【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

ナンバーズ92「激戦カップルデュエル「アンナ奴」と俺がタッグ!?」





 ある日二人は結ばれた。




 2つの人生を1つに紡いだ。




 祝福される新郎と新婦。



 二人は、デュエリストだった。



 アンナは純白に包まれた花嫁を見ていた。



花嫁――――海美は、もう苗字が変わってしまったが、小さい頃から面倒を見てくれた。



 いつまでも姉のような存在だった。そして同時に尊敬していたデュエリストでもあった。アンナは海美からたくさんデュエルの事を教わった。当時アンナが好きだった男の子がデュエルモンスターズに熱中していたからだ。あの時、アンナも恋をしていたのかもしれない。そして今、恋を成就させた花嫁が、アンナの目の前にもいた。



 一際歓声が上がると、海美を囲む女性たちの上をブーケが飛び越えた。それは狙ったようにアンナの懐にすっぽりと収まり、途端に視線が自分に集中するのに気づく。


アンナ「ん?」


 羨ましがられる拍手の中、アンナはブーケの中にカードが刺さっているのに気がついた。取り出したカードのイラストには、爆撃機が夕陽に向かって飛び、焼け爛れた街で抱き合う二人の恋人が描かれていた。




《献身的な愛》
速攻魔法
発動ターン、バトルフェイズを終了し相手はカードを1枚ドローする。このターンのエンドフェイズに自分のライフポイントを0にする。


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アンナ「速攻魔法《献身的な愛》? バトルを終了させ、相手はカードを1枚ドローする。このターンの終わりに自分のライフポイントを0にする――――? なんだこのカード、自分のライフポイントが0になっちゃ、使う意味ねぇじゃん。」

海美「アンナちゃん。」

アンナ「海美ねーちゃん!」


 自分の名を呼ぶ声に反応して、アンナがカードから視線を上げると、そこには幸せそうに笑う海美の姿があった。


海美「今はまだわからなくても、そのカードの意味はいつかきっとわかる時がくるわ。」

アンナ「――――――?」



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 祝福の鐘がなる。アンナはこの時、海美の言っている意味がまだよくわからなかった。











 時間は少し経って、ハートランド学園。その日は年に一度の文化祭の日だった。


 クラスで1つ出し物を決め、学園中のあちこちで様々な催しが行われていた。


 どこへ行っても食べ物の匂いが続き、色々な格好をした生徒たちが思い思いに来校者を迎え入れている。


小鳥・キャッシー「「いらっしゃいませー!モンスターカフェへようこそ!」」


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 遊馬たちのクラスではデュエルモンスターをテーマにした喫茶店をやっていた。店員は皆モンスターの格好をして接客する。小鳥は《ガガガガール》、キャッシーは《キャット・ガール》のコスプレだ。


小鳥「こちらがメニューでございます。ご注文の品をドローしてください」


 そう言って小鳥は食べ物をテーマにしたカードをメニュー代わりに客に見せる。《モウヤンのカレー》や《非常食》、《デスドーナツ》に《神秘の中華鍋》、《焼モロコシーナ》《きのこまん》など等。


「んー、じゃあこれ!」


小鳥「かしこまりました、《ハングリー・バーガー》を――――――」


 営業スマイルで小鳥が笑いかけた時、背後で突然衝撃と共に爆音が鳴り響いた。

 白煙が部屋に広がり、驚いた生徒たちの悲鳴混じりの声がする。小鳥が振り返ると、装飾を施した教室の窓にぽっかり穴が空いていた。


小鳥「え゛!?」


 小鳥は一瞬自分の目を疑った。飛行型空気圧砲「フライングランチャー」に乗った破天荒少女神月アンナが割れた窓をくぐって現れたのだ。


アンナ「いよう、小鳥!学園祭だって聞いたから遊びに来てやったぜ!」

小鳥「あ……あんなぁ……」

アンナ「へへ。」


 呆れたような小鳥の反応を見て、アンナは照れくさそうに笑った。


小鳥「“へへ”って、ちょっとどうすんのよコレ!メチャクチャじゃない!」

遊馬「アンナ!?お前なにやってんだ?」


 かつてのトラウマがフラッシュバックした遊馬は、驚いてアンナに呼びかけた。


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アンナ「遊馬!! ……ゆうま? ぐっ――――な、なんだその格好は…?」



 笑いをこらえながらアンナは遊馬に駆け寄った。遊馬はというと、両肩に雷太鼓を下げて、くいだおれ人形のような衣装に、角の生えた帽子を被っていた。


遊馬「《太鼓魔人テンテンテンンポ》だよ…。」

アンナ「お前、似合いすぎだろ…!」

遊馬「しょうがねぇだろ……、じゃんけんに負けちまってさー」

キャッシー「あんらぁ、でも私は可愛くってイイと思うけど…。あーん!今の遊馬、猫可愛がりしたーい!」←誰も反応せず

小鳥「……。」


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キャッシーの独り言に無言で睨む小鳥。


アストラル『遊馬、ワタシも非常に良く似合っていると思うな。』


 流れを読んでアストラルも遊馬を褒める。顔は笑ってないので本当に褒めているのか、皮肉っているのかはわからない。


遊馬「あのな……。」


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真月「大ニュース!大ニュース!遊馬くん!大ニュースです!!」←よかれ発動中


