スマイルプリキュア!第33話「映画村で時代劇でござる!?の巻!」
あるところに、一人の女がいました。名はみずき、とここでは仮に申しておきましょう。
みずきは、銭を稼ぐためにしばらく前から都で団子屋の売り子をしていました。
ある日、久しぶりにおっかさんの顔が見たくなり、みずきは故郷の里へ丸二晩かけて帰りました。
土産をまるまる抱えてみずきは、懐かしい山里の空気を感じていると、みずきは丘から自分の故郷を見て驚きました。
見慣れたはずのみずきの集落から幾つもの煙が上がっているではありませんか。
慌ててみずきは自分へ家へ向かいますが、既に人影はありません。それどころか、鳥の頭をしたヒトがあちこちをうろうろしているではありませんか。
みずきは怖くなって逃げ出しました。ですが、かける姿を鳥男に見つかってしまいます。
「待てぇ!!!」
鳥男達はみずきを捕まえようとこちらに向かってきます。急いでかけるもみずきは石につまづき、足を取られてその場に倒れてしまいます。
「もう逃げられねぇぜ」
すると鳥頭の男達は腰の刀を抜き、その鈍く輝く光沢をみずきに向けます。
みずき「あぁ―――――!!」
「覚悟―――――!!!」
鳥頭が刀を真上まで持ち上げたところで、みずきは両目を閉じました。これで自分も終わりが来たのだと。そう覚悟したその時―――――。
みゆき「待っちなさーーーい!!」
そこに現れたのは、異国の服を来た少女でした。すると少女は、異国の小さな化粧箱のようなものを取り出して、鳥頭の前にかざします。
「プリキュア・スマイル・チャー…」
助監督「カッーート!!カットカット!!」
みゆき「ふぇ?」
助監督「誰だい君は、見学者かな?」
あかね「みゆき―――!?」
みゆき「はっ―――!」
烏天狗「だめだよー」
鳥の頭をすっと取った役者さん達。走って転んだ女の人も立ち上がって少し困ったような表情です。
助監督「本番中だよ」
あかね「何してんねん……。」
メガホンを持った若い男が、呆れたようにみゆきに注意します。事態をようやく飲み込んだみゆきは、その場の人に謝っていそいそとあかね達の元へ戻ります。
あかね「みゆき、頼むで…」
みゆき「ご……ごめん」
やよい「でも―――、映画の撮影ってすごく楽しそう!」
みゆき「うんうん、わたしも映画に出てみたいなーーー」
やってきたのは映画村。時代劇の舞台に整備されたその村でっは、様々な時代劇の映画・ドラマが撮影されていた。
今日はそんな映画村でみゆき達のドキドキ時代劇が始まったり、始まらなかったり―――なおはなし。
みゆき「 わたし達は時代劇映画村に映画撮影の見学に来ました。ポップも一緒です。 」
ポップ「おぉー!!」
村のあちこちでは、テレビで見た事のある平屋続きの建物、着物や袴を着た人。そして、刀を振り合う侍の姿が見られます。
ポップ「これが噂の侍映画でござるかーー」
映画村の記念館で、今撮影している映画、「妖怪オールスターズDX」というちょっと意味深な映画のポスターを見つめるポップ。
なお「侍じゃなくて、妖怪映画。」
やよい「女忍者くノ一が、妖怪を倒すところがすっごくカッコ良いんだーーー!!」
キラキラと目を輝かせながらみゆきに熱弁するやよい。悪と戦う正義のヒーローはやよいが大好きなジャンルですもんね。
あかね「ところでポップ―、メルヘンランド帰らんでええの?」
ポップ「侍映画と聞いて、参加せぬようでは末代までの恥でござる」
あかね「なんやそれ?ていうか、参加はせぇへんで〜」
みゆき『見つけたぞ〜〜!くノ一〜〜〜!クモクモクモ〜〜〜』
やよい『出たな〜〜!!妖怪ジョロウグモ!!成敗致す!』
みゆき『クモクモクモ〜〜!!』
「あん?」
あかね『ジョロウグモ!!』
なお『やよいちゃんを〜〜』
『『離せ〜〜〜!!』』
急に始まったくノ一ごっこ。はしゃぐ4人を微笑ましく見つめているれいかですが、それをさらに別の視線が捉えていました。
助監督「どうしました?監督」
監督「おほおおおぉぉぉ!!煌めいたあああ!!」
すると、監督と呼ばれた小太りの男は、みゆき達の下まで走って来ていきなり声をかけてきました。
監督「君たちぃ!!映画に出てみないか??」
みゆき「え?」
なお「映画に―――?」
ギラリとサングラスの下の眼光がみゆき達に注がれます。呆気に取られるみゆき達ですが―――。
ポップ「おぉぉぉぉ!!」
「「「「「えええええええええええええ!!!??」」」」」
さてさて始まる妖怪映画。撮影所ではなんとみゆき達も参加してさぁ大変!!
