【衛宮ごはん感想】これぞ王道の弓凛 !! 第11話 「特製ふわとろオムライス」【アニメ 衛宮さんちの今日のごはん】
アニメ衛宮ごはん、第11話。まさかのアニメオリジナル。
今回の主役はなんとアーチャー。
なんというか、切り取られた日常そのままにキャラクターの自然体な姿が見れて、弓剣が見れて、弓凛が見れて、僕は幸せです。。。。(浄化)
エミヤさんちの今日のごはん開幕!
以下ネタバレ注意!
そこは、あまり知られていない遠坂邸の裏庭。
いつものように、花壇の世話をしている主夫アーチャー。
街の監視の以外には、基本的にすることが無い彼は、こうして、凛の家の家事全般を請け負っている。
「じゃあ、桜と出掛けてくるからね」
昔に比べて、凛と桜はそれまでの距離を縮めるように、よく出かけるようになった。
新都への外着に着替えた凛の声を聞いて、剪定鋏の手を止める。
「買い物終わったら、いつもの公園で待ってるから!待ち合わせの時間は12時で!」
ふむ。と凛の方へ体を向ける。
間桐桜と出かける話は昨日聞いていたが、いつの間にか自分が同行することになっていたのが気になったのだ。
「荷物持ち、ということか。」
凛が両手に買い物袋を抱える仕草をして理由を察する。
申し訳なさそうに間桐桜は頭を下げるものの、凛は当然、とばかりに悪びれる様子は無い。
まぁ、いつものことだ。
特に断る理由がないし、むしろ、新都への護衛役の役割も果たせるから都合が良い部分もある。
「了解した、楽しんでくるといい。」
この時は、その程度に思っていた。
10時30分過。
約束の1時間半前に、公園のベンチに着いた。
もともと待ち合わせは早めに来る質なので、これぐらいは普通だ。
それに、この場所は昔からよく暇があれば来ていた場所でもある。
特にすることもないので、とりあえず空を眺めていると・・・。
何やら後ろで聞き覚えのある声がする。
ぱっと見は、ヤンキーに絡まれる男子高校生。
ただし、どちらも一般人ではないし、何よりこの街で関わりたくない男ワースト2位と1位なので、蚊帳の外を決め込むことにした。
「離せよ!無理だって!」
「そんなこと言うなよー」
しばらくして、男子高校生はその場から逃げるように立ち去る。
とりあえず目を付けられないようにその場から立ち去ろうとしたが・・・。
ケルト伝承通りの俊足で、ヤンキーことランサーがその行先を遮った。
「よぉ」
「・・・。何の用だ?ランサー・・・」
困ったことがあってよ、と彼は言うが、ニヤニヤしているその顔はとても困っているようには思えない。
「お前、料理できたよな?」
敢えて答えなかった。が、この状況ではそれは肯定と捉えられても仕方がなかった。
「いらっしゃいませー!」
はぁ、と自分の単純さを嘆く。
ランサーの話を聞けば、確かに放っておくのは忍びない事情ではあった。
「なぜこんなことに・・・」
聞けば、バイト先の喫茶店でいつも来ている料理人が来れなくなったとのこと。
そこでランサーは公園で見かけた衛宮士郎を捕まえたそうだが、逃げられたところにたまたま居合わせてしまったのが不運だった。
幸い、まだ凛との待ち合わせの時間まで1時間ある。時間になったら一度凛に事情を説明すれば良い。
それに、そこまで他人に料理を振る舞うのは嫌いじゃない。
しかし、今日に限ってなのか、意図せず来店客は見た顔ばかりだ・・・。
「宗一郎様とゆっくりお茶がしたいだけなのに・・・」
やってきたのはキャスターとそのマスター葛木。
プライベートでのデートなのだろうが、着ているものが学校のスーツと同じものなのは、彼には外着というものがそれしか無いのだろう。
ウェイターと料理人に見知った顔が居て、顔色を悪くするキャスター。どうやらデートの真っ最中だったらしい。
「キャスター、場所は関係ない。こうして、二人でいることが、重要ではないのか」
「そ、、、宗一郎様!」
機械のように淡々と話しながらメニューを眺める葛木。
本人に自覚は無いだろうが、殺し文句に近いその言い回しに、キャスターは軽くのぼせていた。犬も食わぬ、というやつだ。
「ホットサンド、出来たぞ。」
そして、その場のオーダーに卒なくこなす錬鉄の英霊。
精錬された調理の数々は、常連客の下を唸らせた。
きっと、どこか違う世界の食堂で、オカンと呼ばれていたに違いない。
「いらっしゃいませー!・・・お?」
「?・・・あなたはどこにでもいますね・・・。」
次に訪れたのはセイバー。
先程の様子から推察するに、家に食材がなく、衛宮士郎はバイトで夜遅い。
凛と間桐桜は出掛けているから、セイバー一人で昼食をとるために近くを散策していたのだろう。
英霊同士、お互いの魔力反応で、ある程度互いの場所は探知できるが、まぁ、そこまでいつも警戒しているわけではない。
「アーチャー・・・?なぜあなたが・・・?」
「察してくれると助かる。」
セイバーから体を逸らしたまま、レタスの外側を剥く。
「注文は?」
「では、おすすめのオムライスを。」
「あいよ」
メニューを眺めるセイバーから90度体を逸らして、頭の中にレシピを広げた。
「オムライスだ、イケるよな?」
「――――。」
念の為、冷蔵庫とフライパンを確認する。卵の賞味期限、トマトソース、バター、マッシュルーム・・・・。
「オムライス・・・承った」
あぁ、これは―――――。
なんだか、無性にくすぐったい。
「では、いただきます。」
彼女の前に皿を出す。
それは、いったい、どれぐらいぶりだろうか。
英霊になってからは、思いも見なかった。
しばらく忘れていた、その、顔。
「これは美味しい――――。」
彼女はそう言った。それは本心からだろう。
正義を忘れた、ただの人殺しに成り下がった、英霊以下の作ったこの料理を。
「丁寧できめ細やか、そして・・・」
彼女は、そう言った。
「優しい味がします。」
「――――――。」
「――――気に入ってもらえて、何よりだ。」
今の私は、彼とは違う。
だから、この料理(行為)に意味はない。
満面の笑みで彼女は言った。
「納得の味です。ふふ・・・。」
意味は、――――――ない。
「おーい、お呼びだぜ」
そうランサーに言われ、一人残った女性客を見ると、深々と被った帽子を取った凛がこちらを見ていた。
「なっ・・・・・・!」
時計を見る。1時5分。
約束の12時はとっくに過ぎていた。
「――――――――・・・・!」
『いつもの公園で待ってるから!待ち合わせの時間は12時で!』
・・・しまった。
「すまない。私としたことが・・・」
「待ち合わせのこと?別に良いわよ。事情はアイツ(ランサー)に聞いたし。そもそも、約束も私が押し付けたものなんだから。」
とはいっても、自分の過失で約束を破ってしまった。
彼女の手前、落ち目もある。というか、完全に私の落ち度だ。
「なーによ、まだ気にしてるの?」
「・・・・・・。」
「・・・じゃあ、オムライス!さっきセイバーに作ってたやつ、今度作ってよ!」
「それで、チャラ」
満面の笑みで彼女は言った。
私は彼女のサーヴァントであり、彼女のためにここに存在している。
「・・・・・・・?」
だから、きっとこれは一時の淡い夢だったのだろう。
「あぁ、いくらでも作ろう」
ならば、あの料理にも意味はあったのかもしれない。