スマイルプリキュア!第47話「最強ピエーロ降臨!あきらめない力と希望の光!!」
狂いだしたのはいつからか。
始まりはいつだったか。
生物は共存し、営み、育み、そして争う。
執着、憎悪、嫉妬。あらゆる負の感情が人々の心に潜んでいる。
人は無意識にその心を閉じて封印している。決して表に出さないように。
だけど、“彼ら”によってこじあけられた心の闇は、いつしか絶望というカタチとなり、タマゴとなり、そしてこの世に誕生した。
世界をバッドエンドへ染める絶望の化身へと。
ハッピー「キャンディ!!」
バッドエンドプリキュアを倒し、残された最後のデコルをデコルデコールに収めるポップ。
眩い光を放ったデコルは、ハッピー達5人をそのまま光で包み込みました。
ハッピー「ロイヤルクィーンさま……」
温かい光に包まれた5人の前に現れたのは、今もうこの世にはいないメルヘンランドの女王ロイヤルクィーンさまでした。
ロイヤルクィーン『私は、この時を待っていました―――。やっと目覚めてくれたのですね、メルヘンランドの未来を担う新しい女王……、ロイヤルキャンディ』
天から舞い降りるように、一人の翼を背負った少女がハッピー達の前に現れました。真っ白な肌とどこか見たことのある金色の髪、5才ぐらいの少女はゆっくりと目を開いてハッピー達に向き合いました。
キャンディ「クル?」
絶望から生まれたバッドエンドプリキュアを打倒したキュアハッピー達、ジョーカー自身もピエーロの一部となり、残された敵はピエーロのみ。絶望の巨人も現れて混沌とする世界を前にデコルから漏れた光がキャンディを女王へと覚醒させた。
奇跡の力をその手に、世界中のハッピーエンドのために、いま最後の戦いが始まる。
スマイルプリキュア!第47話「最強ピエーロ降臨!あきらめない力と希望の光!!」
そっと目を開いた少女の瞳は透き通るくらいの青色で、静かに、だけど親しみなれたいつもの声色でハッピーに口を開きました。
キャンディ「みんなの声が聞こえてきたクル。」
ハッピー「キャンディ……なの……?」
ポップ「やはりそうでござったか!」
キャンディ「ロイヤルクィーンさま」
ロイヤルクィーン『キャンディ、ごめんなさい。私に力がないばかりに――――。』
申し訳なさそうにロイヤルクィーンは目を細めて悲しそうな顔で謝りました。
キャンディ「ロイヤルクィーンさまはメルヘンランドの、みんなのお母さんクル!妖精のみんなもキャンディもお母さんが大好きクル!!」
ロイヤルクィーン『ありがとうキャンディ……。ありがとうポップ……。ありがとう皆さん。皆さんの未来は真っ白です、白紙の未来に新しい物語を描くのは、自分自身の心なのです――――。』
すっと閉じた目にうっすらと涙を浮かべ、物思いに耽るようにそう囁きました。
ロイヤルクィーン『私はいつでも、皆さんのことを見守っています。』
キャンディ「ロイヤルクィーンさま!」
すると、ロイヤルクィーンとキャンディの心が通じ合ったのか、キャンディの胸元には5色の色鮮やかな宝石が現れました。
キャンディ「ミラクルジュエル……。」
ロイヤルクィーン『ミラクルジュエルは願いを叶えることはできません。でも、この力があれば暗い絶望の中に堕ちても、一筋の希望の光を見出すことができるでしょう――――。皆さんの未来に、たくさんの光があらんことを―――――。』
その言葉を最後に、ロイヤルクィーンは姿消してしまいました。そして、それと同時にハッピーの目の前にはキャンディが一番最初に持ってきた白紙の絵本が。
ハッピー「プリキュアの本……。中は真っ白だ」
キャンディ「女王さまの言ってたとおり、自分たちの未来は自分たちできめるクル!」
ハッピー「うんわたし達の未来は―――――」
「「「「「わたし達の手で切り開こう!!!!!」」」」」
