【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

スマイルプリキュア!第46話「最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!」




















――――――世界は幸せデスカ?












 正義とは何なのか。



 悪とは何なのか。



 正しいコトのタダしさ。



 ワルいことの悪さ。



 それは一体どんな物差しで測れるものなのか。








 幸せがあれば、不幸もある――――。



 太陽は昇り、そして沈む――――。



 世界は平和か、争いは本当に無いのか―――――。



 努力してまっすぐ進めば、本当に全部報われるのか――――。



 己の信じた道が、本当に正しいと誰が云える――――――。



 世界は疑惑で、不安で、混沌で、矛盾で、怠慢で、臆病で、貧弱である。









 切り札はハートのエース。希望のエース。








 それを黒く塗り潰すのは裏の手ババ、ジョーカー。



 光の数だけ闇がある。



 希望の数だけ絶望がある。




 苦しいデショウ?




 怖いデショウ?
















「―――――――――――それでも、世界は幸せデスカ?」




 裏切ってばかりの、コンナセカイガ


























ジョーカー「ンフフフフフ。」


ハッピー「バッドエンド――――プリキュア……?」


Bハッピー「……。」


ピース「うそ……そんな……」


Bピース「……。」


マーチ「あたし達に…そっくり…」


Bマーチ「……。」


ビューティ「いいえ、私達とは違います。」


Bビューティ「……。」


サニー「そうや!あんなんニセモンや!」



ジョーカー「えぇ――――。偽物ですよぉ…。」


「「「「「―――――!」」」」」



ジョーカー「バッドエンドプリキュアは、あなた達とはぜぇ〜んぜん違いマス。」



 ぱちん。冷たく静かな空間に突き刺さるように響いたジョーカーの指を弾く音。それを合図に、漆黒に染まった5人の戦士が、ハッピー達にゆっくりと歩み寄ってきます。






ハッピー「――――!」



Bハッピー「ワタシね、ハッピーなことがだぁーいすき。」


ハッピー「え――!?」


 バッドエンドハッピー。それは、ハッピーと全く同じ顔、全く同じ声で、とても嬉しそうに5人に語りかけました。


Bハッピー「他人が不幸になっても絶望しちゃっても……ワタシがハッピーならそれで良いヨネ!」


ハッピー「え…」



Bハッピー「それにね、人が苦しんでるのを見ると『あぁ〜、ワタシは幸せなんだぁ〜〜。』って、すっっごく嬉しい気分になるの。」


ハッピー「……!」


Bハッピー「だぁ〜かぁ〜らぁ〜……」


 漆黒のキュアハッピーは、両手でハートを型どりその中に限りなくピンクに近い紫のハートを映し出しました。その光に照らされて、影で見えなかった5人の不気味に悦に浸った表情が、ハッピー達の前に映りました。





















Bハッピー「ワタシね……、世界中を不幸でいっぱいにシタイ。」



ハッピー「―――!?」


 バッドエンドハッピーの手から放たれた絶望のカタマリ。それはハッピーシャワーでありながら、漆黒の暗闇でスマイルプリキュアを包んでしまいました。


















 ウルフルン達三幹部のバッドエナジーを浄化したのも束の間、世界中の人々から集めたバッドエナジーと最後のデコルを使ってジョーカーは最後の強敵を生み出した。


キラキラ輝く希望の光を宿して戦うスマイルプリキュアに対し、漆黒に染まる絶望の闇を宿して誕生したバッドエンドプリキュア


 自分達と同じ容姿を持つ彼女達と、世界の命運を賭けた最終決戦の序章がついに始まる!!






















