ナンバーズ79「氷結乱舞!!氷の女王神代璃緒」
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それはいつもの登校風景。
かつては学校一の不良と恐れられた神代凌牙は、人の目をやけに気にしながら校舎までの通学路をこそこそと歩いていた。
遊馬「シャーク?」
凌牙「!?―――――――お前らか……。」
後ろから遊馬にぽん、と肩を叩かれて一瞬引きつった表情で振り向くシャーク。叩いた主が遊馬だとわかるやいなや、安堵のため息をつきます。
遊馬「どーしたんだよお前?」
凌牙「声がでけぇ!」
小鳥「いつもと様子が違うけど……?」
鉄男「追われてんのか?」
怖いもの知らずで有名なシャークの事を知っている遊馬たちからすれば、こんなに挙動不審なシャークは珍しい姿です。
アストラル『彼がここまで警戒するとは……。まさか――――』
遊馬「バリアン!?」
「おぉ!!!」
遊馬「?」
いきなりシリアス展開になりかけたその時、男子生徒の妙なざわめきをかき分けて、神代璃緒が割れた人ごみの中からやってきました。
「誰だよあの子……。」
「可愛すぎ……」
「俺もうだめ……」
璃緒「もう凌牙!一緒に学校に行くの楽しみにしてたのに!」
小指の指輪を輝かせて髪をかきあげて現れたリオを前にして、シャークの表情は変に凍りつきました。
璃緒「置いてくなんて、ヒドイぞ!」
遊馬「あぁ!あんたシャークの妹の……」
小鳥「リオさん!」
璃緒「今日から通学する事になりましたの。兄、凌牙共々よろしくお願い申し上げます。」
鉄男「シャークの妹……。でも……イィ……」
鉄男ォォ
昏睡から目覚めた神代兄妹の妹。シャークが怖れるその訳とは……。そして懲りずに襲いかかるギラグの刺客、今週は華道部を使ってナンバーズを狙う!
ナンバーズ79「氷結乱舞!!氷の女王 神代璃緒」
花添「では、九十九遊馬のなんばあずを奪えば良いのですね?」
ギラグ「あぁ、もう一人。神代凌牙のナンバーズもな。」
薔薇を一本口に咥えて変にご満悦なギラグが、不敵な笑みで華道部部長 花添 愛花(はなぞえ あいか)に口添えしました。
ここは遊馬の学校でも令嬢が集まる部活の1つ華道部。花を生け、礼儀作法を重んじ、侘び寂びの中で日常の優美を図るところ。もはや過程はどうあったのか、華道部全員をバリアンの力で洗脳したギラグは、さっそく部長にナンバーズを奪えと指令を出します。
花添「そういえば、神代凌牙の妹が登校してきたようですが……?」
ギラグ「そうか、妹はヤツのウィークポイント。ならば妹を手中に収め、そのまま神代凌牙を叩くのだ!」
ギラグは以前有賀の言っていた事を思い出していました。シャークの弱点は、その病弱(そうだった)妹だと。
花添「承知しました。全ては、ばりあん世界のために!」
華道部「「「「「「バリアン世界のために」」」」」」
・・・・・・・
半年以上眠っていた璃緒の存在を知るものは学校では少ない。そのおかげで校内どこを歩いても男子注目の的となり、朝の時点ですっかり有名人になってしまっていた。
小鳥「でもリオさん、大丈夫なんですか?入院が長かったのに、もう登校して……。」
日も真上に登って昼休み。ナンバーズクラブのみんなはリオを誘って屋上でランチをとっていました。
璃緒「えぇ。それに凌牙って、私がないと本っ当にダメなんです。今朝だって寝坊して、パジャマのまま出かけようとして……。」
遊馬「えぇ!?シャークが寝坊?」
璃緒「えぇ。それに――――」
凌牙「五月蝿い!」
「「「「「「??」」」」」」
リオが話を続けようとした時、屋上の貯水タンク下に座り込んでパンを片手に遊馬たちを見ていたシャークが話を遮りました。
凌牙「そうやってペラペラ余計な事を話すんじゃねぇ!だから俺はお前が―――」
璃緒「お前が……?なぁに?」
ギロリ。赤く澄んだ瞳が、鋭い眼光を放ってシャークをまっすぐ見つめます。
凌牙「な…………なんでもなぃ……。」
遊馬「?」
リオの視線を受けたシャークは、まるで蛇に睨まれた蛙のように、一瞬背筋を凍らせて目を背けてしまいました。
璃緒「ところで貴方、前に凌牙とデュエルして勝ったっていう……」
