少年と博士
- 作者: 東野 圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/06/06
- メディア: ハードカバー
- 購入: 7人 クリック: 74回
- この商品を含むブログ (121件) を見る
という訳で東野圭吾、ガリレオシリーズ最新作「真夏の方程式」読み終わりました。
ネタバレになると不味いのでギリギリのラインで感想などを。これから読むという予定の人は読まない方がいいです。
いままでの展開だと事件が起こって草薙・内海が湯川に依頼する。という従来のパターンだが、今回は湯川のすぐ近くで事件が起こり、珍しく事件解決に積極的に取り組む形になっている。今までも積極的な事は何度かあったが、今回は前向きに、しかしさり気なく、だけど回りくどくない、そんな湯川が目立った。
今までのガリレオシリーズとは打って変わって、東野圭吾色が強くなっている。要するに容疑者側の様々な人間模様である。
また、科学の力で事件を解き明かす。というよりは、湯川の知識がどこまで事件をうまく結び付けられるかが鍵だったように見える。今までの犯罪とはひと味違った方向を向いている。「聖女の救済」でもそうだったが、トリックに使われている科学知識は意外とあっさりしていたので、普通の人でも予想はできるだろう。
一番の特徴は、同じ民宿に泊まっている少年との触れあいであり、触っただけでじんま疹が出ていた男とは思えないほど微笑ましいシーンが数多く見られた。
また、今作は草薙・内海と湯川は別々に行動しており、共に事件解決に動くが東京と辺境の浜辺という二つの場所でそれぞれ行動していたのも今作の特徴である。なので、思う存分湯川のスタンドプレーを見る事ができるので、そういう意味ではとても貴重な話でもあった。
湯川学という男の個性、人間性、そういうのが凝縮した一冊だと思う。