【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

【FGO】Epic of Remnant 亜種特異点I 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【第18節 名探偵の名推理】

歪んだ歴史を修復しようとする時、膨大な取りこぼしが発生する。
排斥された狂気が作り上げた脚本。
忘れ去られた世紀末の神話。
かつてない規模の殺人事件が、亜種特異点となって完成する
完全犯罪計画、起動―――――幻霊よ、背徳の街で踊り狂え。



・前回まで
新宿のアーチャー、モリアーティはホームズを超えるために魔神バアルと手を組んだ。
自身を善の属性に変え、魔神バアルを悪のモリアーティとして変えることで、カルデア陣営側に協力する陣を布いた。
ホームズと共に悪のモリアーティを倒すことで、善のモリアーティは「悪が敗れる」という世界の原理から外れ、隙きを見せたホームズに致命傷を与えた。
ホームズの霊基を取り込んだモリアーティは、完全な悪の存在となり、「惑星破壊」を実現するために、「魔弾の射手」の能力で新宿上空に巨大隕石を出現させた。





七発目は必ず当たる。それを逆手に取り、隕石を魔弾の能力で七発目と認識させた・・・!?



マシュ・・・?


マシュの怒り、そして信頼の喪失が言葉から伝わる。それでマシュの言いたいことがわかった。



まさかとは思ったが、つまりそういうことか。



善として悪を成す。それが、モリアーティの計画だった。そうして、善のモリアーティの「大切な存在」になったことで、七発目の魔弾の標的が自分に向けられたのだ。



ホームズ・・・。



「隕石」の着弾地点は自分だ。今自分を始末することは、「隕石」の標的を消失させてしまうことになる。そうすれば、モリアーティの惑星破壊計画自体も消失してしまうことになる。



このサーヴァントは、カルデアにいるエミヤとは違う。「諦め」という言葉はこの英霊には似合わない。

だけど、恐らく、この反転したエミヤは諦めることで、ここまで生きてきたのだ。



その言葉を残して、エミヤはアルトリアを追った。見覚えのある背中がどこか寂しそうだった。



待った。オレから言うよ。



あなたは、後悔しているのか?



あぁ、していないさ!



違和感。何か知ってる気配を感じる。



螺旋階段を高速で駆け上がる一影。



知っている。

この(無駄にけたたましい)笑い声を知っている!?



ホームズの変装ではない。本物の「巌窟王」。悪として生涯を終えた、世界最高の復讐者―――!



さらに、階段近くの床が豪炎と共に豪快にぶち抜かれた。

中から面倒臭そうに、旗持ちのヤンキー聖女が現れた



オルタちゃん!生きてたんだね!



ずいぶんざっくりしてるね。



援軍?オレ達以外に他に誰が・・・?




土煙の中からさらにもう一体のサーヴァント反応。あぁ、これは・・・。



(まぁ戦力外通告だよね)



アンデルセンくん!



オレに?



そうだ、幻霊!シェイクスピアは、自分の書いた物語から登場人物を幻霊として召喚していた。

つまり、(戦闘では役に立たない)作家のサーヴァントが今この場にいるということは・・・!



虚像が実像に変わる。



物語が現実になる。



世界最高峰の作家が作った創作。


空想の存在が今ここに現実と纏って現れた。


その数は、二百以上!


そこにいたのは丸顔の神父。霊基反応は極めて低いが、歴史に、物語に刻まれた「探偵」の一人だ。



グランド・オーダーが始まるまではマシュがかなりの読書家だったらしい。

だから、今目の前にいる「探偵」たちに心当たりがあるらしい。


な、なんのお話ですか?「あれ」?




あんたは言ったな。善を持って善を倒す。

それならこっちも悪(幻霊)を持って、悪を倒す!




モリアーティはマントの裏側から聖杯を取り出した。この特異点を作り出した元凶。その力を使う気だ。



隕石は既に止まらない。後3分で地上に到達する。それを止めるには、今目の前にいるこの男を止めるしかない!



諦めない!



モリアーティは聖杯の力を使い、「エニグマ」の幻霊を召喚する。

聖杯の力と魔弾の力を合わせて、強力な弾丸を絶え間なく降り注ぐ。

それを着弾直前に巌窟王が撃ち落とし、弾幕の間を縫うようにジャンヌがその豪炎で焼き払う。

2人のアヴェンジャーの猛攻は、モリアーティを確実に追い詰めていた。





戦いはあっさり終わった。


計算しても、聖杯の力を使っても、ホームズを取り込んでも、それでも、彼は敗北したのだ。




聖杯の魔力反応が上がる。

モリアーティは、さらなる援軍(幻霊)を召喚するつもりだ。



あぁ、わかってる。その言葉は、確かに彼を「善」ではなく「悪」を肯定する言葉。





お前が、犯人だー!!!!