遊馬「え?オレのこと知ってんの?」
ちょうど大盛りサイズのデュエル飯をまるまる食べきった遊馬は、若干得意気な顔でリオに聞き返しました。
璃緒「天城カイトさんですわね?」
遊馬「んな!?違う!オレは九十九遊馬!!」
璃緒「?―――あぁ!気合いばっかりでたまにまぐれで勝つって云う……あの遊馬さん!」
遊馬「なんだそりゃ……」
璃緒「えーっと、確か口癖が……かっ飛ばせ俺!」
遊馬「……。かっとビングだ!オレ!」
璃緒「あら?そうでしたの……。」
小鳥「ふふ…。」
「ランチ中失礼するよ。」
そんな昼休みのひと時。いつの間にか遊馬達の前に学校の男子生徒が列を成して現れました。
「やぁ探したよ。神代理緒さん。」
キラリと自慢の歯を輝かせてポーズを決めた男。リオは呼ばれてすぐに立ち上がり、男子の列に向かいました。
璃緒「私に何か?」
八咫烏「ボクはサッカー部部長八咫烏(ヤタガラス)。ぜひ君を我がサッカー部のマネージャーに迎えたいんだよ!」
単刀直入に八咫烏は用件を伝えると、それに続けとばかりに他の部活の連中もリオを自分の部に引き入れようと押し合いながら勧誘をかけました。
璃緒「それは光栄ですわ。それでは放課後、みなさんの部にお伺いします。」
「「「「「「「「「は、はい〜〜〜〜!!!!!」」」」」」」」」」
鉄男「はぁ。リオさんまるで太陽のような人だ……。」
すっかりデレデレになった鉄男は、なんともいえない顔でリオの後ろ姿を見ていました。
凌牙「ふん、冗談キツイぜ。アイツは太陽どころか、氷の女さ。いずれわかる」
放課後
璃緒の体験入部に連れ添われて、遊馬たちはサッカー部の練習コートに。
鉄男「マジかよ!一人でレギュラー全員相手するって!?」
小鳥「なんでも理緒さん、“自分のボールを止められたらマネージャーになる”って宣言したらしいの」
徳之助「そんなの無茶ウラよ!」
コートはいっぱいに広がった男子サッカー部レギュラー10人。そして、ゴール前にキーパーとして構えるのは、先ほど声をかけてきた八咫烏部長。
八咫烏「いいかい、約束は守ってもらうからね。」
璃緒「もちろんですわ……。」
器用にボールをその場を回しながら、リオは待ち構えるディフェンス陣に向かって走り出しました。
「いきます!」
男子レギュラー陣は、リオのスタートダッシュの速さに追いつけずに2人抜かれ、そのままドリブルに転向しつつも不規則に相手の死角をつきながら走るスタイルでさらに3人抜き、カットに入るDFもボールを浮かして躱し、その動きに見蕩れてさらに2人追い抜きました。
小鳥「うまい!」
キャッシー「もうゴール前よ!」
遊馬「いっけぇ!」
怒涛の攻めを止めるべくリオを挟もうと迫る最後の2人が追いつく前に、リオはそのままボールをミドルシュート。
璃緒「はぁ!」
女子の足から、ましてや数日前まで昏睡状態だった人間からは想像もできない威力で、ボールは見事にゴールネットを揺らしました。(サッカー漫画風表現)
八咫烏「な……。」
特に見せ場も無く終わった八咫烏部長は、そのまま何も言えずにその場で崩れ落ちました。
その後も、神代璃緒の部活破りは続きます。
璃緒「みなさんこの程度の力で、私にマネージャーをやれと?」
柔道部では体格の違う相手を一本背負い、卓球部ではエース相手に圧倒的な点差で決着、野球部ではピッチャーの一投目を場外ホームラン、ボクシングではヘッドギアも着けずに相手を一瞬でKO。
璃緒「私をマネージャーにしたいのならば、相応の実力を付けてからになさってください。」
さらに、将棋部では史上最速の局試合、バスケ部では男子顔負けのダンクシュートで1対5にも関わらずに完封勝ち。もはや遊馬たちもただただ凄いというしか言葉にできなかった。
遊馬「すっげぇな!ゾクゾクしたぜ!」
璃緒「ありがとうございます」
「可愛げ無いよな」
「まさに女シャークだな」
「帰ろ帰ろ。」
男子としての、部活をやっている経験者としてのプライドをボロボロにされた男子生徒は、言いたい放題言うだけ言って、その場から去っていきました。
小鳥「ヒドイ言い方……。」
璃緒「放っておけばよくってよ。所詮は部の飾り物としか見ていない人たちの事は……。」