第33話「映画村で時代劇でござる!?の巻!」
みゆき「着替え終わりましたー」
監督「おぉ!?町娘似合うよ君ぃ!!」
赤毛の町娘がいるかどうかは置いておいて、監督にベタ褒めされて思わず照れるみゆき。上手にまとまった着物は、夏祭りの浴衣とはまた違った艶やかさを醸し出していますね。
監督「急なお願いですまないねぇ!君達を見ていたら新しいアイディアが浮かんでねぇ!」
みゆき「いいえ〜、映画に出られるなんてウルトラハッピーですぅ」
やよい「見てみて!お団子屋さんの看板娘!」
みゆき「可愛い〜〜!」
きちっと締まった前掛けにお盆を抱えて、やよいも衣裳室から出てきました。
れいか「あの〜〜〜、私がお姫様なんて………。」
と、やよいの後ろからキラキラしたオーラを輝かせてれいかが出てきました。すらっとした体躯に幾重にも重なった羽織と、それを彩る髪飾りがさも本当のお姫様であるかのように、れいかを見せていました。さすが名門青木家です。
「「はわわわわわわ〜〜〜〜」」
れいか「大役過ぎるかと……」
やよい「お姫様見つけちゃったーーー!!!」
みゆき「キレ〜〜〜〜」
あかね「キヒヒ」
みゆき「うわ!!何者!?」
その後ろからのそっと現れたのは、全身オレンジと赤の縞模様に8本の腕を背中に生やしたあかねでした。
あかね「ウチの名前は妖怪ジョロウグモ……って何でウチだけ悪役やねーーーん!!!」
なお「くノ一なお参上!!直球――――勝負だ!!」
ビシっと今度はなおが決めます。ですが、見事に隠密行動とか向いてなさそうです。
みゆき「なおちゃんカッコ良い〜〜〜!!」
あかね「あれ…?ウチは?」
監督「みんな良く似合ってるよ〜〜〜。じゃあ後ほどねー、ヨロシク!」
「「「「「は〜〜い!!」」」」」
「皆の衆。」
みゆき「え―――――。誰ですか?」
みゆきに後ろから呼びかけたのは、袴を着こなした阪口ヴォイスの小柄な少年でした。
ポップ「風の吹くまま、気の向くまま――――。拙者の名は、風来坊ポップ!!」
あかね「えぇ!!」
なお「人間にも化けられるんだ!?」
やよい「カッコイイーー!!」
キャンディ「おにいちゃん、カッコイイクルーー!!」
ポップ「いや〜〜、それほどでも―――――あるでござるよ」
キラリとドヤ顔のポップ。前々から変化するのはポップの特技でしたが、人間にも化けられるみたいです。これはキャンディにもその内できるのかな(できたらおジャ魔女のハナちゃんになるな…)。
ポップ「拙者もお供するでござる」
なお「えぇ――?」
ポップ「時代劇とは剣に生きる男のドラマ――――。拙者の生き様、ご覧あれ!!でござる!!」
あかね「たぶん、そういう映画ちゃうねんけど……。」
・・・・・
場所は変わって撮影現場。
ポップ「監督殿〜〜!!」
監督「あん?」
ポップ「拙者にも出番を作ってほしいでござる。」
監督「うおぉぉあぁぁ!!?」
すると監督は、いきなり現れた袴にくるんとした動物耳と尻尾の少年(しかもござる口調)に驚愕。
監督「君……可愛いね!!」
ポップ「ム―――!拙者は男……可愛いなどとは、無礼でござる!!」
そして、決め台詞を言う旅に現れる日本海の荒波。自分から声をかけながら、いきなりキレ出した少年の姿に、監督のスイッチが入りました。
監督「本番もその意気で頼むよー!男らしさがいいねぇーー」
ポップ「いやーー、それほどでも―――――あるでござる☆」
みゆき「あっはは……。」
あかね「なんや、今日はいつもとちゃうな。」
キャンディ「キャンディも映画に出たいクル!!」
監督「ちょっと!!さっきからずっと気になってたんだが、これは何だね?」
ついに勝手に流暢にしゃべるぬいぐるみの存在に気づいてしまった監督。さすが、業界の人となれば観察眼は鋭いですね。
