ナンバーズ89「共闘ダークアストラル 影の巨人への挑戦!!」
遊馬「ここがアリト達のアジトだったのか…」
自らをバリアンズ・ガーディアンだと名乗った真月零に連れられて、遊馬はギラグが住処にしていたとある廃倉庫に来ていた。
真月「あぁ…」
遊馬「―――――あいつら、あれから姿を見せないけど…この世界から逃げたのかな?」
真月「遊馬巡査、口の聞き方に注意したまえ」
遊馬「え゛」
普段と変わらず真月に接しようとする遊馬だが、真月は遊馬と二人だけの場合はバリアンモードになっているらしく、そのせいでえらく上から物を言う態度に変わる。
真月「ワタシは警部で、君は部下なのだから」
遊馬「マ……マジですか……?」
真月「その変わり、頑張り次第ではランクアップし、こんなものが貰える」
そう言うと真月は懐から、紅色にバリアンの紋章が金色で装丁された手帳を取り出して、遊馬に見せた。
真月「これはバリアン警察手帳」
遊馬「うっわ!!かっちょいいいい!!!!」
真月「―――――ところで、アストラルはどうしてる?」
遊馬「あぁ、それがよ、ギラグとのデュエル以来出て来ねぇんだよ。まだ体が元に戻んねぇのかな…?」
真月「そうか……。わかってはいるだろうが、ワタシのことはアストラルにも秘密にするように…」
遊馬「そのことだけどよ…どうもオレ、隠しごとってのがよ……」
真月「これも全て、アストラルのためだ。遊馬巡査」
遊馬「りょ、了解であります!真月警部!!」
・・・・・・王の鍵内部・・・・・・・
アストラル『バリアンの使う強力なモンスター、オーバーハンドレッドナンバーズ……。しかもそれは、「CNo.」に進化する――――。今の我々の力では、次も勝てる確証はない……。どうすれば……。』
数々の戦いを経て遊馬とアストラルが回収したナンバーズは実に50枚。それでもまだ、アストラルの記憶自身は半分しか蘇っておらず、結局自分が何のためにここにいるのか、ナンバーズとはなんなのかは分からずじまいである。
アストラル『―――!?なんだ一体……?』
思い悩むアストラルに答えを伝えようと輝きだすナンバーズカード。
アストラル『ワタシに何かを伝えようとしている……?』
ダーク『クフフフフフ――――――』
自分しかいない鍵の中で、深淵から響き渡るような冷たい笑い声が反響した。
ダーク『アストラル……』
アストラル『お前は―――――――!?』
そこに現れたのは紛れもなくアストラルだった。しかし、姿形は似ていても決してアストラルが見せない嘲笑いを浮かべ、その体を漆黒色に染めたもうひとつの存在。
アストラル『No.96!!!』
ダーク『バリアンの奴らにひどくやられたようだなあ』
アストラル『なぜだ!お前の力は封印したハズ……』
ニヤリとまるでそれが朗報を聞いたかのように口元を歪めるダークアストラル。しかしその姿に存在感はなく、今もアストラルがその体を封印している以上、ここにいるダークアストラルはただの思念体のような存在であった。
ダーク『あぁ……だがお前に復讐したいワケじゃあない。どうだあ?手を拱いているようなら、俺がチカラを貸してやろうか?』
アストラル『お前の力など借りるつもりはない』
ダーク『へへへ、まあいいさ。良いことを教えてやろう。お前は「No.」の真の記憶を取り戻していない。もう一度、耳を傾けて見るんだな。ナンバーズ達に……。』
ダークアストラルは、まるで全てを知っているかのように、思わせぶりな言葉で言った。
ダーク『アストラル、お前が光なら俺は闇。光があれば必ず闇が存在する……。』
アストラル『――――――――。』
それだけ最後に言い残し、ダークアストラルは姿を消した。
・・・・・翌日の学校・・・・・
遊馬「アストラル……おいアストラル」
ギラグ戦以来一向に姿を見せないアストラル。さすがに心配になって鍵を小突く遊馬。
小鳥「ちょっと遊馬何してんのよ?」
遊馬「こいつがあんまし出てこないからちょっと――――――そうだ!!先生、保健室行ってきていいですか!!?」
元気いっぱいな声で遊馬は授業中の教室を中断させた。
・・・・・王の鍵内部・・・・・
