無題「考察」。創作における探偵の証明
探偵とは、
真実を突き止めるものではなく、
真実を手繰り寄せるものである。
彼らは、事件、謎に対してその知識・経験を駆使して答えを導き出す。
創作ミステリーにおいては、欠かせないキーパーソンである。
だが、本当に重要なのは、事件、謎が起こる瞬間に、探偵は得てして立ち会えないものであるということだ。
探偵がいるから事件になるのではなく、事件が起きるから探偵がやってくるのだ。
しかし、これらは創作においては致命的な矛盾を生む。
それはすなわち、事件や謎が起きていない場所において、探偵という存在は異物だからだ。
だから彼らは知らないふりをする。
謎や事件が起きる前は目を瞑る。
探偵は、その瞬間に立ち会えない。
彼らは、事件が起こって初めて、探偵になるのだから。
事件の起きる前に、推理はできない。
謎が現れる前に、回避はできない。
だから、そのきっかけが目の前で起こったとしても、彼らは見てみぬふりをしている。
事件が起こるまで。