亜種特異lll [ 屍山血河舞台 下総国 ] 英霊剣豪七番勝負 【第七節 第三歌 パライソ(序)】
カルデアのマスターの意識は、突如として亜種平行世界へと奪われた。
暗闇と魔性が忍び寄る中世の日本に、殺戮の輩に貶められた七騎の「英霊剣豪」が刃向く――
かつての夢で出会った「宮本武蔵」とともに、赤き月の悪夢を斬り祓え。
悪鬼羅刹の七騎が嘲笑う
──見よ、血染めの月が太陽を食い尽くす
激戦から一夜。新免武蔵は、空を見上げていた。
田助にも聞こえるくらいの大げさな溜息をつく武蔵。
ただいま。あ、先に帰ってきたんだね武蔵ちゃん。
荷物を置いたおぬいが武蔵ちゃんから田助を受け取る。
そのまま田助を慣れた手つきで背中に抱える。
武蔵ちゃんは空を見てた?青空が好きなんだっけ
なるほど、それは心強い。もうずっと武蔵ちゃんが一人で戦ってきてたからね。
うん、よろしく。
試すって?それってまさか。。。
まーたそんなこと言って・・・。
うん、すごく芝居がかってるし、そのおかげで野次馬は完全に見世物だと思ってるなこりゃ。
まぁ、武蔵ちゃんもストレス溜まってるみたいだから・・・。
お、意外とノリノリだ。
・・・。大人気なく分身してる・・・。
ぶしゅーっと血しぶきが飛ぶ。しかし、武蔵ちゃんが斬ったのは小太郎ではなく、人の大きさほどの茶色の袋だ。中から真っ赤な液体が吹き出している。
後半はもう本音だろう。それでも、さすが小太郎。一太刀も浴びずに全部さばいたのは凄い。
お疲れ様、小太郎。付き合ってくれてありがとう。
一枚摺り?あぁ、瓦版っていう江戸時代の新聞みたいなアレだね。
清姫を、、害す!?
あぁ、もうそういう印象
むむ。大事になってきた。これはとりあえず士気城に行ってみよう
影がひとつ。ゆらりと闇に揺れた。
何気なく、長刀の剣士はパライソに訪ねた。
衆合地獄の笑う声。不気味に広間に反響する。
血の香りを漂わせて、この日屋敷からパライソは士気城へ向かった。