 そこに、モンスターカフェ宣伝のために《ダンディライオン》の格好で学園を回っていた真月が、慌てた様子で戻ってきた。













遊馬「カップルデュエル大会?」

真月「はい。学園主催のその大会に、ゲストとしてプロデュエリストの羽原飛夫・海美夫妻が来ているんです!」

アンナ「―――!」


 真月はDパットで学校にあったポスターの画像を遊馬たちに見せる。そこには、まだ20代前半と思われるスラリとした体型の二人が映っていた。二人共スタイルも顔も良く、モデルのような印象を受ける。


真月「飛夫・海美夫妻と云えば、タッグデュエルでは無類の強さを発揮する名コンビ。これは放ってはおけませんよー!」


アンナ「――――。」


遊馬「マジかよ〜〜!くー!プロデュエリストのタッグデュエルかぁー…燃えるぜー!」


真月「大会参加カップルは、希望すれば二人と対戦できるらしいですよ!何でも、海美選手が近々デュエルをやめるらしくて、それでファンサービスにって…」


アンナ「ど、どういうことだよ!デュエルをやめるって!!なんでだよ!!」

真月「ぐおわぁ!!?」←驚


 真月の言葉に反応したアンナ。気づいたら真月の胸ぐらを掴み中空に浮かべて問いただしていた。


遊馬「お、おいアンナ!」


真月「ぼ……ボクに言われても……。」


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アンナ「くそっ!!」


 目を回して訳がわからないと言っている真月の胸ぐらを離すアンナ。


アンナ「(そんな……海美ねえちゃんがどうしてデュエルを……)」


 結婚式場でのあの時以来、アンナは海美に会っていない。ここ最近はプロデュエリストとしての活躍を噂で聞いていたが、デュエルをやめるなんて話は初耳だった。




アンナ「遊馬、俺とカップルデュエル大会に出てくれ。」

遊馬「え?オレと?」

小鳥「ちょっと待って!なんで遊馬がアナタとカップルデュエルに!?」

アンナ「なんでって……それは―――――。とにかく、俺は出なきゃなんねぇんだ!」


 真相を聞くために会いたいけど、仕事も忙しいからチャンスは今しかない。


小鳥「な、なによそれー!」

キャッシー「そうよ、だめなの!遊馬は私と出るキャット!」

小鳥「なんでそうなるわけ!」


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アンナ「とにかく俺は遊馬とカップルになる!!!」←宣言


小鳥「それはダメ!」

キャッシー「じゃあ私ね!」

小鳥「それもダメ!」



サチ「お取り込み中のところ悪いんだけど……」


アンナ「あん?」


 一行の様子を見ていたのは、小鳥といつも一緒にいるセイとサチ。二人もモンスターズカフェのコンセプトに則って、霊使いのコスチュームを着ていた。


セイ「小鳥とキャットちゃんはともかく、アナタはカップルデュエル大会には出られないと思うんだけど……。」

アンナ「な、なんでだよ!!」


 ムキになって聞き返すアンナ。


サチ「だって、ウチの学園の生徒でないと参加できないって。」


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 そう言ってサチは、真月が見せた広告ポスターの映ったDパットを見せた。参加資格にはきっちり学園の生徒であることが書かれていた。



アンナ「う……うっそ……。」












 やってきた爆走破天荒少女アンナ。波乱を呼び込む彼女に巻き込まれて遊馬はカップルデュエル大会に出る事に。目指すはカップルプロデュエリスト羽原飛夫・海美夫妻。しかし、文化祭で浮かれる学園には既にバリアンの次の手が忍び込んでいた。



 デュエル引退の真相は、そしてバリアンの潜む影とは。
















第92話「激戦カップルデュエル「アンナ奴」と俺がタッグ!?」



璃緒『あぁ!王子様、ずっとお慕い申し上げておりました!』


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 透き通るような声がステージに響く。文化祭とかそもそも学校行事に興味がないシャークは、リオがやっているという演劇を見に来ていた。普段からシャークに対する顔とそれ以外の2つの顔を持っているからか、姫役の演技を実に自然に立ち回っていた。