鉄男「イィ……。リオさんボクの理想の人……。」
鉄男ォォ
遊馬「でもよ、なんでここまでするんだ?」(スルーした)
璃緒「私は、神代凌牙の妹だから。ですわ」
遊馬「え?シャークの妹だから?」
璃緒「凌牙を、良く思わない人がたくさんいるって聞きました。」
遊馬「そりゃ……まぁ……。」
かつて、神代凌牙という男は、荒れに荒れていた。とある極東大会で、とあるトーマスに不正を仕掛けられ失格者扱いとして汚名を着せられ、あげくの果てにとあるトーマスの手によって妹であるリオを意識不明の重体に追いやられ、とあるトーマスに復讐することだけを誓って生きていた時期があったのだから。
璃緒「私が弱いと、誰かが私を盾にして凌牙の弱みに付け込むかもしれません。だから、私は強くなければ――――」
「神代璃緒さん……ですね?」
ある種戒めにも近い璃緒の言葉を遮って、場違いな着物を着込んだ三人の女生徒がリオを呼び止めました。
「失礼致します。我が華道部部長、愛花様がお呼びです。部室へお越し下さいませ」
・・・・・・
質素ながら力強く彩られた草花たちは、まるでそこに独自の世界を持つかのように飾られていた。静寂の中の悠久。時の流れが一気に何倍も遅くなったような錯覚さえ感じるのが、リオが案内された華道部の部室だった。
花添「ようこそ、お出で下さいました。」
畳が敷き詰められた床の奥で、サクラの枝を剪定している人物がいた。他の華道部員とは明らかに雰囲気が違い、まるで同い年には見えない風貌。艶色の声はとても澄み渡り、静かな空間では不思議に響いて聞こえます。静かな中でも感じる異様なプレッシャーに圧倒されながらも、見蕩れるほどのその姿は、まさに大和撫子でした。
花添「私が部長の花添愛花で御座います。」
花添部長は、ぱちん、ぱちんと剪定鋏で桜の枝を手元も見ずに切り落としていました。
花添「……リオさん、と言ったかしら?どうやら貴女は、素晴らしい才能をお持ちのようですわね。」
花添部長の手に持つサクラの枝は、剪定鋏によって花弁をどんどん切り落とされていきます。それは、全体のバランスを取っているのではなく、単にそこにある花を散らしているだけのような、機械のような動きでした。
零「――――――。」
小鳥「あんなに切っちゃって……花が可哀そう……。」
花添「花の真なる美しさは、余計なものを除いた時に生まれるものでなくて?」
ぱちん、ぱちん、と鋏の音は静寂した部屋をどんどん埋めていきます。耳元でいつまでも残響し、それは頭の中まで響き渡ります。
一瞬花添部長の目が赤く輝いたと思った時、既にみんなの意識はそこにありませんでした。
アストラル『ぅま!ゆうま!――――遊馬!』
遊馬「んえ!?」
アストラル『遊馬!周りを見ろ!』
閉じかけた意識を取り戻した遊馬は、アストラルがいつの間にかそこにいた事に気づきました。
遊馬「あ……。これは一体……。」
みんなを見回す遊馬は、自分以外全員が虚ろに目を閉じてその場で眠ってしまっている事に気づきます。
アストラル『どうやら彼女は、花を切ることで催眠術をかけているようだ。』
遊馬「んなばかな!?」
アストラル『考えられることはひとつ。彼女は―――――バリアンの刺客。』
正座のまま意識を失った小鳥たちは、そのまま崩れるようにその場で深く眠ってしまいました。
遊馬「みんな!?」
花添「さすがは九十九遊馬。」
遊馬「やっぱりお前は――――!?」
花添「ばりあん世界のために、神代理緒からと思いましたが、やはり貴方から叩き潰してあげましょう。」
零「―――――。」
遊馬「なんだと―――?」
花添「私と決闘をして貴方が勝てば、神代璃緒は見逃して差し上げます。」
遊馬「よぉし!やってや――――いてててててて!」
意気込んで立ち上がろうとする遊馬ですが、正座のせいで足が痺れて座り込んでしまいます。
花添「未熟成リ。九十九遊馬」
遊馬「くっそーーー」(なんか悔しい)
璃緒「私がお相手致しましょう。」
遊馬「あ?」
すっと遊馬の隣で何事も無かったかのように立ち上がるリオ。
花添「どうして!?」
遊馬「催眠術にかかってなかったのか?」