・・・・・
混沌の闇に堕ちた世界。人々の活気に溢れた町並み、どこまでも緑が深い大自然、果てしなく続く大空、そのどれもが、廃れ、枯れ、濁り、衰退していました。
果てた荒野に冷たい風が悲鳴のように鳴り響き、生きる鼓動を失った世界を絶望を宿した巨人が闊歩していました。
世界に残されたのは5人だけ。全てが滅び、消滅した世界。白紙だった未来の無限の可能性をゼロにする世界。
ただただ、呻き声をあげながら、絶望を求める巨人。
『ア―――――――アア――――――――――……。』
山よりも大きな闇色の巨体が、ハッピー達を睨みます。
ハッピー「あれは……何なの……」
ピース「世界が……」
マーチ「バッドエンドになっていく……」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!』
ハッピー達の気配を感じたのか、唸り声を上げる巨人。その声の衝撃波は全てを闇色に染め、染まったところをさらに荒廃させます。
ハッピー「早くあの巨人を止めないと!!」
サニー「でも、あんなんどうやって止めんねん!?」
キャンディ「大丈夫クル。」
「「「「「え――――。」」」」」
キャンディ「あの巨人はキャンディがとめるクル。」
不思議と笑顔のままハッピーに向き直ったキャンディが、その優しげな微笑みのまま言いました。
ハッピー「でも、どうやって?―――――キャンディ?」
ポップ「ここはメルヘンランドの新しい女王、ロイヤルキャンディに任せるでござる!」
キャンディはふわりと浮かべた体でハッピー達の目の前に立ち、巨人を睨んで力を集中させました。
『アアア―――――――――ア―――――アア―――――。』
すると、キャンディの力が巨人に効いているのか、キャンディの回りから溢れたオーラと同じオーラが巨人を包み、その体を地面へと押しやります。まるで見えない強大な力が巨人を押さえつけているかのようです。
ピース「すごい…。」
マーチ「巨人が止まった……。」
ビューティ「これが女王の力…。」
しかし、ほっとするのも束の間でした。
ハッピー「え?」
それは何もない空間に突然に現れました。
まるで吹き出す水のように、溢れ出る噴水のように、何もない空中から突如噴出したそれは、そのままドロドロした自分自身をカタチにしていきました。
余りにも薄気味悪い光景に、ハッピーはそれがあの時の黒い絵の具だとすぐに気づきました。
ポップ「あ、あれは……」
今まで集めたバッドエナジーが全て詰まっているのだとしたら、その大きさはどれほどのものか。
底知らずに溢れる絵の具は、徐々に人型に固まっていき、そしてやがて巨大な道化師の姿になりました。
???《我が名は皇帝ピエーロ。全てをバッドエンドに――――――――――――――。》
いつか、バッドエンド王国で浄化した時のその姿とは違うスラリとした体型には、漆黒の翼と何よりも邪悪なスマイルを浮かべて、ピエーロはハッピー達をあざ笑うように見下しました。
ポップ「ピエーロでござる!!!」
するとピエーロは自身のエネルギーの一部を絶望の巨人に送り込み、キャンディに押さえつけられていた巨人達に力を与えます。
キャンディ「―――――!!」
『アアアアアアアアアア―――――――――!!!!』
ハッピー「キャンディ――――!!!」
さらに、ピエーロの足元から溢れ出す黒い絵の具。湖ほどまでそれは広がり、そしてその中から赤っ鼻の巨大な蛇や蜘蛛の姿をした怪物が姿を現しました。
『アアアアアアアアア―――――アアアアアアアアア!!!!!』
ピエーロ《プリキュアの本を奪い、未来をバッドエンドに染めるのだ。》
「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」」」」」」
