方がいい。)」

 残夏(ざんげ)の言葉が頭から離れない。そうした方がいいのはもちろん自分でもわかっている。でも、どうやったらいいのかはわからない。そんな不器用な彼女もちょっと不思議な子でした。

 友達を作ろうと云うテーマのアニメを去年見てたけど、色々と残念だったのでここで何か云うのはやめましょう(何か云う気満々だった)。


「ねぇ〜、なんでウサ耳なの〜?」

「人生の遊び人だからさ!」


 色々物思いながら帰り支度をしていると、門の前から聞きなれた声が。というかウサ耳が。

 一応話しかけるも、やはり何かとはぐらかす残夏。好き好んで女子高生とキャッキャウフフしてるところへ混ざりたくは無いのでさっさと挨拶だけして去ろうとするが、渡狸がケンカして保健室にいるらしいとか。早く言えー。

 ちなみに「白いシルク地に繊細なレースを贅沢にあしらったサイドにリボンが付いてる」らしいです。何とは言わんが。



 男の勲章独り占めして絆創膏べったり貼った渡狸。カルタの悪口を言ってる奴がいたらしく、ムッとして後は・・・。渡狸にとっては同じ先祖返りでもあり、そして大事な幼馴染でもあるカルタ。


「あいつはあれでも、ちゃんとわかってるんだ。考えるよりも、もっと深いとこ。そう、きっと本能とかで何が正しいかって事を・・・。そう。あいつはジャングルのヒーロー、ターザンみたいなもんだ。」


「ははっはははっは!!」

「笑うな!」



 お互い妖怪としての力を持った者同士。だけど、その力は時として人を傷つけ、そして純粋な妖怪に狙われる。だから、妖館があり、シークレットサービスがいる。ただ、渡狸は、カルタは、それだけのコミュニティじゃない。芯のところでお互いを理解し合っている。


 遠い先祖が妖怪と交わった。そして、その血は時として色濃く染まって子孫に受け継がれる。先祖返りはただ、始祖と同じ力を持った人間じゃない。始祖が辿った運命、前世、前前世、そのまた前世から辿ってきた人生と、どこか似た運命を持っている。だから、両親の遺伝子は関係無い。先祖返りとして覚醒してしまえば、それは紛れもない始祖の運命を歩む事。そうやって妖怪は繰り返される。例え消滅しようとどこかに現れ、同じ道を辿る。

 はるか昔の始祖の運命、それは時として前世の記憶を受け継いだり、前世と全く同じ姿で生きていたりするのかもしれない。ある種の永遠のループ。だからこそ、先祖返りは孤独であった。


「だからこそ。求め合い、身を寄せ合う二人のおはなし。良くも悪くも、人は他人と関わらずに生きるのは難しいよん。さぁ、ちよたんも、レッツコミュニケーション。」

「本当に、おせっかいだな。君は・・・。」




 妖館に帰ると、お昼のお礼にとカルタから駄菓子を貰う凛々蝶。彼女はあれでいて渡狸が見ている。そして彼女自身も渡狸を見ている。自分を自分として見てくれる人。


 そう思った時、先日の蜻蛉の事を思い出します。双熾が蜻蛉に仕えていたのなら、双熾は蜻蛉と自分の事を最初から知っていた。それなのに、彼はあんなにも自分を想ってくれる。

 それに・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ガラムマサラ・・・15g・・・」


 さて。今度は家庭科の授業です。メニューはカレーだそうですが、几帳面なお嬢様は試験管で0.1g単位で調味料を・・・。これに関してはカルタも「実験か。」と突っ込みを入れます。


「りょうりとは・・・、みきわめ、みさだめることにある・・・!」

「おぉ!」


 本能で生きている(ような)彼女は、やはり食に関しては徹底していた。普段のほんわかした調子を残しつつ俊敏かつ的確な包丁裁きで食材を切り分け、そしてスパイスをブレンドする。忘れていましたが、彼女もシークレットサービスなのです。