スマイルプリキュア!第46話「最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!」































 間一髪、バッドエンドハッピーの攻撃を上空に跳んで逃れたハッピー達。しかし、それを予期していたのか、バッドエンドプリキュア達はそれぞれ自分と同じ姿のもう一人の自分に攻撃を仕掛け、そのまま一緒にジョーカーのトランプの世界へとハッピー達を巻き込みました。



ポップ「ぐ―――!」


 ポップはミラクルジュエルとなったキャンディを抱えながら、悦に浸って5人を吸い込んだ5枚のカードを眺めているジョーカーを見ていました。




ジョーカー「バッドエンドプリキュアは、悩むことも迷うこともない戦うマシーン…。お友達と馴れ合っているアナタ方が勝てる可能性はありません。自分がいかに愚かであるか、もう一人の自分の手で思い知るといいデショウ」








・・・・・









ハッピー「うぅ……ここは……みんなは……!?」


 ハッピーが飛び込まされた空間は、かつてピエーロ復活を防ぎに行ったバッドエンド王国によく似た世界でした。どんよりと不安になりそうな歪んだ空の中、いくつもの岩塊が空中を静かに漂っています。


Bハッピー「アッハハハハ!!」


ハッピー「――――!!」


 突如冷たく透き通る笑い声と共にハッピーを襲う攻撃。それを躱しながら他の岩塊へ飛び移るハッピー。しかし、攻撃を躱すハッピーより早く、バッドエンドハッピーはハッピーを追撃します。


ハッピー「うぅ――!?苦しい人を見るのが、喜びだなんて…。そんなの本当のハッピーじゃないよ!!!」


 自分と同じ顔、同じ声で聞かされた残酷な言葉に、ハッピーはそれをただただ否定することしかできません。


Bハッピー「まずはアナタを不幸に堕とすの。」


 希望の光を絶望の闇で塗り潰す。


ハッピー「きゃあああ!!!」


 バッドエンドハッピーの拳が、ガードをしているハッピーを押し切り、そのままハッピーを岩塊へ叩きつけます。


Bハッピー「ッハハハハハ!」


 痛みに歪むハッピーの表情に、心の底から楽しそうに、顔を笑顔に歪ませてバッドエンドハッピーは笑いました。









・・・・・・



サニー「うわ―――!!」


 絶望に染まった冷たい炎がサニーを襲います。バッドエンドサニーは、自身の両足から炎を噴射し、それを推進力にして空を滑空しながらサニーを攻撃してきました。


Bサニー「ウチは太陽―――。世界中を焼き尽くす太陽――――。」


 その両手、両足から飛び出す漆黒の炎の連撃。それはまっすぐサニーに向かって注がれます。


サニー「どわ!?」


 自分の姿をしていながら、トリッキーな攻撃を仕掛けるバッドエンドサニーに、サニー自身も翻弄されていました。


サニー「ぐ――――!」



 真っ赤な情熱の炎は、冷たい絶望の炎でかき消されていきました。



Bサニー「―――――サニーは二人もいらんねん。太陽は一個でええ。」


 黄昏時の空。桃太郎が鬼退治に向かうために歩いた、遠い遠い、夕暮れの空。その夕闇に染まって夜の訪れを予感させるその世界に、轟轟と冷たい炎が燃え上がっていました。






・・・・・・・









ピース「わーーーーーーーー!!!」


 ジョーカーの仕業で不思議な空間に吸い込まれたピースは、巨大な花の上に落ちてなんとか無事に着地しました。周りを見ると、今にも泣き出しそうな空の下、巨大な花畑がどこまでも咲き乱れていました。まるで親指姫の世界のように。


Bピース「きゃーーーーーーー!!!」


 すると、周りを見渡していたピースの上に、バッドエンドピースが落っこちてきました。結果的にバッドエンドピースの下敷きとなってしまうピース。


Bピース「ハ―――!キャー!ごめんなさい!ごめんなさい!痛かった?ねぇ痛かった?」


 自分と同じ様子で普通に謝るバッドエンドピース。


Bピース「痛かったよね?許してなんかもらえないよね?」


 そんなバッドエンドピースを意外に思いつつ、泣きながら謝る彼女に手をかけて慰めようとするピース。


ピース「わ、わたしは大丈夫だから…」


 しかし、ピースがバッドエンドピースの肩に触れた瞬間。激しい電撃がピースの体を走ります。



ピース「ウワワワワワワワワワワワワワワ!!!」


 嘘泣き。純真な想いを裏切る言葉。


Bピース「ぷ。アハハ!ひっかかった!だぁーい成功!ブイ!」






・・・・・・・






 雲から突き抜けた豆の蔓があちこちから飛び出した不思議な世界。まるで、ジャックと豆の木のようなその世界で、バッドエンドマーチとキュアマーチは激しくぶつかり合っていました。


