【FGOシナリオキャプチャ】レディ・ライネスの事件簿 第1節「魔術師の弟子」
誰かに言われて、
それで、自分は、ここにいる。
誰かに言われて、
ここで、自分は、何かを待ってる。
誰だったのか、
何だったのか、
それは、思い出せないし、
きっと、忘れていたことすら忘れるのだろう
ここはそういう世界。
どこかで聞いた名前が、私の中で、ぐるぐると。
そこは、霧に覆われた街だった。
ぎゅっと目をつぶったら、不思議と開かなくなってしまった。
なんとか開けようとしたけど、強力な接着剤でくっつけられたように開かない。
そうして、開くことも忘れかけていたとき・・・・・
誰かが誰かを呼んでいる。
ぐお!
下腹部に鋭い痛みが走った。確実に今目の前にいる人物に足蹴にされたのだ。
目を開ける。開いた。
・・・・誰?
弟子?師匠?方向音痴な仏滅師匠とか、スパルタ筋トレケルト師匠とかいたけど、金髪少女の師匠は新しいパターン・・・・・?
!?!???????!?!???!???!????!?????
いや、自分は、カルーーーーーーーーーーーーーー
カル・・・・・・・。
・・・・あれ?
カルデアは?ここは?
アニム・・・・所長?
・・・・・。
うまくは思い出せないが、自分は確か、レイシフトしてロンドンに来たのだ。
ただ、レイシフト前の記憶がおぼろげだ。目的や、特異点修正の手段をうまく思い出せない。
そればかりか、目の前の少女に弟子扱いされていて、なおかつ彼女はロード・エルメロイⅡ世だという。確か、カルデアにいた諸葛孔明は、人格と肉体がロード・エルメロイⅡ世という現存する魔術師だったはずだ。
となると、この少女が嘘を言っているか、あるいは、「この少女がロード・エルメロイⅡ世となっている世界」かのどちらかだ。
などと、考えている間に、少女に促され、荷物を持たされて、乗り込んでいた列車から降りた。いつの間に列車に乗っていたのかもわからない。
今までの記憶がかなり曖昧だ。これはレイシフトの影響か、それとも・・・・・・。
意気揚々とあるき出した彼女を引き止めた。
ここは以前きたことがある、魔の霧のロンドン。ただし、特異点だった当時とは違い、人々が普通に生活している。
だが、以前きたときとは明らかに違う、駅の正面にそびえ立つ黒い塔がなぜだか気になった。
ロード、孔明から詳しくは聞いたことが無い。以前マシュが説明してくれた気もするが、詳細は覚えていない。
想像以上に恐ろしい場所だということがわかった。そんな場所に、こんな少女が所属していると考えると、やはりこの少女もただものではないのだろう。
そういえば、人理修復のあと、魔術協会から確か位をもらっていた。
確か、開位、だったような・・・・。
・・・。まぁ詳しく説明しても信じてもらえなさそうなので、とりあえず言われるままに少女に同行する。
恐らくかこの世界にいれば、何か違和感があれば気づくはずだ。
それまでは、様子を見よう。
家々が密集している住宅街に来た。その中でもとりわけ、集合住宅が軒を連ねている。
違和感の正体はすぐに現れた。
自動人形!?
は、はい!
クラゲのような銀色の流動体を操るのが、彼女の攻撃方法であり、その魔術だった。
確か、いつか冬木市で出会った魔術師が、似たようなことをしていた気がする。
彼女の攻撃に倒れる自動人形。頑丈そうに見えるが、関節を攻撃するようにすれば、自然と動かなくなる。
師匠、強かったんですね。
そして、このすぐあと、その予感は的中する。
えー、そこは師匠が率先するところでは?
しかし、自分がドアに手を伸ばす前に、師匠の足蹴がお尻にヒットして、そのままの勢いをドアを開いた。
彼女の様子が一辺。部屋全体が一気に緊張感に包まれた。
この部屋には人気がない。だけど、血の臭いがする。つまり・・・・・。
そこには死体があった。見覚えのある死体だったが、名前が思い出せなかった。
え!?
どういうこと?では、彼女は?
この死体の正体は?
兄上って?師匠・・・・・?
死体のすぐ隣には、血で書かれた文字がこちら側に向いていた。
それは明らかにダイイングメッセージだった。
しかし、それを手にとろうとした瞬間。自動人形が大挙をなして部屋に侵入してきた。
しかし、自動人形たちの様子がおかしい。
ロード・エルメロイⅡ世の名前を聞いて、戸惑っているようだった。
え、でもここ四階・・・・・・。
お尻を蹴っ飛ばされて慌てて窓の方に走る。
自動人形は僅かばかり静止していたので、その間に窓から飛び出した。
うわあああ!落ちる!なにか、引力を弱める魔術的なやつーーー!!!
ぐ、
着地点には水銀のメイドが出現し、自分を受け止めた。どうやら、師匠が生み出した水銀の礼装らしい。
四階の窓を見上げると、窓から自動人形がこちらに降りてこようとしていた。
師匠は躊躇いなく、魔弾で窓を吹き飛ばした。
爆発を見届けることなく、混乱に乗じて大通りに出る。
も、申し訳ないです。。。
エルメロイ、アーチゾルテ・・・。
兄上。大切な人だったんですか・・・?
喋った!水銀なのに!?
月霊髄液ってこんなだっけ?
もっと、無機質な魔術礼装だった気が・・・。
いや、自分のことも今は曖昧で、、、事情はなんとなく説明できるんですけど・・・。
やばい、なんか髪がザワザワしてる・・・。
突然
ぐにゃりと空間が歪む。まるで、水中から外を見ているように。
ライネスさん!
誰かの声が・・・・。
次の瞬間、目を開けたその光景に驚愕した。
見渡すかぎり、全てのものが歪んでいた。
壁も窓も、屋根も、星も、月も、空も。
まるで、絵本の世界のような光景だ。
さっきの、通信・・・。
いや、ノイズ混じりで、よくわからなくて・・・。
確か、トランクがどうとか・・・・。
誰か、大切な人だった気がする。
!?・・・・、これは・・・・。
ライネスからトランクを受け取る。そうだ、これは、霊基グラフ。
サーヴァントとの繋がりを記した欠かせないもの。
え?行くってどこにです?というか、一緒に?
答えを聞かずにライネスはあるき出した
。彼女が差し出したトランクを抱え、オレは後を追った。
そうだ、これでいい。
あとは、なんとか、死なないように、頑張ってみる、だけだ。
不思議な世界の、不思議な冒険。
記憶と記録、真実と偽り。
惑わされるな、信じるな。
「あの川のように、忘れてはいけない」