【FGO】バレンタイン2018 ~繁栄のチョコレートガーデンズ・オブ・バレンタイン エピローグ「恋する少女たちとチョコレート」
チョコの片付けは粗方終わりつつも、まだ空中庭園には甘い香りが漂っていた。
自分でもよくわからない。ただ、気づけば、◯◯のためにチョコレートを必死で作っていた、ような気がした。
こちらを見て止まる足音。
相手に気を使ったその足音に、彼女は聞き覚えがあった。
偶然、そう偶然そこを通りかかったサーヴァント、天草四郎。
一瞬、チョコを持つ手がなぜか震えた。その男を見た瞬間、彼女は理解した。
ぐいっと伸ばせるだけ手を伸ばして天草に差し出す。
必要以上に近づかず、相手に届く最大の距離で。
言葉数少なく、そう言って女帝はこの場を去ろうとした。
意外な一言だった。
だが、どこかで期待していたのかもしれない。
そういう彼は、笑っていた。受け取ったチョコを胸に抱えて見せた。
少し冷たく言った。「知っている」だけに彼のその言い回しに少しだけイラッとした。
本当に、口がよく回る。
自分から行きたいなどと、――――――女帝として君臨した彼女のプライドが許さない。
それでも
ここでこうして、「同じ姿」の「違う彼」と話す。
それだけで、
彼女の目的は満たされたのだろう。
彼女は振り返らずにその場を去った。
きっと彼は笑って、手を一振りだけして我を見送ったのだろう。
そんなの、見なくてもわかる。
うーん、もう(チョコは)食べられないよぉ。
うーん、、、
ゆっくり目を開ける。片付けが終わって、部屋に戻って、それから・・・。
あ、おはようマシュ。
気づけば翌日になっていた。2/14。そうか、今日がバレンタインだった。
は、はい!
いや、マシュからのチョコ、嬉しいよ!ぜひ受け取らせてください。
震えるその手で差し出されたチョコを掴んだ。丁寧にラッピングされた包をほどく。
とっても美味しそうだね。
なぜか余所余所しい言い方で、慌てたようにマシュは部屋を出ていった。できれば一緒に食べたかっけどなぁ。
だって、こんなに彼女たちを困惑させたんだから。
ハッピー・バレンタイン!