 自分と同じ姿に途惑いながらも、マーチは必死でバッドエンドマーチを追っていましたが、そのスピードはバッドエンドマーチの方が素早く、マーチでさえ目で追うこともできないくらいの速さでした。


マーチ「きゃあ!!」


 自分が見ていた方向と全く別の方向から繰り出された強烈なキックをもろに受け、マーチは雲を散らしながら蹴り飛ばされてしまいます。


マーチ「ぐ――――!!」


 さらに、飛ばされた勢いが止まない内に、バッドエンドマーチはなんとか姿勢を支えていたマーチに追撃。そのまま雲に叩きつけ、両足で何度もマーチを踏みつけました。


Bマーチ「邪魔ものは踏み躙る。強い方が弱い方を痛めつける!!」


 まっすぐな想いは何ものにも揺るがず、歪んだままでもそれは突き抜けるほど強く。


マーチ「きゃあああ!!!」


 そのまま激しい一撃で雲に突き出した木に叩きつけられるマーチ。勢いでそのまま木の蔓にめり込んでしまいます。



Bマーチ「敵は容赦なく徹底的に叩き潰す。それがあたしの直球勝負。」







・・・・・・・




Bビューティ「美しい。」


 銀色に輝く満月。それはまるで誰かを待っているように、寂しそうに輝きます。まるで、かぐや姫に出てくる月のように。


吸い込まれるようなその輝きを、しんしんと見つめるバッドエンドビューティ。


Bビューティ「美しさこそ正義…。この世界では美しさこそあれば良い…。」


 右手に構えた氷の剣を下ろし、氷の突起の上に立つ彼女は、その高みから地に体を伏したビューティの姿を見下していました。


Bビューティ「醜いモノや見苦しいモノは、存在する価値もない…。」


 他人のために生きた道。自分のために生きた道。そして今目の前にある、他人を蹴落とし自分のためだけに生きた道。


ビューティ「うぅ……」


 この世界に来た当初は何もない荒野だったはずなのに、気づけば辺りは極寒の氷の世界になっていました。自分ではわからなかった氷の冷たさをその身に感じながら、ビューティ全身の痛みを堪えて、バッドエンドビューティを見上げます。


Bビューティ「なんて見苦しい……。そんな無様な姿でビューティを名乗る刺客は―――ない。」










・・・・・・




ポップ「ぐあああ!!」


 爆発するトランプの攻撃を、ミラクルジュエルになったキャンディを抱えながら走るポップ。


ジョーカー「ンフフフフフ。大人しくミラクルジュエルを渡しなサイ。」


 パラパラと自分の両手でカードを何回もシャッフルさせながらジョーカーは余裕たっぷりに言いました。


ポップ「キャンディは――――妹は絶対に渡さないでござる!!」


ジョーカー「―――――はぁ…。アナタ方が勝つコトはありませんよぉ?」


 そう言ってジョーカーは、ポップの前に5枚のカードを出現させました。カードにはそれぞれハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティがボロボロになっている姿が映し出されていました。


ポップ「皆の衆!!」


ジョーカー「ネ?プリキュアが倒されるのはもう時間の問題デス。」

ポップ「――――お主は、こんなヒドイことをしてまでミラクルジュエルを手に入れて、一体何を願うのでござる!?―――答えるでござる!!ジョーカー!!!」


ジョーカー「……」


 一瞬、貼り付けたような不気味な笑みが途切れ、沈黙が流れます。


ジョーカー「――――フ。ミラクルジュエル、どんな夢をも叶えると言われる夢の宝石。そして、今やアナタ方の最後の希望。その奇跡の力を得て、我々が叶えようとする願い―――。それは――――」