アストラル『ワタシが今まで集めた「No.」は50枚……。この中に、ワタシがまだ得ていない記憶が……』
鍵内部の砂漠のような世界に佇む飛行船のモニュメント。歯車で囲まれたカラクリ仕掛けのそのモニュメントには、ナンバーズを宛がうことで動き出す仕掛けがある。
アストラル『これは――――――――――』
突然視界が一転し、世界がガラリと姿を変えた。それは近いようで遠い、どこかの世界。果てしない闇が上下左右に広がる世界で、目の前に現れたのは始まりにしてゼアルへと通じる契約の門だった。
アストラル『ここは―――――?』
『我ハ汝ヲ試ス者』
アストラル『ワタシを―――試す?』
『ナンバーズノ記憶ヲ手ニ入レルノダ。ソノ時全テガ動キ出ス』
アストラル『ナンバーズの記憶…・・・?』
その言葉だけ残し、世界は再び反転して飛行船へ。
アストラル『―――――、今のは……』
我に返ったアストラルは、自分の目の前にいる“何か”に気づいた。
アストラル『な……この者は……』
『ワレハナンジヲタメスモノ。ワレトデュエルヲスルノダ』
そこにいたのは巨人だった。アストラルの10倍近くある巨大な体躯に、全身を鎧で着込み、盾まで備えて兜の下から異様な眼光をアストラルに向けていた。
再び現れたブラック・ミスト、彼が語るアストラルの真の記憶とは。そして皇の門からの試練と突如現れた巨人にアストラルはどう対向する!?巨人の台詞は全部カタカナでいいよね(ビビリ)
第89話「共闘ダークアストラル 影の巨人への挑戦!!」
遊馬「アストラルうううううううううう」
いてもたってもいられない遊馬は何か名案とばかりに思いつき、保健室へ。
真月「ちょっと……何やってるんですか遊馬くん?」
遊馬「だってよぉ、アストラルが鍵から全然出てこねぇんだよー、きっと病気なんだ…。」
ぽつんと保健室のベッドの枕元に遊馬は鍵を患者を寝かせるように置いてみた。鍵の半分にシーツを被せて、さながら療養中といった様子。
小鳥「だからって……」
相変わらずの行動に呆れる小鳥。
遊馬「うおーい!アストラル!!大丈夫か?今薬もらってやるからな!!」(←風邪ひいたことない奴)
小鳥「だーかーらー!」
真月「まぁ小鳥さん、落ち着いて…」
遊馬「な、なんだ!?」
だが、真月がそう言い終わる前に皇の鍵から激しいエネルギーが漏れ出す。それはバチバチと稲光のように部屋中を照らし、気づけば遊馬はその光の中に吸い込まれていった。
小鳥「あれ?遊馬が、遊馬がいない!」
真月「―――――――!」
・・・・・皇の鍵内部・・・・・
遊馬「うおおあああ!!!」
激しい閃光から目を開けた遊馬は、アストラルが目の前にいたことに気づいた。
遊馬「ここは―――――アストラル!!!ってことは、ここは皇の鍵の中……?」
アストラル『そうだ。』
遊馬「なんでオレが……?」
アストラル『彼が君をここに呼んだのだろう。』
遊馬はアストラルが見つめる先に目を合わせ、そこに佇んでいた巨大な人影を目にする。
遊馬「な、なんだアイツは!?」
アストラル『解らない。ナンバーズの記憶を吸収していた時、突然現れた』
遊馬「こいつもバリアン!?」
アストラル『いや、違う。だが……彼とのデュエルは避けられないようだ。』
『ワレハナンジヲタメスモノ』
降り注ぐ雷鳴の中、巨人の声は地の底から吹き出す地鳴りのように響いた。
遊馬「―――――何がなんだかわかんねぇけど、やってやるぜ!!!」
「デュエルディスク、セット!!」
「Dゲイザー、セット!!!」
「「デュエル!!!!」」
『ヌシニハナンジヲツヨクスルカウチクダクカ、ワレノターンドロー!!』
○『《バブル・ブリーダー》ヲショウカン!!』
《バブル・ブリーダー》
☆4/光属性/水族/ATK 0/DEF 0
手札の「バブル・ブリーダー」1体を墓地へ送る事で、このカードは手札から特殊召喚できる。
○「サラニテフダノ《バブル・ブリーダー》ヲボチニオクリ、モウイッタイノ《バブル・ブリーダー》ヲテフダカラトクシュショウカンスル!!」
《バブル・ブリーダー》
☆4/光属性/水族/ATK 0/DEF 0
手札の「バブル・ブリーダー」1体を墓地へ送る事で、このカードは手札から特殊召喚できる。
