【FGO】Epic of Remnant 亜種特異点I 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【第17節 真相クルーティ】
歪んだ歴史を修復しようとする時、膨大な取りこぼしが発生する。
排斥された狂気が作り上げた脚本。
忘れ去られた世紀末の神話。
かつてない規模の殺人事件が、亜種特異点となって完成する
完全犯罪計画、起動―――――幻霊よ、背徳の街で踊り狂え。
・前回まで
敵の本拠地、バレル前で防衛戦線を敷くエミヤ(オルタ)。
強固なその防衛線を、マシュ発案のアーラシュ式ダヴィンチフライト(着地はアルトリアがたぶんなんとかしてくれる)作戦で見事切り抜けることに成功。
無事に一行はバレル内部に侵入し、敵の指揮官である悪のモリアーティのいる塔上部を目指した。
彼は、良い人だよ。そこはたぶん、どっちも。
オレ?
どういうことだ?
あっちのモリアーティの様子が変わった。何か、自分で言ったことに対して驚いているようだ。
それは、、、
一体・・・。
悪として立ちはだかるモリアーティ教授。魔弾の射手の能力を得た彼は、善のモリアーティ以上に厄介な相手だった。
まず、魔力量が違う。ここまで戦ってきたアルトリアと善モリアーティは既に先の戦闘で疲労している。
加えて、アルトリアはクラス相性がある。近距離戦闘を主とするアルトリアの戦い方を熟知しているのか、一定の距離を保ちながら、モリアーティは的確にこちらの隙きをついて砲弾を打ち込んでくる。
長期戦は、不利。
そう判断して令呪を使った。これが彼の計算に組み込まれているのかはわからない。
令呪によるバックアップで、全員の宝具解放を同時に発動させる。
さらに、限定召喚したランサー李書文とランサーヴラド三世の宝具を叩き込む。
ヴラドの宝具はとっておきだ。悪属性サーヴァントには、特にその特効が効く。
全員の宝具で体を打ち抜き、悪のモリアーティは膝から倒れた。
フっと静かに笑って、そのまま悪のモリアーティは新宿から姿を消した。
マシュの背後でカルデア管制室のアラートが聞こえる。この警報は、聞き覚えがある。
普段の彼からは想像もできないほど取り乱している。それもそうだ。今目の前で収束していく魔力反応は、、、、、、、、
悪魔がそこに立っていた。
この声には聞き覚えがある。忘れるわけがない。あの最終特異点にいた・・・。
魔神柱は全て滅んだハズでは、、、!
え、オレ...?
そういえば、ホームズが言っていた時間の歪みってもしかして...?
異物?
そういえば、こちらのモリアーティの姿が、、、
瞬間。大量の血が辺りに散った。
ホームズは胸を貫かれていた。出血を両手で抑えながら、衝撃で床に膝をついた。
モリアーティは隠し持っていた短刀を床に放った。ホームズの血がべっとりついている。
それは、ホームズとして敗北を意味する決定的な言葉だった。
信じられないが、ホームズは推理を間違え、モリアーティは計画を遂行させたのだ。
ホームズのとっさの言葉にアルトリアは動けなかった。
だが、それこそがモリアーティの狙いだった。
ホームズの実体は消滅し、どういうカラクリか、その霊基をモリアーティは吸収した。
ホームズの霊基を取り込みモリアーティの姿が変わる。それは、悪のモリアーティと同じ姿だった。
モリアーティ・・・。
マシュの言うことは最もだ。このタイミングで裏切る動機が無い。
あるとしたら、それは、本当に最初の最初から、「そういう計画」だったということ・・・!
・・・。
出て来るサーヴァント、舞台、まるで物語・フィクションの世界だ。
?いきなり何を・・・。
先攻。
それは当たり前のことだ。悪があるから善が成り立つ。悪が動けば善が止める。悪が先で、善が後。
それは当たり前のことだ。
つまり、善のモリアーティなど始めからいなかったということか。
まさか、ゼロに、悪の記憶を消していた・・・?
自分の記憶を消して善のモリアーティとしてホームズにつき、信頼を得る。
悪のモリアーティとなったバアルは、善のモリアーティを全力で殺す。
だが、最後にはカルデア側によって敗れる。そこまで、計算しつくされていた・・・!?
嬉しくない。悲しいだけだ。
バアルの背後に立つ影。
エミヤが銃剣をバアルに向ける。こちらと戦うつもりは無いらしい。
悪だろうが、善だろうが、結果が伴っていればそれで良いらしい。そして、結果とはバアルの排除・・・。
わかった・・・。
こうなってもやることはひとつだけだ。今まで通り、善として悪を討つ。
いくぞ、モリアーティ!
バアルは形態を魔神柱へと変貌させた。
両者の攻撃は苛烈なものだった。
今までずっと一緒に戦ってきたモリアーティはこちらの攻撃パターンを熟知している。
目標に必ず命中する魔弾の攻撃。そこに魔神柱の強力な全体攻撃が加わり、一歩間違えればいつ全滅してもおかしくない戦況だ。
しかし、規格外だったのは、エミヤ(オルタ)だ。
共通の敵ということで、カルデア側についてくれたが、アルトリアとの即席パーティは想定以上に好相性だった。
敵の攻撃を弾き飛ばしながら前進するアルトリアをエミヤはうまくフォローしている。
銃に特化した攻撃に加え、時折魔術詠唱による投影で、アルトリアの攻撃範囲を補っていた。
なぜ、ここまでエミヤがアルトリアの動きに合わせられるのか不思議なくらいだった。
アルトリアも聖剣の封印を解放して全力で敵を押し潰す。
そして、彼の宝具「無限の剣製」が魔神バアルに打ち込まれた。
なんだって・・・。
最後に大きな笑い声を残してバアルは消滅した。後には、戦闘で負傷したモリアーティが残っている。
地面が揺れる。
新宿全体が揺れている。
ダ・ヴィンチちゃんの焦りぶりを見て、現状を理解した。
どうやら、世界が終わるようだ。
481-510