みゆき「え〜〜っと……これはただのぬいぐるみで……」
いつものように誤魔化すみゆき。
監督「いいねぇ。人間に味方する妖怪って事で出演してもらおう。」
みゆき「えぇ!?」
キャンディ「キャンディはよーかいじゃなくてよーせいクル!!」
「「「「「うわわわわわ!!!」」」」」
慌ててキャンディを隠す5人。しかし、そんな様子は監督には写ってないのか、何事もなかったように話を進めます。
監督「よぉーーーし、役者は揃った!!行ってみよーーー!!」
・・・
助監督「では、『団子屋に逃げてきたお姫様が女郎蜘蛛に襲われてくノ一登場のシーン』です!!」
念入りな打ち合わせの中、ついに本番が始まります。
「本番いきまーす!!」
あかね「は!?練習は?」
なお「ぶっつけ本番で撮る監督らしいよ?」
あかね「大丈夫かいな……。あの監督…。」
不慣れな格好で何度も読み返した台本を握るあかね。意外と人前とか、こういう公の場は苦手みたいです。
「よおおおい!!スタッッッ!!!」
カチンコの音と共にカメラが回ります。それを合図に、みゆきは台本通り、手に持っている団子を口に頬張ります。
町娘「あむ。」
団子屋の娘「お客さん、お口に合いますか?」
町娘「美味しい!ウルトラハッピー!!」
あかね「時代劇なのに…何で英語やねん…。」
助監督「止めます?」
慌てて監督の顔色を伺う助監督。
監督「いやオモシロイよ。続けて」
姫「誰か〜〜〜。誰か助けて下さい。」
団子屋の娘「どうしたの?れいかちゃん」
姫「魑魅魍魎に追われているんです」
町娘「チミモウリョウ?」
団子屋の娘「ナニソレ?」
いまいち緊張感が無いままに撮影は進み、突如空から糸(縄)が垂れ下がり、あかねがそこを伝って逆さまに降りてきました。
ジョロウグモ「ケケケケケ。オ姫サン、渡シテ貰ウデ〜〜」
団子屋の娘「何で関西弁なの?」
町娘「関西出身なのかな……」
助監督「そんな台詞台本には―――!!」
監督「イイネイイネ、続けて〜〜!!」
焦る助監督。何かが見えてるらしい監督。
忍者「待ちな!!」
ジョロウグモ「ん?」
忍者「くノ一参上!!姫は私が護る!!」
ジョロウグモ「ナニ!?」
忍者「直球勝負だ!!」
ジョロウグモ「望ムトコロヤ!!」
そう言ってなおは、どこからかマリを取り出して、それをサッカーボールに見た立てて強烈なキックを入れます。
「“くノ一シュート”!!!」
「“女郎蜘蛛ファイアー”!!!」
それをバレーのアタックで返すあかね。謎の戦いは因縁の二つの球技によって争われていた。
町娘「頑張れ〜〜!!」
助監督「なんだこりゃ…」
監督「盛り上がってきたぞーーー!!!」
スタッフ「「「「「「「「「「えぇ!!??」」」」」」」」」」」
忍者「っは―――!?」
謎の攻防戦は、スカっとなおが空振りし、マリがなおの後ろでコロコロ転がった後、決着となりました。
忍者「負けた……。」
ジョロウグモ「ヒヒヒ。ホンナラ姫サン貰ッテクデー」
姫「あ〜〜れ〜〜……」
侍「待たれい!!」
ジョロウグモ「誰ヤ!?」
姫が女郎蜘蛛の毒牙にかかろうというその時、一人の侍がどこからともなくそこに立っていました。
侍「風の吹くまま、気の向くまま、人呼んで風来坊ポップ!参上でござる!!」
監督「キタキタッーーーー!!!」
なぜかこの展開で熱くなる監督。
町娘「よ!待ってましたー!」
人間に味方する妖怪「おにいちゃんカッコイイクル!!」
烏天狗「俺の出番は?」
助監督「か〜〜んと〜〜く!!!」
監督「五月蝿い!!今いいところなんだから!!」
侍「数々の悪事、これ以上見過ごせぬ。いざ尋常に勝負でござる!!」
ジョロウグモ「望ムトコロヤ!!」
一閃。勝負は一瞬で決まりました。
ポップが振り抜いた刀は一直線に女郎蜘蛛を捉え――――。
