【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

スマイルプリキュア!第19話「パパ、ありがとう!やよいのたからもの」











先生「思春期と呼ばれる年頃になった今だからこそ、改めて自分の名前にどういう名前が込められているのかを知る事が大事だと思います――――。」


 季節は梅雨。しとしとと降り続ける雨の中、みゆきのクラスではある宿題が出されました。


あかね「え!もしかして宿題〜?」

れいか「はい――。次の学級会までに自分の名前にどういう想いが込められているのか、お家の方に聞いてきて下さい。」

あかね「えー!今更親に訊くんかー!」

なお「なんか照れくさいね……。」


 頭を抱えるあかね。なおもなんだか気が進まないみたいです。


みゆき「でも楽しそう。ウルトラハッピーな待っているかも」


 みゆきはニコニコ笑顔で自分の名前の由来を楽しみにしているみたいですね。一方、やよいは……。





やよい「名前…かぁ………」








 しとしと梅雨の雨が降る七色ヶ丘の街並み。今日は、少し湿っぽい、そんなお話。














 まずは恒例、バッドエンド王国から。


ウルフルン「ウルッフッフッフッフ。人間共が呼んでいる姓名判断の本を見つけたのだ」


 いいなりどうしてこんな本を持ってきたのかは知りませんが、どうやら自分の名前が気になる様子。


ウルフルン「ウルフルン…ウルフルン…あった!―――っつーか、何であるんだ?」


 なんでだよっ!


ウルフルン「なになに?短気で凶暴、嘘つき、誰も愛さないから愛されない?―――けっこう毛だらけ(?)だぜ!!」


 ビリっと本をまっぷたつに破くオオカミさん。良い子は真似できないから真似しないでね。



ウルフルン「オレ様は一匹狼よ。バッドエンドな未来に愛なんか必要ねぇ…!」







第19話「パパ、ありがとう!やよいのたからもの」






 黄瀬やよい。彼女の家庭は母子家庭であった。父・勇一は、やよいが5歳の時にこの世を去っている。だから、母・千春はやよいのいる家庭を支えるためにファッション関係の仕事をしていた。だから母の帰宅はやよいより遅いので、夜ご飯はやよいが先におかずを作る事が多かった。


千春「ただいま〜」


やよい「おかえり〜お味噌汁できたよ〜」


千春「ありがと〜、今支度するねー」


 スーパーの袋を下げて千春がやよいの後に続いてキッチンに入る。







 バターの香ばしい匂いが漂う白身魚のムニエルをフライパンで炒めている母にやよいは言った。


やよい「ママ、わたしの名前って何でやよいになったんだっけ……?」

千春「ん〜、あなたが生まれた時、おじいちゃんとかおばあちゃんは色んな名前出してきたんだけどねー…。パパがそれを全部無視して、“やよいにする!!”って宣言したのよ。」