凌牙「ケッ。臭ぇ芝居しやがって、見ちゃいられねぇぜ……。」


 葉の浮いた台詞を並べる王子と姫のシーンにシャークが席にも着かずに背中を痒くしていると、後ろから鉄男が声をかけてきた。


鉄男「まぁまぁ、お兄さん落ち着いて。」←ウザ声

凌牙「ん? ―――――――!!!? なんだてめぇ……!」←ドン引


 一瞬空返事をするシャークだが、すぐに鉄男の格好に気づいて身を反らせた。全身チグハグなダンボールを着た鉄男の姿がそこにあった。


鉄男「《ゴゴゴゴーレム》だけど? お兄さん。」

凌牙「お、お兄さんって……てめぇに呼ばれる筋合いはねぇ!!!!」


 人生で初めて立ったよくわからない鳥肌を感じながら全力で鉄男に怒鳴るシャーク。


璃緒「うるさーーーーーい!!!」


 すかーん。直後、側面から飛んできた演劇用の靴がシャークの頭にヒットする。首の位置が若干ずれながらも、シャークはイラっとして舞台に振り返る。


璃緒「静かに観ていられないのなら、出て行って!!!!」


 そこには野球のピッチャーを思わせるキレイな投球フォームを残しながら、片足を裸足のままでシャーク以上に怒鳴るリオの姿があった。明らかに王子役の男子は引いている。










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愛花「ちょっと固い感じが致しますわね…。」


 賑やかな劇場とは打って変わって水の滴る静かなBGMの中、《ガガガマジシャン》の格好(おそらくじゃんけんで遊馬に勝った)をした等々力委員長が、綺麗に正座をして華道部の生花体験をしていた。


等々力「そうですか…。」


 部長の花添愛花は、以前バリアンの力によって洗脳され遊馬たちを襲ったが、リオの活躍で難を逃れ、今は再び良き部長として生花を指南していた。


愛花「ですが……。」


 耳に残る艶やかな声で愛花は話を続けた。彼女はリオや小鳥にはない大人の魅力がこれでもかとある。純白の肌を綺麗に着重ねた着物の間から覗かせ、しっとりとした佇まいはそれだけで近寄りがたいオーラを回りに振りまいている。


愛花「こういう生真面目さ、嫌いではありませんわ。」


 不意に涼しげなその顔をにこりと和らげる。吸い込まれるような瞳に、等々力は顔が沸騰しているなと思った。


等々力「あわわわわ……はい〜〜〜〜〜」











太一「やったぜええ!!蝶野さなぎちゃんのライブチケット手に入れたぜー!」


 彼を覚えている者はどれくらいいるだろうか。太一はこれ以上ないようなハイテンションで校舎裏から飛び出してきた。その手には滅多に入手できないデュエルアイドル蝶野さなぎのレアチケットが握られていた。


徳之助「インチキチケットと交換でこんなにレアカードが集まったウラ〜〜」


 校舎裏に秘密裏に建てられた屋台は、徳之助が蝶野さなぎの写真で装飾した非合理チケットの交換所だった。レアカードと交換を条件に徳之助は、偽レアチケットを男子生徒相手に売りさばいていた。


徳之助「世の中騙されるバカが多いウラ〜〜〜」


神宮寺「随分景気が良いようだねぇ……。」


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 ついつい声を張り上げる徳之助の前に、制服をきちんと整えたハートランド学園の生徒会長・神宮寺守が校舎の影から現れた。生徒の間で偽のチケットが出回っているという情報を掴んだらしい。


徳之助「せ、生徒会長!?」


 神宮寺もバリアンの力によって生徒会の力を都合の良い様に使われた過去がある。ミニスカ破廉恥モンスタータマグシも記憶に新しい。


神宮寺「詳しい話を聞かせてもらおうか。」


 絶好の獲物を見つけた肉食獣のように、ギラリと神宮寺の眼光が徳之助をマークした。


徳之助「や……ヤバ……」


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遊馬「なんだよ。こんなとこに呼び出して。」


 その頃、遊馬は真月に連れションを誘われてトイレへ。もちろん連れションはあくまで口実。遊馬とアストラルを離すためだ。人間の常識としてアストラルには、トイレまで着いて来ないように遊馬は言ってある。バリアンズ・ガーディアンという肩書きを秘密にしたい真月は、遊馬と二人きりで話す機会が少ない。アストラルが鍵から出ている場合は、大抵トイレの個室で捜査会議が行われる。


真月「二人きりの時は、言葉遣いに気をつけたまえ。」


 先ほどの様子とは打って変わって、腕を組み、トーンを一段階低めにした声で遊馬に指摘する真月。


真月「ワタシはバリアン警察の警部で、君は平の巡査なのだぞ」

遊馬「あ、はっ! 失礼しました!」


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 ビシっと刑事ドラマでよく見る敬礼のポーズをとる遊馬。今となっては真月と二人で接する時は上司と部下という設定になっている。


真月「遊馬巡査。学園祭のような時は警戒が必要だ。外からどんな奴が入り込んでくるかわからないからな。」

遊馬「もしかして、またバリアンが……?」


 ギラグやアリトは学園の生徒になりすまして遊馬に近づいてきた。しばらくは姿を見ないが、今もどこかに潜んでいるかもしれない。


真月「その可能性はある。そこで、念のため校内パトロールを実地する。」


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遊馬「了解しました!もしバリアンを発見した時はお前に――――――あ、いや警部殿に戴いた――――――、このカードで返り討ちだ」