 どんな夢でも叶う。もしそれが本当ならば、世界を手にすることも、滅ぼすことも簡単にできる。


 一際ジョーカーの口が裂けるように歪んだ笑みを浮かべ、嬉しそうに彼は言いました。



ジョーカー「そんなものありまセーン!!」


ポップ「―――――!?」


ジョーカー「何も願いなんてありまえんよぉ。だってピエーロ様はそんなものに頼らなくても、世界を滅ぼせますからねぇ…!」


ポップ「ならば何のために――――!」


ジョーカー「ンフフフフフ。世界を滅ぼすだけじゃあまだ不十分ですよぉ…!世界だけじゃない、夢、希望、奇跡、それら全てを完全に消し去ってこそ、本当の絶望は訪れるのデス。その目的のためにもっとも邪魔な存在。」



ポップ「――――――は!」


 手に入れたかったわけじゃない。人間生きていればいつかは絶望する時が来る。バッドエナジーなんて、ほっておいても自然に溜まるもの。そうすればいつだってピエーロは復活できる。
ジョーカーにとって邪魔だったのは、そんなピエーロに対向する力そのもの。それが、プリキュアであり、ロイヤルクィーンであり、ミラクルジュエルだったのです。


ジョーカー「ンフ。そうデス―――。ミラクルジュエルは、ここで、ワタシが破壊シマス」
























――――――世界は幸せデスカ?



 自分の人生に本当に不満はナイんですかぁ?


 後ろめたいこと、やり直したいこと、たぁ〜くさんあるでショウ?



 そんなアナタだって、一度はこう思ったコトあるんじゃないデスかぁ?




 全て、無かったことにしたい。と。



















――――――アナタは幸せデスカ?



 だって、こぉんなに、黒く塗り潰されたセカイデモ?




・・・・・・・・・・





ジョーカー「ンフフフフフ。」


ポップ「破壊―――――!?それが目的で、ミラクルジュエルを―――!!」







サニー「そんな……」



ピース「ミラクルジュエルを……」



マーチ「破壊……」



ビューティ「そんなことをしたら……」





 ミラクルジュエルは今はキャンディそのもの。ミラクルジュエルを破壊すれば、その中にいるキャンディ自身も一緒に消えてしまいます。




ハッピー「キャンディ……キャンディ!!!!」



 必死にカードに映った現実世界に呼びかけるハッピー。しかし、その行く手をバッドエンドハッピーが邪魔します。


Bハッピー「ふ――。」


ハッピー「きゃあああああああ!!!」




・・・・・・・




ポップ「ぐあ―――!!」


ジョーカー「どうしても手放しまセンカ…?それならば、アナタごと破壊するまでデス!!」


そう言うとジョーカーは、自分を取り巻いていたカードを三角錐の形に集め、それを自分の右手に覆わせて高速回転させ、ドリルに変身させました。


ジョーカー「グフフフフ。」


ポップ「―――!?」


 鋭い回転が、空間を裂くような高音でポップに迫ります。


ジョーカー「最後の希望、ミラクルジュエル、サヨウナラ!!!!!!!」


ポップ「―――――!!!」




 瞬く閃光。それは、キャンディの中に眠るロイヤルクロックの扉の中から溢れた光でした。



ジョーカー「オオオ―――!!!!????」



ロイヤルクィーン「―――。」



 溢れ出した光は形となり、神々しい程に眩い女性の姿――――メルヘンランドの女王ロイヤルクィーンの姿となって、ジョーカーを退けました。


ポップ「女王様!!」


ジョーカー「ロイヤルクィーン……なぜここに――――!?」


 突如現れたロイヤルクィーンは、周囲のビルの高さとほぼ同じ高さまで大きくなり、まっすぐな瞳でジョーカーを近づけまいと威圧していました。


ジョ−カー「―――――ン?」


 ポップとジョーカーの間に立ち塞がるように現れたロイヤルクィーン。しかし、ジョーカーが様子を伺っている間に、ロイヤルクィーンの体は一瞬薄れたり、濃くなったりを繰り返し、それを見たジョーカーはカラクリを見破りました。


ジョーカー「なぁ〜るほどぉ〜。ンハハハハハハハハハハ!!!そぉ〜ですかぁ〜、そういうコトだったのデスかぁ〜!!メルヘンランドの女王ロイヤルクィーン。お前は既に、この世にはいなかったのデスネ!」


