第121話「奇跡のカード!眠れる巨人ズシン」
レベル1モンスターを10ターン守り続けるチーム太陽。
「Sp」によるバーンダメージ。《手をつなぐ魔人》による鉄壁のスクラム。
その影にカモフラージュしていた《キーメイス》。
レアカードを使わずに誰もが持っているカードを使い、その集大成として繰り出す最強の巨人。
そう、言うなれば公認大会で《究極完全態・グレート・モス》を召喚するようなもの。
そして巨人には全体除去を除くほぼ全てのカードへの耐性がついており、並みのカードでは破る事はできない。
まさに奇跡。
最強のノーマルカード。
第121話「奇跡の切り札 眠れる巨人ズシン!」
OP前はまるまる前回のおさらいと若干不安がよぎる始まり方の第121話。
EDスタッフロールを見ればわかるのだが、演出・絵コンテ、原画、作監、全てが「奈須川 充」一人で担当している。他にも原画チームが関わっているとは思うが、何分観客の太陽コールの酷さが際立っているのにはこういう訳があったんだな。
「大変だ!早くクロウに知らせないと!?」
というわけで敵の戦法に気がついた遊星は、クロウにそれを伝える。しかし、このピットサインが逆に観客の目を引き、一気に太陽の応援に熱が入りだす。
「おい、あのピットボード見たか!?」
「マジかよ」
『おおーっと!ここで重大なニュースが飛び込んできた!チーム太陽が呼び出そうとしているのは、なんとなんと!《眠れる巨人 ズシン》だぁ!』
誰もが知っているカード。
誰もが持っているカード。
だが誰も出したことの無い。
だからこそ、人々はそれに賛同し、そしてそれをこの目で見届けようと歓声を上げる。
(《眠れる巨人 ズシン》はレアカードでもなんでもない。誰もが持っているカードだが、その能力はデュエルモンスターズ界でも最強と言われた伝説の三幻神のカードも匹敵する――――。
だがズシンには、決定的な弱点がある。それは、あまりにも過酷な召喚条件。けれど、レアカードなんて1枚も持っていない俺たちは、その能力に賭けるしかなかった―――。
いや、レアカードを持っていない俺たちだからこそ、ズシンを呼び出せると信じていた。
『こんなの誰も使わないカードだぜ』
『本当にできるの・・・?』
『できるさ!俺たちが力を合わせれば、俺たちで不可能を可能にするんだ!』
―――そのためにジンとヨシが、観客の野次の中苦しいライディングデュエルを続けてくれた。俺は絶対あいつらの苦労を無駄にはしない。)
そのために走る。それが全て。
神のカードを凌駕する力。誰も手をつなずに埃を被っていたその力。
「《眠れる巨人 ズシン》」
「俺が直感的に感じていた危機感は、こいつのせいだったのか・・・。確かに今のデュエルの戦術はハイスピードでモンスターを回していくデュエルが主流。」
「レベル1のモンスターの攻撃力は精々数百・・・。それを20ターンもの間、フィールドに残しておくことなんて不可能に近いわ。」
「デュエルが20ターンも続かない事もあるし。」
「だからこそ、ズシンは使えないカードの烙印を押され、誰からもその存在を忘れ去られていた・・・。普通のデュエリストならこんなカード絶対に使わない。」
「だが、彼らはそれをやろうとしている―――。」