○「《死者蘇生》ハツドウ!!ボチノ《バブル・ブリーダー》ヲトクシュショウカンスル!」
《死者蘇生》
通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
《バブル・ブリーダー》
☆4/光属性/水族/ATK 0/DEF 0
手札の「バブル・ブリーダー」1体を墓地へ送る事で、このカードは手札から特殊召喚できる。
遊馬「―――――!一気に3体のモンスター!?」
『レベル4ノ《バブル・ブリーダー》3タイデオーバーレイ!!3タイノモンスターデオーバーレイネットワークヲコウチク、エクシーズショウカン!!!』
『《虚構王アンフォームフド・ボイド》!!!!』
《虚構王アンフォームド・ボイド》
ランク4/光属性/悪魔族/ATK 0/DEF 0
レベル4モンスター×3
相手ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上に存在する全てのモンスターエクシーズの攻撃力の合計の数値分、このカードの攻撃力をアップする。このカードの攻撃対象となったモンスターの「破壊されない」効果を無効にする。
遊馬「攻撃力0!?」
アストラル『何かある、気をつけろ。』
○「フィールドマホウ《オーバーレイ・ワールド》ハツドウ!!!マイターンノオワリニ、モンスターエクシーズナキモノニ、500ポイントノダメージヲアタ、ハカイサレタモンスターエクシーズハジョガイサレル!!」
《オーバーレイ・ワールド》
フィールド魔法
エンドフェイズ時にモンスターエクシーズをコントロールしていないプレイヤーは500ポイントダメージを受ける。フィールド上のモンスターエクシーズは魔法・罠・効果モンスターの効果では破壊されない。戦闘によって破壊されたモンスターエクシーズは墓地へは行かずゲームから除外される。
遊馬「モンスターエクシーズ縛りのカードかよ……」
アストラル『遊馬、マズイぞ……』
その時、エンドフェイズに《オーバーレイ・ワールド》の効果が発動する。
頭上から降り注ぐ稲妻が二人を襲う。
遊馬「ぐああああああああああああああああ!!!」
アストラル『あああああああああああああああ!!!』
遊馬LP4000→3500
遊馬「ぐ――――早速効果ダメージかよ。負けてられっか!」
遊馬「オレのターン、ドロー!!」
アストラル『遊馬、全力でいくぞ!!』
●「おう!オレは《ドドドウォリアー》を召喚!!このモンスターは攻撃力を500ポイントダウンさせて、リリースなしで召喚できる!!」
《ドドドウォリアー》
☆6/地属性/戦士族/ATK2300/DEF 900
このカードはリリースなしで召喚できる。この方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は1800になる。また、このカードが攻撃する場合、ダメージステップ終了時まで相手の墓地で発動する効果は無効化される。
遊馬アストラル『「さらに魔法発動!《フォーシング》!!」』
アストラル『手札1枚を墓地に送り、手札のレベル4以下の魔法使い族モンスターを特殊召喚する!!』
《フォーシング》
通常魔法
手札を1枚墓地へ送る事で、手札からレベル4以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚できる。
●「オレは《ガンバランサー》を墓地へ送り、《ガガガマジシャン》を特殊召喚!!」
《ガガガマジシャン》
☆4/闇属性/魔法使い族/ATK1500/DEF1000
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動する事ができる。エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルとなる。
(※アニメ効果)
●『さらに魔法カード《死者蘇生》発動!!』
《死者蘇生》
通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
●「オレは墓地からコイツを蘇らせる!!来い、《ガンバランサー》!!!」
《ガンバランサー》