ポップ「な――――――!?」






マーチ「どういうこと!?」


ビューティ「女王様はメルヘンランドで眠っているのでは!?」



ジョーカー「恐らく、ここにいるのはロイヤルクィーンの最後の力。ミラクルジュエルを守りたいという意志だけが残って、最後の抵抗をしているのデスヨ!そうでショウ?女王様?」


ロイヤルクィーン『キャンディには……、私の娘には、手出しさせません!!』


ポップ「――――――!?」


 ロイヤルクィーンの口から語られた真実。それは、メルヘンランドからやってきたキャンディの正体。


ハッピー「ロイヤルクィーン様が、キャンディのお母さん……!」





ジョーカー「つまり、あの妖精がメルヘンランドの次の女王というコト。これまで見せた数々の不思議な力、合点がいきましたヨ―――――――。」



 ピンチの時、ハッピー達を助けてくれたハッピーの不思議な力。それは、メルヘンランドの女王が持つ力の一部でした。



ジョーカー「まんまと騙されましたヨ。ミラクルジュエルとは、新しい女王が産まれるタマゴのコト、何でも願いを叶える宝石だなんて、その秘密を守るためのデタラメだったんですネェ……。」


 全てはキャンディを守るため、全てはピエーロの復活を阻止するため。


ジョーカー「でも、今更新しい女王がタマゴから帰ったとしても、所詮はコドモ。復活したピエーロ様に叶うワケがありまセン。つまりもう、ミラクルジュエルなんて我々にとってどうでもいい代物。わざわざ破壊する必要もなくなったワケデス。」


 くるりと翻ってヘラヘラ笑いを浮かべて見下すジョーカー。


ジョーカー「せっかくお出まし頂いたのです。そこでご覧になっててください。全てが、絶望に染まる様を!!」


「地球よ!!!世界中の生きとし生ける者達よ!!!アナタ方の絶望を、バッドエナジーを捧げなさい!!!!」



















――――――世界は幸せデスカ?



――――――そうですね、幸せですね。



――――――だからこそ、絶望は何よりも……。







 絶望の果てに残されるものなんてない。



 世界中から吸い取られた絶望。それは生きとし生ける者全てが見た悪夢。



 そして、それが現実になった時、全ては無に返す。





 森は荒地に、緑は枯れ木に。



 ビルは砂に、文明も消えて。



 全てを否定される絶望。



 何も残らない絶望。



 絶望さえも残らない虚無。




 それは地球の、世界の終わりを意味していた。














 狂ったように針が回りだす。本来の許容量を超えてなお、壊れた時計は無限に回る。


ジョーカー「ヒャーーーーーーーーーーッハッハッハッハッハッハッハ!!!!始まりマシタヨ!!!世界が終わるカウントダウンが!!!」





ハッピー「地球が……!!!」





 何も残らない世界。



 最初から絶望であったのなら。



 それ以上の絶望はない。



 絶望にさえ気づかない。



 それが絶望の無い世界。



 絶望に塗れた世界。




――――――世界は幸せデスカ?



――――――いいえ、セカイはバッドエンドデス。














Bハッピー「ウフフ。最高に不幸な瞬間だね!そのまま消えちゃえーーーーー!!!!」


Bサニー「ハハ!!」


Bピース「アハハハ!!!!」


Bマーチ「これで終わりだ。」


Bビューティ「――。」




 膨れ上がった漆黒のハッピーシャワー。


 冷たく全てを焼き尽くすサニーファイヤー。


 無情に降り注がれる終わり無きピースサンダー。


 何モノも寄せ付けない完全暴風のマーチシュート。


 世界を凍り付かせる絶対零度のビューティブリザード




 絶望に染まったバッドエナジーが、ハッピーを、サニーを、ピースを、マーチを、ビューティを飲み込んで、世界を真っ黒に塗り潰します。










ジョーカー「アッハハハハハ!素晴らしい、最高の眺めですネェ!!」


 まるで感動的な映画のハッピーエンドを見たかのように、カードの向こう側の世界で起こった惨劇を、ジョーカーは楽しそうに眺めていました。


ジョーカー「どぉです女王様?今のご気分は…?頼みのプリキュアも、肝心のミラクルジュエルも役たたず、今までの努力も無駄デシタねぇ……」


 数十分前まで人々の往来していた駅前の街並みは、全てまっさらな荒野に変わっていました。そこには、命の1つも芽吹かず、ただただ荒れ果てた大地に無情な風が吹きすさんでいるだけでした。