そうして一斉に襲いかかってくる怪物達。白紙の未来を汚させないために、ハッピー達は本を守り、迎え撃ちます。
ハッピー「みんなで力を合わせて未来を守ろう!!!」
「「「「うん!!!!」」」」
ポップ「プリキュアの本は、拙者が守るでござる!!!」
・・・・・・
ハッピー「はぁ!!」
マーチ「たぁ!!」
ピース「やぁ!!」
ビューティ「はぁ!!」
サニー「おぉりゃぁ!!!!」
一体一体が今まで戦ってきたアカンベェ並みの強さで、ハッピー達に襲いかかります。敵は無限に近い兵団、対して応戦するこちらは5人だけ。それでも、絶対に負けられない理由がそこにありました。
ピエーロ《全てを絶望に―――――世界を最悪の結末バッドエンドに染めるのだ》
キャンディ「そんなこと、ぜったいにさせないクル!!!」
ピエーロは巨人に力を振り分けそのパワーを増大させ、キャンディは女王の力でその巨人を押さえつけます。目には見えない静かな戦いがキャンディとピエーロの間でも繰り広げられていました。
「“マーチシュート・インパクト”!!!!!」
「“サニーファイヤー・バーニング”!!!!!」
「“ビューティブリザード・アロー”!!!!!」
「“ピースサンダー・ハリケーン”!!!!!」
荒ぶる闘志をその身に宿して、必殺技を連続で打ち込む5人。炎と風と氷と雷の力が拡散しながら、アカンベェ軍団を浄化していきました。
マーチ「サニー!!!」
空高く風の球を蹴り上げたマーチ、サニーに合図して二人はその球を追って上空へ。
サニー「よっしゃ!!!」
「「“プリキュア・ファイヤー・シュート”!!!!!!!」」
炎と風を纏った2つの球弾。かつて海辺で繰り出した二人の友情の力で、一気に怪物達をなぎ倒します。
ビューティ「ピース!!!」
ビューティも頭上に氷の刃を放り投げます。すると空中でそれは巨大な氷塊になり、そこに合わせてピースが空から雷を落とします。
ピース「任せて!!!」
「「“プリキュア・サンダー・ブリザード”!!!!!!!!」」
雷のエネルギーをそのまま氷に乗せて地面に叩きつけ、合体技で辺り一面を吹き飛ばします。
「“プリキュア・ハッピーシャワー・シャイニング”!!!!!!」
注がれた光の波動で、次々と怪物達は浄化されていきました。
ハッピー「はぁ……はぁ……」
しかし、ウルフルン達、バッドエンドプリキュアと戦いの連続で限界も近い5人。息も絶え絶えにしながらも、ハッピー達は諦めずに戦います。
ハッピー「なにこれ……」
それでも、その努力は絶望に変わります。吹き飛ばして絵の具に戻った怪物達。しかし、元々絵の具から這い出てきたそれらは、再び絵の具に戻ってもまたカタチになり、元通りの姿でハッピー達に向かってきました。
マーチ「どんどん復活してくる!」
ビューティ「これではキリがありません!」
ピエーロ《考えるな》
ハッピー「え……」
ピエーロ《考えてもお前たちにはどうにもできない》
それは頭に直接語りかけるように響く、威圧したピエーロの声でした。
ピエーロ《敵わないものに逆らうな。自分の無力さを嘆き悲しめ。明るい未来などない。叶わない夢など見るな。》
ハッピー「そんなことない!!」
努力すれば必ず報われる。信じて進めば未来はきっと明るい。そうすれば、夢はいつか必ず叶う。
その想いを信じて戦うハッピー。怪物達に押されながらも、決して後ろは振り向きません。
ハッピー「ピエーロ……、あなたはいったいなんなの……?」
ピエーロ《怨念だ》
ハッピー「!?――――怨念?」
ピエーロ《全ての負の感情がワタシを生み出した、お前達にもあるハズだ。憎しみ、怒り、悲しみ、孤独。それはお前達人間が存在する限り、湧き続ける……。絶望の物語だ》
ハッピー「絶望の物語!?」
ピエーロ《湧き上がるその負の感情は、やがて無限の絶望となり、世界を覆う。全てを無くし、怠惰に身を委ねる。未来は――――闇だ。》