ジョロウグモ「マ……負ケタ……。」
侍「またつまらぬ物を斬ってしまった。でござる」
どさり。と8本の腕を地面に着く女郎蜘蛛は、そのまま倒れて動かなくなりました。
「「「「わああああああ!!!!」」」」
町娘「助けてくれてありがとう!」
忍者「君強いんだね!」
侍「では拙者はこれにて――――。」
くるりと冷たく、ポップは4人に背中を向けます。
姫「あの!せめてお名前だけでも―――。」
侍「拙者風来坊のポップ(3回目)。名乗る程の物ではござらん。」
「「「カッコイイ〜〜〜〜!!!」」」
ジョロウグモ「名乗っとるやないか!!」
侍「さらば皆の衆――――。」
町娘「ありがとうポップ!あ〜〜り〜〜が〜〜と〜〜!!」
侍は(いつの間にか沈んでいた)夕陽に向かって、歩き出した。そして、その光の中へと消えていった。
「終」
監督「キャアアアアアアアアアアアアアアット!!!!!」
「…………。」
みゆき「あれ……」
あかね「……あかん、怒られる―――。」
やよい「やっぱり?」
みゆき「うわーん!ごめんなさい!お話メチャクチャにしちゃってー!」
監督「いやーーー!!素晴らしい!!」
「「「「「え?」」」」」
一瞬頭を下げて考え込む仕草をしたかと思えば、今度は上機嫌でみゆき達に駆け寄る監督。
監督「君たちのおかげで、益々イメージが膨らんできたー!次のシーンも出演してくれないか?」
「「「「「えぇーーー!???」」」」」
・・・・・・
一方、その頃。本物の妖怪(?)は……。
青鬼『愚かな人間共め!!青鬼様は無敵オニ!!!』
アカオーニ「さっすがオニ世界のスーパースター、アオオニ様!アオ!アオ!!オレもこんな風にニンゲン共を青ざめさせたいオニ!!」
テレビの中でみゆき達が撮影している映画のCMを見てはしゃぐアカオーニ。どうやらフィクションじゃなくて、ドキュメンタリーだと思っているみたいですね。
テレビ『遊びにおいでよ!“時代劇映画村”』
アカオーニ「はい!うぉぉぉぉぉ!!ここに行けば、アオオニ様に会えるオニ!?こうしちゃいられないオニ!!待ってるオニ!!」
・・・・・
アカオーニ「着いたオニ…。オニ?」
早速映画村にやってきたアカオーニ。上空から見渡すその町並みは、平屋の瓦作りの屋根の家で出来ていました。その間をさきほどテレビで見かけた青鬼の格好をした人が歩いています。
アカオーニ「アオオニ様見つけたオニ!!アオーアオー!!」
ドッシーンと地響きならして降りてきたアカオーニに、仰天する役者達。すると、青鬼の格好をした人の手をガシっと握るアカオーニ。
アカオーニ「アオオニ様!大ファンオニ!!」
青鬼の人「あ、ありがとうございます。よくできた衣装ですね」
アカオーニ「え?衣装?」
おや、と首をかしげるアカオーニですが、聞きなれた声に気づき、家並みの間の5人組を発見します。
アカオーニ「あれはプリキュア……じゃないオニ?」
着物を来ていて髪型もいつもと違うのが違和感なのか、いまいち確信が持てないアカオーニ。
・・・・・
一方、撮影現場の様々な小道具、設備、機材を見て感動する5人。画面の中に写っている役者の数より、それを回りで支えている大人の方がたくさんいる事。一人一人、与えられた役目をきちんとこなしていて、カメラに写っている役者以上に熱心に取り組んでいるのがわかります。
れいか「映画は、大勢の方のこだわりによって作られているんですね。」
「「「「うん。」」」」
助監督「では皆さーん!最後のシーンです!町に攻めてきた妖怪を、町の人達強力して立ち向かいまーーす!!」
監督「では、よおおおい!!ああああくしょおおおん!!!」
監督の威勢のいい掛け声と共に大勢の役者が動きます。みゆき達も台本に合わせて動くのにだいぶ慣れ、最後の見せ所のシーンに気合いが入ります。