璃緒「どうもおかしいと思って――――かかったフリを。」
花添「小賢しい真似をなさるのね……。」
遊馬「下がってろ、妹シャーク!こいつらはバリアンだ、お前が敵う相手じゃねぇ!」
カオス・エクシーズを使うバリアンは、対モンスターエクシーズ効果を持つ強力なモンスター。うかつに戦えばたちまち返り討ちに会うのは、遊馬が一番痛いほど知っています。
璃緒「そうですか……。」
しかし、遊馬の言葉をどこまで信用したのか。リオは立ち上がって花添に正面から向かいます。
璃緒「自分の身は自分で守る!このデュエル、私が受けて立ちます!」
花添「面白い。では、いざ決闘を!」
バリアンからの刺客。敵が強大なほど、燃え上がるのは、神代家の血でしょうか。
「デュエルディスク、セット!!」
いつの間に取り出したのか、氷で出来た翼のようなカードゾーンのディスクを構えるリオ。
「Dゲイザー、セット!!」
「「デュエル!!!」」
花添「先攻を頂戴つかまつる。」
○「私のたあん、どろお。」
○「来ましたわ。私は《火銃花(ヒガンバナ)》を攻撃表示で召喚。」
《火銃花》
☆3/炎属性/植物族/ATK 800/DEF 800
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。
○「さらに手札からふぃいるど魔法《枯山水(かれさんすい)》を発動。このふぃいるど上では水属性もんすたあの攻撃は無効となりまする。」
《枯山水》
フィールド魔法
水属性モンスターは攻撃できない。フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスターが1体のみの場合、手札からレベル4以下の植物族モンスター1体を特殊召喚できる。フィールド上のモンスターエクシーズの攻撃力は、そのランク×100ポイントアップする。
フィールドが一転、優美な日本庭園に。扱うモンスターも和草なのは、彼女が華道部たるものだからでしょうか。枯山水とは、水を使わない庭で、石や砂で水の風景を表現し水面に見立てる庭園様式のこと。
璃緒「――――。」
アストラル『どうやら相手のデッキはシャークとの戦いを想定しているようだな』
○「さらに、ふぃいるど上に植物族もんすたあが一体いる時、手札から植物族もんすたあ一体を特殊召喚。出てませ。《砲戦花(ほうせんか)》。」
《砲戦花》
☆3/炎属性/植物族/ATK 1000/DEF 500
このカードが戦闘を行う相手モンスター1体の攻撃力は800ポイントダウンする。
○「そして、ふぃいるど上に2体以上の植物族もんすたあがいる場合、同じ植物族の《宇宙花(コスモス)》を手札から特殊召喚できまする。」
《宇宙花》
☆3/闇属性/植物族/ATK 600/DEF 900
自分フィールド上に植物族モンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
遊馬「いきなりレベル3のモンスターが3体!?」
○「私は、レベル3の《火銃花》《砲戦花》《宇宙花》でおうばあれい。3体のもんすたあでおうばあれいねっとわあくを構築つかまつる。えくしいず召喚。」
「咲き誇れ。《烈華砲艦ナデシコ》。」
《烈華砲艦ナデシコ》
ランク3/地属性/植物族・エクシーズ/ATK2100/DEF1800
レベル3モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手の手札の数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。
○「さらに、《枯山水》の効果でふぃいるど上のもんすたあえくしいずは、1らんくにつき、100ぽいんと攻撃力あっぷつかまつる。」
《烈華砲艦ナデシコ》
ATK2100→2400
○「そして、ナデシコのもんすたあ効果発動。おうばあれいゆにっとを1つ使い。相手の手札1枚につき。300ぽいんとのだめえじをお見舞い申し上げまする。貴女の手札は5枚。よって1500のだめえじを喰らいなさい。」
「“ビッグ花野雲(カノン)”。」
璃緒「く――――!!」
