【毎日更新】line walker ゲームプレイ日記

毎日欠かさず更新して約11年目・・・・・。FGOとホロライブ・ホロスターズ中心のブログです。

【FGO】空の境界/the Garden of Order -Revival-【ある日の式とアヴェンジャー】

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式「なぁ?それ、どうしたんだ?」 

 

ある日のカルデア食堂。

いつもより遅い時間に目を覚ました「両儀式」は、いつもより遅れて食堂に顔を出した。

手慣れた感じでトーストとハムエッグをトレイに乗せ、空いている席に着こうとしたが、お気に入りのコーヒーメーカーには「故障」の紙が貼られていた。

 

しかし、食堂に仄かに漂うカフェインの香りに気がついていた式は、その香りの元に視線を送った。

 

小説、と思われる本を片手に、エドモン・ダンテス(巌窟王)が隅の方でコーヒーを啜っていた。

 

巌窟王「・・・。」

 

一瞬、式を見た彼は、すぐに視線を本に戻した。答える気は無さそうだった。

 

式「コーヒーメーカー、お前が壊したのか?」

 

男は、ページから目を離さない。元々こういう男だという事は遠目で見て知っていた式だったが、ここまで露骨に無視されるのは、癪に障った。

 

式「そーか。お前が犯人か。なら――――」

 

式は、テーブルに置かれたコーヒーカップを取り上げた。淹れたての豆の香りが鼻をくすぐる。

 

式「これが最後の一杯ってわけだ」

 

これでどうだ、と式は座って本を読み続けるエドモン・ダンテスを見下ろした。

 

巌窟王「・・・。俺じゃない。俺が来た時にはもう壊れていた。」

 

式「ん?」

 

式にしか聞こえないような、小さな声で男は言った。

 

巌窟王「それは・・・、俺が部屋から持ってきたものだ」

 

式「なんだ・・・。悪いな、疑っちまって・・・」

 

コトン、と式はカップをテーブルに戻した。確かに考えてみれば、彼のカップは食堂備え付けのものではない。彼の私物のものなのだろう。

 

巌窟王「飲みたいのか?」

 

少し離れた所に置いたトレイの元へ戻ろうと式が足を上げた時、彼が言った。

 

式「え――?」

 

巌窟王「少し待て。ちょうど替わりを淹れようと思っていた。」

 

意外な返答に式は内心戸惑った。こういう事が言える男だとは思っていなかった。

 

式「いや、いいよ。たまには紅茶とか洒落たやつも悪くないしな・・・」

 

そう言って、ひらひらと手を振りながら式はその場を去った。

 

巌窟王「そうか。」

 

彼は再びページに視線を落とした。

 

結局、そう言っていた彼は、コーヒーを新しく淹れにはいかず、しばらくそこで本を読み続けていた。

 

 

 

 

 

 

今思えば、この二人がこんなに平穏な日常を過ごすことになろうとは、あの時は思いもしなかっただろう。

 

それは、彼がまだカルデアに来る前。

 

そして、彼女がとある場所で出会う前。

 

 

あれは2016年、冬と春の間の季節・・・。