【FGO】Epic of Remnant 亜種特異点Ⅰ 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【第8節 女帝クリスティーヌ】
歪んだ歴史を修復しようとする時、膨大な取りこぼしが発生する。
排斥された狂気が作り上げた脚本。
忘れ去られた世紀末の神話。
かつてない規模の殺人事件が、亜種特異点となって完成する
完全犯罪計画、起動―――――幻霊よ、背徳の街で踊り狂え。
・前回まで
ジャンヌ・ダルクとの合流に成功した一行は、新宿のアーチャーの提案で歌舞伎町にいる「新宿のバーサーカー」を止めることになった。
「新宿のバーサーカー」ことファントム・ジ・オペラ率いる自動人形コロラトゥーラ軍団は、人間を素材に三百体の自動人形を量産していた。
そこは魔境の中でもさらなる魔境、新宿歌舞伎町。
断末魔のような歌声が反響する。その声は決して人間が出せるものではない。
本物の断末魔が響く。救世はなく、ただただ赤く血に染まるだけだった。
どうやったの?
うん。渡されたリモコン式の右手に持ってみせる。
再び自動で動き出したコロラトゥーラは、街を巡回している偵察用コロラトゥーラの部隊の後ろに混ざるに走っていった。
ジャンヌの言わんとしていることはわかる。そう言ってくれるだけでだいぶ楽になった。
やるしかない。
アーチャーの声に合わせて右手に力を込める。人形の中には、もう助からないけどまだ生きている命がある。それをこの自分の右手が、止める。。。
あれ?
気づけば、アーチャーも同じスイッチを持っていた。もしかしたら、自分が押せなかった時に、代わりに押すために用意していたのかもしれない。
だから、元々悪人の自分が手を汚す。そう言いたかったのだろうか。
なんとなく、救われたような気がして、自然と感謝の言葉が出た。
とっさのことで忘れていたが、爆弾は確実に爆発していた。
夜の新宿に反響する爆発音。立ち込める黒煙。
混乱する現場の中心で二人のオルタが台風の目になっていた。
狂ったように動き回るコロラトゥーラ軍団。まだファントムの姿は見えないが近くに大きな魔力反応が2つある。
アルトリアとジャンヌを指揮し、アーチャーのサポートの元、自動人形たちを一掃する。
硝煙の中から礼装に身を包んだファントムと、一回り大きいコロラトゥーラが現れた。
ファントムは何やらボソボソと言っている。
本人に聞こえるように一際大きな声で挑発するようにアーチャーは言った。
舞台劇の一幕のようだ。ファントムは透き通る声で、アーチャーに問いかけた。
あなたを止める。もう終わりにする。
アーチャーの作戦はこうだ。
ファントムはバーサーカー化しているおかげで耐久面に難がある。
そこをついて一斉攻撃。ファントムを倒せば、クリスティーヌの方も止まるかもしれない。
しかし、ファントムの方を止めてもなお、クリスティーヌは暴走し続けた。
肉体である人形を破壊しても、壊れた箇所から巨大なゴースト(幻霊)が実体化し、襲い掛かってくる。
だが、これはアーチャーも予想していた事態だった。
タイミングを見計らって、宝具の一斉攻撃で畳み掛け、クリスティーヌの幻霊を追い込んだ。
壊れてもなお、彼女は語り続ける。しかし、戦闘前とは違い、はっきりした意識があるように見えた。
悲哀と慈愛。そして、嘘を抱えてクリスティーヌの幻霊は消滅した。
そう言いながら、ファントムはこちらのアーチャーを睨んだ。
いきなり視線を向けられ、思わず動揺するアーチャー。
しかし、続けようとした言葉は、背後から放たれた弾丸で途切れた。
ファントムは、体の内側から爆発した。
ひと目見てわかった。ジャンヌが言っていた近代兵器を使うもう一人のアーチャーだ。
カルデアには彼の霊基パターンが既に登録されている。しかし、それは守護者として、正義の味方として戦う両剣使いのエミヤだ。
アーチャーは銃剣を構えた。ファントムの時を考えれば、被弾すれば内側から破裂する恐ろしい武器だ。
了解。
新宿のアーチャーが棺桶を構える。
エミヤの死角から投かんされた黒いダガー。反射的にエミヤは後ろに後退する。
アサシンには飛び道具を避ける「風除けの加護」がある。実は、アーチャーのエミヤでは分が悪い。
そういってアルトリアを一瞥し、エミヤは姿を消した。
いきなり現れたハサンを警戒して二人は剣を構える。
ありがとう。しかし、相変わらず固っ苦しいね。
ファントムとクリスティーヌを倒し、一行は歌舞伎町を出た。