 そう言って遊馬は、以前真月からもらった《RUM−リミテッド・バリアンズ・フォース》を取り出した。ホープホープレイVにランクアップさせる強力なカードだ。


真月「頼んだぞ、遊馬巡査」










アンナ「小鳥、悪ぃ」


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 女子更衣室に忍び込む怪しい影。学園の生徒じゃないとカップルデュエルに参加できないと知ったアンナは、更衣室の小鳥のロッカーから制服を拝借していた。


アンナ「俺だってこんなことしたくないんだ…。けど、俺は今日のカップルデュエル大会に出て、どうしても確かめたいことがあるんだ!」


 逆に目立つほっかむりを被ったまま、アンナは予め用意しておいた「小鳥 制服 借りるぜ!! アンナ」の書置きをロッカーの中に貼り付けて、小鳥の服に着替えた。





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『真剣しょうぶ!ライフポイント!あーと少し!いくよ!!』

『ハーティンデュエル!!ハーティンデュエル!!私にかけて恋のトラップカード!!』


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 一方中庭の人集りには、徳之助が売りさばいていた蝶野さなぎの出張ライブが行われていた。男子生徒の悲しい合いの手とピンクの半纏を下げた怪しい集団が、ステージも見ずにキレッキレのダンスを繰り広げていた。


「キャー!シャーク様!!」

「キャー!!」


 学園祭の出張デュエルには、学園内のバンドがさなぎの曲を演奏するようだ。しかし、当日になってベースを担当していた男子生徒が(以下略)そんな時、ふとシャークに声がかかり、最初は断ったシャークだったが(以下略)だったのだ(意味不明)。


 女子たちの黄色い声援を無視しながら、シャークはもくもくと曲に合わせてベースを奏でていた。







遊馬「お好み焼きうめぇ〜!」


 一方、巡回パトロールと称して学園内の屋台をシラミつぶしに制覇していた遊馬。


遊馬「たこ焼き、うめぇ!焼きそば!じゃがバター!チョコバナナ!あんず飴!」


 次から次へと屋台の品を買い漁り、常に何かしら食べながら遊馬は真月と一緒に歩いていた。


遊馬「え〜っと、次は何を食べようかなぁ…」

真月「遊馬クン。わかってると思うけど、ボクたち遊びに来たわけじゃ――――」


 むすっとした口調が真月が注意する。その口ぶりは素性を隠した表の面だ。


遊馬「ん?あぁ、そっかそっか」


 祭りの雰囲気にすっかり呑まれ、ようやく真月に言われて当初の目的を思い出す遊馬。


アストラル『遊馬。』

遊馬「――? なんだよ。」


 さっきからアストラルは、屋台の品を次々口に放り込んでいた遊馬をじーっと見つめていた。


アストラル『君が食べていたオコノミヤキとタコヤキはどういう違いがあるのだ?』

遊馬「違い? たこ焼きにはタコが入ってて……」


 基本的に生地具材共にたこ焼きとお好み焼きは中身に大差がない。タコ入りのお好み焼きならば、その違いはキャベツがあるかないか程度だが……。


アストラル『オコノミヤキにはオコノミが入っているのか?』

遊馬「そ、そんな」


 ことねぇよ、と言おうとして遊馬は誰かに呼ばれた気がした。


アンナ「遊馬!」


 声がした方を振り返る遊馬。大勢の人の中で自分の方を向いている子がいた。見慣れた制服を着ていたから遊馬は小鳥かと思ったが、妙に違和感のある胸元と首から上を見て仰天した。


遊馬「アンナ!? お前その格好!!」


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アンナ「へへ。これで俺もこの学園の生徒ってわけだ!」


 どうだ、とばかりにアンナは小鳥の制服姿でそこに現れた。見慣れた服をアンナが着ている違和感。背中のドデかいランチャーがさらに違和感を増量する。


アンナ「遊馬。お前にはどうしても俺とカップルデュエルに出てもらう。」

遊馬「お、おい!」

アンナ「嫌だと言ったら……こうだ!!!」


 ジャキン。背中のランチャーを遊馬に向けて構えるアンナ。見かけ倒しに見えがちだが、校舎の壁に風穴を空ける程度の威力はある。かつてアレを打ち込まれながら街中を逃げ回ったのを遊馬は思い出した。


遊馬「どわあ!わかった!わかりましたぁ!」







・・・イベント控え室(羽原夫妻の部屋)・・・




海美「学生たちとデュエルなんて……なんだか緊張しちゃうなあ……。」


 海美は控え室で自分のデッキの調子を見ていた。今まで数多くの舞台を二人で勝ち抜いてきた海美にとっても、学園祭という独特の場で決闘試合をするのは初めてだった。

 夫・飛夫と一緒に何度も練り直したデッキ。






???『ハハハハハハ』


 その時、急に外が昼から夜に変わる。いや、夜というよりは外の景色が真っ暗になる。まるで窓ガラスを黒のペンキで塗りたくったような闇。部屋の照明も消え、海美は真っ暗な部屋を見渡した。