☆5/光属性/戦士族/ATK1000/DEF2000
このカードをエクシーズ素材とする場合、1体で2体分の素材とする事ができる。
●『《ガンバランサー》は1体で2体分のエクシーズ素材できる!』
遊馬「おう!オレは2体分となった《ガンバランサー》でオーバーレイ!!」
「2体分のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」
「現れろ《No.61 ヴォルカザウルス》!!!!」
《No.61 ヴォルカザウルス》
ランク5/炎属性/恐竜族/ATK2500/DEF1000
レベル5モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する事ができる。相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊し、その攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
(※アニメ効果)
アストラル『よし遊馬、もう一体のナンバーズを召喚だ!!』
●「おぉ!《ガガガマジシャン》の効果発動!!レベルを4から6に変える!!」
《ガガガマジシャン》
☆4→6
「オレはレベル6の《ドドドウォリアー》と《ガガガマジシャン》でオーバーレイ!!」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」
「現れろ!!《No.6 先史遺産アトランタル》!!!!」
《No.6 先史遺産アトランタル》
ランク6/光属性/機械族・エクシーズ/ATK2600/DEF3000
レベル6モンスター×2
このカードは「No.」と名のつくモンスターとの戦闘以外では破壊されない。このカードがエクシーズ召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「No.」と名のつくモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。相手ライフを半分にする。自分のターンのスタンバイフェイズ時にこのカードのエクシーズ素材が0の場合、お互いのプレイヤーのライフポイントは半分になる。この効果で自分のライフポイントが1000以下になった場合、このカードは戦闘では破壊されず、自分への戦闘ダメージは0になる。
(※アニメ効果)
遊馬「へへ、すげぇぜこの大量展開。」
アストラル『遊馬、一気にケリを付けるぞ!』
●「おう!!オレはアトランタルの効果発動!!オーバーレイユニットを1つ使って、1ターンに1度、相手ライフを半分にする!!!」
「いっけぇアトランタル!!!“オリハルコン・ゲート”!!!」
『ググオオオ!!!』
巨人LP4000→2000
遊馬「よっしゃあ!奴に大ダメージだ!後はオレ達のナンバーズで攻撃すれば……」
○「アンフォームド・ボイドの効果発動!!相手ターンに一度、オーバーレイユニットを1つ使い、相手のモンスターエクシーズの攻撃力の合計を、このモンスターの攻撃力に加算する!!」
木の根がだらりと中空に垂れ下がったように見えるそのフォルム。幹の瘤のような部分は巨大な眼となり、根に実っていた果実は赤い眼光に変わる。それらはゆっくりと伸びてひとつひとつが眼として機能し、じーっと遊馬のナンバーズを見据えたあと、アトランタルとヴォルカザウルスの姿をコピーして自身の場に展開した。
《虚構王アンフォームド・ボイド》
ATK0→2500+2600=5100
遊馬「攻撃力5100!?」
アストラル『ワタシ達のモンスターの攻撃力を…!?』
遊馬「な、なんて奴だ……だがこのデュエルはもうオレ達の勝ちだ!」
●「ヴォルカザウルスの効果発動!!オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!!」
「“マグマックス”!!!!」
遊馬「これで終わりだ!」
アストラル『――――――――――いや』
霧散する火山弾。モンスターエクシーズ屈指の除去効果は、アンフォームド・ボイドの前で霧状に消滅した。