モリアーティは肯定する。いくら悪を成そうが、自分の存在は偽れない。

彼は悪であり、犯人である。それは、目の前に「探偵」がいる以上、偽ることのできない真実。

モリアーティにとっては悪の美学そのものだ。



モリアーティの霊基反応が急速に低下していく。

「悪」を認めたことで、善側に立てなくなったのだ。

だが、彼は笑っていた。



わからないかい?世界最高の数学者さん。



そうか、気づいてなかったのか。なら、教えてあげないと。


だって。


あれ、楽しかっただろ?



問われてしばらくモリアーティは目を閉じた。

新宿に初めて来た時、上空100mからの空中落下を救ってくれた。

狼王ロボに襲われた時は、自分の身を顧みず体を張って助けてくれた。

コロラトゥーラを中にいる人間ごと爆破しようとした時も、自分の変わりにスイッチを押してくれた。

この新宿で生き残れたのは、彼がいたからだ。

一緒に、正義をやってくれた。それは、本当に・・・。



だから善なんて、正義なんてくだらない。ただ、そう否定するだけで良かったのだ。

だけど、いざ悪に戻ったモリアーティは、善を否定しきれなかった。



その顔は、よく知っている。

ここに来るまでにずっと一緒にいた、ただのどこにでもいる、ちょっとおちゃらけたアラフィフ紳士だ。










バレル屋上。




錬鉄の黒騎士は呪文を唱える。使い果たした擦り切れた呪文。

かつては世界を侵食し、剣の丘で孤高に戦った。

それも遠い過去。終わることなく世界を救い続けるうちに、過去も自分も擦り切れていった。

彼に残ったのは、守護者として世界の害敵を排除する仕事だけ。

そして、いかに効率よく仕事をこなす(効率よく人を殺す)ことしかできない。

今回の魔神討伐もそのひとつに過ぎなかった。


「――体は剣で出来ている。」


自分の体に魔力を注ぐ。使い古した呪文を繰り返す。

だが、不思議と気分は高揚していた。

「隕石破壊」。それはまるで、正義の味方みたいじゃないか。

そして、自分の隣に今、彼女がいる。

反転した自分の隣に、反転した彼女がいる。

生前の記憶は覚えていない。エミヤシロウだった自分はもういない。


それでも、彼女の顔を見て、彼はつい「セイバー」とそのクラスで呼びそうになってしまう。










今はもう投影できない自分の心象世界。

正義を目指した志が成すその世界を、弾丸に込めて打ち込む。



壊すだけならこれだけ効率の良い方法はなかった。



鼓膜を貫通するほどの大爆音。全てを破壊し得るエネルギーを持った隕石は空中で砕かれ、その勢いを落とした。



隕石が壊れる瞬間、剣の丘が一瞬見えた。




その景気を目にしてアルトリアはすぅと呼吸を整える。

彼の目指した壊れた世界が、ここで世界を救う力となった。

そう想って、安堵したのだ。いや、少し緊張もあるだろう。でも、世界を救うなんて今更だった。



その反転した身にはふさわしくないと知りながら、彼女は国民でも、自分のためでもなく、ただ一人のマスターのために、その剣を振るう。




全てを飲み込む漆黒の輝き。


どんな膨大なエネルギーを持っていても、星に鍛えられたその剣の輝きには、全てが眩く散っていく。

























































断る。あんたは、あんただ。悪を真っ当したのも、正義を満喫したのも、同じジェームズ・モリアーティ教授だ。



召喚されてみる?



あぁ、いつでも待ってるよ。約束だ。



最後に、精一杯明るく陽気な挨拶を残して、モリアーティは消滅した。








※2017年2月時点


ありがとう、最高の創作を。





そういえば結局依頼って誰からだったの?



また会える?


ありがとう、親しい共犯者。





あぁ、遅くなったけど。ありがとうジャンヌ。生きてて良かった・・・。


そうか、伝言ありがとう。


会えると良いね。



あぁ、あんたもありがとう。きっと、また会えるよ。正義の味方。






突然マシュの通信が切断された。



何で?



すると、小包の中からジャンヌが取り出したのは、パーティ会場潜入の時に使ったドレスだった。




え、踊る?ここで?



いや、まぁ・・・そうだね、やれる、けど・・・。



あ、うん。


いやでも、これぐらい近づかないと。ダンスはこれが普通だし。



誰もいなくなったバレルの大広間。パーティ会場とはかけ離れた鉄骨むき出しのステージで踊る。



たぶん、ずっと、寂しかったのか。彼女の手は震えていたが、初めて見た透き通るような笑顔が目の前にあった。

思わずこちらが顔を避けてしまう。



ええ、いや。何でもないよ。



何かを言おうとして彼女は口を閉じた。



そっと手を離す。眩く光る彼女の体は、とても神々しい。











「また踊れるように、練習しときなさいよね」


























長い眠りから覚めたような感覚。



目を開けたらカルデア管制室。そうか、ちゃんと戻ってこれたんだ。



んー。ひみつ!とりあえずシャワー浴びたい!あと、ふかふかの布団で寝たい!






































新宿。






Epic of Remnant 亜種特異点I 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【完】



































やぁ、また会ったな。正義の味方。