【FGO】空の境界/the Garden of Order【マンション入り口の殺人鬼?】
今まで冒険してきたフランス、ローマ、オケアノスとはまるで違う見慣れた風景。
ロンドンよりもまさに近代。いやむしろ現代。
そこは20世紀の東京――――――。
見慣れた街を見慣れない様子ではしゃぐマシュ。カルデアの外を余り知らない少女はが初めて見る現代の外の世界。
マシュの夢がひとつ叶ったところで問題の生命反応の調査に移る。
ロマンの解析では、反応はあるマンションを指していた――――。
周りの風景から一歩はみ出したデザインのマンション。およそ深夜の大都会に佇むマンションからは、異様な光が漏れていた。
と。
ロマンのナビゲートで現場に急ぐ。カルデアから消失したサーヴァントか、それとも――――――。
現場に着くと戦闘は終わっていた。もはや見慣れた虚無のゴースト。それを手元の得物でその女性は真っ二つに切り裂いた。
目の前でゴーストを消した女性がこちらを見る。
外は赤いジャケット、内側はすみれ色の着物という和洋折衷なコーディネイトに包まれた女性は、月明かりを反射させた鈍い色を放つ得物をこちらに向けながら振り向きざまにそうボヤいた。
彼女に話しかける。おおよそサーヴァントとは思えない姿形。英雄と呼ぶには余りにも殺気立った眼。
こちらから話しかけたその時、その瞳が一層殺気立つのを感じた。
さも面倒くさそうに彼女は答えた。真冬の朝の犬の散歩に気が乗らない、そんなテンションで言う。
そういうと彼女は襲う理由も無く襲いかかってきた。
ステータスは殺人鬼?クラスはアサシン。
武器と呼びそうなものは左手に持つ小ナイフだけ。
しかし、この得物がそれはもうよく切れた。
こちらの武器、攻撃、防具、どんな伝説を持つものでも彼女の前ではあっさりと断ち切られた。何でも切り裂くアサシン。それだけで、十分脅威である。
しかし、彼女自身の動きはおおよそ人間の領域を出ない。よく鍛えられた動き、と賞賛できるものの、人理を動かす英雄のそれには及ばない。
彼女に切らせない、その方針で各サーヴァント達は応戦する。
3対1で数に優位だったのも幸いし、戦闘はものの数分で決着した。
いや、彼女のやる気が少し薄れた、と言った方が正解か。
「ぐはぁ」
不自然なくらいさっぱりとした挨拶。こちらにはまるで興味が無いというのが口調から容易に聞き取れた。
しかし、立ち去ろうとする彼女をマシュが引き止める。魔眼のサーヴァント。今回の特異点もどきの異常事態に関わっていることは明白だった。
彼女は言う。魔眼は人の在り方も見分けるのか、マシュがサーヴァントではないという事を見抜いていた。
今は、彼女自身もこの世界ではサーヴァントとして召喚されている。
ロード・エルメロイ2世が諸葛孔明の器で疑似サーヴァントとして召喚されているのに近いのかもしれない。
彼女という存在は別の境界(せかい)に存在しながらも、この特異点もどきの以上を止めるべく人理の輪から特例で派遣された存在。それが彼女であった。
彼女は関係者のようだが、この事件の原因ではない。
彼女自身も恐らく目的は一緒のようだ。
マシュと話していた彼女の視線がこちらに向けられた。殺気・・・は先程よりは薄れているが、憐れむような、冷たい目で睨まれる。
「フォウ」
そんな凍りつく場の雰囲気をかき乱すように、今回もひょっこり一緒に飛んできたフォウが二人の間に入る。
ふと、彼女の視線がフォウに抜けられる。いつの間にか冷気を帯びた視線も、殺気立った眼光もなくなっていた。
それが彼女の名前だった。
物体の運命を断ち切る「死の線」を捉える「直死の魔眼」の使い手。両儀式。
わかっていることは、事件の発端はなんらかの悪意によるもの。
その被害としてカルデアのサーヴァントが関わっていること。
しかし、もしかすると、猫とか好きだったりするのでしょうか。
猫残念。
まだ、何もわからないけれど。とりあえず猫好きなアサシンが仲間になりました。
第一話 マンションの入口の殺人鬼? 完