初手からいきなりライフを大幅に削るバーン攻撃。回避不可能なダメージを受ける事しかできないリオ。
遊馬「やべぇ!!」
リオLP4000→2500
○「ほほほ。私はかあどを1枚伏せて。たあんえんど。」
璃緒「くっ――――参ります。私のターン、ドロー!!」
●「私は《ブリザード・ファルコン》を召喚します!!」
《ブリザード・ファルコン》
☆4/水属性/鳥獣族/ATK1500/DEF1500
このカードの攻撃力が元々の攻撃力よりもアップした場合、その数値だけ相手ライフにダメージを与える。
●「さらに、手札から魔法カード《ブリザード・ジェット》を発動!!このターンの間、フィールドにいる水属性及び鳥獣族モンスター1体の攻撃力を1500ポイントアップできます!!」
《ブリザード・ジェット》
通常魔法
フィールド上の鳥獣族・水属性モンスター1体を選択して発動できる。このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力を1500ポイントアップする。
《ブリザード・ファルコン》
ATK1500→3000
遊馬「攻撃力3000!?やるじゃん妹シャーク!」
花添「ほほほ。お忘れ?このふぃいるどでは、《枯山水》の効果で。水属性もんすたあの攻撃は無効となる事を。」
璃緒「忘れてませんわ」
花添「……。」
●「《ブリザード・ファルコン》の効果発動!!このカードは、攻撃力が元々の攻撃力よりも増えた時、相手プレイヤーにその数値分のダメージを与える事ができます!」
花添「あぁ!!」
花添LP4000→2500
遊馬「やったぜ!」
アストラル『効果ダメージを狙っていた。というわけか』
●「私は、カードを3枚伏せてターンエンド!!」
《ブリザード・ファルコン》
ATK3000→1500
ギラグ「ケッ。神代璃緒。思ったよりやるじゃねぇか」
いつの間にか物陰から出歯亀していたギラグ。まだ直接手を出す時ではないらしい。
花添「3枚の伏せかあど……。よほどナデシコの効果を恐れているのですねぇ……。」
遊馬「手札を減らして、ダメージを減らすってわけか」
アストラル『いや。彼女のことだ、何かあの伏せカードには意味が……。』
花添「私に楯突いた愚かさを思い知らせてあげますわ。」
待ち構えていたように、バリアンの紋章が額に現れる花添。
○「私のたあん、どろお。」
○「私は手札より《RUM−バリアンズ・フォース》を発動つかまつる!」
「「「!!!!?」」」
《RUM −バリアンズ・フォース》
通常魔法
自分フィールド上のモンスターエクシーズ1体を選択して発動する。選択したモンスターよりもランクが1つ高いモンスターエクシーズ1体を、自分のエクストラデッキから選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる。この効果でエクシーズ召喚されたモンスターエクシーズは「戦闘では破壊されない効果」を無効にし、相手フィールド上に存在するモンスターエクシーズ1体を選択して、選択モンスターのエクシーズ素材全てを、このカードの効果でエクシーズ召喚されたモンスターエクシーズの下に重ねてエクシーズ素材とする。選択モンスターの攻撃力は、この効果で奪われたエクシーズ素材の数×300ポイントダウンする。
○「私は《烈華砲艦ナデシコ》で。おうばあれいねっとわあくを再構築。かおす・えくしいず・ちぇんじ!」
「今こそ現れなさい!偉大なるばりあんの力!!」
○「咲き乱れよ。《CX 激烈華戦艦タオヤメ》!!」
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ランク4/地属性/植物族・エクシーズ/ATK2400/DEF2000
レベル4モンスター×4
このカードが「烈華砲艦ナデシコ」をランクアップしてエクシーズ召喚に成功した場合、以下の効果を得る。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。フィールド上に存在するカードの枚数×400ポイントダメージを相手ライフに与える。
遊馬「気をつけろ!」
璃緒「何がきても――――。」
