【FGO】「深海電脳楽土 SE.RA.PH」【第三幕 ナッツ・クラッカーをもう一度(3/3)】
舞台は海洋油田基地セラフィックスへ。それは月の聖杯戦争を模した地獄。
最後のひとりになるまで脱出できない快楽の檻。
崩壊までのタイムリミットはあとわずか。
乱舞する欲望(エゴ)の最奥に潜むものは、果たして―――
・前回まで
突然カルデアのシステムを乗っ取った上級AI「BB」。
彼女は、カルデアの資源調達基地である海洋油田セラフィックスが、2030年のマリアナ海溝に沈んでいることを告げる。
特異点の反応を辿って、「BB」の案内する2030年にレイシフトした藤丸立香だが、BBのジャミングによって一緒に同行したネロ、エミヤ、玉藻の前と逸れてしまう。
胸部エリアにある管制室を目指す一行は、裏側から管制室までのルートを目指す。
ロビンフッドの案内で、裏側から管制室へ行けるルートを知ることができたが、それにはエリアの表側に戻る必要があり、表エリアには拘束され、暴走状態の強力なアルターエゴ・パッションリップが待ち構えていた。
彼女は愛憎。
生に憧れ、人に憧れた。
彼は憎悪。
生に溺れ、人を恐れた。
生きたかったものと、死ねなかったもの。
彼は、自分を見失った。
彼女は、相手を見失った。
迷宮の中で、渦巻く闇に、誰もが他人を信じられず疑心暗鬼。
怖い、怖い、怖い。
●にたくない。●ぬのはいやだ。
電子の海で想いが彷徨う。
電子の海で狂気が彷徨う。
よし、パッションリップを止めに行こう!
ぐるん。と視界が反転する。上が下で、下が上。
逆さまになった世界に落ちるように登っていく感覚。
あれ?エミヤの姿が無い。。。。
殺戮の守護者は不敵に笑う。
それが何を意味するのか、その場に居なかった者に知る由も無かった。
一行は、ロビンの案内で表側、ブレスト・バレーにたどり着いた。
到着した途端、大量の攻勢プログラムに包囲された。
ロビンも騙されていたようだが、どうやら敵陣のど真ん中にジャンプしてしまったようだ。
そして、敵陣の向こう側にいた。パッションリップの姿がある。
絶叫がエリア全土に響く。その声だけで全身が凍りつくようだ。
小僧!?・・・ってBB?!
いつもの番組風演出をすっ飛ばして、突如BBが通信回線を開いた。
いつの間にか消えていたエミヤの穴をロビンが埋めてくれた。
対軍戦闘に慣れているのか、SE.RA.PH.の地形を利用した罠で攻勢プログラムを次々と排除していった。
くっ、所詮は☆3。ロビンのレベルが中途半端だったから・・・。
乙女・・・コースター・・・!?なんだか懐かしいような気もするけど・・・(遠い記憶)
なるほど、あの大きなお。●●に触れれば良いんだね(死ぬね)
この声は、、、、ガウェイン!?
見ると、そこに血だらけの姿のガウェインが、背後からパッションリップに飛びかかった。
暴れるリップの動きを押さえつけようと、ガウェインは全身を使って彼女の動きを封じようとしている。
ガウェインの覚悟を無駄にはできない。今しか、チャンスはない!
震える足を精一杯の力で前に押し出す。
目の前まで迫って彼女の胸に手をのばす。
その瞬間――――。
BBの声がする。いつものように人間を試すような、挑発じみた言い方ではなく、とても丁寧で、相手を思いやる優しさが込められていた。
そこはパッションリップの中の世界だった。
愛情、憎悪が相反する世界。
中にいるだけで彼女の気持ちが、想いが伝わってくる。
彼女は苦しんでいた。
もがくように、その巨大な両腕を振り回す。
それは全てを傷つける凶悪な台風と化していた。
残った戦力をかけ合わせて、全力でパッションリップに挑む。
BBの支援を無駄にはできない、ガウェインの命懸けの覚悟を無駄にはできない。
彼女の悲しみを、これ以上放っておけない!
キャット・・・!キャッチ!
パッションリップの拘束具が外れた。瞬間、彼女は意識を失ったが、キャットが見事受け止めてくれた。
そう言いつつもガウェインはかなり辛そうだ。今もフラリと目眩を起こしている。
・・・。あ、うん・・・・・・(・・・。)。
エリアのセンチネルも消え、SE.RA.PH.化されていないエリア、管制室に一行は入った。
そこにあったのは・・・。
・・・!
天井まで伸びる黒い影。
無数の目が縦横無尽に視界をぐるぐる巡る。
それは紛れもなく、魔神柱がそこにいた。
こちらを見るなり魔神柱は攻撃を仕掛けてきた。
とっさの自体だったが、戦闘を予感していた一同はすぐに反撃の態勢を取った。
しかし狂ったように攻撃を仕掛けてくるが、その行動はなぜかワンパターンだ。
まるで、プログラムされた機械のようだ。
一度見切れれば、魔神柱でも時間をかけずに倒すことができた。
今の魔神柱、心なしかあまり強くなかった・・・?
すると、奥から拍手をしながら一人の男が現れた。
どうやら生存者のようだった。
あ、はい。
とりあえず、ここまでの経緯を全て話した。
すると男は一瞬驚いたような顔でガウェインを見た。
まぁでも生存者がいてよかった。
あぁ、メルトリリスは信頼できる味方です。
えっと、、、マーブルさんなら救助しました。
そういえば、ここから天体室はどうやっていくんだろう?
前の時?以前もここに来たことがあるの?
じゃああの魔神柱はいつから?
でも、なんだろう。さっきの魔神柱ってやっぱり・・・なんか変だった。
あぁ、よろしく。
とりあえずアーノルドを連れて教会に戻った。
あ、エミヤ戻ってたんだ。
拘束具の下には、あどけない顔があった。どうみてもカワイイ。
うん、、そうだね。色々大きいね。。。
慌てたようにリップが言う。
もちろん、これからお願いするよ、リップ。
(豊かな胸の)少女の涙のために戦うって言ってた。
パスコードでロックを解除する。
途端に視界が自分のものではないもので覆われた。
映像はそこで終わった。
魔神ゼパル・・・。これ、魔神柱案件だったのか・・・!!
そんなの全然聞いてな・・・
SE.RA.PH.にするために月の聖杯戦争を模した・・・とか?
なるほど、話が見えてきたぞ。
センチネルとBBを倒すこと、だね。
もちろん。
外で二人の声がした。
内容はわからなかったけど、覚悟のようなものは伝わってきた。
夜。
朝。
眠たい目を開けて礼拝堂に降りる。
おはよー。
みんなの様子がおかしい。何かあった?
え、ガウェインが・・・。
やめよう。ここで誰かを疑ってもしょうがない。
メルトもリップもやってないよ。
わかった。いこう。
疑惑の教会。
お互いが疑心暗鬼になる中、探索は続いた。