やよい「パパが?」


 千春はムニエルの炒め具合を見てフライ返しを取った。


千春「パパはあの性格でしょ?頑として譲らなくて、それでとうとうやよいに決まったってワケ。」


 二人分の皿にひとつずつムニエルを装いながら母千春は言った。



やよい「そこまでして……どんな想いが込められているんだろう……」



千春「そればっかりは、本人に聞いてみないとね……」


 幼い頃の父の姿が一瞬浮かんで、やよいの頭の中で自分に呼びかけてくれた気がした。


千春「今となっては永遠の謎。」


 リビングに飾られていた昔の勇一の写真を見ながら、千春はやよいに言った。


千春「でも、パパは生前、その話をやよいにしたって言ってたけど……?」

やよい「―――!」



千春「やよいが最後にパパと話したのは、5歳の時だもんね。覚えてなくても無理ないわよ。」


 優しく微笑む母の笑顔が、やよいにはどこか淋しそうに写った。




・・・


 やよいは父・勇一が大好きだった。家に帰ってくる時、良く玄関まで走って飛びついていた。そして自分の頭を優しく撫でてくれた。




やよい「あの大きな手は覚えてるんだけど……」


 忘れかけていたその感触を思い出して、やよいはムニエルに箸を伸ばす。


千春「それで十分よ。……それで十分」




 雨は止まない。屋根に、外に、窓に当たって水の弾ける音をずっと部屋に流している。







・・・・・・



「Let’s go!!K・U・C・H・I・B・E・N・I!!」


 オシャレデコルシリーズその2。ウサギデコルがなぜかヘアブラシだったように、口紅デコルは口紅だけにあらず、ファンシーに彩られたカーラーとドライヤーが飛び出した。


みゆき「ねぇ?キャンディはどうしてキャンディって名前になったの?」


 お風呂から上がって、日課になりつつあるキャンディのブラッシング(笑)をしながらみゆきが訊いた。


キャンディ「そんなのきまってるクル」

みゆき「?」

キャンディ「キャンディは、どうしても、キャンディクル。」




みゆき「えぇーーー……」


 ドヤ顔でそう言い放つキャンディに困った様子のみゆき。その時、玄関のドアが開く音が聞こえました。


博司「ただいま〜」

みゆき「あ!お父さんだ!名前の由来聞いてこよっと。」


 びよん、と耳を伸ばしたキャンディをそのままぬいぐるみの要領で抱きかかえたまま、みゆきは下の階に下りていった。


みゆき「おかえり〜〜!」






・・・・・


 止まない雨の中、滴る水の音と一緒に店の賑わいが聞こえてくる。


・・・・・



大悟「あぁ?名前ぇ?こない忙しい時に、何でそんな事訊くんや?」


 香ばしい匂いが店の中に立ち込める。鉄板からはじゅーっと景気の良いなんとも食欲を唆る音と香りがそこかしこから漂う。


あかね「せやからうちだってこうして手伝ってるやろ!」

大悟「こどもが親の手伝いするのは当たり前です。」


 大悟はボールいっぱいに刻んだキャベツを専用の生地の上に装った。あかねも口を動かしつつ同じ作業をする。


あかね「何言うてるの〜!そんな偉そうに言うなら、もう手伝わんで〜!」

大悟「なんやとー!」

正子「何してんの〜?豚玉百人前や!!」


大悟&あかね「ひゃく!?」







・・・・・・


 そしてまた、静かに。いつもより調子早めに軽い音を刻む鹿威しを聞きながら、れいかはゆっくり障子を開いた。



れいか「失礼します。おじいさま、宜しいでしょうか?」


曾太郎「れいかか?……入れ」


れいか「失礼します。」




 一度引き、一旦止めて顔を見せ、もう一度引いて体が通れるほど障子を開く。そうして同じ要領で、昔教えられた通りに静かに障子を閉じる。



曾太郎「何か、用か……」


 祖父・曾太郎は筆を置いた。


れいか「お父様から、わたしの名前はおじいさまが付けてくださったと訊きました。是非、わたしの名前の由来をお聞かせください。」


曾太郎「ん……いいだろう。」









・・・・・・・



 年中騒がしいこの家も夜だけはとても静かである。静まった静寂の中出で、雨が地面を打つ音を聞きながら、なおは父・源次を見ていた。


源次「なぁに見てやがんでぃ……」


 源次は職人である。こどもが寝静まったすぐ隣で、電球一個だけを明かりに木材をカンナで削っていた。普段は庭でやる事が多いが、今日は生憎の雨である。でも、間近で父の姿を見れたなおには、その背中がいつもより大きい。



