【FGO】徳川廻天迷宮 第10幕「大奥」其之二
花札の力が体にかけられた重圧を溶かしていく。
これで、まともに戦える・・・!
え?
柳生さん!どうしてもいきなり、松平さんを・・・・・?!
か、刀になった?!
愛
愛は誰かのものじゃない。みんな平等に持っているものなんだ!
無数に蠢くカーマの分身。その中心で彼女はすべてをあざ笑う。
一度でも摂り込まれたら終わり。
彼女の宇宙となって、
消えてしまう。
だけど、負けられない。
負けられないんだ。
「ではーーーーーーーーーーー。」
声がした。
間違い無い、彼女の声だ。
無限の宇宙に広がるカーマ。
なんということだろう、彼女は「それ」をすべて、自らで、覆い尽くした。
形容し難い空間に、放り込まれるカーマ。
その中は、かつて自分たちを苦しめたアレが蠢いていた。
満たす、満たす、満たす。
すべてを満たすのではなく、
すべてで自らを満たす
愛欲を飲み込む、自己快楽。
宇宙の中心で彼女は、確かにそこにいた。
快楽の渦、それは、柳生但馬守宗矩の刀を振りかざすのに、充分なスキを与えた。
床が!!
シェラザードが紡ぎ、マタ・ハリが補強し、ここに本当の大奥を築く。
畳!
襖、天井!
今だ!!
それは令呪の強制力に近い、本人の意志を無視した反射事象。
外へ外へと襖が次々に開く、そしてカーマの体はその襖を通ってどんどん外へと飛ばされていく。
彼女はそうして江戸城上空に弾き出された。
既に存在を否定されたその肉体は、少しずつ崩壊していた。
かくして、大奥の騒動の原因は、その晴れ晴れした上空にて、消滅したのであった。