【FGO】「深海電脳楽土 SE.RA.PH」【第一幕 スワンレイク・リターンズ(3/6)】
舞台は海洋油田基地セラフィックスへ。それは月の聖杯戦争を模した地獄。
最後のひとりになるまで脱出できない快楽の檻。
崩壊までのタイムリミットはあとわずか。
乱舞する欲望(エゴ)の最奥に潜むものは、果たして―――
・前回まで
突然カルデアのシステムを乗っ取った上級AI「BB」。
彼女は、カルデアの資源調達基地である海洋油田セラフィックスが、2030年のマリアナ海溝に沈んでいることを告げる。
特異点の反応を辿って、「BB」の案内する2030年にレイシフトした藤丸立香だが、BBのジャミングによって一緒に同行したネロ、エミヤ、玉藻の前と逸れてしまう。
道中出会ったアルターエゴのメルトリリスとガウェインと共に脱出のための探索を進めると、セラフィックス職員の最期を記録したデータを発見する。
ガウェインェ・・・。(失望の眼差し)
良いけど、それを臆面もなく(特に女性の前で)口に出すのがだめだと思うの。
オーケー。そこそこ太陽の騎士ガウェインの評価が変動したぞ。
この語り口調は・・・。
トリスタン!なんだ、SE.RA.PHは円卓祭りか!
・・・正気を失っている・・・。というよりは、自分以外を信用していない感じだ。元々そういうヤツだったけど、どうやら本気でやる気らしい。
選択肢なんてあるだろうか。
彼女がいなければ自分は死んでいた。
ならば、ここで彼女を見捨てて自分の命を取る選択肢なんて初めから無い。
信用できるかはわからない。どうしてか、自分でもわからないけど、
オレは自分の意志で決める。
彼女を差し出すなんて、できない。
え、あ、やっぱりそうだったの?
やっぱり来るか・・・。行くぞ二人共!
立ちふさがるのは、誇り高き妖弓使い、トリスタン。
彼の弓はその音色で対象物を寸断する音の矢を持つ。
ガウェインとのクラス相性は不利。おまけにアルターエゴであるメルトリリスの攻撃も半減している状態でかなり分が悪い。
しかも、宝具チャージは3ターンと短く、必中効果も付属してくるので、回避もできない。
今まで以上の苦戦を強いられつつ、少しずつ、少しずつダメージを与えていく。
勝つ手段があるとすればただ1つ。
ガウェインとメルトリリスの連携攻撃だ。
二人が交互に息を合わせることで、トリスタンの動きを封じる。
彼に隙きを見せればそこまで。
二人の動きにもだいぶ慣れてきた今だから、きっと勝てる。
長期化する戦闘。
しかし、トリスタンの消耗が見えてきた。
器用な態勢で逆手に持った妖弓を鳴らすトリスタン。
とっさに回避行動が遅れたメルト。
しかし、直撃した箇所は水となってその攻撃を受け流した。
ぐるりと一回転して飛び上がったメルトは、そのまま両足をトリスタンの両肩に叩き込んだ。
勢いで地面に仰向けになるトリスタン。その上に跨るようにメルトが追い打ちをかける。
(仮にも同僚なのにその言い方はヒドくない)と思ったが今はやめておこう。
しかし、マウント態勢のままメルトは攻撃を止めた。
そう言えば、彼女は腕を動かすのを躊躇っていた。。。
マウント状態で足が動かせないから、逆にこれ以上は何もできないのでは・・・。
トリスタンが何かに気づいたようだが、ここからでは様子がよくわからない。
つまらなそうにそう言ってメルトは立ち上がった。
残念そうに言っているが、いつでも仕留められるタイミングだったはず。
なのにそうしなかった。
じゃあ、邪魔にならなければいいんだね。
そう言ってガウェインと目を合わせた。
そう抗議するメルトの話しを無視してトリスタンは立ち上がって埃を叩いて落としていた。
トリスタン も なかま に なった!
テッテレー!(例の音)
何かニヤ件(ニヤニヤする案件)なこと言ってる・・・。
マスターのマスタードです。マスター・マスタードって呼んでくれて構わないよ(定期)
おおう。既にピリピリギスギスしてきたぞ・・・。
そんな物騒な騎士団だったの・・・。
(そして、この騎士もちょっとアレだった・・・!)
とりあえずここまでの経緯を簡単に話す。
????
あの、イマイチ具体性のない説明のような・・・。
そう言うメルトの案内でエリアの胸部を目指す。
時間が経つにつれて、だんだん体の感覚が無くなっているのに気がついた。
ちょっと、疲れたな・・・。
いや、そんな楽しそうに言われても・・・。
これがスキル・加虐趣味・・・!
トットット・・・。
確かに足音が近づいてくる。
それも、音から察するに誰かが走っている音だ。
女性の声がした。足音の張本人のようだ。
生存者!
話を聞こうとしたが、ガウェインが急に間に入って、女性の手を取った。
女性はマーブルと名乗った。
(うわぁ)
そして、メルトリリスを見てマーブルは腰を抜かして後ろに倒れた。
彼女を指して恐怖の顔を浮かべている。
マーブルが後ろを振り向いた。彼女が来た方向から何か来る。
ずしん。ずしん。
まるでヘラクレスのようなプレッシャーが通路の奥から伝わってくる。
明らかに異常。
そこにいた全員が警戒態勢を取った。
通路の奥から現れたのは、メルトリリスと同じ顔の・・・
なんだあの大きな大きな爪(むね)はーーーーー!!!!
(どどど、どっちを指して言っているだこの騎士は)
少女が咆哮する。
その声はあどけない少女そのものだ。
だが、その声には苦痛が込められている。
巨大な爪が空中を切り裂く。
何も無い空間が、ざん、ざん、と音を立てる。
その様子を辛そうに見つめているメルトリリスに気がついた。
彼女もアルターエゴ。そして、センチネルの1体だ。
つまり、メルトリリスと同じく「BB」の分身。
愛憎のアルターエゴと呼ばれ、その体は「破壊」に特化していた。
攻撃は大振りだが、一度当たれば恐らく命は無い。
全てが即死の必殺。
故に迂闊に近づくことができない。
メルトリリスも攻撃を弾くだけで、自分からパッションリップには向かわなかった。
そして何より、苦しそうに戦うパッションリップを見ていられなかった。
どうして!?管制室まですぐそこなのに、一体何が
トリスタンが答えを言う前に、パッションリップが動いた。
その動きより早く、トリスタンに体を乱暴に掴まれ、一瞬でエリアの端までジャンプした。
一瞬目の前が切り取られた。
世界が圧縮して、消失した。
そこにあったものは、自分がさっきまでいた場所は、キレイに無くなっている。
チ・・・チートすぎる・・・。
とりあえずガウェイン、マーブルさんをよろしく。
わかった!オッケー!でも今は脱出が最優先―――――!!!!
悲しい咆哮を背中で感じながら、胸部エリアを脱出する。
全力で駆ける中で、「なんとかしてあげたい。」そう思う気持ちもまた心に残っていた。
だって、「助けて」って声が聞こえたような気がしたから。