ジョロウグモ「コノ町ハ、ウチラ妖怪軍団ガ頂クデー!」
姫「皆さん!今こそ力を合わせ、立ち上がる時です!」
「「「「おぉ〜〜〜〜!!!!」」」」
町の人々も士気を上げ、さぁ勝負だ!という時、空からドシン、とアカオーニが妖怪軍団と町の人達の間に降りてきました。
ジョロウグモ「ナンヤ!?」
監督「なんだ?!」
アカオーニ「うわーーお!!感動したオニ!!この世界にも悪い妖怪達がいたオニ!!」
キャンディ「アカオーニクル!」
みゆき「何でここに!?」
アカオーニ「オレも力を貸すオニ!みんなー行くオニ!!」
そう言ってアカオーニは、金棒を振り回して辺りのセットを次から次へと壊し始めます。ここに来て普通に破壊行動に出るとは……今までやられなくて良かったです。
「「「「「「うわああああああ!!!」」」」」」
監督「いいぞお!スゴイ迫力だ!!」
助監督「あんな出演者いましたっけ?」
監督「いいからカメラもっと回せ!!」
アカオーニ「オニ!?何でアオオニ様まで逃げるオニ!?」
れいか「おやめなさい!!」
アカオーニ「オニ?」
れいか「ここは映画を愛する人々の都―――。時代劇映画村です!」
アカオーニ「お前たちやっぱりプリキュアオニ!そんな格好だからわからなかったオニ!」
あかね「そうや!こんな格好で映画撮っとんねん!!」
アカオーニ「映画ぁ!?じゃあこれ、全部作り物オニ!?」
れいか「映画作りの邪魔は許しません!」
ポップ「その通りでござる!」
すると一向の後ろから声が。いつもどこから出てはどこかへ消えている。この演出も3回目ですね。
アカオーニ「何者オニ!?」
ポップ「風の吹くまま気の向くまま、風来坊ポップ参上でござる!!」
監督「おぉ!!やった!!」
あかね「また出た〜〜〜」
なお「あっははは……。」
ポップ「皆の衆!この赤鬼は、映画をバッドエンドに変えようとする悪者でござる!今こそ、人間と妖怪が手を取り合い、立ち上がる時でござる!!」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」」」」」」」
監督「おぉ!!最っ高にカッコイイぞーーー!!!」
アカオーニ「騙されたオニ!!――――こうなったら……」
「世界よ、最悪の結末バッドエンドに染まるオニ!!白紙の未来を黒く塗りつぶすオニ!!」
アカオーニは、そこにある人々の情熱を根こそぎ吸い取りバッドエナジーに変えてしまいます。
「人間共の発したバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくオニ!!」
みゆき「みんなが一生懸命作ってる、映画の邪魔はさせない!!みんな、いくよ!!」
「「「「うん!!!」」」」
「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」
「Go!!Go!!Let’s go!!」
「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」
「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」
「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」
「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」
「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」
「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」
アカオーニ「出てよ、ハイパーアカンベェ!!!」