○「《枯山水》の効果で、ふぃいるど上のもんすたあえくしいずは、らんく×100ぽいんと攻撃力をあっぷつかまつる!」
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ATK2400→2800
○「タオヤメのもんすたあ効果発動!かおす・おうばあれいゆにっとを1つ使い、ふぃいるどのかあど1枚につき、400ぽいんとのだめえじを与える。」
花添「貴女のふぃいるどのかあどは、もんすたあを合わせて4枚。私のふぃいるどにはかあどは3枚。」
遊馬「えっと!4枚と……3枚だと……」
アストラル『2800のダメージだ。』
璃緒「く―――――。」
リオLP2500
璃緒「――――!!!」
向けられたタオヤメの砲塔。その火力、その威力。手札を蓄えさせまいとしてバーンダメージを減らすために、ナデシコの効果を後では手札を伏せる戦略が常識。しかし、タオヤメはその裏をかいたように、フィールドの数を対象にするバーンカード。ナデシコで1500。タオヤメで2800で簡単にLPは0になる。
花添「ほほほ。ナデシコの効果を恐れて手札を多く伏せたのが仇になりましたわね?」
璃緒「はぁ……はぁ……」
リオLP2500→500
しかし、リオが受けたダメージは2000ポイント。僅かにライフは残ります。
遊馬「おぉ!!」
花添「どういう事なの……!」
●「私はタオヤメの効果が発動する前、罠カード《ダイヤモンド・ダスト》を発動していたのよ。このカードは自分フィールド上に存在する水属性モンスターを全て破壊する。」
《ダイヤモンド・ダスト》
通常罠
フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターを全て破壊する。この効果で破壊したモンスターの数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。
璃緒「よって私のフィールドのカードは2枚になり、合計で2000の“だめえじ”になりましてよ?」(挑発)
●「さらに、このカードは破壊したモンスター1体につき、500ポイントのダメージを相手に与えます!」
花添「うぅ―――!?」
花添LP2500→2000
タオヤメが発動する前に発動したカードのバーンダメージが、なぜタオヤメの処理が終わってから発生するのかは謎。おのれバリアン。
遊馬「すげぇじゃねぇかアイツ!」
アストラル『だがライフはたった500――――。』
花添「巫山戯(ふざけ)た真似を!だったら、今度こそ止めを刺してあげまする!」
○「タオヤメの直接攻撃(だいれくとあたっく)を喰らうがよろしい!」
「“華時雨”!!!!」
●「永続罠《アイス・チェーン》発動!!このカードの効果で、私は手札のレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できます!」
《アイス・チェーン》
永続罠
自分の手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する。このカードがフィールド上から離れた時、このカードの効果で特殊召喚したモンスターを破壊する。
●「私は、《オーロラ・ウィング》を守備表示で特殊召喚!《オーロラ・ウィング》はバトルで破壊されたターンに1度だけ、墓地から特殊召喚する事ができます!」
《オーロラ・ウィング》
☆4/水属性/鳥獣族/ATKXXXX/DEF1600
このカードが戦闘によって破壊されたターンに1度だけ、墓地のこのカードを表側守備表示で特殊召喚する事ができる。
○「往生際の悪い事……。私は、かあどを1枚伏せて。たあんえんどと致します。」
花添「ほほ。どうやらぎりぎりのところで持ちこたえているご様子。どこまで持ちこたえられるやら……。おほほほほほ。」
璃緒「――――。私のターン、ドロー!」
●「魔法カード《死者蘇生》を発動します!」
《死者蘇生》
通常魔法
自分または相手の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
