【FGO】Epic of Remnant 亜種特異点I 悪性隔絶魔境 新宿「新宿幻霊事件」【第15節 新宿フライハイ】
歪んだ歴史を修復しようとする時、膨大な取りこぼしが発生する。
排斥された狂気が作り上げた脚本。
忘れ去られた世紀末の神話。
かつてない規模の殺人事件が、亜種特異点となって完成する
完全犯罪計画、起動―――――幻霊よ、背徳の街で踊り狂え。
・前回まで
ジャンヌの命懸けの足止めが功を奏し、カヴァスII世(アルトリアの愛犬)協力の元、新宿のアヴェンジャーの討伐に成功。
残る敵はエミヤ(オルタ)と悪のモリアーティのみ。
そして、アヴェンジャーを足止めしていたジャンヌが、ねぐらに戻ってくることは無かった。
彼は堕ちている。正義を捨て、誇りを捨て、過去を捨て、名を捨てた。
彼には役割がある。闇に堕ち、人道に背いても、それでも従い続ける役割があった。
彼は堕ちている。
英霊の座にはいない、無銘のサーヴァントととして今ここにいる。
エミヤ・シロウ、そう呼ばれていた時代もあったかもしれないし、なかったかもしれない。
だが、闇に堕ちた彼には関係のないことだ。
ふっと笑う。
その表情には呆れと、諦めと、ほんの少しの同情があった。
一方、新宿のアヴェンジャー討伐の一番の功労者であるカヴァスII世の表彰式をアルトリア主催で行っていた。
なんか自分より立場が上な気がする・・・。
(自分で言って赤くなってる・・・)
これが横暴、これが暴君か。
え、なんです?
騒がしい二人(世界最高の名探偵とその宿敵の悪の裏ボス)の到着だ。
パパくさいよ。土にお還り。
ダンダン机を叩くのはやめてください。
事前に敵本拠地であるバレルに偵察に言ってきた二人の報告は、予想通りの内容だった。
え、そのルビにそんなに字数使うの!?
でじま!?
さすが世界最高の名探偵、1999年の事象を詳しく調べていたのはこういうことだったのか。
でじ・・・ま!?
明らかに何か言いたげだが、とりあえず「大体わかっている」アピールだけしている私立探偵。
モリアーティがデジカメの画像を送信してすぐ、加工した画像がカルデアから送られてきた。
何かを思いついたかのようにマシュが声を上げた。
明らかに都合が悪そうだ。名案だが、現実的ではない。そんなニュアンスにとれた。
アルトリアの王の威厳が発動してしまった。マッシュマシュのキーワードが可愛すぎて緊張感がいまひとつだが。
え、アーラシュ・・・?
発射台、山越え弾道、人間大砲、無重力着地、キリモミ・・・・・・。
よし!何か別の手をうわなにするやめていやだいやだいやだいやだ・・・
雀蜂の部隊が向かってくるバイクに弾幕を浴びせる。
避ける素振りもなくバイクはそのまま弾幕を受けて転倒。ワイヤーネットに絡め取られて停止した。
瞬時にエミヤは周囲の魔力を探った。アーチャーのクラススキルにより、周辺の状況把握は早い。
ビルの上、上空から弾道を描いてアルトリアと一緒に降下する。
無論、着地任せの人間大砲をぶっ放してきたのだ。しにそう。
がっつり食べた朝食が胃の中から全部リリースされてしまった。今までの特異点で最悪の登場なのは間違いない。
ちょっと前。
これだから理系は・・・。
あ、ぼくバイトがあるんで、今日は上がりまーす。
あいたたた、持病の新宿の空を飛んではいけない病が・・・。
ヤダーーーーーーーーーイヤーーーーーーーーーー!!!
むぎゅ!
一方、別場所で待機していたホームズ。現場には緊張感が走っているが、彼は至って気楽な様子だ。
人権侵害だー!弁護士を呼んでくれー!
ちょっと後。
辺りに響き渡る不気味な歌声。
ホームズが暴走したコロラトゥーラ軍団を引き連れて現れた。
コロラトゥーラが雀蜂に狙いを定めて襲いかかる。こちらは少数精鋭、対して相手は二百の大所帯。コロラトゥーラのターゲットは完全に雀蜂たちを狙っていた。
さらに、その隙きをついてモリアーティが仕掛ける。
モリアーティ印の特製煙幕が辺りを包む。サーヴァントは互いの魔力で位置を把握できるが、視界を奪われた雀蜂たちには混乱が広がる。
後ろを振り返ろうとしてエミヤは止まった。目の前の雀蜂を睨みつける。
不敵な笑みを浮かべて、モリアーティが雀蜂の変装を解いた。
煙幕が晴れる。
ハァーと、エミヤはため息をついた。周囲には雀蜂と暴走状態のコロラトゥーラしかいない。
バレルに突入した一行を追って、アーチャーも姿を消した。