「「「「「きゃああああああああああああああああああああ」」」」」
強い。
今まで戦ったどんな相手よりも。
だって相手は世界中の負の感情。
人間生きていれば誰だって持っている気持ち。
その全部があいつで、その全部がここにある。
ハッピー「負の感情……。」
サニー「世界中の悲しみの力が集まったモン……。」
ピース「それが……ピエーロ……」
マーチ「そんな時と、どうやって戦うの……」
ビューティ「絶望の物語―――――――。」
いつかは終わる世界を誰が否定できようか。
人を妬む気持ちを誰が救えようか。
それは不可能。
世界中の人間を救うことなんてできない。
光があれば影がある。
バッドエンドプリキュアがそうであったように、自分の中にもそれは隠れている。
だから感じる強さ。
絶望の、強さ。
ポップ「皆の衆――――!うわ!!」
圧倒的な力でプリキュアを叩き倒すピエーロの力。
ポップ自身もピエーロに狙われ、地面に落としたプリキュアの本に、黒い絵の具が降り注がれてしまいます。
ピエーロ《絶望に堕ちろ》
ポップ「あぁ!!!プリキュアの本が―――――――!!!!」
笑って過ごせる明日のために。
白紙の未来に無限の可能性を秘めたそのページが、真っ黒に染まります。
ウルフルン達がかつてバッドエナジーを集めていたように、黒い絵の具に染まったプリキュアの本が、ハッピー達からバッドエナジーを放出させます。
キャンディ「あ――――――!!」
ポップ「ぷりきゅあああああああああああああああああああああ!!!!!」
キャンディ「―――――――。いちばん大切なものは、ぜったいに守るクル!!!!」
ポップ「キャンディ!?まさか、ミラクルジュエルの力を使って、プリキュアを―――――!?」
ピエーロ《何をしても無駄だ。お前達の物語は、ここで終わる》
ミラクルジュエルにその力を注ぎ込むキャンディ。それを阻止しようとピエーロはキャンディに猛攻をしかけます。かろうじてミラクルジュエルの力でキャンディは守られているものの、それが破られるのも時間の問題でした。
ポップ「キャンディ!!プリキュア!!戻ってくるでござる!!!プリキュアーーーーーーーーーー!!!!」
それは闇。
どこまでも無限に続く闇。
変に辺りが見渡せる闇の中、絵の具の地面をただただ歩くハッピー。
自分の進む前も見ず、顔を項垂れてただただ歩く。
ハッピー「――――――――ぜつぼう……。」
歩いた先には、地面に倒れているサニー、ピース、マーチ、ビューティがいました。
皆、冷たい表情のまま少しずつ地面に埋もれていきます。
抵抗もせずに少しずつ……。
ハッピー「――――――」
力なく背中から地面に倒れるハッピー。
背中に伝わるぬめっとした感触。しかしそれは気持ち悪いとも思いません。何が楽しくて、楽しくなくて、笑えて、笑えなくて、生きていて、死んでいて、何もかもがわからなくなっていました。
ハッピー「本当の………おわり……。」
そうして少しずつ絵の具に沈む体。だけどハッピーは抵抗しようとは思いません。もう、何もないのですから。
・・・・・・・・
ポップ「ミラクルジュエル、絶望の中に差す一筋の希望の光―――――。その力が、キャンディの声が届けばプリキュアをバッドエンドから救い出せるハズでござる!!」
ピエーロ《無駄だ。お前の声など届かない。一度絶望に堕ちればそう簡単には戻ってこれん。闇は深海のように深いぞ》
キャンディ「―――――みゆき、――――――みんな!届いて!!」
暗い、音もない世界。
光の届かないそこは、まるで深い海の底でした。
黒い絵の具の海の底。どこまでも深く、何も無い世界。
見えない何かに引きずり込まれて、5人は闇にその身を堕としていきました。