なお「うまくかけるもんだと思ってさ。」

源次「てやんで…娘に褒められても嬉しかねぇや……。」

なお「ふふ……」


 心無しか、源次のカンナのかけるスピードが若干緩む。


なお「あのさ、わたしの名前、お父ちゃんが付けたって訊いたんだけど……」

源次「あぁ……それがどうしたぃ?」


 カンナを一旦止めて、首に播いたタオルで汗を拭った源次は、なおに振り返った。








・・・・・・・




やよい「や…よ……い……。」


 やよいは国語辞典を机に広げた。調べ物をする時は良く使っていたが、自分の名前を探すのは初めてだった。


やよい「あった…。やよい…。昔の暦で三月の事…かぁ…。三月と何か関係があるのかな。」


 写真立ての中にいる父に問いかけてみる。いつもと同じ笑顔を向けてくれた父は、しかし何も語らない。


 ふと、とある光景が浮かんだ。


やよい「今の―――。なんだっけ……。」


 太陽に照らされて逆光になった教会。レンガの道と、木の影。



やよい「だめだ…思い出せない…。……パパ。パパはわたしの事、どう思ってたの?」



・・・・・




 次の学級会、雨は以前のまま変わらず降り続いていた。。



みゆき「わたしのみゆきという名前は、どんなに辛くても、幸せを見つけられる子になってほしいという願いが込められているそうです。」


あかね「っか〜。ええなあ〜。まさに名前通りに育ってるやん」


みゆき「えへへ。」


 得意気な顔で席に座り直すみゆき。あのあと帰ってきた父・博司に早速聞いてみたのだった。



れいか「わたしの名前は、漢字で書くと、こう書くそうです。」


 れいかは黒板に綺麗な字体で「麗華」と書いてみせた。





れいか「華のように麗しく、美しい心を持った子になるようにと、おじいさまが付けてくださいました。」


 おぉーっとクラスの皆から納得の声が上がる。


なお「さっすがれいか……。」



やよい「わたしの名前の“やよい”って云うのは、昔の暦で三月で、草木が芽吹く時期だから生き生きとした始まる、という意味が込められているそうです。」


 若干俯いてやよいは昨日覚えた台詞をそのまま口にした。


あかね「なるほどなー」

みゆき「やよいちゃんいっつも生き生きしてるもんね。」

やよい「あ。うん……。」


 みゆきに一瞬だけ笑顔を見せたやよいだけど、そのまま席に着くなり憂鬱そうに俯いた。





・・・・・









 学校が終わって、5人はそれぞれの色の傘を指して慣れた道を歩いていた。



みゆき「え?じゃあさっきの名前の由来は、やよいちゃんが自分で調べたの?」

やよい「うん。名前を考えてくれたパパは、天国へ行っちゃったし、ママも知らなかったから。」

みゆき「そっかあ……。」


 もうずっと父親がいない。それはみゆきには想像もできない事だった。だから、今はそれ以上は余り言えない。


やよい「あーあ。わたしの名前、何で“やよい”になったんだろ……。」


あかね「ええやん。うちなんか呼べやすいように、“あ”から始めたくて“あかね”やで?単純過ぎるわ」


 しんみりとした空気を払拭するためか、あかねは唐突に学級会で話した自分の由来をみんなに話す。


やよい「それはパパの理由で、ママには別の理由があったんでしょ?」





あかね「ああ。発表ん時に言うたヤツな。…うちが生まれた時、空があかね色で綺麗やった。娘にもあの空のように、綺麗な心を持ったええ子に育ってほしい。だから、あかねにしたんや!って―――たぶん後付けやな」

みゆき「そんな事無いって…!」


なお「あたしなんかもっと単純だよ……。俺の願いはただ一つ、まっすぐな子に育ってほしい。だから一直線の“なお”!そんな人やで」

あかね「関西弁真似すな」

なお「えへへ〜」


 傘の下で照れたように笑うなお。


れいか「でもその通り、まっすぐな子に育ってますよ。」

なお「まぁね!」

あかね「は――認めおった……」

なお「まぁね〜〜…。」







・・・




やよい「実はわたしね、パパから名前の由来訊いたんだって。でも5歳の時だったから、覚えていなくて……。」

れいか「そうだったんですか……。」

やよい「それに、小さい頃はもっとたくさんパパの事覚えていたハズなのに……。今じゃパパとどんな風に暮らしていたのかさえ、思い出せなくなっているし……。」



 雨が激しくなって来たので5人は近くの公園の休憩所にある木製のテーブルに座った。外灯は付かないくらいはまだ明るい時間だが、分厚い雲が夜のような暗さを醸し出している。