遊馬「な、なんで奴のモンスターを破壊できないんだ!?」
○『フィールドマホウ《オーバーレイ・ワールド》。タガイノモンスターエクシーズハ、マジック・トラップ・モンスターコウカデハ、ハカイサレナイ!!』
●「そんな効果が……オレはこれでターンエンドだ!」
『ワレノターン、ドロー!!』
○『アンフォームド・ボイドデ、アトランタルヲ、コウゲキ!!』
アストラル『アトランタルはナンバーズだ!破壊はされない!』
遊馬「そうだ!」
●『―――アンフォームド・ボイドガ、コウゲキスルトキ、ハカイムコウコウカヲ、ムコウニスル!!』
アストラル『バカな!?』
遊馬「―――――っじゃあ、アトランタルは―――!?」
最強の布陣を揃えた遊馬。1ターンで決着を付けるのは容易だったハズ。だが、それをたった1体のモンスターがひっくり返した。
遊馬「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!」
アストラル『がああああああああああああああああああああ!!!』
遊馬LP3500→1000
激しい超過ダメージとナンバーズが破壊された衝撃で吹き飛ぶ二人。
遊馬「くっそ、コイツ無茶苦茶強ぇ」
アストラル『このモンスターを倒すには……』
ダーク『クフフフフフ……。』
アストラルの頭に一瞬過ぎった影。今あるカードで対向できるカードを思い浮かべ、しかしそれは考えないようにしていた。
闇が明確な形となって再び二人の前に現れた。
遊馬「お前は――――――!?」
ダーク『随分と面白いことになってるじゃねぇか。遊馬、アストラル』
不気味な笑みを浮かべて、アストラルとそっくりな影は、心底嬉しそうに顔を上げた。
遊馬「“No.96”!?なんでコイツが……」
ダーク『アストラル、あの敵はお前がナンバーズを持つに相応しいデュエリストなのかを試す存在のようだ』
アストラル『なんだと?』
遊馬「アストラルを試す!?なんでそんな奴が……」
ダーク『アストラル、気づいているんだろ?アイツは俺のチカラが無ければ倒せない。』
遊馬「そんな……本当なのかよ……!」
ダーク『俺にはお前に無いチカラがある。悪意、憎悪、怒り、悪の心がなあ!』
遊馬「ふざんけんな!なんでそんなもんが必要なんだよ!!」
ダーク『さあな。―――ッハッハッハッハ!』
遊馬「――――――く」
ダーク『アストラル、俺を解放するならチカラを貸してやってもイイんだぜえ?ここは人間の世界じゃねえ。もし負ければ、遊馬はどうなっちまうんだろうなあ?』
遊馬「聞くなアストラル!悪の心なんていらねぇんだ!」
遊馬「オレのターン、ドロー!!」
●「オレはモンスターを裏守備表示でセット!!」
●「そして、ヴォルカザウルスを守備表示に変更する!!」
○「アンフォームド・ボイドノコウカハツドウ!!オーバーレイユニットヲ、1ツツカイ、アイテフィールドニイル、モンスターエクシーズノコウゲキリョクヲ、コノモンスターニクワエル!!」
遊馬「またあの効果を―――――!」
《虚構王アンフォームド・ボイド》
ATK5100→7600
遊馬「攻撃力7600!?」
アストラル『遊馬、カードを伏せろ!!』
●「オレはカードを1枚伏せてターンエンド!」
『ワレノターン、ドロー!!』
○『アンフォームド・ボイドデ、ヴォルカザウルスヲコウゲキ!!!』
遊馬「やべぇ……ぐ――――――!」
『ワレハコレデ、ターンエンド!』
アストラル『これで、モンスターエクシーズのいなくなった我々はまた再びフィールド魔法の効果を―――――!?』
遊馬「ぐああああああああああああああああ!!!!」
遊馬LP1000→500
アストラル『く……次が我々に残されたラストターン……。もし、モンスターエクシーズを呼び出せなければフィールド魔法の効果でライフが尽きる……。しかし、モンスターエクシーズを召喚すれば……このままでは我々は敗ける―――――!!』
遊馬「ぐ―――――くっそ……」
人間界でのARビジョンのデュエルとは違い、この世界では遊馬自身も消滅してしまうかもしれない。既に点滅が始まり希薄になりだした自分の体と遊馬を見つめ、アストラルは覚悟を決めた。