ハッピー「悲しみ。怒り。孤独。寂しさ。誰にでもある弱い心。世界中の悲しみ。人がいる限り湧き続ける。絶望の物語。」
ハッピー「わたし達にはモウ、ドウするこトも……」
「みゆき!」
「あかね!」
「やよい!」
「なお!」
「れいか!」
ハッピー「ダレ?」
「きぼうを捨てちゃだめクル!」
ハッピー「きボう?」
「未来はまだまっしろクル!明日をあきらめちゃダメクル!!」
ハッピー「きぼうってなに……?」
「みゆきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
ハッピー「キャン……ディ……」
ハッピー「そうか」
サニー「キャンディの声が聞こえる!」
ピース「明日は諦めない!」
マーチ「未来は自分達の手で!」
ビューティ「切り開いていくんです!」
ハッピー「わたし達はぜったいに、諦めない!!!」
ピエーロ《キボウとはなんだ?見えない、触れない、そんなもの存在しない》
ピエーロ《絶望に堕ちろ》
キャンディ「みゆき―――――みんな!!!!」
ポップ「キャンディ……。」
生きているから希望。
笑い合えるから希望。
助け合えるから希望。
キャンディ「あと少し―――――みんなに届いて!」
共にいられるから希望。
夢があるから希望。
明日があるから希望。
光があれば影がある。
ピエーロ《無駄だ。未来はもうバッドエンドに染まる。希望は無い。》
見えない、触れない。
だけど、確かにここにある光。
そこにみんながいて、自分がいて、そして、とびっきりのスマイルで笑い合えたら。
ハッピー「希望はある!!いまわかった、わたしの希望は―――――――」
ピエーロ《さぁ、絶望に願え》
サニー「いやや!こんなとこで終わりたない!!」
ピース「進むんだもん!!この体が動く限り!!」
マーチ「絶対に負けない!!」
ビューティ「まだ、終わりじゃない!!」
まとわりつく闇、それは人間の負の感情そのもの。誰しもが抱える心の闇。
でも。
どんなに無様でも、滑稽でも、みっともなくても、明日があるから。
ハッピー「希望が――――――キャンディ!!!!!!」
伸ばしたその手を掴む確かな光。
ポップ「これは―――――キャンディ!!」
キャンディ「よかった……とどいた……クル……きゃ!!!」
ポップ「キャンディ!!!?」
プリキュアの本が光輝いたと同時に、キャンディは力を使い果たし、ピエーロの攻撃をもろに受けてしまいました。
ピエーロ《消えろ。絶望と共に》
「「「「「キャンディ!!!!!!」」」」」
希望をその手に。5つの光が明日を翔ける。
プリンセスフォームのさらに先。
かつて、絵本の世界で魔王と戦った時に覚醒したキュアハッピーの力。
翼を生やした聖なる希望の戦士。
ウルトラキュアハッピー
ウルトラキュアサニー
ウルトラキュアピース
ウルトラキュアマーチ
ウルトラキュアビューティ
「5つの光が導く未来」
「輝け、スマイルプリキュア!!!!」
ポップ「プリキュア!必ず戻ってくると信じてたでござる!――――その姿は……」
ハッピー「ポップ、心配かけてごめんね。もう大丈夫。」
ウルトラキュアハッピーが抱えているその胸には、妖精に戻って傷だらけになりながらも輝き続けるキャンディがいました。
ハッピー「遅くなってごめん、キャンディ」
ポップ「キャンディは拙者に任せるでござる!」
ハッピー「お願い。」
鳥に変身していたポップは、そのままキャンディを背中に抱えて安全な場所へ飛び去りました。
ピエーロ《バッドエンドの世界から戻ってきただと?は、貴様らに輝く未来など無い。全てをバッドエンドに染めるの――――――うお!?》
黙って待っているほど落ち着いてはいません。友達を傷つけられて、世界をこんなにメチャクチャにされて、許せないその感情は間違いなく怒りの心。だけど、それを明日へ向かう希望に変えて、ハッピーは極大のシャワーをピエーロに叩き込みました。