○「永続罠《薔薇の墓標》発動。このかあどは、相手ふぃいるど上のかあどが発動した時、300ぽいんとのだめえじをお見舞い申し上げまする。」
《薔薇の墓標》
永続罠
相手が魔法・罠カードを発動した時、相手ライフに300ポイントダメージを与える。
璃緒「――――!」
リオLP500→200
遊馬「なんだよ!これじゃあカードを発動させる事ができねぇじゃねぇか!」
璃緒「はぁ……はぁ……」
花添「ほほほ。少しは美しく散るかと思ったら……。所詮、あの粗野で卑しい神代凌牙の妹。品性に欠けます。おほほほほほ」
「なんですって?」
ぐっと力を込めて、指輪を嵌めた右手が砂利を握り締めます。
璃緒「もう一度、言ってみなさいよ?」
その姿、先ほどの丁寧な立ち振る舞いとはまた別の。凍てつくような目つきと異様に尖った態度。
璃緒「凌牙の事を粗野とか卑しいって言ってたわけ?」
それはとても太陽とは言えず。その口調、姿、それはまさしく氷。凍てつく吹雪に凶器の刃。何者をも恐れぬ鮫の眼光。
アストラル『……。』(絶句)
遊馬「……。」(絶句2)
璃緒「私はともかく、凌牙の悪口は許さない。あんた、凍らすよ?」
花添「―――!?」
●「私はレベル4の《オーロラ・ウィング》と《ブリザード・ファルコン》でオーバーレイ!!」
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」
「舞い降りよ、《零鳥獣シルフィーネ》!!」
《零鳥獣シルフィーネ》(野太い声)
ランク4/水属性/鳥獣族・エクシーズ/ATK2000DEFXXXX
レベル4モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。このターンのエンドフェイズ時まで、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を無効にし、相手フィールド上にモンスター1体の攻撃力をこの効果で無効にしたカードの数×300ポイントダウンする。
遊馬「おぉ!?」
花添「ほほほ。中々お美しいもんすたあ。ですが、それでは私に勝てません。」
●「そうかしら?あんたの《枯山水》の効果で、シルフィーネの攻撃力を1ランクにつき100アップする!」
《零鳥獣シルフィーネ》
ATK2000→2400
●「さらに、シルフィーネの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、次の自分のターンまでこのカード以外の表側カードの効果を無効にする!そして、無効にしたカード1枚につき、相手モンスター1体の攻撃力を300ポイント下げる事ができる!」
「“パーフェクト・フリーズ”!!!」
●「あんたの場の表側表示のカードは合わせて3枚。よってタオヤメの攻撃力は900ポイントダウン!」
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ATK2800→1900
アストラル『さらに、《枯山水》の効果が無効になったことで、ランクごとに100アップした攻撃力は元に戻る』
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ATK1900→1500
《零鳥獣シルフィーネ》
ATK2400→2000
璃緒「これであんたの邪魔なカードは凍りついた。」
花添「く――――。」
遊馬「いいぞ〜!妹シャーク!」
璃緒「やめて!その妹シャークってダサイ!」
遊馬「え!?……えと、じゃあ……縮めてイモシャーク!」
璃緒「……あんた、後で制裁」
遊馬「あ……」
●「舞い上がれ!シルフィーネ!タオヤメを攻撃!!」
○「甘いわ!速攻魔法《花裁き》発動!貴女のもんすたあの効果対象は、表側表示かあどのみ。伏せかあどはまだ使えますのよ?このかあどは、自分ふぃいるど上の植物族もんすたあえくしいず1体のおうばあれいゆにっとを全て墓地へ送り、その数1つにつき、攻撃力を800あっぷする!」
《花裁き》
速攻魔法