ロイヤルクィーン『そんなことはありません。』


ジョーカー「はあ?」


ロイヤルクィーン「絶望の淵に立たされようとも、未来を見る力を失わない限り、希望はあります――――。私は信じています。キャンディはどんな困難も乗り越えてくれる―――!プリキュア達と共に―――――!!」

























Bハッピー「ピエーロ様が復活したら、何もかも終わりダヨ?不幸だねぇ……絶望だねぇ!!アッハハハハハ!!―――――――――ア?」


 立ち込めた粉塵の中で、ボロボロの体を必死に支えて立ち上がるハッピー。



ハッピー「絶望なんか……しない……。明日を信じて今を頑張る――――、全力でがんばるの!わたしは今までずっとそうして来たもん!!!」


 真っ直ぐな目で、キュアハッピーはバッドエンドハッピーに訴えます。


Bハッピー「世界に明日も未来ももう無いよ?バッドエンドは決まったの。」


ハッピー「決まってないよ!だって、まだ終わってない!わたし達は諦めてないもん――――!!諦めずにがんばっていれば、きっと未来はキラキラ輝くから……」



 がんばること、どんな時でも一生懸命。例えどんなに辛くったって諦めずに、最後に満面の笑顔があれば……それがキラキラ輝く未来の光。



キュアハッピー「わたしは――――――キュアハッピーだから!!!!」









 その笑顔が、未来を、明日を救う輝きになる。眩く照らす太陽になる。








サニー「ウチな、天気が良いとなんか嬉しくなんねん。」


Bサニー「は?」


サニー「晴れた日は、友達と中庭でお弁当食べたり、外で遊んだりする―――――。へへ、それがメッチャ楽しいんや……。」


Bサニー「トモダチ?そんなんウチの炎で全部焼き尽くすで!!!」



 バッドエンドサニーが放った攻撃、それをサニーは両手で受け止め、自分の拳の中で握り潰します。



サニー「太陽は―――人を傷付けるもんやない!!!!」


 目覚める力は戦士の力。誰かを守るための、情熱の力。


サニー「太陽はみんなを照らしたり、暖めたりするんや……。ウチはそんな太陽みたいになりたい!!」



 いつでも明るく、みんなを照らす太陽、みなぎる熱血パワー。



キュアサニー「ウチは太陽サンサンのキュアサニーやからな!!!!」





 どこまでも燃えるその炎はさらに明るく、遠くで稲光る雷に轟く。






ピース「ねぇ知ってる?ピースって平和って意味なんだよ?」


Bピース「だから何?」


ピース「わたしは、パパやママからいっぱいの愛をもらったおかげで、人に優しくしようって思える。わたしもみんなにもらったこの優しさを、色んな人に分けていきたい。」



 何より優しく、誰よりも健気なその想い。



ピース「そうすれば、世界は少しずつ平和になると思うから。」


Bピース「世界平和ぁ?そんなもの叶うワケ無いじゃない!夢見るお姫様のキレイゴトだよ」



 世界は残酷で、複雑で、矛盾だらけ。


ピース「そうだね……、きれいごとかもしれない……。でもわたしは、少しでも世界が平和になって欲しい、みんなが笑顔になるのを目指して頑張るよ!!」


 だからこそ、勇気を出してブイサイン。勝利と平和が彼女のシンボル。


キュアピース「だってわたしは、キュアピースなんだもん!!」








 その雷鳴は高鳴る鼓動のように、世界の生きる躍動を伝え、それは風と共にどこまでも進む。








Bマーチ「潔く無いなぁ…?いい加減負けを認めたらどうだ?」


マーチ「笑いたければ笑えばいい…、バカにされたって構わない…。あんたがあたしより強くても、例え世界が滅んでも……」


 自分だけは曲げられない、今まで生きてきた誇りは、自分で勝ち取った力だから。



マーチ「あたしは、絶対に負けない!!!!」


 誰にも邪魔されない、誰にも止められない。それでも正しいと思えることを全力で出来たら後悔なんてない。