取り出したのは黒っ鼻。それをかざした先は撮影カメラ。ウルフルンと同様にアカオーニは口から中に飛び込んで一体化し、ハイパーカメラアカンベェになりました。
『力がみなぎるオニ!!』
『ハイパ〜〜〜〜〜アカンベェ!!!!/』
ハッピー「また黒っ鼻!?」
ビューティ「気をつけましょう!」
『プリキュアをやっつけるオニ!!』
「「「「「はあああぁぁーーー!!!」」」」」
勢いを付けてアカンベェに向かう5人。ところが―――。
『ストップオニ!!!』
カシャ。
カメラアカンベェが自分に付いているカメラの一時停止ボタンを押した瞬間、走っていた5人はそのままのポーズでぴたりと時間が止まってしまいました。
ハッピー「え!?なーに!?」
サニー「動かへん!」
『巻き戻しオニ!!』
『ハ〜〜〜イパ〜〜〜!!』
パチ。
今度は自分に付いている巻き戻しボタンを押すカメラアカンベェ。すると、今まで走ってきたところを全く同じ態勢で逆走していく5人。
「「「「「うわああああああ!?」」」」」
『ストップオニ!』
カシャ。
またまたピタっと、止まった5人は変身後の決めポーズのところまで巻き戻されていました。
ハッピー「止まった…でも動けない……。」
ビューティ「たぶん…あのアカンベェ、相手の動きをコントロールする力があるのかもしれません…。」
サニー「そんなん反則やん……!」
ピース「どうすればいいの〜〜〜っ!」
『トドメオニ!!』
ガシャンガシャンと六脚を器用に動かしてハッピー達に迫ってくるカメラアカンベェ。すると―――。
「待たれい!!」
ハッピー「ポップ!」
『何だお前!?』
またも颯爽と現れた侍。出たり消えたり忙しいのである。
ポップ「お主達の数々の狼藉……許せぬでござる!!拙者が成敗致す!!」
ドラマで覚えた口上をアカンベェに説きながら、刀を向けるポップ。
ポップ「いざ!!」
『っは???』
「“メルヘン流奥義 妖精斬り”でござる!!!!」
それじゃあ妖精を斬る技のようだ…。
ガキィン!鉄同士がぶつかり合う音が響きます。が、直後に砕けたのはポップの刀の方でした。
ポップ「あぁぁ!!!拙者の愛刀眼流片左衛門政宗(メルヘン ザエモン マサムネ)がーーー!?」
サニー「なんやその名前―!ってかそれ作りもんの小道具やろーー!」
どんな時でもツッコミが欠かせないサニー。条件反射ですね。
キャンディ「キャンディにまかせるクル!!」
『Let’s go!! Z・O・U!!』
突如現れた人間に味方する妖怪。は、ゾウデコルからゾウを出しました。すげぇ。
キャンディ「よーし!いくクル!」
「パオー!」
しぱぱーっとアカンベェに鼻から水をかけるゾウ。しかし、頑丈なアカンベェはケロっとしています。
『うはは!それが攻撃オニ?』
しかし、吹きかけられた水は、カメラの回路を水浸しにし、アカンベェの足をショートさせました。
『アカカ!?どうなってるオニ!?』
ビューティ「カメラは機械…。水をかければ壊れるというわけですね!」
ピース「キャンディすごーい!」
『グオ!!――――あ!!間違えて早送り押しちゃったオニ!!!』
転んだ衝撃でポチっと自分の早送りボタンを押してしまったアカンベェ。
すると今度はさっきまで走っていたハッピー達は倍の速度でアカンベェに向かいます。
ハッピー「わああなにこれすっごくはやい!!!」
サニー「よっしゃいっきにいくでーーー!!!」
マーチ「よーい」
「「「「「どん!!!!」」」」」
激しい5人のパンチとキックは、いつもの倍のスピードです。繰り出される攻撃には、さすがのハイパーアカンベェも対処できません。
『わああいつもより早いオニ!!!』
『ハイパーーーー!?』
吹き飛ばされたアカンベェ。衝撃で早送りボタンも壊れてしまいます。