「お、おいしい。」

「りょうりとは・・・、みきわめ、みさだめることにある・・・!」

「おぉ!2回言った・・・。」


 出来たカレーを食べてる最中、腕まくりをしているカルタの包帯が目に止まる。聞けば昨日の体育の授業で木に止まって降りれなくなった猫を助けようとしていたみたい。


「(解りづらいだけで、全部にちゃんと理由があるじゃないか。)」


 凛々蝶は一人で心配してましたが、渡狸の言っている通り、カルタは表に出さないだけでちゃんと自分の中で行動してたんですね。因みにもうひとつ。渡狸と同じで気が緩んだりすると妖怪(がしゃどくろ)になるので、なるべく感情表現は抑えているんだとか。



 そして話は凛々蝶の不整脈の話に・・・。彼の事を想うと胸が痛い。そうこれは恋――――。だが、そんな。そんな甘ったるいものなのか、もしかしたらただ単に思春期特有の、えーと、あの・・・。


「そうか!僕は恩人である彼に発情していたのか!?」

「えーーーーー・・・・?」




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 暗闇。それは妖の時間。学校の廊下で実験の後片付けをしていた凛々蝶は、廊下で突如現れた「濡れ女」の奇襲を受ける。



「ふん、やはり濡れ女か。」

 すぐさま凛々蝶も鬼化して対峙するが、後ろからちんまい声が。


「体張るのは男の仕事だ。女子供は下がってn―――キャン!」

「渡狸くん!?」


 戦力外甚だしい助っ人のようですが、たぬきはたぬき。そこは妖怪として狐に負けない化かし合いができるようで、幻術か何か、分身の術で濡れ女を攪乱します。無残にビシバシ叩かれるクローンタヌキが見ていて悲しい・・・。

 しかし、油断した瞬間。濡れ女の尻尾ではじかれ、二人(1人と一匹+α)は窓ガラスを破って外へたたき出されてしまいます。建物は3階くらいの高さで、背中からいったら大怪我です。ですが、いつの間にか一緒にカルタも飛び降り・・・。


『ちよちゃん。わたぬき。おちちゃうよ・・・』

 気づけば巨大ながしゃどくろの手の上に二人はいました。渡狸は分身だけ全部地面に落ちていて、手の平にいたのが本体でした。一見どのたぬきも見分けは付きませんが・・・。


「よく・・・わかったな・・・」

「うん。わかるよ」





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エンディングテーマ
sweets parade」
歌:髏々宮カルタ(花澤香菜
作詞:uRy
作曲:CHI-MEY
編曲:大久保友裕/CHI-MEY
アニプレックス


あいうえ お菓子舌
かきくけ こんなにも
さしすせ ソフトクリーム
五臓六腑で行こう


ショートケーキふわり キャンディーぺろぺろ
チョコレートの川で わたがし雲見た
アイスクリームと プリンのお城で
カスタード渡狸 二人のランデブー

パフェ色サンデー あんこもハッピー
たい焼きにクリーム 小悪魔ドロップ
カップケーキから いちご餡蜜まで
国境なきスイーツ 仲良くなれるよ

ぼんやり夢見てごらん
キャラメルみたいにくっつこう





まみむめ モンブラン
やいゆえ ヨーグルト
らりるれ ロールケーキ
渡狸とkissを

たちつて トルテ来た
なにぬね のり塩
はひふへ ホットパイと
二人でぬくぬく





渡狸の甘みと
渡狸の苦み
渡狸の酸味で
好き好き LOVEコンボ



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「うーん大丈夫。誰も写メなんかは撮ってないみたい。」

「良かった。握りつぶさなければいけないところでしたね。」

「いや〜ん。こわ〜い。・・・若者たちの青春に幸あれってね。」



 しっかり事後処理しているお兄さんたち。双熾が云うと冗談にキコエナイ・・・。


「なかよし。にぎやかいいね」






 次回、ついに凛々蝶が触手責めに!?