 恐れず進む、勇気凛々。まっすぐ挑む直球勝負。



キュアマーチ「私はキュアマーチ――――。ピンチの時こそ勇気を持って、全力で前に進むんだ!!!」







 巻き起こる風は世界の果てまで、海を超えて、谷を渡って、極寒の氷地にも。







Bビューティ「なんて醜い……。美しいワタシ、薄汚れているアナタ…。勝者は一目瞭然でショウ?」



ビューティ「――――本当の美しさというのは、姿形ではありません……。美しさとは心、人が人を思いやる、その心です!!」



 真実に照らされても現実と向き合う強い心、全てを受け入れて戦う清き想い。



Bビューティ「ココロォ?そんなものは関係無い!!強くて勝つものだけが美しい!!!」



 友達と助け合う心、思いやる心、慈しむ心。それで良いと思った。それが素敵だと感じた。



 寄り道、脇道、回り道。しかしそれらは全て同じ道。



 たどり着く未来に何が待っていようとも、いつでも彼女は清く、気高く、美しい。


ビューティ「人を思いやる清き心、それは静かに降り注ぐ雪のようです。」




 例え間違っていても、それが自分の選んだ道なら――――――。



ビューティ「私の名前はキュアビューティ!!私は、その美しい心を守ります!!」






・・・・・・




 そして両者決着の時。










Bハッピー「“バッドエンド・シャワー”!!!!」



 バッドエンドハッピーから放たれた極大のバッドエナジー。



ハッピー「“プリキュア・ハッピーシャワー・シャイニング”!!!!」


 激しく激突する幸せの光と絶望の光。






Bサニー「焼き尽くしたらぁ!!!“バッドエンド・ファイヤー”!!!!」


 燃え盛る自分自身を炎の中に包み込んで突進してくるバッドエンドサニー。




サニー「“プリキュア・サニーファイヤー・バーニング”!!!!」




 極限にまで燃え上がった熱血炎は、冷たい炎の上からさらに激しく燃え上がります。






Bピース「今度こそバイバイ!“バッドエンド・サンダー”!!!!」



 天高く打ち下ろされた暗い雷は、ピース自身がその手を避雷針にして受け止めました。


ピース「“プリキュア・ピースサンダー・ハリケーン”!!!!」




 眩い閃光は大空を駆け抜け、まっすぐバッドエンドピースへ向かいます。








Bマーチ「“バッドエンド・シュート”!!!!」



 バッドエンドマーチから蹴りだされた闇に染まる極大の球弾を、まっすぐ正面で迎え撃つマーチ。


マーチ「“プリキュア・マーチシュート・インパクト”!!!!」



 その球弾をさらなる勢いの篭ったシュートで蹴り返すマーチ。風に包まれたその球弾は、まっすぐバッドエンドマーチの元へ。











Bビューティ「覚悟なさい。“バッドエンド・ブリザード”!!!!」



 幾数もの結晶から繰り出される氷起の雨。



ビューティ「覚悟なら、既に出来ています。私たちみんな大切な未来を守るため、貴方には絶対負けません!!」



ビューティ「“プリキュア・ビューティブリザード・アロー”!!!!」



 降り注ぐ氷起よりも速く、想いを込めた氷の矢はバッドエンドビューティを貫きます。






ハッピー「ぐ―――――!!!」


Bハッピー「世界はもう終わりだよ?アナタが何をしたって、幸せになんてなれないの。」

ハッピー「そんなことない!!みんなでがんばれば、ぜったいウルトラハッピーになれる!!わたしはそう信じて進む!!」



 拮抗する希望と絶望。両者の望みは、光か闇か。未来を切り開くために、想いの強さが幸せへのただ一つの光。



ハッピー「ネガティブなわたし―――――――――どいてええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」