ピース「元のスピードに戻った!」
ハッピー「映画はたくさんの人の想いが詰まってるの!!わたし達が絶対に――――」
「「「「「守ってみせる!!!!!」」」」」
「「「「「ペガサスよ!!私達に力を!!!!!」」」」」
天まで羽ばたく天馬の翼。白きペガサスは純情の印。その輝きを受けて、5人は純白の衣を纏う。
「“プリキュア・プリンセス・フォーム”!!!!!」
「開け!ロイヤルクロック!!」
奏でるリズムと共にキャンディのひと押しで、時計の針がひとつ、進みます。
「みんなの力を一つにするクル!!」
「届け!!希望の光。」
「はばたけ!!光輝く未来へ!!」
描く星の繋がりは鳳凰の星座に。その聖なる力を宿して。
新たな力、何度でも諦めずに、立ち向かう、不死鳥の燃え上がる力をその翼に。
「“プリキュア・ロイヤル・レインボー・バースト”!!!!!」
『アカンベェ〜〜〜……!?』
「輝け!」
闇色に染まった絵の具は浄化され、アカンベェはフェニックスの息吹を受けて消滅しました。
なぜか2つ目のバナナデコルをゲットして、今週のデコルは終わり。
・・・・・
アカオーニ「黒っ鼻はいつもより疲れるオニ……映画なんてもう懲り懲りオニ!!」
・・・
監督「いやーーー、ありがとう!君達のおかげで素晴らしい映画が出来たよーー!試写会には是非来てね〜〜!!」
監督はそう言うと最後まで上機嫌のままスタッフと一緒に行きました。
みゆき「はーい!ありがとうございます!」
あかね「みゆき、どないすんねん。カメラ!」
みゆき「え?」
あかね「ず〜っと回っとったんやで〜!」
みゆき「えぇ!?どうすればいいのー!」
カメラが本番からずっと回っていたとしたら、変身した後も必殺技も、全部録画されてしまっているハズです。
ポップ「心配めされるな」
そう言ってどこにいたのか、ポップはVHSテープをドヤ顔を取り出しました。
なお「それは?」
ポップ「さっき撮影してたテープでござる」
「「「「「えぇ〜〜〜!」」」」」
ポップ「拙者がプリキュアのところのみ消して、後で戻しておくでござるよ」
そう言うとポップは、テープを懐に締まってそのまま去っていきました。
「「「「「良かった〜〜〜〜。」」」」」
・・・・・・
後日。完成試写会。
『それではこれより、映画妖怪オールスターズDXの完成披露試写を行います。最後までお楽しみ下さい』
「「「「「わあああああ〜〜〜〜!!!!!」」」」」
・・・。
『風の吹くまま気の向くまま、風来坊ポップ、ただいま参上でござる!!』
キャンディ「おにいちゃんクル!!!」
『今こそ人間と妖怪が手を取り合い、立ち上がる時でござる!!』
キャンディ「おにいちゃんクル!!!」
『お主達の数々の狼藉…許せぬでござる!拙者が成敗致すでござる!!』
キャンディ「―――――――」
『“メルヘン流奥義 妖精斬り”でござる!!!』
「「「――――――――……。」」」
『あの、せめてお名前だけでも……。』
『拙者風来坊ポップ……。名乗る程の者ではござらん………。』
終
なお「なにこれ……」
あかね「ポップしか写ってへんやーん!!」
キャンディ「おにいちゃんカッコイイクルー!」
みゆき「あはは。映画はもう懲り懲りかも〜〜〜。」
10月27日「映画 スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ!」公開!!よろしくね☆
やってきました文化祭。
みゆきのクラスはファッションショー?
ところがクラスで問題発生。みんなでできるか文化祭!
- 出版社/メーカー: エンスカイ
- 発売日: 2012/09/15
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