アストラル『遊馬……。』
アストラル『わかった!“No.96”!!!キミを解放する!!』
遊馬「なに!!おい!!アストラルお前!!」
アストラル『ナンバーズ96、力を貸してもらうぞ!!』
ダーク『ヒャハハハハハハハハハハ!!!!』
遊馬「バカ野郎!!何であんな奴の力を!!」
ずっと飛行船の中で封印されていた「96」。他のナンバーズとは異質である彼は自らの意志を持ち、アストラルと全く同じ姿をしている。しかし、その存在から何から全てが真逆であり、悪の魂を持つ闇のカードである。
ダーク『約束通りお前達を勝たせてやる。さぁ、俺の分身を召喚しろ!!遊馬あ!!』
遊馬「――――てめぇ…!」
アストラル『遊馬!!今はデュエルに勝つことだ!』
遊馬「――――――……。」
ダーク『…。』
遊馬「オレのターン……、ドロー!」
●「オレはフィールドのモンスターを反転召喚!!来い、《マジカル・アンダーテイカー》!!!」
《マジカル・アンダーテイカー》
☆2/闇属性/魔法使い族/ATK 400/DEF 400
リバース:自分の墓地からレベル4以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚できる。
●「そしてオレは、《マジカル・アンダーテイカー》のリバース効果発動!!墓地にいるレベル4以下の魔法使い族モンスターを特殊召喚する!!蘇れ!《ガガガマジシャン》!!」
●「さらにオレのフィールドに闇属性モンスターがいる時、手札からコイツを特殊召喚できる!!来い《クロクロ−クロウ》!!!」
《クロクロ−クロウ》
☆2/闇属性/鳥獣族/ATK 900/DEFXXXX
自分フィールド上に闇属性モンスターが存在する場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。
●「《ガガガマジシャン》の効果発動!!レベルを4から2に変更!!」
《ガガガマジシャン》
☆4→2
ダーク『やればできるじゃねぇかあ遊馬くんよお!!』
遊馬「−!」
アストラル『遊馬!』
遊馬「わかってる!!オレはレベル2の《マジカル・アンダーテイカー》《クロクロ−クロウ》《ガガガマジシャン》でオーバーレイ!!!」
「3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」
「現れろ!!《No.96 ブラック・ミスト》!!!」
《No.96 ブラック・ミスト》
ランク2/闇属性/悪魔族・エクシーズ/ATK 100/DEF 1000
闇属性レベル2モンスター×3
このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。その相手攻撃モンスター1体の攻撃力は半分となり、その数値分だけこのカードの攻撃力はアップする。
ダーク『ッヒャハハハハハハハハハハ!!!!真打ち登場だぜえ!!!さぁ!!全部ぶっ潰してやる!!!』
●『ブラック・ミスト!!アンフォームド・ボイドを攻撃!!!』
●『この瞬間、ブラック・ミストの効果発動!!!オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスター1体の攻撃力を半分にして、その分このモンスターの攻撃力をアップする!!!』
「“シャドー・ゲイン”!!!!」
《虚構王アンフォームド・ボイド》
ATK7600→3800
《No.96 ブラック・ミスト》
ATK 100→3900
アストラル『今だ遊馬!罠カードだ!!』
●「罠発動!!《バトル・リスタート》!!!このカードは、バトルが開始された時、そのバトルを始めに戻す!!!」
《バトル・リスタート》
通常罠
モンスターとの戦闘中に発動できる。この戦闘では、お互いのモンスターは破壊されず、プレイヤーへの戦闘ダメージは0になる。また、この戦闘の攻撃モンスターは、このターンのバトルフェイズ中に、もう1度だけ攻撃できる。
●「この瞬間!再びブラック・ミストの効果発動!!オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスターの攻撃力を半分にし、このモンスターに加える!!!」
