タッグフォース日誌その35
◆真実を求める復讐の修羅道、コナミのごとく!〜汚れた復讐者編〜◆
朝起きる。
いつもの真剣な顔をなくした、必死の表情でシェリーがいた。
どうやら昨夜の衝撃は夢ではなかったらしい。話を聞くと石版が降ってきたのだという。イリアステルという組織が何を企んでいるかはわからないが、恐らく関係性はあると見て、シティ郊外にこれから行くらしい。
どうやら、自分はまだ必要とされているらしい。シェリーもセキュリティの件はなかった事にしているようだ。それならそれでいい。結局一番安心しているのは自分だったし、あれが最後の別れというのはやっぱり気持ちのいいものではなかったしな。
狭霧さんから預かったぬいぐるみを渡そうとしたが、話を切り出すタイミングを見計らうが、彼女は俺を急かす。どうやら仲直りはこの騒動が終わった後で、という事にしておこう。
現場にいたのはホセ、ルチアーノ、プラシド。イリアステルの三皇帝。
歴史の修正を理由にシェリーの人生を狂わせた張本人。
ここで、全てを終わらせる。
構えるホセとプラシドに「命を預けるわ」と静かにシェリーが囁く。
預けられたらしょうがない。ちゃんと保管して返さなくては。
頼むぞ、《E・HERO THEシャイニング》。《フルール・ド・シュバリエ》。
しつこく展開する機皇帝をかわしてなんとか勝利。しかし、勝っただけでは気がすまないシェリーはそのままホセに襲い掛かる。
「物理的にダイレクトアタックなんてマナー違反だぜ」
ルチアーノに正論を説かれながらホセの能力でシェリーは身動きできなくなってしまった。そして「Z−ONE」の秘密を奴らは、語り始める。「インフィニティ」を軌道制御するドクター・ルブランが残したものだとカードだと。
そして優秀な彼は知りすぎた。だから殺した。
そして、次は・・・私も。
「さらばだ、女。両親とあの世で仲良く暮らすがいい!」
まぁ、させないよね。横にいるだけのおまけな俺でも。さすがに見てられない。
次元の狭間を制御する装置に「Z−ONE」を挿入しようとするプラシドにカードを投げつける。一度やってみたかったんだよねぇ。こういうの。
「何!?」
「不味い、モーメントが暴走する!?」
そうしてイリアステルの姿は消え、自分たち二人は別の場所に飛ばされてしまう。しまった、彼女を巻き込むつもりはなかったんだが・・・。まぁ、港に無事ワープできたみたいだし、良かった。
「イリアステルにまで偽者のデュエリストと言われて、本当に私には復讐しか残らなくなってしまった・・・」
出すなら今だ。良かった、次元に落としてはいなかったみたいだ。
「私のプルーシュ!わざわざ、見つけてくれたの!?」
そっと差し出すが、彼女は受け取ってくれない。
「私にはそれを受け取る資格は無いわ・・・。イリアステルと同じように、目的のためなら手段を選ばず手を汚してきてしまった私にはもう・・・。」
それでも、いいから。
とりあえず、抱いてみなよと押し付ける。
これから未来に生きればいい。
過去に捉われ過ぎるな。
口を開けばボロボロキザな台詞がこぼれる。
それを彼女は初めて真剣に、聞いてくれた。
「ありがとう。」
今は今。昔は昔だ。
確かに寂しい人生だったかもしれないけど、それが今でも同じとは限らないだろ。
一緒に屋根の下で過ごした中じゃないか―――。
命の危険?街の危機?どんとこい、それで一緒にいられるならいつまでも。
ようやく彼女が笑ってくれた。やっぱり、笑った方が何百倍も美人だ。
「ありがとう。なんだか、今夜からぐっすり眠れそうよ」
そして、最後に恥ずかしそうに彼女は付け足す。
そして彼女は闇に消えた。いや、風の中に消えていったのだ。
復讐は恐らくやめないだろう。それが彼女を根本で突き動かしているからだ。
ならば、自分は、彼女が空っぽになって行き場を失った時、ぐっすり眠れるベッドのひとつでも部屋に常備しておいてやろう。
FIN
こんなに脚色してあっちの人に怒られないかなww