【後日談】終局的犯罪
いらっしゃい。
一杯いかがかな?
・・・そうか。そういえば、そうだったな。
世界の破滅について考えたことはあるかい?
私はネ、毎日考えてるんだ。
そして計算している。
いつか、いつかと。
結局のところ、世界なんていつか滅ぶ運命にある。
今はただ先延ばしにしているだけに過ぎない。
過去に戻って歴史を正そうが、
間違った世界を否定しようが、
未来に向けて前に突き進んだところで、
そうだね。あの赤いアーチャーのように、くたびれてジ・エンドが関の山かナ。
ここで君が死のうが、世界が終わろうが、共に破滅には違いないのだから。
いつか平穏を取り戻したとしても、それは破滅の始まりに過ぎない。
私は悪だからネ。その辺は、よーくわかってるつもりサ。
さて、お話はここまでだ。
私がここで何を言おうが、君は前に進むのだろう?
私がどんなに悪に染まろうが、君は私の手を引くのだろう?
いいさ、悪に染まらず、そして悪を否定しない君の有り様は、数学的に見れば、なんともいえない特異変数だ。
だから、私は私としてここに居られるのかもしれないな。
さぁ、今日はもう閉店にしよう。
元・悪の親玉としては、夜更かしは大変素晴らしいことだが、、、
数学者としては、授業中に居眠りをされると、なんとも悲しくなるものなのだヨ。
あぁ。
君が悪役でいて良いというのなら、私は喜んで、あの厄介な連中の悪の親玉になってやるサ。