 少しずつ押し返すバッドエンド・シャワーを押し返すハッピーシャワー。それはハッピーの強い想いが、絶望を上回った何よりの証でした。



「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」



























 世界が光で満たされた時、浄化された絶望は消え、最後のデコルは光の中で輝いていました。


ジョーカー「ソンナ……バカナ!!?」



ポップ「やったでござる!!!」


 現実世界でジョーカーが出した5枚のカードが砕け、中から絶望を乗り越えたキュアハッピー達5人が出てきました。


ジョーカー「ソ…ソンナァ……!」


 キラリと空から、最後のデコルが落ちてきました。ポップはそれを受け取り、最後の奇跡に願いを託します。


ポップ「これでデコルが全部そろったでござる!!」


ジョーカー「く―――――、まさかバッドエンドプリキュアが倒されるなんて……。」



ハッピー「ジョーカー!!わたし達はあなたには負けない!!世界を絶対バッドエンドにはさせない!!」



ジョーカー「あ――――――――――――――――――――――。ああああ―――――――――――――。」


 悲痛に歪むジョーカーの表情。それは戻ってこないと思っていたプリキュアが戻ってきたショックか―――――それとも…。



ジョーカー「あぁ……あ………ぁぁ……。」



 もがくようなうめき声を上げながらよろよろと後ろに下がるジョーカー。



ジョーカー「あは。あははは。」


 しかし、しばらくすると、体を仰け反らせそのまま空を仰いでたからかに不気味な笑い声を上げました。



ジョーカー「AHAHAHAHHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAH!!!!!!!!!!」



ハッピー「何…?」








ジョーカー「オマエラ!!ホントウニ ナニモ ワカッテネェ ナアアアア!!!モウ テオクレダッテ イッテンダヨオオオオオ!!!!」



 そこに立っていた道化師は、狂ったように高笑いをした後、気味が悪いくらいのドスの効いた声で吐き捨てるように言いました。



ハッピー「どういうこと……!」


ジョーカー「トキハキタ――――――!!!!」



 絶望を数えるピエーロのカウントダウン。世界中のバッドエナジーを吸収していた時計は、ついにそのカウントを99で止めました。




ジョーカー「オマタセ シマシタ!!ピエーロサマアアアアア!!!!サァ オメザメ クダサイイイイ!!!!!」



 どくん。地の底から響くような呻く音と共に、空に浮かんでいたピエーロのタマゴは消えてしまいました。


ハッピー「消えた!?」


 空が無色になった時、ハッピーは自分の頬に黒い何かが当たったのに気づきます。


 指でぬぐいとったそれは、何回も見たことのある濁った絵の具でした。



ハッピー「これって――――――未来をバッドエンドに染める―――――!?」


ピース「黒い絵の具…!!」


ジョーカー「うっフっふっFUっふ。こウえイですぅ」


ハッピー「!?」


 指先に触れた絵の具からは、ドロドロした怨念のような黒い感情が流れてきます。


 そして、ハッピーはジョーカーの姿を見てゾッとしました。



ジョーカー「ぴエーロさマのイチぶニなレるなんTE……」


 そこに立っていたはずのジョーカーは、黒い絵の具で全身を覆われ、そしてゆっくりとその絵の具に消化されるようにハッピー達の目の前で溶けてしまいました。


ジョーカー「ゴ一緒に……セカイをBADENDニ……」











ハッピー「何なの……これ……」


 そうしてソレは目覚めました。


 何もなくなった。なくなってしまった大地から、その地の底から這い出してきた“何か”。




 漆黒に包まれた巨体は山より大きく、その体はブラックホールのようにどこまでも真っ黒に染まっていました。



ハッピー「あぁ……。」


ポップ「あれは……メルヘンランドをバッドエンドに染めた、絶望の巨人でござる!!!」


 ニヤリとソレは確かに笑いこちらを赤い目で見つめました。


 立ちすくむ5人を背に、ポップは最後のデコルをその手に持ってデコルデコールを開きます。


ポップ「キャンディ!これが最後のデコルでござる!!どうか奇跡を!!」



 最後のひとつ、空いた窪みにポップがデコルを差し込んだその瞬間。デコルデコールとミラクルジュエルが眩い輝きを放ち始めました


ハッピー「キャンディ!!?」


 それは未来を切り開く希望の光。絶望を打ち返す最後の奇跡――――――――。
























































































キャンディ「クル?」























次回、「最強ピエーロ最強降臨!あきらめない力と希望の光!!」



 その時、戦士達は新たな力を宿す。






























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