やよい「時々思うんだ…。パパはわたしの事、どう思ってたんだろう…って。」

みゆき「そんな事、決まってるよ。」


 回りに落ちる雨音に負けないように、でも優しく、みゆきはやよいに言った。


みゆき「パパはやよいちゃんの事を愛してた…。絶対に誰よりも」


やよい「…ありがとう。そうだと、いいんだけど…。」


なお「ここはもう一度、お母さんとちゃんと話をした方がいいと思うな」

れいか「えぇ。お父様とやよいさんの、愛のエピソードがあるハズです。」


やよい「………うん。そうしてみる!」








・・・・・・





 その日、七色ヶ丘市公民館では、父の日記念のファッションショーをやっていた。父子でお気に入りの服装を着て、みんなの前で披露する、という催しである。


 やよいの母千春は、このショーの運営スタッフをやっていた。



千春「はい、黄瀬です。……えぇ……はい。え、来海先生がこちらに…?良かった!来海先生楽しみにしていらっしゃったから……はい、承知致しました。はい……失礼します。」


 ピっと携帯の通話ボタンを押す。仕事の都合で来られなかった先生の都合がついたようだ。ところでファッションで来海って言うと……。えりか?



 それはさておき、電話をしながら千春はガラス窓の向こうで雨の中傘をさして歩いていた娘を見つけた。


千春「やよい……?」








・・・・・・



やよい「やっぱり忙しいよね……」



 仕事をしていると訊いた場所まで来てみたものの、さすがに邪魔をしちゃ悪いと思って中に入るのを、やよいは躊躇っていた。


千春「やよい〜!」


やよい「ママ!」


 しかし、やよいが公民館を後にしようとすると、娘の背中を見て後ろから母・千春が声をかけた。







みゆき「あれがやよいちゃんのママ?」

なお「キッズファッションの会社で働いているらしいよ」

れいか「しかし、このように物陰から盗み見るのは良くないのでは……?」

あかね「ま、そう固い事言わんと。」



公民館の外から、塀越しに様子を伺うぴんく、あか、みどり、あお。やよいに悪いと思って隠れようとした拍子にピンクの傘が逆立ってしまい、必死に元に戻す様はなんとも微笑ましいです。


みゆき「やよいちゃんに心からの笑顔が戻ったら黙って静かに帰ろう。」


「「「うん――――。」」」


 なかなか判定が難しそうですが。







・・・・・・



 大好きなパパをみんなに自慢して歩く。微笑ましい光景の最中、照明スタンドの上から、愛を捨てた一匹狼が悪い顔して睨みをきかせていました。



千春「そっか、パパは不器用な人だったから、愛情表現が苦手だったのよね〜」

やよい「ごめんね、お仕事中なのに…。」

千春「いいのよ。やよいが不安になるのも無理ないわ」

やよい「不安って言うか、パパとの想い出をどんどん忘れてっいっちゃってるのが淋しくて…。」


 悲しそうに俯いた、そんな娘を見て千春は鞄の中に手を入れた。


千春「いいもの見せてあげる。」


 取り出したのは封筒だった。けっこう古いものだっていうのが、紙の質でわかる。


千春「これはパパの宝物。」

やよい「―――!」

千春「今では、ママの宝物になってるものよ。今日は特別に見せてあげる」


 封筒は何度も開けられた形跡があった。だから中の紙は、さっと取り出せた。折りたたまれた紙をやよいは開いてみた。


やよい「これ――――、わたしが父の日にプレゼントした……」




 丁寧に折った狐の折り紙と一緒に入っていたのは、「パパありがとう」と描かれた父の似顔絵だった。やよいは、父が昔から自分の絵を良く褒めてくれた事を思い出した。


千春「えぇ。それを貰った時、あの恥ずかしがり屋のパパがすごく嬉しそうにこんな事を言ってたわ。」


『仕事で疲れて帰ってきても、やよいの顔を見るとホッとする。やよいとお風呂に入ったり、公園のベンチでアイスクリームを食べたり、やよいといるだけで、とっても幸せを感じる。だから、お礼を言いたいのは俺の方だ。って……。』