自分フィールド上の植物族モンスターエクシーズ1体を選択して発動できる。選択したモンスターのエクシーズ素材全てを取り除き、選択したモンスターの攻撃力を取り除いたエクシーズ素材の数×800ポイントアップする。
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ATK1500→3100
遊馬「攻撃力が3100に!!?」
花添「ほっほっほ。氷の世界も、所詮華の彩を引立てる背景に過ぎません!おほほほほ!」
璃緒「そうかしら?」
花添「?」
璃緒「本当の氷の世界を見せてあげる!」
●「手札から速攻魔法《絶対零度》を発動!!このカードは、オーバーレイユニットがないモンスターエクシーズ1体の攻撃力を0にする!」
《絶対零度》
速攻魔法
フィールド上に存在するエクシーズ素材のないモンスターエクシーズの攻撃力は全て0になる。
《CX 激烈華戦艦タオヤメ》
ATK3100→0
璃緒「絶対零度は白銀の中の暗闇。凍った花びらも砕け散る。」
花添「そんな……私のかおす・えくしいずが……」
璃緒「さぁ、シルフィーネ行きなさい!タオヤメを攻撃!!」
「“アイス・レイク”!!!!」
花添「きゃあああああああああああ!!!!」
花添LP2000→0
そうしてやはり、花添部長に宿った紋章は消え、それと共にバリアンに関する記憶もいつの間にか消えていた。
遊馬「やったぜ!イモシャー…………ク?」
ギラリと遊馬を睨むリオ。花添とのデュエルで気の強さが前面に出ている今の彼女の前では、さすがに遊馬も空気を読みます。
璃緒「ん―――。」
遊馬「あ!それはダメか!?なら……えっと……えっと……シャークブラザー!!」
アストラル『遊馬、ブラザーは妹ではなく弟だ』(異世界人)
遊馬「だぁ…………。ど、どっちでもいいだろ!とにかく」
璃緒「ふふふふふ。」
ふと遊馬(と見えていないアストラルと)の漫才を観ていて、表情がほころんだリオ。
璃緒「私が入院している間に凌牙が変わってしまった。人から恐れられるようになったと聞いて、私正直怖かった……。だけど、凌牙全然変わってなかった。」
璃緒「遊馬、あなたがいてくれたおかげなのかも」
遊馬「お、オレ?」
璃緒「ありがとう。遊馬」
ギラグ「神代璃緒。油断のならねぇ奴。九十九遊馬と共に、今度こそ……。」
そして油断のならないと云えば、璃緒の他にも催眠術にかかった振りをして、花添部長とのデュエルを遠くで観ていた零。
小鳥「ん……んん……。あれ?いつの間に寝ちゃったんだろ?」
鉄男「あれ?リオさんは?」(それしかないのか)
・・・・・・
凌牙「まぁまぁのデュエルだったな。」
遊馬「シャーク!?いつから……?」
いつの間にかこっそり後ろから歩いてきたのは、シャーク。
凌牙「始めからだ。」
璃緒「ずっと観てたわけ?」
凌牙「アドバイスが必要だったか?」
璃緒「ま、まさか!」
人前の一線引いた感じも、悪口を言われて豹変した時も、そのどれでもない様子で、璃緒はシャークと話していました。
・・・・・・
日も傾き始めた帰り道。
零「へぇ。ボクらが寝ている間にデュエルを……」(おい嘘だろ)
小鳥「リオさん!今度私にもデュエルを教えてください!」
璃緒「喜んで。」
遊馬「シャーク!お前の妹すっげぇ強ぇな!」
凌牙「まだまだ甘いところはあるけどな。」
アストラル『ナンバーズを使うシャーク…。予言めいた事を言うリオ…。一体神代兄妹とは……。』
璃緒「あぁ!!」
突然、一行の行く先に飛び出した猫。猫好きキャッシーがいる事もあって、みんな慣れているものの、リオ一人は飛び上がって、シャークの背中に隠れてしまいました。
零「リオさん、猫が苦手なんですか?」
璃緒「ダメなの!ダメなの!」
小鳥「こんなに可愛いのに?」
璃緒「早く追っ払ってよ凌牙!」
凌牙「俺の助けはいらないんだろ?」
璃緒「も〜〜〜……。」
鉄男「怖がる璃緒様も……。」
鉄男ォォ
璃緒「も〜〜〜!凌牙のいじわる〜〜〜!!!」
水属性・鳥獣族使い。鳥使いだから猫が苦手?
次回、ヒロイン再認識回!?
「猛攻タイマンバトル!!遊馬vs不屈の闘士アリト」
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