【FGO】Epic of Remnant 亜種特異点Ⅰ 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【第1節 特異点ランディング】
歪んだ歴史を修復しようとする時、膨大な取りこぼしが発生する。
排斥された狂気が作り上げた脚本。
忘れ去られた世紀末の神話。
かつてない規模の殺人事件が、亜種特異点となって完成する
完全犯罪計画、起動―――――幻霊よ、背徳の街で踊り狂え。
・前回まで
平穏なカルデアに突如鳴り響く緊急警報。それは、カルデアスが新たな特異点の反応を示す警報だった。
ダ・ヴィンチちゃんの話では、ソロモンが聖杯により引き起こした七つの特異点は無事収束したが、人類史が修正するその綻びによって、今歪みが起きやすい状況にあるという。
事態を重く見たカルデアは、国連と政府の許可の元、カルデアに唯一いるマスターである藤丸立香にレイシフトを託した。
画して、新たな特異点――亜種特異点の調査が開始された。
「素晴らしい、世界は破滅に満ちている」
レイシフトの座標は、日本、東京都新宿区代々木2丁目。
ふと、違和感を感じた。同行しているサーヴァントの反応がない。。。。
レイシフト中に後ろは振り返れない。ただ、魔力で繋がっているはずのパスを感じない。
遠くでマシュの声がする。。。。どうやら意識を失っていたらしい。
やけに寒い。冬の新宿に来たのだろうか。
目を開けた。上にも下にも何も無かった。
また空中!?
そういうことかと周りを見回す。真下にはネオン輝くビルディングが並ぶ。高度はおよそ100m。自分以外には誰もいない。
もうだめだ。「新宿出オチ事件」として歴史にその名を・・・
む?
知らない声が背後から聞こえた。
ど、どちらさまー!?
初対面のイギリス紳士風?の男に突如抱きかかえられた。
言っていることがダ・ヴィンチちゃん並に薄っぺらいが、どうやら担いで着地してくれるらしい。
他に助かる術も無いので、その腕にしがみついた。
初老の紳士は、一番手近のビルの屋上にスタン、と着地した。
見た目以上に軽い身のこなし。常人では不可能だ。間違いなくサーヴァントであることだけはわかった。
初老の男は、こっちの体を隅々まで見回した。まるで空港の税関で金属反応が出た時のチェックのようだ。
色々な説明をすっ飛ばして初老の男は堂々と言った。言動からして、こちらがあの座標にやってくるのは把握していたらしい。
そう言って男はビルの眼下に広がる新宿の街を見せた。建物自体は見慣れていると言えなくもない。。。が、知っている新宿とは明らかに違うモノがそこにいた。
自立型のロボット、全身武装した集団。それは、1999年の日本では起こり得なかった光景だ。
男の指差す方向には大きな壁があった。どうやらこの街一帯をぐるりと囲っているようだ。
その様は、獅子王が支配していたキャメロットを思い出す。
その塔は、記録で見た限り存在していない。1999年の新宿には無かったものだ。
根本的な質問を返す。男の口元が若干上がった。
理論立てて言っているが、ようは言いたくないようだ。
で、クラスは?
「らしい」というのは自己発信ではないからか?
何かこう・・・
慣れない男のハイなテンションに任せるまま、とりあえず屋上から街へ降りた。
今すっごい悪い顔してましたよ。
これにはダ・ヴィンチちゃんもお手上げのようだ。
あみ?
言われた通りに三歩下がった。すると、数秒前まで自分がいた場所にワイヤーネットが落ちてきた。いや、落ちてきたというよりは捕獲用に射出された、という方が正しい。
落ち着いている様子からかなり場馴れしているのだろう。それにしても問答無用で襲い掛かってくるような奴らとは・・・。
一緒に戦ってくれると?
闇夜に浮かぶ月。それを背にアーチャーは、棺桶を構えた。
彼は紛れもなくアーチャーだった。だが、その手に持つ武器はどうみても棺桶だ。
棺桶からは弾丸、ミサイル、果てはビームまで発射されている。
ビーム(光線)は今までのサーヴァントの中でも何人か扱えるサーヴァントがいた。
だが、追尾式のミサイルはどう見ても現代兵器だ。
それこそ、アサシンのエミヤのようなかなり近代の人物だということがわかる。
今回の亜種特異点は、悪属性のサーヴァントに絆ボーナスが入るようになっており、通常よりかなり高い数値のポイントをエルことができる。
回収した魔術髄液。アーチャー曰く、魔術特性の無いただの人間の脊髄に打ち込むことで、疑似的に魔術回路を形成し、魔術が扱えるようになるという。(つまり、ただのチンピラでもサーヴァントにダメージを与える可能性がある、ということらしい)
あーはいはい(片手ひらひら)
サーヴァントは普通召喚される姿は、全盛期の姿と決まっている。もちろん、李書文やヴラド三世、エリザとカーミラのように複数の側面を持っている場合は、そのどちらかの時代の姿に変わることはあるが。
サーヴァントとの契約。それは魔術的側面もあり、ひとつ間違えれば命の危険だってある。なおかつ、この男は素性が知れない上にどう見ても悪役側のサーヴァントだ。
そのサーヴァントが求めるもの・・・キャップ?
少なくとも、カルデアの敵ならば自分はレイシフト直後に助けられずに死んでいたはずだ。助けたからには何か理由がある。それが、彼の目的と関係あるとは思うが、もしただ利用されているのならば・・・。
あ、そう。
同意を求められているものの、それがこの男の目的でないことははっきりわかる。
こうして、一旦はこの新宿のアーチャーと行動を共にすることになった。
661-690