【FGO】第五の聖杯 イ・プルーリバス・ウナム【第九節 スタア誕生】
1783年。アメリカ。
当時、イギリス本国とアメリカ植民地との長い戦争が続いた。
この戦争を経て、元々数多の植民地でしかなかったこの国は、アメリカとして独立することに成功する。
魔術的な神秘は西洋に比べて少ないが、現実世界の基盤としてアメリカ無くしては人類史は成立しない。
また、先住民族による呪術、霊術は独自に発展しており、今なおその文化を残す地域も存在する。
歴史的大国アメリカ。
歓声が上がる。
歴史の狭間、時代の宇練を乗り越えた栄光の声が。
アレクサンドリアと呼ばれている街が見えた。ジェロニモは仲間から敵の動向について知らせを受けていた。
ピリリと辺りが緊張に包まれる中、アレクサンドリアの中央通りで1人の少女が鼻歌を歌っていた。
時代錯誤なひとりごとを呟くのは、純白のブライダルドレスに身を包んだ薔薇のような少女だ。
そして、その少女に声をかけたのは大槍を背負った大男だった。
少女はローマの王だった。栄光と繁栄の象徴だったローマにおける皇帝、ネロ・クラウディウス。
大男は言った。既にここに来るまでに三騎のサーヴァントを倒してきた。と。
腕に相当な自信があるのだろう。赤枝騎士団の騎士の名は伊達ではない。
フェルグスに勇みながらもネロはここにいない誰かを呼んだ。
その問いかけに答えるように、建物の影から高速で放たれた弓矢がフェルグスを襲う。
肝心の矢は見切られていたが、矢を放った射手の気配をフェルグスはその時初めて気づいた。
物陰から感心したような呆れたような表情を浮かべてロビンフッドが姿を見せた。
ケルト軍のフェルグスとの戦闘、それを察知したマシュはネロに共闘の申し出を図った。
かつて、ローマで一緒に戦いを共にした時、彼女とは生前の生身の人間として出会っている。英霊の座についたということはそれからどれだけの時があったのかわからないが、今は皇帝ネロからサーヴァント・ネロ・クラウディウスになったのだ。
敵のクラスはランサー。しかしセイバー・ネロとのクラス相性は良く、戦闘はこちらに有利な展開となった。
負けたというのにフェルグスはどこか安堵したような表情を浮かべている。まるで、長く待ち続けた何かにようやく出会えたかのような顔だった。
大声で叫ぶのは相当辛いだろう。半身が動かない少年王を見たフェルグスが何を思ったのか、シータについての情報をラーマにそっと教えて、そして消えていった。
再び情報を整理する。
とりあえず話はまとまった。どうやらグランドオーダーが終了したら、ここにハリウッドを
建てたいらしい。
そして、エリザと同じ手口でネロを勧誘するマシュ。
がしっと両手で握手を交わす二人。
すっかり忘れていた霊脈探索を思い出したようにロマンが催促してきた。
そこで、霊脈で一度休憩を取り、フェルグスからの情報で一向はアルカトラズへ向かった。