海美「何!?」


???『ハハハ……』


 誰かの声がする。しかし、その声は余りにも異質だった。まるで、この世界に存在しないような、存在してはいけないような不気味な声。ただ、確かに声の主は笑っていた。


海美「誰!?」


 部屋の扉が開いた様子は無い。初めからここにいたのか、それとも―――――――。


???『絶妙ノコンビネーションヲ誇ルタッグチーム……。』


 ソレは突然現れた。何も無い空間から火が燃え上がるように。いや、何も無いというよりはこの闇の中から生まれたような、そんなイメージ。


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 ソレは確かに語りかけてきた。一見すると大きな毒々しい蛾だ。だが4枚に広がる羽の2つは人間の手に見える。蛾というよりは悪魔の羽を生やした人間だった。


海美「な……何なの……あなた」


 顔らしき部分から青い二つの眼光が海美を捉えた。海美はこの悍ましい物体が何なのか理解できず、立ち尽くしていた。


ベクター『ヤツニブツケルニハ、ウッテツケダ』


 深淵の奥から直接耳に響くような声。そこにいるハズなのにとても遠いところから話しかけられているような気になる。


ベクター『オ前ノチカラ、オレノ為ニ使ワセテモラウ』


 揺れる赤い影が一瞬ボヤけ、そして1枚のカードを海美の前に浮かべた。紋章を宿した対モンスターエクシーズ用カード。今まで何度も遊馬たちを苦しめた《RUM−バリアンズ・フォース》。


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 赤く輝く不思議なその光に、海美は一瞬で呑まれた。





海美「――――――――!」


 目を開けた海美は回りを見回した。誰もいない。何か、不思議な夢を見ていた気がする。思い出そうとした時、飛夫が部屋に入ってきた。


飛夫「さぁ、そろそろ時間だよ。マイハニー」


 海美は飛夫の顔を見てようやく現実に戻った。何かあった気がするが、何も思い出せなかった。


飛夫「――?どうしたんだい? 気分でも悪いのかい?」

海美「ううん、大丈夫。何でもないの」


 この時の海美にはわからなかった。いつの間にか自分のデッキに、見知らぬカードが1枚混入していたのを。








小鳥「アンナのヤツー!」


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 その頃、モンスターズカフェの接客もひと段落した小鳥は、一旦着替えを取りに更衣室に戻った所でアンナの書置きを見つけた。


小鳥「いったい……、そっか!私の制服着て生徒になりすまして…」

キャッシー「カップルデュエル大会に出るつもりにゃん!!」


「「――――そうはさせるもんですか!!!」」


 意を決して《ガガガガール》と《キャット・ガール》は会場であるサッカーコートに向かって走った。

















『さっすがプロ!!あっという間に三組の挑戦者を倒してしまいましたぁ!』


 一方、会場は羽原夫妻のタッグデュエルで大盛り上り。既に三戦目を終え、サッカーコー^トの観覧席には二人の活躍を見に来た生徒で埋め尽くされていた。


『さぁ!次なる挑戦者は―――!!』


アンナ「待った!待ったぁ!!!」


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遊馬「どぉわぁ!!!」


 観客席の裏側から選手登録を終えた二人が、フランイングランチャーに乗ってコートに飛び込んできた。



アンナ「次の挑戦者はー、この俺だー!!」


 ビシっと登場するアンナ。後ろでは力任せに着地させられてうずくまる遊馬がいる。


海美「ア、アンナちゃん!?」


 アンナの姿を見て驚く海美。海美は当然アンナが生徒じゃないことを知っている。


遊馬「――? お前、知り合いなのかよ?」


 海美の反応を見てアンナに尋ねる遊馬。


飛夫「あの娘、結婚式に来てくれた…」

海美「えぇ、神月アンナちゃん。私がデュエルを教えてあげたの」



『おーっとこれは凄い!!!WDCのチャンピオン・九十九遊馬選手が、謎の女の子と共に乱入だー!!』


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海美「アンナちゃん驚いたわ。アンナちゃんの彼氏がWDCのチャンピオンだなんて…」


