第118話「新たなるライバル」
「オレの相手は―――お前!!ジャック・アトラスだ!!」
イリヤステルの歴史の改ざんから早数日。
ドミノマート。
ついに本戦に介入したチームニューワールドの存在に気をいきがちだが、その他6つのチームだって猛者揃い。
ここで龍亜が立ち読む「デュエルマガジン」には、チームラグナロクの特集が組まれていた。
「WRGP優勝候補チームラグナロクは、世界初プロのライディングデュエルチーム。ハラルド、ドラガン、ブレイブの3人の使う星界の三極神オーディン、トール、ロキはまさに神の使い、神秘の力が宿ると云われる世界最強のカード。」
「予選大会でも他を寄せ付けぬ圧倒的強さで完勝。人気と実力を兼ね揃えたデュエル界の王者―――ふん、何が王者だ。こんな奴らに遊星が負けるかよ、」
特集記事には既に3体のカードのイラストがこれでもかとばかりに載せられていたが、配色加減が原因なのか、今イチしっくり来ない感じの神々のモンスター。
「あ、忘れてた!今日遊星たちDホイールのプラクティスに行ってたんだ!」
ふとその場を後にし、駆け出す龍亜。なんかこういう始まりかたって久しぶりだな。
「負けねぇぜジャック!」
「ホイール・オブ・フォーチュンのパワーを舐めるな!」
走行テストなのか喧嘩してるのかはわからないが、とりあえず前回までのゴタゴタのうちに全員キズは完治したようだ。クロウさんとジャックは毎回ボロボロになるからプラシドさんのあの一件がうまい事療養期間になったのは皮肉な話。
「二人とも調子良さそうね。」
「これなら、いつ決勝トーナメントが始まっても大丈夫ね。」
そして紅蓮の悪魔を取り込んでも、荒ぶる魂の限り戦っても、やっぱりパワーに拘るジャック・アトラスなのだった。
「イリヤステルの三(二)皇帝。奴らがついに姿を現した――。」
これまでのおさらいとばかりに視聴者に語りかける遊星。
「奴らは歴史を改ざんし、WRGPに出てきた。」
浮かび上がるは街を破滅へと導くホセの言葉。
『我々の目的は未来を変える事だ。そのためにネオ童実野シティを消滅させる。』
「そんな事はさせない、この街はオレ達が守る。オレ達の未来のために必ず勝つ!」
と、主人公サイドが決意を新たに固めている時。
「間に合うかなぁ―――」
遊星たちのプラクティス会場へと走る龍亜。
「!!?どぅああああ!!どいてどいてどいてぇぇ!!!」
近道して路地裏を通ったのが不味かったか、道路に飛び出す形になり、右側からやってきたバイクにぶつかりそうになる。
「うわぁ!!?」
なんとか相手はコースを避けてくれたけど、バイクはそのまま運転手をほったらかしにして4、5メートル滑った後止まった。
「大丈夫か?ヨッシー――」
慌てて仲間と思われる2人が駆け寄る。バイクがクラッシュしたのに何で徒歩ですぐに駆けつけてこれたんだろう・・・。
「いててて、危ないじゃないか!?」
「ご、ごめん。急にDホイールの制御が効かなくなっちゃって・・・」
なぜかイチャモン付ける龍亜。これだからトップス育ちは。
「Dホイール?」
青い服の男がDホイールを立て直して戻ってきた。どうやらこれでデュエルするらしいが、どうみても田舎の暴走族が乗っているただのバイクにしか見えない。
唯一違う所と云えば、この3人組とDホイールには「太」というロゴが入っている事か。
「謝る事無いぞ吉蔵、飛び出してきたそいつが悪いんだからな。」
少し感じの悪い青い人。まぁ正論なんですけどね。
「ジン!―――大丈夫、怪我は無い?」
赤い人が青い人(ジン)を止める。と同時に龍亜を気遣ってくれたから赤と緑(よっしー)は友好的な感じで何より。
「大丈夫だよ――いてて、」
青い人の態度にこっちも反発するが、膝を擦りむいてしまったらしい。
「腫れてるじゃない?早く冷やさないと」
「大丈夫だよ、これくらい―――」
「無理しちゃだめだよ。近くにオレ達のホテルがあるからさ。」
「・・・―――。」
明らかに庶民オーラを全開にして登場した謎の日本人3人組。とりあえず今はただ原−作画に「ふ・・・ふつくしい。」としか・・・。