「“シャドー・ゲイン”!!!!!」
《虚構王アンフォームド・ボイド》
ATK3800→1900
《No.96 ブラック・ミスト》
ATK3900→5800
ダーク『ヒャハハ!!これでヤツをブチのめせるぜ!!!わかったかいアストラル?お前には俺の力が必要なんだ…。悪の力がな……。』
●「さぁいけ!!ブラック・ミスト!!アンフォームド・ボイドを攻撃!!!」
「“ブラック・ミラージュ・ウィップ”!!!!」
『グウウウウウウウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアアアアア』
巨人LP2000→0
・・・・・□□□・・・・・
ブラック・ミストの攻撃によって激しい爆風が辺りを包んだ。
遊馬「――――――――これは……!?」
しかし、爆風が収まると遊馬の目の前にあったのは、アストラルと出会うきっかけになった場所でもある門の目の前だった。
遊馬「夢の中に出てきた……」
『思イ出セ、アストラル。オ前ノ使命ヲ……』
どこかで聞いたことがあるようなその声を聞いた時、遊馬は自分がアストラルの記憶の中にいるのだと気づいた。
アストラル『恐らくここはあの扉が見せているワタシの記憶への道。』
そこはまるで、宇宙空間に虹色のパイプを引いてその中をひたすら進んでいるような感覚。
アストラル『この先に…ワタシの真の記憶が……』
遊馬「真の記憶……」
通路は行き止まりを抜けてその先へ。水面の波紋が永遠と響くような不思議な空間。そこで、アストラルと遊馬はある光を見た。
アストラル『そうか、そうだった!思い出したよ、遊馬。』
アストラル『“これ”は世界の全てを記したカード、このカードの中には世界がどうやってできたのか、そしてどこへ向かうのか、その過去と未来が全て記されている。』
遊馬「ちょ、ちょっと待ってくれよ!一体何を――――?」
二人の間に浮かび上がった未知の輝き。
ある者は言った。全ては1つのカードから始まったと。
ある者は言った。未来はカードの進化で滅んだと。
世界を生み出したのも、育んだのもカードなら、それを衰退し、破滅させるのもまたカード。
アストラル『このカードはあらゆる世界の運命を全て決める力がある。君には信じられないかもしれないが、世界はたった1枚のカードから生まれた。全ての世界を創り上げた“神のカード”それが「ヌメロンコード」』
遊馬「ヌメロンコード?」
アストラル『ワタシがまだ手に入れてないナンバーズに、その在り処が記されている。ワタシの使命は、バリアンより先にこのカードを手に入れること…。』
・・・・・・・・・・
気がつくと遊馬は病室に戻っていた。
小鳥「あ。」
遊馬「小鳥?」
小鳥「遊馬!」
真月「無事だったんですね!」
小鳥「アストラル!」
遊馬のとなりには、今までと同じようにふわりとアストラルが浮かんでいた。
アストラル『――――!?』
そして、それと同じく、鍵の中から浮かび上がる闇の渦。
ダーク『約束通り解放させてもらう。覚えておけよアストラル、お前には必ず悪を必要とする未来が待っているってことを……』
それだけ言い残し、黒い霧と共にダークアストラルは姿を消した。
小鳥「一体なんだったの……今の?」
・・・・・・・・・
小鳥「それじゃあ、王の鍵の中でデュエルを?」
遊馬「あぁ。さっきのは「“No.96”」王の鍵の飛行船の中から逃げ出したんだ。それにオレ、見たんだ。アストラルの記憶の中で、ヌメロンコードを―――――」
真月「―――――――」
小鳥「ヌメロンコード?それって一体……」
アストラル『(“No.96”が言っていた言葉。悪を必要とする未来……そんなものがワタシに―――――本当に……。)』
バリアンより先に見つけないといけない「ヌメロンコード」。ギラグ達がナンバーズを狙うのは、ヌメロンコードの在り処の記憶が必要だからか。
バリアンが狙っているということは、あるいは真月も……。
次回はメカとメカの禁断の愛?
次回「オボミ奪還作戦!?恋スルオイラハ無敵デアリマス」
オービタルの台詞の文字表記って漢字+カタカナであってたのか(漫画版参照)。