数奇な日常その1「スイカの攻撃」
6:59
起床!
ベランダの内屋根を覗くと以前撮影した鳩の巣で一羽が孵っていた。
思わず写メろうとしたが、親鳩がこちらをガン見してくるので自重した(お互いの距離20cmだったし)。
とりあえず、学校へ。
最寄りのモノレール駅。
スイカのチャージが行きの分しかなかったので、改札前のきっぷ売り場でスイカをチャージする。
ぴんぽーん。
耳元からはエレファントカシマシの「涙の数だけ」が流れていたが、ふいに軽快な機械音が聞こえる。
すると売り場の画面には赤く「しばらくお待ち下さい」との表示。
直前、「係員を呼んで下さい」と機械がしゃべったような気もする。
何より重要なのは、入れたスイカと千円が、カムバックして来ない事だ。
「なん・・・だと・・・!?」
口癖になっている最近の常套句がふいに口から漏れる。
最近は何かあるだけでわざと使っているだけだが、さすがにこの時は無意識だった。
隣でチャージしてるOLさんに一歩引かれてしまった。
「しばらくお待ち下さい」の指示に服従する事3分。
なんの変化もない・・・だと。
既に自分の横にあるもう一つのきっぷ売り場で続々とチャージしては横切る人々。
真っ赤になった画面の前に立ち尽くすその様子はさぞかし無様だっただろう。
朝の通勤ラッシュの真っ最中にかまってくれる大人もいない。
加えてここは無人駅。そう、係の人がいないのだ。
これ以上かく恥も無くなった所で、きっぷ売り場の間にある緑色のインターホンを押す。
とりあえずどこかに繋がっているようで、「ご用の方はこちらを押して下さい」に神頼み。
押すと「トゥルルルルル!!トゥルルルル!!」とコール音が
バカでかく駅構内に反響する。
これ以上の恥があった・・・だと・・・。
みんな見てるが指がボタンから離れない。現在唯一自分を救ってくれる救済なのだ。この程度の羞恥でへこたれるか。
4コールでおっさんの返答が。
状況を洗いざらい説明する。隣の女子高生が気まずそうだ。その視線は人を殺せる。
4分ぐらいでつくとの事なのでさらに待つ。
改札前でふらふらする怪しい男。知り合いに出会ったら笑い話にできるが・・・。
まもなくしておっさん登場。裏手に回って機械をがしゃがしゃいじる。
しばらくしてスイカと千円を取り戻す。どうやら、ここのきっぷ売り場では何回やってもエラーが出るっぽいので、中に入って精算所でチャージしたら難なくできた。
ふと、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」のドビーを思い出す。きっと今ごろ学校にバジリスクでも出ているのだろうか。
そんな事を考えながらモノレールに揺られていた・・・。