【FGO】第七の聖杯 絶対魔獣戦線 バビロニア【第9節 魔獣母神 9-2】
七度目の聖杯探索の舞台は紀元前2655年。
それは人間が神と袂を分かった最初の時代。
人類を滅ぼさんと結託した「三女神同盟」の魔の手。
ウルクを飲み込もうとする滅びの予言。
絶対的な終焉を前に、今、最大の戦いが幕を開ける-------!
・前回まで
レオニダス指揮のもと開始されたニップル市救援作戦。
しかし、既にこちら側の動きを読んでいたエルキドゥの策略によって、ニップル市は壊滅。
さらに、救援に向かったカルデアチームの前に魔獣群の女神が現れた。
魔獣を生み出す母体、魔獣の母と言われたティアマト。
兵士は口々にその名を上げて、絶望の声を上げた。
その禍々しい姿に混乱する兵士たち。マシュの言葉は虚しくかき消された。
マーリンの表情から笑顔が消えた。それがこの場の窮地を何よりも意味していた。
急かされてロマンも声を上げる。
地の底から響くような声だ。元々が女神であるからか、どこか艶めかしさがある。
ティアマトの視線の先にエルキドゥが割り込む。
こちらに目を向けるティアマト。
巨大な蛇に睨まれたような感覚・・・。
微笑を浮かべた、相手を蔑む眼。
全身が石化したようだ。体が1ミリも動かない。
誰もが息を呑んだ。このままでは全滅だ。考えろ、考えろ。今ここで一番機動力があるのは・・・。
マシュ!深呼吸して!とりあえず逃げる!
ロマンの言葉で勢いがついた。まだ生き残る可能性はいくらでもある。
市外に出る門の前に立ちふさがるティアマト。
ロマンからのレイライン通信。
カルデアのサーヴァントを限定召喚。
真名:坂田金時。
真名:ジャンヌ・ダルク(オルタ)
真名:ジャンヌ・ダルク
(ごめん見切れた・・・)
こちらも最大戦力で挑む――――――。
(どうやって確認したの?)
ティアマト神の咆哮。
その声を聞くだけで全身が凍りつくような錯覚に陥る。
三十六計逃げるに如かず!全員市外に抜ける門まで退避!
マシュが手を伸ばす。決死の覚悟で自分を押し出そうとしてくれている。
だけど、それはマシュを置き去りにしてしまう
牛若丸!?ニップル市の門の向こう側から物凄い速さで牛若丸がこちらに向かってくる。
ティアマトの尾が地面を薙ぎ払う。それを軽く飛び越える牛若丸。
そのまま体を伝ってティアマトの眼前まで駆け上がる。
牛若丸の一閃がティアマトの顔に一撃を当てた。
ティアマトの尾が今度は空中の牛若丸を狙う。
ずんと大地に尾が叩きつけられた。
その下にいたものを容赦なく全て踏み砕いた。
牛若丸の稼いでくれた時間。一行は全速力で北壁を目指す。
牛若丸の最後を見て、マーリンの態度が変わった。その表情には、余裕に見せた覚悟があった。
ティアマトの視線から目を逸らすマーリン。何かはわからないが直感的に回避していた。
(・・・。こいつは)
でもまぁ仕方ない。もうこうなったらやれることを全部やるだけ・・・!
マシュ!シールドを構えて!
マシュの盾がティアマトの視線を弾く。
あらゆる攻撃を防ぐマシュの盾は、石化の魔眼も通じない。
ティアマトが再び咆哮を上げる。
ここで負けたら全部水の泡だ。勝てないことはわかっているが、今は生きるために、戦う―――――。