かろうじて躱すピエーロ。しかし、その後ろにいた巨人にハッピーシャワーは直撃し、その浄化の力で一撃で消滅してしまいました。
ピエーロ《な!?》
「「「「「はああああああああああああああああああ!!!!!!!!!11」」」」」
それは一瞬でした。
それまで全く勝目がなかった怪物達を一瞬で浄化する5人。覚醒されたウルトラキュアデコルの力は、無限大のパワーをプリキュアに与えてくれました。
ピエーロ《な、なに!?一瞬で全て消し去ったというのか!》
ハッピー「キャンディは命がけでわたし達の道しるべになってくれた。キャンディのおかげで、わたし達は絶望の中でも希望の光を見つけることができた――――――。わたし、希望が何かわかった――――――。希望、それはともだち!!!」
ハッピー「大切なともだちが一緒なら、どんな大変な未来でも笑顔でまっすぐ歩いていける!それがわたし達、スマイルプリキュアだから!!!」
ピエーロ《ダマれ!!!全てをバッドエンドに塗り潰してくれ――――ぐうおおおお!!!?》
ハッピーの言葉を否定するピエーロ。しかし、それが言い終わる前にウルトラキュアマーチの鋭い蹴りがピエーロの体の中心に炸裂し、その巨体を吹き飛ばします。
マーチ「はああああああああああ!!!!」
ピエーロ《どうおおお!!!》
吹き飛ぶピエーロに追撃とばかりに高速で先回りするマーチ。もう一度逆方向に攻撃してピエーロを元の場所まで蹴り返します。
ピエーロ《グ――――――!!》
ビューティ「たああああああああああああああああ!!!!」
すかさずビューティが氷の刃でピエーロに応戦。その剣を腕で受けるピエーロですが、氷でできた巨大な拳が横からピエーロの巨体を殴り飛ばします。
ピエーロ《ぐがああああ!?》
地面に叩きつけられる寸前で持ちこたえたピエーロ。しかし、今度は下から舞い上がるように電撃が空に向かって上ります。その雷の直撃を受け、ピエーロ自身も大空へ。
ピエーロ《な―――――ぐあああああああああ!!!》
隙間なく今度は炎の竜巻がピエーロに直撃。雷と炎の同時攻撃でを受けたまま、ピエーロは岩山に叩きつけられました。
ハッピー「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
そして、肩手から繰り出すハッピーシャワーを両手で何度も打ち込むハッピー。圧倒的なその力に、ピエーロは避ける暇もありません。
ハッピー「はぁ……はぁ……」
ピエーロ《おのれプリキュア!》
ハッピー「え――――!」
空を見上げるとそこにピエーロがいました。いや、正確には空自体がピエーロになっていました。
サニー「なんやあれ……。」
マーチ「信じられない……」
ビューティ「なんて大きさ……」
空に巨大なピエーロがいるわけじゃない。
空の一部に宇宙にいる極大なピエーロが映っているだけだったのです。
ピエーロ《アツまれ!!スベてのバッドエナジーよ!!!そしてゼツボウとなるのだ!!!》
空に舞い上がるバッドエナジー。それは地球を飛び出して、宇宙にいるピエーロの本体へと集まっていきました。
ハッピー「そんな……。まさか……。」
今まで戦っていたのはピエーロの分身に過ぎず、本物のピエーロは地球を覆う程の巨大な存在だったです。
地球全ての負の感情。それは、既に地球よりも大きな大きな、無限の暗闇でした。
ハッピー「世界が――――――――――――」
それは暗黒。
それは絶望。
希望の光と絶望の闇。
闇は無限の宇宙へ。
光は5人の戦士へ。
そうして、世界の命運はスマイルプリキュアに託された。
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