やよい「パパがそんな事を……」

千春「そうそう、それからやよいとパパの秘密もできた。って言ってたわよ?」

やよい「パパとの秘密?」

千春「えぇ。やよいは“ママには秘密”って言ってたみたいだから、パパは教えてくれなかったけど。」

やよい「わたしが………」





 ふとやよいは目線を上げた。目の前では、色んな親子が幸せそうに父親に手を取られて交互に歩いている。その姿を、自分もどこかで……。


千春「どうかした?」

やよい「丘の上のあの場所……そこにパパと言ったんだ……。何かを思い出しそうなんだけど…。」


 右手の狐の折り紙を見つめる。昔、自分が一番上手に折れたヤツだった。













ウルフルン「けっ!愛だの優しいだのくだらねぇんだよ!!」


 既に見飽きたのか、どこか蔑んだ目でステージを見ていたウルフルンは、白紙の絵本を取り出した。


ウルフルン「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれぇ!!白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!!」



 愛、その優しさは、いつか失われる。どんなに大切な人だって、いつかは消えてしまう。あれほど愛してくれた自分を残して、残された人の寂しさもわからず。ただただ、幸せだった、昔が羨ましかった。絶望、真っ黒な未来。生きていてもこの先また、みんないなくなる。そして、最後は…一人に。



やよい「ママ!!!」



 黒いオーラは親子の絆を吸い取って行く。本の中へと取り込んだウルフルンは、やよいが落とした狐の折り紙を赤っ鼻で吸収し、キツネアカンベェを作り出しました。


みゆき「やよいちゃん!」

やよい「みゆきちゃん!」



 ただならぬ様子を感じ取って、スタンばっていた4人と合流。



みゆき「アカンベェ!?」

キャンディ「いそいでへんしんクル!!」


「「「「「うん!」」」」」








「“プリキュア・スマイルチャージ”!!!!!」

「Go!!Go!!Let’s go!!」









「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」



「太陽サンサン熱血パワー、キュアサニー!」



「ピカピカぴかリンじゃんけんぽん、キュアピース!」



「勇気リンリン直球勝負、キュアマーチ!」



「シンシンと降り積もる清き心、キュアビューティ!」




「「「「「5つの光が導く未来、輝け!スマイルプリキュア!!!!!」」」」」






 狭い公民館から飛び出したアカンベェは、降りしきる雨の中にその巨体をさらけ出す。追撃するプリキュアは、空中で畳み掛けるようにアカンベェに攻撃を加えます。



ウルフルン「ちっ!何をやってるアカンベェ!!」


『アカンベェ!!』


 想いの詰まったものだからか、普通のアカンベェより動きも早く、5人を相手に優勢です。


 各個撃破で挑む5人ですが、キツネの俊敏さを持ったアカンベェのスピードは、5人を上回ってました。


ピース「やめて……パパに送ったプレゼントで、みんなを傷つけないで……」


 狐の折り紙を折った想い出。だけど、それは今怪物となってみんなを痛めつけている。ハッピーも、サニーも、マーチも、ビューティも、みんな攻撃が通らない…。


 4人の交戦でできた隙をついて拳を握るピースですが、振り返ったアカンベェを見て、父の日の想い出がフラッシュバックします。アカンベェとはいえ、父が優しい笑顔で褒めてくれた折り紙を攻撃する事は、ピースにはできなかった。




『アカンベェ!!』



ピース「きゃ!!」



 巨大なパンチで後ろへはじき飛ばされるピース。体勢を保ちながら勢いを少しずつ消して雨で濡れた地面を後ろに滑ります。流れるように自分の後ろから前へ伸びていくその道を見て、ピースはその光景を思い出します。





