【FGO】第五の聖杯 イ・プルーリバス・ウナム【序幕】
1783年。アメリカ。
当時、イギリス本国とアメリカ植民地との長い戦争が続いた。
この戦争を経て、元々数多の植民地でしかなかったこの国は、アメリカとして独立することに成功する。
魔術的な神秘は西洋に比べて少ないが、現実世界の基盤としてアメリカ無くしては人類史は成立しない。
また、先住民族による呪術、霊術は独自に発展しており、今なおその文化を残す地域も存在する。
歴史的大国アメリカ。
これは、時代の変革における、異質な戦いの序幕に過ぎない。
第五の聖杯 イ・プルーリバス・ウナム
戦士は膝をついた。目の前には凶刃を振るう大男がいた。
大男は吐き捨てたように言う。何もかも気に入らないといった口調だ。
獣のような眼差しで、戦士にその凶刃を突き立てる。
その槍は、因果を貫くほどの鋭さだった。
戦士の名は「ラーマ」。古代インドの叙事詩に登場する主人公、ラーマその人であった。
しかし、戦士の体を貫いた大男の凶刃は、戦士に瀕死のダメージを与えた。
体を動かすこともままならない状態で、大男は周りに群がる死体の山に戦士を加えようと凶刃を振り下ろす。
その刹那、謎の機械兵が割って入り、凶刃から戦士ラーマを救う。
そこに、同時に現れたジェロニモという男によって、ラーマは一命を取り留めた。
大男の影から姿を見せたのは、おおよそ荒野には似合わない貴族の服を纏った少女だった。花を摘み取るようなか細い声で、しかし、残忍な言葉を少女は口にする。
冷たい、音がする。
ピッ、ピッ、
ピッ、ピッ、
影が優しく揺れて、消えた。
夢を見た。
医務室に行くとマシュと会った。ロマンが言うには、最近のマシュは前線に出過ぎていて危険だという。その意見は確かに最もだが・・・。
さて。とロマンが話を切り出す。次のレイシフトについてだ。夢の話を相談しようと思ったのだが、それはまたいずれ。
敵は今まで通りじゃ絶対に勝てない相手。現状対抗策は無いが、やるべきことは決まっている。
時代はアメリカ。カルデアに住む召喚された英霊もほとんどが日本・中国・アジア・西洋・北欧の神話・歴史に由来する。魔術師として、ある意味では全く未知の地、ということになる。
神話と現代の時代の狭間。生き抜く人々の躍動。動き出す国の息吹が、乾いた荒野で無情に響いた。