 海美は遊馬を知っている。もちろん、WDCに優勝した少年としてだが。


遊馬「オレがアンナの彼氏!?」


 海美の反応に、遊馬は思わず自分を指差して聞き返す。


海美「だって…」

遊馬「いや、オレは……」

アンナ「そんなことはどうでもいい!!海美ねーちゃん、デュエルをやめるってどういうことなんだよ!!」


 単刀直入に海美に問いただすアンナ。小鳥の制服を頂戴したのも、カップルデュエルに参加したのも、全てはこのためだ


海美「……。」

アンナ「結婚してもおばあちゃんになってもデュエルはやめないって言ってたのに…。海美ねーちゃんの嘘つき!!」

海美「違うの!そうじゃないの!」


 弁明するように海美は言うが、アンナは裏切られたショックで聞く耳持たずだ。


アンナ「言い訳なんて聞きたくない!!海美ねーちゃん、前から言ってたよな? 俺がねーちゃんにデュエルで勝ったら、何でも1つ言うことを聞くって。」

海美「…。」


 いつかした二人の約束をアンナは海美に思い出させる。勝ったら何でも言うことを聞く。だが、当時から今までアンナは海美に勝ったことはなかった。


アンナ「俺がこのデュエルで勝ったら『デュエルをやめる』のをやめてもらう!」

海美「アンナちゃん……。」


 海美にも理由はあった。だけど、必死で引きとめようとしてくれるアンナの気持ちには、悪い気はしなかった。


海美「今のあなたには何を言っても無駄なようね…。いいわ、そのデュエル受けてあげる!」


アストラル『どうやら、二人の間には何か行き違いがあるようだな…。』


 事情をさっぱり飲み込めない遊馬にアストラルが観察結果をまとめた。


遊馬「だったら、デュエルは打って付けだ!デュエルでぶつかり合えば、どんな誤解も吹っ飛んじまうって!」


 遊馬はそうして数々の戦いを制してきた。デュエルを通した時に人は本音を、心の悩みをぶつけられる。それは勝敗に関係なく、お互いを真に解り合うには大切なことだ。


飛夫「ボーイ!さすがデュエルカーニバルのチャンピオンだな。いい子だ!」

遊馬「じゃあいくぜ!!!」




デュエルディスク、セット!!!」

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「Dゲイザー、セット!!!」


 バリアンの影がチラツキつつも、ハートランド学園カップルデュエル大会四戦目が始まった。


「「「「デュエル!!!!」」」」


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飛夫「先攻は貰った!ワタシのターン、ドロー!!」




小鳥「あー!やっぱり!!」

キャッシー「キー!悔しー!!」

 試合が始まると同時に、小鳥とキャッシーが会場にやってきた。既にフィールドにいた遊馬とアンナの姿を見て、とりあえず真月の横で二人に叫んだ。




アストラル『各プレイヤーのライフはそれぞれ4000。相手プレイヤーを二人共倒した方が勝ち。まずは相手がどう出るか、だが―――――』


○「ワタシはフィールド魔法《氷山海(アイスバーグ・オーシャン)》を発動!!このカードは、フィールドにいる表側守備モンスターの守備力をゼロにする!」


《氷山海(アイスバーグ・オーシャン)》
フィールド魔法
フィールド上に表側守備表示で存在するモンスターの守備力は0になる。


 途端に芝生のサッカーコートが流氷漂う極寒の海に変わる。もちろんARビジョンなので、氷の上でも滑らないし、海にも落ちない。



飛夫「ハニー、こいつはワタシから君への贈り物だよ」

海美「ん。」


 語りかけるように言った飛夫の言葉にウィンクして返す海美。それを見てアンナは無性に歯を噛み締めた。


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○「さらに、魔法カード《バルーン・パーティ》を発動!!このカードは自分フィールドに『バルーン・トークン』2体を特殊召喚する!!」



《バルーン・パーティ》
通常魔法
自分フィールド上に「バルーン・トークン」(?族・風属性・星1・攻/守0)2体を特殊召喚する。このターン自分フィールド上のモンスターは攻撃できない。


○「ワタシは2体のモンスターをリリースして、レベル10の《超巨大飛行艇ジャイアント・ヒンデンブルグ》をアドバンス召喚!!!」


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《超巨大飛行艇ジャイアント・ヒンデンブルグ
☆10/風属性/機械族/ATK2900/DEF2000
自分フィールド上にこのカード以外のレベル5以上のモンスターが召喚された時、相手フィールド上に攻撃表示で存在するレベル9以下のモンスターの表示形式を守備表示に変更する。


 雲を割いて氷の海に降り立ったのは、その名の通り超巨大な飛行艇だった。巨大モンスターが多いデュエルモンスターズの世界でも、その規模は上位に入るだろう。


遊馬「す、すげぇ……」

アンナ「何関心してんだよ!」


飛夫「タッグデュエルでは、全てのプレイヤーは一巡目には攻撃できない。」


○「ワタシはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」


遊馬「いくぜ!オレのターン、ドロー!!」


●「オレは《ゴゴゴゴーレム》を召喚!!」


《ゴゴゴゴーレム》
☆4/地属性/岩石族/ATK1800/DEF1500
フィールド上に表側守備表示で存在するこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。


アストラル『遊馬、ここは守りを固めて相手の出方を見たほうが良い。』

遊馬「あぁ。」

●「オレはカードを2枚伏せて、ターンエンド!!」


海美「私のターン、ドロー!!」


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○「私は魔法カード《ラフト・パーティ》を発動!!このカードは『ラフト・トークン』2体を特殊召喚する!!」


《ラフト・パーティ》
通常魔法
自分フィールド上に「ラフト・トークン」(?族・?属性・星1・攻/守0)2体を特殊召喚する。このターン自分フィールド上のモンスターは攻撃できない。