 あの時。



 教会の鐘の音。それを聞きながら、丘の上へ二人で手をつないで歩いた道。
















『パパ〜けっこんしきしようよ〜』


「え―――?」


『やよいとパパのけっこんしき!はやく!』


 透き通るくらい静かな教会の中は、眩い光がステンドグラスを通して輝いていた。並べられた座席から伸びる影が、幻想的なシルエットを道に残す。


 その上を、二人で歩いた。



『ママには、ないしょだよ。パパとやよいだけのひみつだからね』

「あぁ……。まるで、やよいの未来の結婚式を見ているようだな……。」

『えへ。』


「やよいは優しいな。」




 いつも聞くパパの声が、教会の中では響いて聞こえた。まるで、すぐ近くにいるのに、どこか遠くから呼びかけてくるように。



「やよいっていう名前はね、生まれたばかりのやよいの顔をじっと眺めていたら、思い浮かんだんだ。」


『へぇ〜…』


「ママのちはるっていうのは、千の春っていう事だ。ママは春のように優しいだろ?」


『うん!』


「パパはやよいにも、ママみたいに優しい人になってほしくて、弥生(やよい)っていう春の名前を付けたんだよ」



『―――!』






・・・・・



 いつだって。その大きな手で撫でてくれた。


 いつだって、仕事が無い時は一緒に遊んでくれた。


 だから、パパがいなくなった時は本当に悲しかった。それを忘れるために、今まで自分は心のどこかに、想い出を全部しまっていたのかもしれない。











































 雨上がり。



 秘密の約束をした、あの教会を、キュアピースは見ていた。



 今にも、あの階段から、パパに肩車をされた自分が一緒に下りてくるような気がした。



 それはとても大好きだった時間。黄瀬やよいの一番大事な想い出。





やよい「ごめんね、すぐに思い出せなくて。パパはわたしをあんなに愛してくれたのに……。あんなに……いっぱい。」




 いつか見た光景にやよいは改めて感謝した。すぐそこにパパがいるような気がして、きっと天国にまで届いてくれたような気がして……。


 教会の鐘が響く。鐘の音は平和(peace:ピース)を謳う。そして、平和は愛を謳う。




















ウルフルン「ああん?」


ピース「わたしは、パパからいっぱいの愛を貰ったおかげで、人に優しくしようって思える。優しさは、きっと人から人へと伝える愛の表現なんだ!!」


ウルフルン「うるせえ!愛の欠片もねぇ攻撃でトドメだ!」

ピース「貴方に愛が無いのなら、パパから貰った愛を受け取って!!」




 気合い充電。愛の高電圧。でも、今日は泣いていられない。









プリキュア・ピース・サンダァァーー!!!」







『アカンベェ〜〜〜!!!!』


 迸る雷と共に、想い出の狐の折り紙が、ぽつんとそこに戻っていた。




ウルフルン「くっそ。覚えてろ!」



 そうして雲と一緒に消えたウルフルン。戦いが終わって空も晴れ渡る。



 拾い上げた折り紙をそっとピースは胸に抱きしめた。










・・・・・






千春「そう。ここでそんな事が…」

やよい「わたし、少しは優しい子になれたのかな」


 ファッションショーも無事終わり、夕焼け色に染まった空の下。やよいは母を連れて教会を見ていた。


千春「パパの愛を感じる事ができたんでしょ?」

やよい「………うん」

千春「じゃあ、十分優しい子になっていると思うなあ……」



 季節は梅雨。だけど、今だけは、全てが芽吹き出す春。少なくとも、ここだけは。



やよい「ママ!わたし、やよいって名前が大・大・大・だーーーい好きになった!」


千春「ママも、千春って名前が、大・大・大・大・だーーーい好きになった!」





・・・・・



みゆき「良かったね、やよいちゃん。」

あかね「うちも自分の名前、大好きになったで。」

なお「あたしも。お父ちゃんに感謝しなくちゃね!」

れいか「名前は、わたし達が最初に貰う愛情なんですね」

キャンディ「えいえんのあいじょうクル!!!」






 願わくばいつまでも、この青空を。




やよい「パパ、ありがとう」




 永遠の宝物に。











次週はお休み、んで次回、またしてもあいつのしわざ!





「透明人間?みゆきとあかねがミエナクナ〜ル!?」



 またあの発明ばあちゃんか……。











 今週のエンドカードはスーパーサニーやで!




 














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