【FGO】空の境界/the Garden of Order【屋上:復讐のサーヴァント】
ここは小川マンション。
ある魔術師が生み出した、心象「死の蒐集」。
元居た住人は、魔術師が選んだ六十四通りの死に方を繰り返し再現し続けている。
カルデアのサーヴァントは、混沌・悪の属性を増幅され、衝動的、暴力的になった。
反英霊の属性を持っていれば、その影響は大きく、例え契約者であっても破壊衝動を抑えることはできない。
元居た住人は「最後の一日」をそこで繰り返す。
一日の終りに生は死になり、朝とともにまた生へと戻す。
そんな無限地獄を演出する。
ここは小川マンション。
生と死の境界を演出し続ける場所。
フォウが拾った謎の鍵。
焼却炉で出会った、黒い影。
事件の黒幕にして、首謀者。それが、この先にいる。
鉄の扉は、悲鳴に似た音を出した。
存在感の無い確かな殺意がそこにいた。
魔術の王。グランドキャスター。知らない影は耳慣れた言葉を発した。
この特異点もどきの世界を作った真の黒幕。
そして、影は特大のゴーストを呼び寄せた。
それは死の集積場に相応しい、滅びの怪物。死しているからこそ、これ以上殺せない矛盾を孕んだ悪魔。
それでも、式はナイフを下ろさない。
生きていようが死んでいようが、彼女には関係無い。生者も死者も分け隔てなく在る「死の線」を彼女は切断するだけ。
それだけの。
敵はアサシン。こちらはジャンヌと玉藻とエルメロイ。究極の無限回復パーティで、常にデバフし続ける組み合わせは、地獄でもライフは削り切れない。
まぁ、狙っておいた方が早いのは後で知ったんですが。
いつの間にか屋上の端に居た影を、式は目もくれずに追いかけた。
相手の距離を詰めれば確かに式のナイフは届く。魔眼はその影を切り裂いて、本体をも滅ぼすだろう。
だが、距離を詰める勢いは止められない。それは即ち、彼女自身がマンションから見を投げ出さねば「殺せない」位置に居たからだ。
彼女にためらいは無かった。知りながら、彼女は影と地獄へ飛び込むつもりだったのだ。
「式!ストップ!」
彼女が影に飛び込むより早く、彼女を静止する。
自分で叫んでおいてなんだが、彼女はあっさり足を止めてくれた。
そう言って式は、ジャケットの内側から小さな投げナイフを影の「線」に打ち込んだ。
あの男。
ここは、魔術の王によって再現された死の集積場。
最後に男に聞いた。こんな事をする目的を、その意味を。
そして、光となって影は死んだ。
探偵さんにはできれば逢いたくないなぁ。。。命がいくつあっても足りない。