○「私は2体のモンスターをリリースして、アドバンス召喚!!!」


「現れろ!!《超巨大不沈客船エレガント・タイタニック》!!!」


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《超巨大不沈客船エレガント・タイタニック
☆10/水属性/機械族/ATK2800/DEFXXXX
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する守備力0のモンスター1体を破壊し、この効果で破壊したモンスターの攻撃力の半分の数値のダメージを相手ライフに与える。


 飛夫に続いて氷を裂けて飛び出したのは、これも破格の大きさのモンスター。遊馬の《ゴゴゴゴーレム》が石ころのように感じるほどだ。


遊馬「またすんげぇのが出てきたぜ!!」

アンナ「喜んでんじゃねぇよ!!」



○「ジャイアント・ヒンデンブルグの効果発動!!フィールド上にレベル5以上のモンスターが召喚された時、相手フィールドのレベル9以下のモンスターを全て守備表示にする!!」


 効果によって召喚された《ゴゴゴゴーレム》はヒンデンブルグの効果で守備表示に。


○「さらに、フィールド魔法《氷山海》の効果でフィールド上の表側守備表示モンスターの守備力はゼロになる!!!」



《ゴゴゴゴーレム》
DEF1500→0



遊馬「《ゴゴゴゴーレム》!!?」


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○「ここでエレガント・タイタニックの効果発動!!1ターンに1度、フィールドにいる守備力0のモンスター1体を破壊し、その攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える!!!」





遊馬「ぐああああああああああああ!!!!?」


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 巨大客船が《ゴゴゴゴーレム》を突くように破壊する。それでも破壊された衝撃は大きく、遊馬は氷の上で後ろに吹き飛んだ。


遊馬LP4000→3100


アンナ「おいこらヘボ遊馬!なにやられちゃってんだよ!」

遊馬「うっせー!こっちだって、好きでやられてんじゃねぇ!」


アストラル『これが、プロのコンビネーションというものか!』


●「オレは罠カード《リボーン・パズル》を発動!!このカードは自分のモンスターがカード効果で破壊された時、破壊されたモンスターを攻撃表示で特殊召喚する!!」


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《リボーン・パズル》
通常罠
自分フィールド上のモンスターが相手のカード効果によって破壊された時、そのモンスター1体を墓地から表側攻撃表示で特殊召喚する。


遊馬「戻ってこい!!《ゴゴゴゴーレム》!!!」


○「やるじゃない。私はカードを1枚伏せてターンエンド!」




アンナ「待ちに待ったぜ!!!俺のターン、ドロー!!!」


●「俺は《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》を召喚!!!コイツは攻撃力を0にすることでリリースなしで召喚できる!!」


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《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》
☆10/地属性/機械族/ATK3000/DEF3000
このカードは攻撃力を0にする事でリリースなしで召喚できる。



《深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト》
ATK3000→0


●「もういっちょいくぜ!!俺は魔法カード《サザンクロス》を発動!!このカードはフィールドにいるモンスター1体のレベルを10にする!!!」


《サザンクロス》
通常魔法
フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターのレベルを10にする。


アンナ「《ゴゴゴゴーレム》レベルアップだーーー!!!」


《ゴゴゴゴーレム》
☆4→10


遊馬「おぉー!オレの《ゴゴゴゴーレム》がレベル10に!!」←よくわかってない


アストラル『おそらくこれは…』


遊馬「ん?」←わかってない


●「俺はレベル10のナイト・エクスプレス・ナイトと《ゴゴゴゴーレム》でオーバーレイ!!!」



「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!!」


「鉄路の彼方より、地響きと共にただいま到着!!」


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「現れろ、《超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》!!!!!」


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超弩級砲塔列車グスタフ・マックス》
ランク10/地属性/機械族・エクシーズ/ATK3000/DEF3000
レベル10モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手ライフに2000ポイントダメージを与える。


 アンナが繰り出すエースカード。OCGでも一世を風靡した最上級のバーンモンスター。巨大砲塔を携えて、三本の巨大レールが飛夫と海美に伸びる。


遊馬「おい!何でオレのモンスター勝手に使っちまうんだよ!!」

アンナ「この大会のルールじゃ、パートナーのモンスターを使って、エクシーズ召喚してもいいんだよ。」


 戦略的な意味で訴える遊馬に、ルール的な意味で無問題だと言い通すアンナ。


遊馬「だからって―――――!!」

アンナ「まぁ見てろって―――!!」


海美「……。」


 そんな二人のやり取りを、海美はどこか不安そうに見つめる。そう、これはカップルデュエル。お互いがお互いを思いやり、支えあってこそ初めてその真価を発揮できるデュエル。どちらかが身勝手では、コンビネーションが成立しない。


