蜘蛛の糸
現象は1つ。
過程は複数。
では、正解はいくつあるか?
あのキザで一度しゃべると止まらない優男なら、真実は常に1つとか、もっともらしいことを言うだろう。
私は残念ながら、あんな捻くれた日の当たり方はしていないので、もう少しシンプルに、しかし巧妙に、こう言うだろう。
正解は無いのダ。と
正解とは定義であり、理論である。
なぜ1+1は2なのか?
なぜ円周率は3.14なのか?
なぜ、人を殺すことが罪なのか。
なぜ、人を真実を解くことが正義なのか。
善悪なんてのも同じことだ。
そんなもの、この地球には存在しない。勝手に人間(私たち)が正しいこと、間違っていることを決めただけ。
もちろん、この定義(法)はヒトが繁栄する上で欠かせないものではあるが、その繁栄に無条件で賛同しなければいけないのは、なかなか癪に障ることだと私は思う。
「正しいことが良いこと。悪いことは間違っている」なんて、それこそ、洗脳に近い。
まぁ、だからと言ってそれがどうだ、という反論を今更起こす気は無いがね。
結局のところ、善行なんてものは、一種の自己満足でしかなく、それが国家という集団組織化されたカテゴリーの中で絶対的なものになっているだけに過ぎない。
そこに縛られたくないからこそ、ヒトは誰もが犯罪者になり得るのだヨ。
あぁ、もったいつけてしまったネ。
今は私は人類史を救う組織の一員だ。求められ、それに応じたのだから、その責任は果たそう。
あの不器用で、誠実で、放っておけない彼(彼女)のためにネ。
まぁ、私もなんだかんだ言って「正義のミカタ」というヤツをやってみたかったんだヨ。
だからこそ、少しだけ、ちょびっとだけ、過去に残した未練が、我がマスターの沁みにならないように。