●「グスタフ・マックスの効果発動!!コイツはオーバーレイユニットを1つ使うことで、相手に2000ポイントのダメージを与える!!!」


アンナ「狙いは、海美ねーちゃん!!」


 グスタフ・マックスの装甲が展開する。分厚い装甲で覆われた砲塔部が開き、中から巨大な鉄の塊が海美に狙いを付けて伸びる。


「“発射オーライ、ビッグ・キャノン”!!!!」


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 耳を突き抜けるような爆音が響き、目も眩むような閃光が走る。そしてそれに続いて、空気が激しく振動する衝撃。2000ポイント分のダメージを持った砲擊が海美に向かって撃ち放たれた。


○「速攻魔法《運命共有(エンゲージメント・デステニー)》発動!!このカードは、パートナーが受ける効果ダメージを半分にし、残り半分のダメージを自分が受ける!!!」


《運命共有(エンゲージメント・デステニー)》
速攻魔法
相手が受ける効果ダメージの数値を半分にし、その数値分自分ライフにダメージを受ける。


遊馬「!?」

アンナ「何!?」


 グスタフ・マックスの砲擊と、海美の間に現れた銀色のリング。その中を潜った砲擊は屈折するかのように二つに分散し、一方は飛夫に、もう一方は海美にそれぞれ飛んだ。


海美「きゃああああ!!!」

飛夫「海美―――――!!!」


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 効果ダメージの衝撃で後ろへ飛ぶ海美。それを予測してか、飛夫は衝撃よりも先に自ら飛び出し、海美が地面に着く前に彼女を抱きかかえて背中から倒れる。飛夫がクッションになり、海美にケガはない。





アンナ「あ……」



飛夫「ワタシたち二人、悲しみは半分に――。喜びは2倍に―――。」

海美「えぇ。どんなダメージだって分かちあえば苦しくない。」


 倒れる二人を見て、アンナは若干申し訳ない気になったが、立ち上がるやいなや二人はお互いを見つめ合って小芝居じみたノロケ話をし始めたので、そんな気持ちはすぐに吹き飛んだ。




キャッシー「ステキー!」

小鳥「憧れちゃうわー!」




飛夫「ハニー。」

海美「ダーリン。」


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アンナ「……。」




 どうでも良いキラキラオーラを目の当たりにして、アンナは冷めた目で二人を見ていた。

●「俺は…カードを1枚伏せてターンエンドだ……。」


飛夫「さぁいくぞ!ワタシのターン、ドロー!」


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飛夫「マイハニー、二人の愛の結晶を見せる時だ!」


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海美「えぇ、ダーリン。」


○「ワタシはレベル10のジャイアント・ヒンデンブルグとエレガント・タイタニックでオーバーレイ!!」


「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」


「天翔ける勇者と海の王女が結ばれし時、大いなる世界の不思議が華開く!!!」


 重なる飛行艇と豪華客船。互いに分離し、また連結し、空中に1つの巨大な都市を描く。


「出てよ!!!《超巨大空中宮殿ガンガリディア》!!!!」


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《超巨大空中宮殿ガンガリディア》
ランク10/風属性/機械族・エクシーズ/ATK3400/DEF3000
レベル10モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上のモンスター1体を破壊して相手ライフを半分にする。


 それはもはやモンスターではなかった。フィールド魔法のように1つの世界をそれは成していた。ダイソン・スフィアのような巨大な宇宙物ではなく、これは正真正銘、誰にも介入できない二人の空間がそこにあった。

 ただそこにいるだけで圧倒的な存在を示す宮殿は、ホープより大きなオーバーレイユニットを2つ周囲に漂わせているおかげでようやくそれがモンスターエクシーズだと認識できる。



遊馬「な……」

アンナ「あ……」


○「《超巨大空中宮殿ガンガリディア》の効果発動!!!!ガンガリディアはオーバーレイユニットを1つ使うことで、相手モンスター1体を破壊し、そのプレイヤーのライフを半分にする!!!」


飛夫「目標、グスタフ・マックス!!!!」


「いけ!!“ダイタル・ダイブ”!!!!!」


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 ガンガリディアの下底部に連結されたエレガント・タイタニックがそのままグスタフ・マックスめがけて振り落とされた。連結したチェーンがジャラジャラと音を上げ、鋼鉄の船艇がグスタフ・マックスを押し潰した。


アンナ「うわああああああああああああああああああ!!!!!」


アンナLP4000→2000


アンナ「グスタフ・マックスが……」


 潰れて消滅する自分のモンスターを悲しそうに見つめるアンナ。


遊馬「アンナ!!」


 グスタフ・マックスを押し潰したエレガント・タイタニックは、そのままチェーンで巻かれて元のガンガリディアの下底部に連結された。


アストラル『なんという強力なモンスター……。』


飛夫「ボーイ、次は君の番だ!」


遊馬「―――!」



○「ガンガリディア!!九十九遊馬にダイレクトアタック!!!」


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 巨大な宮殿が僅かに軸を変えて遊馬に向く。横で倒れるアンナ。守るモンスターを失った遊馬に、ガンガリディアの猛攻が襲いかかる。
















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次回、「献身的な愛 遊馬に託したラストドロー!!」